キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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2019年01月

観光部局勤務もかれこれ2年近くなり、ようやく観光振興の基本がわかってきました。
ただ、わかるにつれて、仕事へのモチベーションが落ちていくんですよね。
理由は大きく2つ。政治的配慮上司の壁です。

結局は政治家の犬

地方公務員は、首長という政治家の道具です。
公益のために働いているという建前ではありますが、次回選挙で首長の票に繋がるどうかという観点から脱することができません。

観光振興のような自由度の高い業務では、この制約が強烈に作用します。
効果の出そうな施策よりも、大票田が喜ぶかどうかの方が重視されるのです。

大票田はご高齢の方が多く、高度経済成長期やバブリーな時代に活躍された方ばかり。
そのため、好みの施策もそういう時代に流行ったものばかり。
つまり、時代遅れです。
今更そんなことやっても意味無いでしょ……というマジレスを堪えつつ、時代遅れな施策を本気出して考えさせられます。

大阪万博とかね。深く同情します。

こういうジレンマ、ドラマなんかでもお約束ですよね。
覚悟はしていましたが、実際に当事者になってみると、ものすごく萎えます。

上司の理解力という壁

部下は、上司の理解を超える施策を実行に移せません。

僕が管理している観光施設ではフェイスブックページを運用していて、週2回くらいのペースで館内イベント情報を投稿しています。
ただ、フォロワー数がものすごく少なく、施設利用に繋がっているかは疑問です。

他県の類似施設のフォロワー数を見てみると、うちより投稿数が少ないのに10倍以上のフォロワーがいます。
そこで僕は、アカウントの露出度を高めればフォロワーが増えるのではと考えました。

露出アップには、広告機能を使うのが一番手っ取り早いです。
広告対象もターゲッティングでき、無駄打ちにもなりにくいです。

しかし、この話を上司に持っていったら、「よくわからないアルゴリズムへの支払いは認められない」と一蹴されました。
代わりに、広告用の予算で「フォローしてね」というチラシを刷って駅前で配布せよとの指示を受け、計画は完全に頓挫してしまいました。

結局、上司に内緒で広告を打ってるんですが、フォロワー数が倍以上に増え、施設利用者も増えています。
成果が出ているとはいえ、上司の命令に背いたわけです。
バレたら絶対に怒られるので、僕が異動するまで内緒にしようと思っています。

部局間移動するから正気が保たれている?

2年目の僕ですら若干嫌気が差してきているのですから、同じ部署に長くいる人は、一体どれだけの無念を重ねているのでしょうか?
自分のやってることのレベルがいつまでたっても低すぎて、気が狂うのではないかと心配になります。

よく「地方公務員は思考停止している」という非難を見かけますが、思考停止して自衛しないと気が狂うのかもしれません。

勿論、すべての役所が常時こんな感じだとは思いません。
確か長野県は、こういう役所にありがちな停滞を招かないよう、かなり工夫していたはず。

うちの県の観光部局も、数年前はバリバリイケイケだったと聞きます。
巡り合わせが悪かったのでしょうか……

自治体は男女共同参画を推し進める主体であり、率先して旧弊を改めるべき立場にあります。
お茶汲みやコピーとりを女性に押し付けるような習慣は、少なくともうちの役所ではすっかり根絶されました。
セクハラやパワハラにもかなり気を使っていて、些細な言動にも注意を払っています。

しかし、「善意の性差別」と呼ばれる一連の思考・行動は未だ色濃く残っています。

善意の性差別 
E・アロンソン『ザ・ソーシャル・アニマル 第11版』より

好意的に見えるが、実は恩着せがましい、女性に対する態度。女性に対して肯定的なステレオタイプ的見方をするが、心の底では、女性が弱く無能な性であると仮定している。(p.423)
善意の性差別主義者は、女性を非現実的に理想化する傾向があり、素晴らしい料理人や母親として女性を崇め、女性が必要としていないのに女性を守りたがる。
女性に対する敵意の色合いがなく、男性にとって「偏見」のように思えないーーそして、多くの女性にとってもそう思えないー-(p.296)

端的にいえば、「負担の重い仕事を女性に振ってはいけない」という信念が役所全体に染み付いていて、俗にいう出世ルートに乗る女性がほとんどいないのです。
財政課職員の男女比を見ると露骨です。

役所の出世ポストは、どこであれ例外なく長時間労働とヘビーな感情労働がが求めれます。
例えば財政課であれば、10〜2月の当初予算編成時期は2徹3徹、怒鳴り怒鳴られが当たり前です。
男女共同参画の旗印の下、こういうポストに女性をガンガン充てていくべきかと問われると……

というよりも、こういうハードなポストの存在は本当に必要なのか?なんとかすべきでは?という方向で議論すべきなのですが、そんな動きは全く見られません。
現状の役所はこういうポストの人間がいないと機能停止するので、無くしようがないからです。

