キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2020年01月

地方公務員に就職した直後、入庁前のイメージとのギャップがいくつもありました。
前例踏襲もその一つです。

前例踏襲は、役所や地方公務員の基本的性質としてしっかり定着しています。
そして非常に評判が悪いです。罵倒・非難の常套文句でもあります。
「役所といえば思考停止で前例踏襲」だとか、「前例踏襲しかできないのが地方公務員」だとか、現役職員なら月1くらいで耳にしているのでは?

僕も入庁当初は、前例踏襲に対してネガティブに捉えていました。
しかし今は違います。役所は必要に迫られて前例踏襲しています。

前例踏襲しないとトラブルになる

前例踏襲には、前例は正しいという前提があります。
前例は正しい、だから踏襲するのです。
正しい前提ならば踏襲する、とも言い換えられます。

対偶をとると「踏襲しないならば、その前例は間違っている」になります。

これは一見正しそうに見えますが、実際は間違っています。
 役所の施策や意思決定には、一つの絶対的な正解はありません。
そのため、単純な論理式に落とし込めません。

しかし実際には、このことを理解してくれない、又はあえて理解しようとしない人がたくさんいます。
「前例と違うということは、前例は間違いだったのだな!」と攻撃してくるのです。

一定の条件を満たす法人に給付している補助金があると想定します。
 
補助金申請の説明会を、例年は県内3箇所でやっているところ、今年度は4箇所に増やすことにしました。
このとき、「今年は4会場で説明会を開催します。より便利になりました」みたいな説明をすると非常に危険です。
 
「これまで3箇所しか開催してこなかったのが間違いだと認めたな!謝罪しろ!」と鼻息荒く攻撃されかねないのです。

前例が間違っている場合も実際あります。そのときは真摯に謝ります。
前例よりもグレードダウンする場合は批判されて当然です。
しかし大半は、眼前の案件も過去の類似案件も、どちらの意思決定も正しいケースです。

一見して似ている案件でも、全く同じケースは存在しません。
少なくとも発生した時期が違います。
色んな分野で激変が続く昨今の世の中、時期が少し異なるだけでも、意思決定に影響する要素の一つや二つ、簡単に変わってしまいます。
したがって、過去の意思決定をそのまま引きずる方が不健全です。

しかし、役所の過ちを指摘することが生きがいだったり、役所がミスしたことにしたくてたまらない人にとっては、そんなことお構い無しです。
前例をあえて踏襲しない案件は、こういう方々の格好の餌になりかねないのです。

役所は日々、「役所は前例踏襲ばかり!」という怒りの声だけでなく、「前例踏襲しないということは、前例は間違いなんだな!」という愉悦混じりの罵声も浴びています。
そして後者のほうが厄介で、これを抑えるために前例踏襲をベースとしているのです。

前例は隠すもの

こうしたトラブル回避のため、役所は極力「前例と違うことをした」とは言いません。
前例と違うことをする場合には、前例の存在を隠して、全く新しい意思決定に見せかけます。

前例の存在を明るみに出すのは、前例と異なることをする完璧な理屈がある場合と、前例踏襲する場合に限ります。
前者は滅多にありません。
そのため、前例踏襲するケースの方が圧倒的に多く見えるのです。

役所の実務では前例踏襲はほとんどありません。
費用対効果を考えるとむしろ無駄なのではと思えるくらいにエネルギーと時間を注いで、前例からの改善を追求します。
しかし対外的には決して「前例をベースに改善した」とは言いません。あくまでも完全な新規施策として扱います。

今の世の中、役所の無謬性を信じている人は誰もいないと思います。
しかし、間違うことも許しません。
PDCAを回すなんて言語道断です。最初から100点満点の対応を求めます。
とにかく前例は100点満点で改善の余地なしということにしておかなければ、世間が許さないのです。

弊ブログでも度々嘆いていますが、役所のパソコンは貧弱です。
特に僕みたいなオタクにとっては、私用パソコンとの性能差がありすぎるせいで、余計にそう感じてしまいます。

職場から提供されている機械やツールが貧弱すぎて実用に耐えないので、勝手に外部のツールを仕事に使っています。
いわゆる「シャドーIT」と言うやつです。

共有システムのカレンダーが重すぎる→Googleカレンダー

庁内の共有システムにカレンダー機能が装備されています。
タスク管理やスケジュール共有を目的としているようですが、重すぎて使い物になりません。
件名だけの予定を登録するのに3分くらいかかります。

