キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

カテゴリ: 公務員の生き様

県庁における圧倒的出世コースといえば、財政課(予算編成担当)と人事課(人事異動担当)です。
異論を挟む余地がありません。いずれかに乗ってしまえば、部局長クラスが見えてきます。

問題(そして格好の話題)は、出世コース候補者がしのぎを削る選抜ポストと、惜しくも圧倒的出世コースから漏れてしまった職員がしのぎを削るそこそこ出世コースです。
こちらは自治体ごとに大きく異なるのでしょう。インターネット上の情報でも、書き手によって答えが異なります。

中でも評価が割れているのが「市町村課」です。
財政・人事に次いで出世に近いとの高評価を下す人もいれば、そもそも触れもしない人もいます。

僕は「選抜ポスト」「圧倒的出世コース」いずれでもないと考えています。

本稿を読む前に、この記事を読んだほうがわかりやすいかもしれません。


業務面:小難しい

市町村課の主な仕事は、総務省・財務省・内閣府と市町村の中継ぎです。
都道府県のホームページでは、市町村課の業務として「市町村行財政の指導」みたいなことが書かれていますが、都道府県が何らかの意図を持って指導するわけではありません。
あくまでも国家本省から通知された内容に従います。いわば現場監督です。

このほか、市町村そのものの存在に関わる手続き(自治体間の境界変更など)、一部事務組合のような広域行政に関する業務も、市町村課の役割です。
選挙管理委員会を兼ねている自治体も多いようです。

これらがコア業務であり、自治体によっては、ふるさと納税や移住促進あたりも所管しています。

あくまでも国家本省と市町村の中継役なのであって、県庁内各課と市町村の中継役ではないところが重要です。

市町村課という名前だけ見ると、県庁の事業課と市町村の橋渡し役を務めるかのように思えるかもしれませんが、市町村課は他課の業務には関与しません。 
ある意味、市町村課は、庁内では浮いた存在です。他課との関わりがほぼありません。

基礎能力の高い職員しか配置できない

市町村課の職員には、国が作った膨大なルールやマニュアルを解読して咀嚼する「理解力」、市町村からの質疑に応じる「記憶力」「解説力」が必要です。
いずれも公務員であれば必須の能力ではありますが、市町村課の場合は取り扱う分量が非常に多く、しかも小難しいものばかりなために、高い水準が求められます。

しかも、普段やりとりするのは、市町村の人事課や財政課という、市町村職員の中でも選りすぐりのエリートばかりです。
パッとしない職員は舐められて丸め込まれてしまい、指導監督役が務まりません。

こういった事情ため、もともと実績があって高く評価されている職員でないと、市町村課には配置しづらいのではないかと思います。

職員配置面:県庁職員以外がたくさんいる

市町村課には、たいてい市町村からの派遣職員がいます。
どういう基準で派遣職員を選んでいるのかは不明ですが、僕の勤務する県庁の市町村課には期待のホープが送られてくると言われています。

総務省からも、たびたび若手職員が派遣されてきます。
こちらも詳細は不明です。総合職だけなのか、一般職でも来られるのか……

市町村や国と人事交流している部署は他にもあります。
ただし、派遣職員の人数では、市町村課が圧倒的最多です。

コミュ力の高い職員しか配置できない

派遣職員のいる部署では、彼ら彼女らのマネジメント業務(業務配分、進捗管理、指導など)も、県庁生え抜き職員の仕事です。
しかも市町村課は派遣職員が多いため、年齢にかかわらず、ほぼ全員がマネジメント業務に携わることになるでしょう。

そのため、しっかりコミュニケーションが取れる職員でないと、市町村課の仕事は勤まりません。
自分の仕事だけに没頭するのではなく、常に周囲の職員の様子を見て、的確にサポートできるタイプでないといけません。

派遣職員が多いということは、生え抜き県庁職員の割合が少ないということでもあります。
そのため、首長発の政治的案件のような派遣職員には任せられない突発的業務が発生したら、わずかな生え抜き職員で対応せざるを得ません。

つまるところ、職員配置面から考えても、それなりに評価の高い職員しか配置できないと思われます。

出世コースとは本質的に異なる

まとめると、市町村課には以下のような特徴があると思われます。
  • 業務内容・人員体制の特徴的に、それなりに高評価の職員でないと配置できない
  • 役所運営の根幹である行財税政と選挙の知識が身につく
  • 年齢に関係なくマネジメント業務を経験できる
これだけ見ると、有能な職員が配置され成長の機会も与えられている環境、つまり出世コースのように見えます。