つまるところ、地方自治体の多くは男性にしか要職を任せられない構造になっています。
こういう意味で、役所は典型的な「男社会」だと思います。

この傾向は地方自治体に限った話ではなく、何より国家本省がこのやり方で固まっています。
本省が変わるか、首長が大鉈をふるって改革しない限り、どうしようもないのかなと思っています。

ブラック企業にありがちな、仕事用の道具を自腹で購入させるという風習。
地方公務員の場合は、基本的にはありえません。

ありえないとは言っても、備品購入予算が潤沢にあるわけでもなく、コンプライアンスがしっかりしているわけでもありません。
一職員が勝手にものを購入してはいけない、という意味合いです。

役所がものを購入する際には、公平性・透明性を保つためのルール・手続きを守らなければいけません。
その最たるものが、入札や見積り合わせ(複数社から見積もりを取り寄せて比較する)ですね。

こういう手続きを踏まずに勝手にものを購入すると、自腹であろうと不適切な会計処理にあたり、新聞沙汰にもなりかねません。
そのため、職員の自腹購入も、厳に慎まれています。

……というのが表向きの話。
実際は結構、職員が自腹で色々買っています。

名刺

別途記事にしています。
地方公務員はなぜ名刺を渡したがらないのか?本当に自腹で作っているのか?

緊急時の消耗品

例えば、イベント当日に突然ガムテープや段ボールが足りなくなったり、のぼり旗の棒が折れたりした場合。
いちいち手続きを踏んでいたら、絶対に間に合いません。
こういう時は、ホームセンターに駆け込んで自腹購入せざるをえません。

こういう消耗品であれば、大問題にはなりません。財布へのダメージも小さいですし。

書籍や資料

業務上絶対に必要な「〇〇六法」みたいなものを除き、原則、書籍は公費では買ってもらえません。

環境六法 平成30年版
中央法規出版
2018-03-17



僕も観光施設の訪日外国人対応を考えたくて、『ロンリープラネット』を買ってもらおうとおねだりしたのですが、あっさり断られました。
結局自腹で購入。生まれて初めての洋書です。





別部署で訴訟対応していた時には、原告側弁護士の思想を探れという指示の下、原告側弁護士の連載が載っている『法学セミナー』を自腹で半年分くらい買ったり、新聞へのインタビューを見るために有料オンラインサービスに登録したりもしました。

なんだかんだで、毎年2万円くらいは資料代に費やしている気がします。
もっとリッチな自治体だったら、バンバン公費で買ってもらえるのでしょうか……?

役所PCでは力不足なパソコンソフト

出費額的に、書籍ならまだ可愛いもの。
うちの役所ではないのですが、自腹でAdobeCCを買わされる職場があるという話を先日聞きました。




目的はチラシ作成。経費削減のため、写真素材調達からチラシデザインまで一切外部に委託せず、全て職員でやっているらしいです。
職場のパソコンではスペックが足らずまともに動作しないので、課内の誰かをチラシ担当に任命して、私用のパソコンに自腹でインストールしてもらっているとのこと。

趣味でも使えるPhotoshopとLingtroomならまだしも、仕事でしか使わないであろうIllustratorまで自腹で買わせるのは、流石にひどいでしょ……

「怒られるくらいなら自腹切るか」の発想

消耗品であれ耐久消費財であれ、「無くてもなんとかなるもの」は、公費では買ってもらえません。
公費で買えるのは、「無いと仕事が成り立たないもの」だけです。


僕の経験談として紹介した『ロンリープラネット』の場合だと、もし自腹購入せずに仕事を進めていたら、上司からしこたま怒られていたと思います。
「全世界でシェアNo.1の書籍を見ずに、何調べてるんだ!」という感じでしょうか。

それでも、「準備が甘かったです、後で調べておきます」と弁明しておけば、なんとかなります。
つまり、わざわざ『ロンリープラネット』を買わなくても、仕事自体は成り立つのです。

こういうケース、つまり自腹を切らなくてもなんとかなるけど、管理職から怒られるだろうと推測される場面で、リスク回避のために自腹を切ってしまう職員は、結構いると思います。
人によっては、「自腹を切れ」と暗に圧をかけられているように感じることもあるでしょう。

ちなみに僕は形から入るタイプのオタクなので、圧を感じる・感じないに関係なく、ついついなんでも買ってしまいます。
ネット情報によると『ロンリープラネット』内にちょいちょいハッテン場情報が載ってるらしいのですが、まだ見つけられていません……


経費の自腹負担にまつわる過去記事も併せてどうぞ。
地方公務員の出張手当とは?懐的には得なのか損なのか?
地方公務員業務ではどれくらい、どのように携帯電話を使うのか?業務用携帯電話は支給されないのか? 

そろそろ今年度も終わりに近づいてきました。
なぜか今年度は管理職が些事にこだわってばかりで、全庁的に残業がものすごく増えています。

部下に残業させるほど出世する?