自分は早々にシステムを見限って、Googleカレンダーで予定管理しています。

PDFが開けない→Googleドライブ

僕の職場パソコン、PDFを開こうとすると30%くらいの確率でフリーズします。開けたとしても重いです。ページスクロールがカクカク。
役所の一般的発想なら「データは信頼できないから印刷して手元に置いておこう」という結論に至るのでしょうが、そこは反抗したいところ。それに置いておく場所がありません。

対策として、インターネット上で入手できる機密性の低いファイルは、Googleドライブにも保存して、私用スマートフォンからも閲覧できるようにしています。
役所の内部情報はさすがに怖くてアップしていません。超えてはいけない一線だと思います。

画像圧縮・編集→家のパソコンでやってる作業

セキュリティ上、職場パソコンは一切フリーソフトを入れられません。
仕方ないとは思いますが不便です。

特に画像圧縮できないのが面倒です。
フリーソフトが使えないので、ペイントで開いて画像サイズを変更するしかありません。

職場パソコンのスペックでは、Microsoft office を使う作業でも、扱うデータ容量が大きいとフリーズします。
パワーポイント資料などに画像を入れる場合には、データ容量を圧縮しなければいけません。
そのため、画像圧縮する機会は結構あります。
 
フリーソフトが使えないので、そのたびにペイントを開いて一枚一枚作業します。
もちろんペイントも動作が不安定で、時々フリーズします。

あまりに不毛なので、画像圧縮作業は私用パソコンでやっています。


役所の情報流出案件をニュースで見かけるたびに、パソコンのスペックが低いのも原因の一つなのではと思います。
低スペックパソコンのせいで業務が停滞、楽をしようとした結果が情報流出。
快適なパソコンと仕事用携帯電話があれば、相当マシになるのでは?

県庁は異様に他県事例を知りたがる組織です。
出る杭は打たれるの精神が根強く、一見良さげな施策であっても、他県事例が無いとなかなかOKが出ません。
担当者としてはいい迷惑です。上司や財政課から「他県事例を調べろ」と言われるたびにげんなりしているでしょう。

他県事例収集は面倒です。
各自治体のホームページを監視したり、電話してヒアリングしたり……
とにかく時間と手間がかかります。迷惑もかけます。

そんな事例収集をサポートしてくれるツールがGoogleアラートです。

毎日自動で検索してくれる

Googleアラートとは、ざっくり言うと、あらかじめ指定したワードをGoogleが1日1回検索してくれて、新着ニュースの見出しとURLをメールで通知してくれるサービスです。
必要なものはGoogleアカウントだけ。無料のサービスです。
検索対象は主にマスコミのweb媒体で、個人のブログや口コミサイト、SNSは含まれないようです。




自分の担当業務に特有に固有名詞を登録しておけば、その単語にまつわる新着ニュースが自動でメールで配信されてきます。
例えば畜産振興担当だったら、いろんなブランド牛の名前を登録しておけば、各自治体のプロモーション情報が自動で手に入るのです。

なぜか地方新聞に強い

同種のサービスは他にもいくつかありますが、地方公務員に向いているのはGoogleアラートだと思っています。
それは、なぜかGoogleアラートは地方新聞に比較的強いから。
地方新聞社のweb版からも、しっかりと情報を拾ってきてくれるのです。

他県事例収集作業において、地方新聞は非常に重要な媒体です。
他の情報源(自治体の予算資料、プレスリリース、議会答弁など)と比べて圧倒的に理解しやすく、「その施策に対する世論の反応」という他の情報源では得られない要素が盛り込まれています。

しかし、地方新聞社のweb版は、サイトの容量が少ないのか記事の入れ替わりが激しいです。すぐに消されます。
それにSEO的に弱いのか、普通に検索してもなかなかヒットしません。

Googleアラートがあれば、普通だとなかなか見つからない他県事例に、掲載された直後にアクセスできます。
すぐに印刷するなりPDF化するなりしてローカルに保存しておけば、消されても問題ありません。

他自治体の事例情報は、いつ必要になるかわかりません。
Googleアラートのような便利ツールを使って、普段から少しずつ収集するようにしていれば、いざという時に役立ちます。

