だいたいの県庁は「東京事務所」を持っています。
地方公務員でありながらも東京で勤務でき、田舎とは桁違いの地域手当も貰えるポジションで、若手からは人気があります。
しかし実際に勤務している職員の話を聞くに、私生活面でいろいろな困難があるようです。

東京事務所職員は中堅でないと勤まらない

自治体によって差はありますが、一般的に東京事務所職員の仕事は職員個人の裁量が大きいです。
そのため、自治体職員として間違いを犯さないだけの判断力が求められます。
少なくとも、「本庁に報告して判断してもらうべきか」「自分の独断で十分か」という、案件の重さを正確に見積もる能力が欠かせません。

これはマニュアルで勉強して身につくものでもありませんし、単に社会人経験があれば対応できるものでもありません。
役所ごとの文化やローカルルールに染まることで自然と身につくものです。

従って、東京事務所の仕事は、役所経験をある程度積んだ職員でないと務まりません。
若くても20代末期、30代半ばが中心になります。

このくらいの年代の職員が東京で勤務するとなると、家庭の問題が発生します。

転居コストが高い

20代末期〜30代といえば、子育て真っ盛りの時期です。
単身赴任するにしろ一家総出で転居するにせよ、多大な負担がかかります。
単身赴任の場合、パートナーに子育て負担が集中します。実家資源に頼れなかったらピンチです。

一家全員で転居する場合は、託児所の問題が発生します。
都会の待機児童問題が騒がれる中、いきなり東京に出て保育園や幼稚園を探して見つかるわけがありません。

お子さんがいなくても、家庭内不和の原因にもなりかねません。
地方公務員の配偶者は、転居せずにじっくりと家庭生活を営みたいという発想の方が多いと推測されます。
(生活拠点を転々とする生活を求めるような方は、そもそも地方公務員と結婚しません)
転居が無いはずだと思って結婚に踏み切ったのに、いきなり東京出向を命じられたら、期待が裏切られたことになります。

僕の勤める自治体の場合、引っ越し手当は一切出ません。
金銭的にも厳しいです。

本格的に婚期を逃す

未婚者の場合は婚期を逃しかねません。
たとえ東京でいい感じの相手を見つけたとしても、いずれ地元に帰らないといけないという制約があるせいで、なかなか長続きしないと聞きます。

反対に自分が転職して東京に残るのも非常に難しいです。
前述のとおり、東京事務所で勤務するのは早くて20代末期、第二新卒とは言えない年頃です。
しかも東京事務所に行くのは、役所の文化にしっかり染まった職員ばかりです。そのためか転職活動しても不調とのこと。

地元に戻ってくる頃には30代後半。いろいろ厳しいです。


諸問題を回避するには、結婚する気のないアラサー職員を送り込むのが無難なように思われます。僕みたいな。
いいよ!来いよ!(迫真)