ネット上(特にSNS)には、新人地方公務員向けのアドバイスが溢れています。
特に個人的経験ベースの情報は生々しくて有益です。読んでいても面白い。

他の方々はあまり触れていませんが、「議会や予算編成、監査のような役所全体を巻き込む行事のスケジュール」を何より抑えてほしいと、僕は思っています。
 
担当業務によっては関係のない行事もあるでしょう。
出先勤務の場合は、そもそもどれも縁遠いです。

それでも把握しておくメリットが確実にあります。
というより、把握しておかないと役所生活に大いに支障が出ます。

常識すぎて教えてくれない

全庁的業務は、役所業務の中でも優先順位が高いものばかりです。
これらのスケジュールと各部署個別業務が被ったら、全庁的業務が優先されます。
そのため、全庁的業務の大まかなスケジュールを把握しておかないと、自分の担当業務の年間スケジュールが組めません。

年休も原則取れません。
新人にありがちなのが、ゴールデンウィーク後オフシーズンの5月下旬に年休とって旅行に行こうとしていたのに、議会準備のせいで年休が認められず旅行も断念……というパターン。
旅行が潰れてがっかりするだけでなく、上司から高確率で「そもそもこんな時期に休もうとするのがおかしい」と怒られます。

ある程度の勤務年数を経た地方公務員にとって、全庁的業務のスケジュールは常識です。知ってて当たり前の情報です。
正式に開示される前であっても、感覚的に「だいたいこのあたり」と見当つけられるくらいに染み付いています。

新人も例外ではありません。知ってて当たり前とみなされます。
あまりに当たり前になってしまっているために、本来は教えなければ知り得ない情報であることを失念しがちなのです。
 

主な全庁的行事

  • 議会
  • 委員会
  • 予算編成
  • 決算
  • 監査
  • 定例の会合(知事会、市長会、町村会、国会議員との意見交換会など)
  • 選挙
このあたりのスケジュールを押さえておけばまずは安心でしょう。
ただし一つ注意があります。
ヒラ職員にとっては、行事本番よりも準備のほうが重要です。 
そのため、本番の日程だけでなく、それに先んじて発生する作業のスケジュールも押さえなければいけません。

例えば議会だと、会期を把握するだけでは不十分です。
  • 議案の提出締切
  • 手持ち資料の提出締切
  • 首長への懸案事項説明スケジュール
  • マスコミからの事前取材対応スケジュール
このあたりの議場以外で発生する諸々のスケジュールも把握しておく必要があります。

スケジュール感を覚えるためには「周りを観察する」

入庁3年目くらいになると

「6月議会に重大案件があるから、首長に事前説明しないといけない。だいたい6月第1週に議会開会だから、5月第2週に首長説明。4月中に部局内でヒアリングして宿題もらって、連休中にこなして、連休明けに再度部局内ヒアリング。ゴールデンウィークは消えたな……」

という見通しが、4月1日の異動初日で組み立てられるようになります。
むしろ組み立てられないと怒られます

スケジュール感を身につけるには、どういう行事があるのかを事前に把握しておいた上で、周りの職員がどう動くのかを観察するのが何より重要です。
目の前の仕事で精一杯かもしれませんが、ちょっと視野を広げてみましょう。