ここ3年ほど試行錯誤を続けてきたところですが、運用方針が固まってきたので一旦まとめます。
僕の考えが正解だとは思いません。アラサー独身男性の懐事情の一例としてご覧ください。

諸条件
・年収(手取り) 380万円(額面だとぎりぎり500万円に届かないくらい)
・実家暮らし、両親はまだ現役で働いている
・マイカーあり
・妻子なし

大前提:今のうちにひたすら蓄える

実家暮らしなので賃料負担ゼロ、妻子無しなので養育費ゼロということで、通常の同年代男性と比べてものすごく経済的には有利です。社会的ステータスは圧倒的に劣位していますが……

数年後には両親が定年退職して、僕の生活費負担割合が増えます。
その後は介護や医療でいろいろ出費が増えていくでしょう。
そのため今が、僕の人生において一番蓄財できる時期だと考えています。

さらに、なるべく早い時点でリスク資産を持ったほうが複利効果を長く享受できることから、資産運用の観点からも蓄財を急ぐべきとも考えています。

従って、これからの数年間がマネープランの勘所であり、迷うことなく蓄財に全力を尽くすべきだと認識しています。

基本は節約

地方公務員という職業上、残業以外の手段では収入を増やせません。
しかし僕の勤務先は残業代支払いが渋く、俗にいう生活残業は不可能です。
(不可抗力で残業せざるを得ないことが明白な場合以外は申請しない風潮)

そのため、収入を増やすという方法は採れず、支出を削るしかありません。

労働者としての自分に期待していないので役所にしがみつく

地方公務員を辞めて高収入の(又は副収入を持てる)仕事に転職するという選択肢も存在しますが、僕にとっては実現不可能なため、検討しません。

民間就活でこっぴどくやられた上、もともと身体が丈夫ではないため、役所以外のフルタイム勤務に耐えられるとは思えないためです。

【参考記事】



収支管理:総支出を基本給の半分以下に抑える

節約の目標は単純です。
年間の総支出を基本給の半分以下に抑えるよう心がけます。
2020年だと120万円以下を目指します。

毎月発生する経費(食費、ガソリン代、消耗品費など)には月別の予算(上限額)を設け、その他の経費は年間で予算を組んで、その範囲内で対応します。

自家用車は無いとダメ

節約重視とはいえ、自家用車は持ち続けます。
僻地に住んでいるためマイカーが無いと通勤に3時間以上かかる等、色々な条件を勘案した結果、マイカーを持つことが最も経済合理的という判断です。

資産運用:キャッシュ厚め・積立・高配当

節約で得た資金は全額リスク資産につっこみます。
外国株インデックスファンド投資信託への積立投資(つみたてNISA・iDeCo含む)と、高配当株・ETFへのタイミング投資が半々です。

個別株よりもインデックスファンドのほうが税制上有利なのは承知していますが、あえて個別株にも投資しています。
インデックスファンド一本だと、取り崩し時期に不況が来て評価額が激減したときに困窮してしまいます。
そうならないよう、ある程度の配当収入が入ってくる体制も構築したいです。
個別株の配当は、定期的に自動でやってくれる利益確定のようなものだと思っています。


この本を読んでから、インデックスファンドへの積立投資一本は危険だと思い始めました。





個別株のチョイスにあたっては、現在の利回りだけでなくフリーキャッシュフローも重視しています。
配当目当てのため、減配されたらおしまいです。
遠い未来のことはわかりませんが、少なくとも向こう数年間は減配されないよう、フリーキャッシュフローが潤沢かつ安定した銘柄を選びます。そのせいで米国株に偏っています。

キャッシュは600万円をキープ

無リスク資産としてキャッシュ600万円を既に蓄えています。
独身男の生活防衛資金としては多めだろうと思われますが、
  1. 僕個人の生活資金(2年分)
  2. 車が壊れた時の対応資金
  3. 万一結婚した場合、配偶者の産休明けまでに取り崩す分
を想定して、多めにキープしています。

目標は収支管理のみ

数値的な目標は、各年の節約面での目標(今年だと総支出額120万円)だけです。
総資産額や配当額には目標を設定しません。
不可抗力の要素が大きく、僕の努力や工夫はほとんど反映されないからです。

