何気に出世関係の記事が常時人気の弊ブログ。
地方公務員ブログを読むような現役職員って、「人生のコスパが悪いから出世したくない」とか「出世よりも『やりたい仕事』を優先したい」という考えの方のほうが多い印象ですが……なんだかんだで出世にも関心があるのでしょうか?

入庁からそれなりに月日が経過して、同期入庁職員からは財政課も人事課も輩出されてしまいました。
とりあえず、僕たちの出世レースはひと段落したところだと思われます。

「鉄は熱いうちに打て」ということで、ここで一旦、筆者が見た20代の出世レースを振り返ってみようと思います。

出世レースの実態は自治体ごとにバラバラだと思いますが、後で紹介する公務員人事の研究本の内容ともけっこう被っていたので、わりと汎用性のある内容になっているかもしれません。

ただし、そもそも半分妄想で組み立てる記事なので、アラサー職員がドヤ顔で後輩に語っている与太話くらいの感覚で読んでください。

出世イメージ

一次選抜:採用時~5年目頃まで

まずは5年間くらいかけて、見込みのある職員をピックアップしていきます。
ここでピックアップされるかどうかで、今後のキャリアが大きく変わります。

地方公務員の場合、採用時には「総合職」「一般職」の区別はありませんが、事実上この期間で、時間をかけてゆっくりと「総合職」を選抜しているようなものです。

予算担当のような中枢業務を任されたり、1回目の人事異動で花形部署に異動したりすれば、ピックアップされたものと思って良いでしょう。

二次選抜:6~8年目頃まで

引き続き、一次選抜でピックアップされた職員の中から、財政課や人事課という役所組織の中枢を担う人材、ひいては将来の部局長候補を選抜していきます。

この二次選抜こそ、地方自治体の出世競争を語るうえで最重要のポイントであり、最も謎のプロセスだと思っています。
自治体ごとの差が大きい部分でもあるでしょう。

この期間は、直接の人事評価者(課長など)だけでなく、より上位の部局長からもウォッチされていると思われます。
部局長候補にふさわしいかどうかは、経験者でないと判別がつかないからです。

財政課や人事課職員を選出した時点で、二次選抜は終了です。
選抜された職員は圧倒的出世コースを邁進します。
将来の部局長候補として、役所組織全体をバランスよく回すための帝王学を身につけるため、財政課や人事課を中心に経験を積んでいくことになるでしょう。

選抜されたなった場合の行き先

ここで選抜されなかった職員はそこそこ出世コースに入り、忙しいポストや難しい仕事を任されるポジションになります。
俗にいう「忙しい部署ばかり回される職員」は、この層とほぼ一致すると思われます。

この層に期待される将来的な役割は、本庁の課長です。
事業の遂行能力だけでなく、部下のマネジメント力も求められます。
そのため、見込まれた職員は早々に部下あり係長に任ぜられ、職員個人としてだけではなく、チームとして成果を出せるかも測られます。

もちろん、全員が本庁課長まで上り詰めるわけではありません。
いかに早く部下を持つか、そして管理職に昇進するか、 熾烈な競争が続きます。

しかも今後は、この競争が激化すると思われます。
採用数が抑制されていた今の30代後半〜40代と比べて、今の若手職員は人数が多いです。 
とはいえ、職員の人数増に応じて管理職ポストを増やすという選択肢は考えられません。
管理職が増えるほど人件費が増えるからです。

そのため、現在と同数の管理職ポストを、より多くの候補者の間で奪い合うことになるでしょう。

そもそもピックアップされなかった場合

一次選抜でピックアップされなかった職員には、二次選抜以降は関係ありません。
毎年同じようなことを繰り返しているような平和な仕事を転々とすることになるでしょう。
 
ただし、一次選抜期間中に産休・育休で休んでいた職員は、途中から「そこそこ出世コース」に上がることもあり得ると思います。
特に最近は女性の管理職登用が盛んに叫ばれているところでもあり、候補者がいれば積極的に登用したいところでしょう。

一方、産休のような特殊事情が無く、単に一次選抜のピックアップに漏れた職員は、出世とは縁遠い職員人生を歩み続けることになると思われます。 
前述のとおり、これからは管理職ポスト争いが熾烈化します。
候補者の割にポストが少ないのです。
そのため、これ以上候補者を増やすようなことは起こらない、つまりコースの垣根を超えた登用は起こりづらいと考えるのが自然でしょう。

真相は如何に……?

僕はこれまでずっと本庁勤務で、頻繁に人事異動を繰り返しています。
そのため多数の部局を経験しており、「各年次のエース級職員は誰なのか」「部署ごとの出世ポストがどこなのか」を無駄に知っています。
出世競争にまつわる裏話(信憑性のほどは不明)も多数耳にしてきました。

こうやって得た経験をベースに、公務員人事の研究成果をまとめた以下の2冊を参考にしつつまとめあげたのが、本記事になります。

現代日本の公務員人事ーー政治・行政改革は人事システムをどう変えたか [ 大谷 基道 ]
現代日本の公務員人事ーー政治・行政改革は人事システムをどう変えたか [ 大谷 基道 ]

学歴・試験・平等 自治体人事行政の3モデル [ 林 嶺那 ]
学歴・試験・平等 自治体人事行政の3モデル [ 林 嶺那 ]





実際のところ人事の仕組みなんて全くわからないわけですが、本気で出世したいなら採用直後から全力を尽くしたほうがいいという経験則だけは確実と思われます。