管理職の人事評価基準の一つに、首長からの指示をどれだけ早くこなせるかがあります。

素早く指示に対応するためには、あらかじめ準備をしておく必要があります。
しかし、いつ・どんな指示が下りてくるかは、予想できません。

そのため、管理職としては、所管する全ての業務について最新かつ詳細な資料を常時準備しておきたくなります。

首長から指示が下りてきた後に資料作りを始めていたら、「遅い」と怒られ、評価も下がります。
一方、あらかじめ資料を作っておけば評価アップ。結局使われずに徒労に終わったとしても、誰からも怒られませんし、評価も下がりません。

つまり、管理職としては、「現時点では全く使う予定がなくとも、とりあえず細かい資料を部下に作らせておく」という選択肢が、ローリスクハイリターンの好手なのです。

長期間通用する資料ならまだしも、数日後に開催される単発式典の座席表(欠席者が○人出たバージョン)みたいな余命幾許も無い資料を大量に作らされると、空虚にならざるを得ません。

民間企業との違い

「実際使うかどうかわからない資料を長時間残業して作る」という役所の風習が、民間企業からの転職組には相当な異文化に映るようです
僕も民間企業の方と一緒に仕事をすると、時々「どうしてそれが要るんですか?」とドン引きされることがあります。

民間企業だと、残業の削減も管理職のミッションです。
残業を削減すればするほど、残業代=人件費が減り、利益が増えるからです。
残業を減らすほど利益率が高まり、管理職の人事評価も上がることでしょう。
そのため、無駄な仕事はさせまいというモチベーションが自然と生じます。 

一方、役所の場合は、利益という概念がありません。 
残業代が増えたとしても、残業代予算の枠内に収まっていれば誰も困りませんし、課の人件費総額を抑えたところで、誰にも何の見返りもありません。
役所の予算ルール上、余った残業代予算を別の用途に回すこともできません。

残業を減らしても誰も得しないので、組織としても「残業減らし」をあまり評価しません。
一方、残業させてでも細かい資料をあらかじめ用意しておくことに対しては、前述のとおり高く評価します。

ヒラ職員ができること

役所内の「残業は正義」という風潮は、一朝一夕ではなかなか崩せないでしょう。

「残業は正義」という考えは、よく時代遅れだと評されます。
しかし役所内では、この考えに基づいて行動することが、いまだに最善手なのです。

一職員レベルで実践できるのは、この悪しき風潮を役所外に押し付けないこと
僕の担当業務(観光振興)でいえば、「民間の観光施設にものすごく細かい資料を要求しない」とか。
管理職の保身のために外部に迷惑をかけていては、存在意義を疑われてしまいます。

こういう「外部に迷惑かけたくない」という趣旨の発言をすると「そんな甘いこと言ってると舐められるぞ」って詰められるんですが、役所内部事情に付き合わせて信頼を失うほうが不味いのでは?

大抵の地方公務員試験で課される「社会科学」。

社会科学の目的の一つは、向かうべき社会の理想像を考えることであり、誰かが掲げた理想像の良し悪しを考えるための分析ツールでもあります。

しかし、現実には、地方公務員は理想像なんて考える必要ありません。
政治家が用意した理想像を「絶対正しい」と盲信して手を動かすだけの存在に過ぎません。


地方公務員になるために社会科学を勉強しなきゃいけないという現状は、かなり皮肉だなと思います。

地方公務員の仕事は忖度と遵守

大前提として、意思決定は政治の仕事で、行政は政治の意思決定を実行する立場にあります。

政治家が決めた「こうあるべき」という姿を実現するために全力を尽くす。
これが地方公務員の使命です。

※法律も「こうあるべき」のひとつです。作成者はまぎれもなく立法府=政治家だからです。

時には、「政治家はきっとこう考えているだろう」という推測で動くこともあります。
俗にいう「忖度」ですね。

どれだけ出世したとしても、この生き様に変わりはありません。
むしろ出世するほど、政治家の意図を解釈する仕事が増えていき、自分の意思を挟む余地がなくなっていくでしょう。 

政治家が棋士だとすると、地方公務員は駒です。
どれだけ出世したとしても、王将止まりです。棋士にはなれません。

地方公務員が考える理想論は、鉄道オタクが勝手に作ったダイヤと同レベルの「戯れ」です。

もちろん、日本には思想・良心の自由が憲法で保証されています。
理想論を考えたり、個人的に主張する分には自由です。

しかし、役所内では全く顧みられません。
役所内でべき論を唱えること自体、越権行為です。

理想論どうしの葛藤

理想論を考えずに生きていられたら楽なんでしょうが、そうはいきません。

政治家が掲げる「こうあるべき」に同意できるなら、安心して思考停止できます。
しかし、現実には、心酔させてくれるどころか、呆れてしまう「こうあるべき」ばかり見せられます。

そもそも、週に40時間くらい触れているジャンルに対して、理想論を抱くなという方が無理な話。

こういった理由から、必要無いにもかかわらず、理想論をついつい考えてしまいます。
そして、職務上従わなければいけない理想論と、自分の本心から生まれた理想論の葛藤に悩まされます。
これは地方公務員の宿命なのでしょう。

行き場のない私的理想論発散のツールとして、ブログはぴったりだと思います。
公私ともに役立つ文章スキルもおまけで身につきますし。

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