当分は目の前の目標をひたすらこなすことだけを考えていきます。


香川県がオンラインゲーム規制条例を真剣に検討しているとのことで、インターネットが盛り上がっています。
ちょっと調べてみたところ予想以上に深い話だったので、まとめておきます。


 

長い長い歴史を経ての条例化

香川県議会の議事録を見たところ、ゲーム依存に関する質問が最初に出たのが平成18年9月議会(大山一郎議員)で、これ以降自民党所属の議員さんを中心に繰り返しゲーム依存関係の質問が出ています。
近年はほぼ毎回問われています。

平成31年2月議会に至っては、代表質問(大山一郎議員)の1問目、つまり政党として最重視しているトピックを問う場面で、ピンポイントにゲーム依存対策が出てきます。

県職員ならお分かりだと思いますが、こんなに長期間、議会のたびに質問される話題なんてそうそうありません。しかも代表質問のトップバッターをも務めています。

香川県社会全体がどう捉えているかは別にして、少なくとも香川県議会の中では、ゲーム依存が超重大問題として長年認識されていると考えて間違いないでしょう。

平成31年2月議会の知事答弁には「急務である」「社会全体で取り組み必要性」との発言もあり、執行部(首長)も冷めた目で見ているわけではなく、かなり本気で対策を考えているようです。

今回の条例化は、いきなり湧いてきたわけではなく、平成18年から始まる13年超の経緯を踏まえての結果なのです。
今更炎上するなんて思いもしなかったろうと推測します。

質問と答弁はこちらから検索できます。

 
 

ゲーム自体を否定しているわけではない?

今回の条例はあくまでもゲーム依存対策が目的で、ゲーム全般に異を唱えているわけではないようです。
ちょっと長いですが、平成31年2月議会の代表質問を引用します。

◯大山一郎君 
 私は、ただいまから自由民主党香川県政会を代表して、当面する県政の諸課題について、知事、教育長並びに警察本部長に質問をいたします。
 (中略)
 世界保健機関WHOは、昨年六月、スマートフォンなどのゲームのやり過ぎで日常生活に支障を来すゲーム依存症を「ゲーム障害」という疾患として認めました。世界で多くの若者を中心にゲーム依存が原因で死亡したり、ひきこもりや問題行動を起こすことなどが報告されており、このような憂慮すべき事態を踏まえた対応で、ことし五月のWHO総会で正式に病気として決定される運びとなっております。
 (中略)
 県内でも事態は深刻化しています。小学四年生から高校生を対象に行った県教委の二〇一七年度調査では、児童の二割弱、中学生の三割弱、高校生の四割弱が、平日三時間以上、スマートフォンやゲーム機などを使用していました。この調査では、中学生の三・四%、高校生の二・九%でインターネット依存のおそれがあるとされています。また、長時間ゲームやインターネットを使用すればするほど、成績が低下する相関関係も顕著になっております。子供たちも若干の自覚はあるようで、スマホやゲームの利用に関し、小学生の二四・五%、中学生の三七・四%、高校生の四七・九%が「悩み事や心配事がある」と回答。理由の一位は、全校種とも「勉強に集中できない」で、小学生は八・七%、中学生は一七・七%、高校生は四人に一人の二五・七%。二位は「寝不足」で、生活リズムの乱れや健康面での悩みが目立っております。
 (中略) 
 そこで、知事及び教育長に質問です。
 まず、WHOの方針や県教委の調査結果を踏まえ、県内の小・中高生のスマホゲームやインターネットの利用状況をどう受けとめているのか、お伺いをいたします。
 世界では、ネットへのシャットダウンや依存度アンケート調査に基づく相談体制などの先進的な取り組みが進む中、日本は取り組みがおくれています。香川県は全国でも有数の教育県だと思っており、ゲーム・インターネット依存対策を全国に先駆けて取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 (以下略)

あくまでも論点は依存症です。
省略した部分を含め、ゲーム自体を否定する発言は見当たりませんでした。

香川県といえば、ポケモンGOとタイアップした「ヤドン県」キャンペーンを過去にやっています。
議会答弁には、これを称賛する声もありました。

このため、「香川県はゲームを否定している」みたいなネットの燃え方は若干ずれていると思います。

条例化のメリット

ネット上の議論を見ていると、「条例制定したところで意味がない」という論調が目立ちます。
条例単体で見ると、罰則が無いため、制定したところですぐにネット依存が解消に向かうとは思えませんし、改善すらされないでしょう。

