だいたいどの役所も、庁内ヒエラルキーの最上位に、財政・人事・秘書・企画部門が君臨しています。
※ここでいう権力とは「他の部局の意思決定にどの程度介入できるか」という意味合いです。

二軍になると自治体ごとの特色が見られます。首長の意向が表れていたり、外部環境の影響を受けていたり……色々です。

今回は役所によって順位が大きく異なる部署を紹介します。

支払い担当部局(会計課・出納課)

まずは公金の支払いを担当する部局です。
この部局が了承しなければ、お金を払うことができません。
抜け道はありません。どんな部署でも等しくチェックを受けなければいけません。そのため権力を持ち得ます。

会計課といえば、支払い書類がルール的に間違っていないかを審査して、必要あれば各課に修正を指示する部署です。
誤字脱字があるとか、印鑑が擦れているから捺印し直してほしいとか、修正指示は具体的かつ書類の体裁上のものばかりです。
書類を差し替えれば済みます。

一方、強大な会計課の権能は書類チェックに止まりません。
書類のミスを指摘するだけでなく、支出に至った各課の意思決定に対しても修正を突きつけてきます。

彼らの武器は民法です。
強大な会計課は、書類の体裁上のチェックだけでなく、契約書や約款、仕様書の中身も入念にチェックします。
この業務には民法知識と経験が欠かせません。法令に強い職員が配置され、日々の業務で鍛えられて行きます。

さらに会計課には全庁から支払い書類、つまり契約書が集まってきます。
そのため庁内で過去にどんな内容・条件で契約を結んでいるのかを網羅的に把握でき、自由に参照できます。

豊富な法令知識と事例データベースを駆使しながら攻められると、各課では到底敵いません。

条例・公報の審査部局(法規課)

条例や公報の文言をチェックする部局です。
課として独立しているところもあれば、係レベルだったり、独立した係すら無かったりと、役所によって人員規模も大きく異なります。

弱小法規担当だと単なる文言チェックだけですが、強大な法規担当は、庁内弁護士集団のように機能しています。

各課の意思決定を法的に後押ししてくれることもありますが、法的に制止してくることもあります。
特に行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法のような行政法規案件では、各課は逆らえません。

議会事務局

議会や委員会の運営、議員と役所各課の仲介役を務める部局です。
役所によっては、単なるメッセンジャーを通り越して、議員の名を借りて各課の意思決定に介入するところもあります。

先に取り上げた会計課や法規課とは異なり、議会事務局の権力には法令の後ろ盾がありません。議員という政治的権力があるだけです。
高確率で揉め事に発展するため、介入する側もされる側も大変そうです。


庁内ヒエラルキーは役所ごとに特有の文化です。
ある部署が強い(弱い)ことを迂闊に発言すると、そこから勤務先を特定されかねません。
特定を恐れるなら、今回取り上げた3部局に限らず、庁内権力への言及は慎重になったほうが無難だと思います。僕も常々気をつけています。