僕の個人的感覚ですが、条例制定の直接の目的は「ネット・ゲーム依存の解消」ではないと考えています。
最終的な目的はもちろんこれなのですが、直接的な目的は別にあります。

イメージアップ・セルフブランディング

ネット・ゲーム依存は、深刻な社会問題のひとつであることに間違いはありません。
これに対して先進的な取組を打ち出すことで、「香川県は健康に気を遣っている」「教育・子育てに真剣に向き合っている」という方向でのイメージアップが期待できます。

このようなイメージを確立することで、別の施策(子育て世代の移住促進など)にプラスの働くことも期待しているのでしょう。

今後の具体的施策の布石

新たに確立したイメージを具体化していくための新たな事業を始める段階でも、条例は強大な後ろ盾になります。

条例は議会、つまり民意を経て制定されます。
条例に沿った施策は、民意に沿った施策と同義です。
そのため、議会や住民から批判されても跳ね返しやすいです。
国に対しても強気に迫れるでしょう。

今回の場合、規制条例が成立すれば、ネット・ゲーム依存対策関係の事業は民意に沿ったものと認められ、これらの事業に予算を注ぎ込みやすくなります。

条例のデメリット

ただ短期的には、この条例はデメリットの方が大きいと思います。

イメージの低下・時代遅れとみなされる

既にかなりダメージを食らっているところですが、最近はeスポーツやクールジャパンなど、ゲームをもてはやす流れの方も相当強いです。
その流れに真っ向から反対しているように見られてしまいます。

企業から敬遠される

インターネットやゲームが規制されて、儲かる企業は多分ほとんどありません。
今回の規制は、企業としては、事業リスクと捉えると思います。
どんどん規制の範囲が広がっていく懸念も抱くでしょう。

市場が拡大しているわけでもないのに、わざわざリスクのある地域に積極的に進出しようとは普通思いません。
特に情報通信産業は近寄らなくなるでしょう。悪とみなされる(既にみなされている)リスクがあります。

目新しい教育施策の遅れ

デジタル教材の導入やプログラミング教育のような、デジタルツールを使った新しい教育関係の施策が相当やりづらくなるのではないかと思います。

今回の条例の目的はあくまでも「依存対策」ですが、その手段はデジタルと子供を遠ざけることです。
しかし、全県民が目的と手段をきちんと区別できるとは思えません。
「デジタルと子供は近づけてはならない」と理解する方も一定数いるでしょう。
そうなってしまうと、教育行政が停滞しかねません。

教員の認識への悪影響が特に心配です。


オタク的な感覚

ここからはオタクの独り言です。条例とは関係ありません。

娯楽の限界効用

みんな大好き「限界効用逓減の法則」ですが、これは娯楽にも当てはまると思います。
ゲームばっかりやってると、楽しさがどんどん下がっていくのです。

ゲームやって、漫画読んで、アニメ見て、外出して……と、いろんな娯楽をバランス良く楽しむことで、余暇の楽しみは最大化されると思います。

重要なのは、いろいろな娯楽のバランスの最適化、つまり娯楽のパレート最適を実現しようとする自己規律です。 

それぞれに費やす時間やエネルギーの割合は人それぞれで、他人が口出しするものではありません。
しかし、この自己規律が出来上がるまでは、ある程度外から規制を加えるのもやむなしかと思います。

頭ごなしに「ゲームはダメ」と縛ってはいけません。
「ゲームのほかにも楽しいことがたくさんある」「楽しいことをいっぱい知っている方が人生楽しいに決まっている」と、飴アンド飴で誘導するのが理想だと思います。

他の依存症との違い:自己効力感と密接

ゲームは、他の依存対象(薬物など)とは異なり、
  • お金や健康だけでなく時間を吸い上げる
  • 居場所として機能し、自己効力感の源となりうる
という性質があります。

特に後者が厄介です。
強権的に規制すると、その人の大事な心の拠り所を失わせる結果になりかねません。
ゲームは止められたとしても、別の問題の原因になります。

そのため、ゲーム依存を他の依存症と同じ方法で対処しようとすると、多分うまくいきません。
ゲーム依存ならではの対策を考えねばいけません。

僕は何より、この条例案を香川県民がどう考えているのかが気になります。
パブリックコメントの結果が楽しみです。

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