しかし、正真正銘の出世コースである財政課や人事課と比べると、根本的な違いがあります。
市町村課では、出世に不可欠である「庁内調整能力」が身につきません。

市町村課の役割は、あくまでも国(総務省・内閣府)と市町村の仲介役であり、市町村課が何らかの意思決定を下すことは滅多にありません。
部局長や首長の判断を仰がなければいけない大仕事も比較的少ないでしょう。

加えて、市町村課の業務が庁内他課に影響を及ぼすことも少なく、ほとんどの業務が課内で完結するため、庁内での利害関係調整もありません。

これらの事情のために、市町村課では、庁内調整能力が求められる機会に乏しく、育まれることも無いと思われます。

本流出世コースである財政課や人事課では、庁内調整能力を徹底的に鍛えられます。
将来的に部局長として役所を回していく際に、この能力が必要不可欠だからです。
逆に言えば、庁内調整能力が身に付かない市町村課は、出世コースたり得ないのです。

結論:20代前半までに配属されたら期待大

新卒入庁で最初の配属先が市町村課だったり、1回目の人事異動で市町村課に配属された場合は、人事から期待されている可能性が高いです。

市町村課の業務を無難にこなせば、基礎能力は合格点です。
ただ、最重要評価項目である「庁内調整能力」は、まだ一切評価できていない状態です。 
次の人事異動で「選抜ポスト」、つまりは庁内調整能力を試される部署に配置されて、そこでも無難に仕事をこなせれば、晴れて出世コースに入れるでしょう。

20代後半以降に配属された場合は、少なくとも一軍メンバーからは脱落していると思います。
ただし、基礎能力が高く評価されていることは間違いありません。
そうでなければ、そもそも市町村課に配置されないでしょう。

とはいえインターネット上には「市町村課は出世コース!」と断言しているサイトも複数あるので、自治体によっては出世コースなのでしょう。人事録を遡ってみると面白そうです。 

ちなみに僕は市町村課にかなり興味があります。ブログネタの宝庫でしょう。
話し下手コミュ障なので絶対あり得ないでしょうが……

先日コメントを頂戴して初めて気づいたのですが、これまで労働組合関係の記事をひとつも投稿していませんでした。
ネタ集めの最中だったり、うまくまとまらずにボツにしたわけではありません。
「組合関係の記事」という着想がそもそもありませんでした。

僕にとって労働組合は「朝からビラ配りしてて大変だなあ」程度の認識しかありません。
一応加入はしているものの、行事にはほぼ参加していません。

そのため、組合の内実はよくわかりません。
こんなライトユーザー視点での組合評です。

組合加入のメリット

まずはメリットとデメリットを整理していきます。

そこそこコスパの良い共済(≒保険)を利用できる

組合員になると、組合が提供している各種共済サービスが利用できます。
共済は保険のようなもので、生命保険や医療保険、自動車保険など、地方公務員が利用しそうなメニューがひととおり用意されています。

保険会社が提供する保険サービスと比べると、共済のコスパは悪くありません。
あくまでも僕の感覚ですが、基本料金が格段に安いというよりも、オプションが安いです。
そのため、それなりに保障内容を充実させるのであれば、保険会社の保険よりも共済のほうが安価になりそうです。

ただし、共済は組合員向けのサービスです。
組合費を払い、組合員の地位を得ている間でないと、利用できません。
共済そのものの費用だけでなく、組合費を含めたトータルコストで比較すれば、それほど安くないかもしれません。

  • 生命保険は死亡保障だけで十分、保険金も最低限でいい
  • 自動車保険は対人対物保障だけで十分、車両保険は不要、レッカーサービスとか示談代行も不要
のように、「保険は必要最低限の内容のみで十分、とにかく安くしたい」という方であれば、共済はかえって割高になるでしょう。もっと安価な保険を探したほうが良さそうです。

人間関係が広がる

組合では、宴会やスポーツ大会のような組合員向けの交友イベントをよく開催しています。
役所内での人間関係を広げたいのであれば、こういうイベントは絶好のチャンスです。
部署・年齢に関係なく職員が集まってくるため、普段の仕事では出会えないような人と巡り会うチャンスです。

実際、職員どうしで結婚した方々から、組合主催のイベントで出会ったという話をよく聞きます。

組合経由での出会いの強みは、似た者どうしが集まりやすいという点です。
交友イベントに参加するのは「人間関係を広げたい」というタイプであり、僕みたいな内向的陰キャはいません。
お互いの目的意識が一致するので、有意義なコミュニケーションが生まれるはずです。

さらに、組合の役職に就けば、他自治体の職員(組合役職者)とも交流できます。
役所内だけでなく全国へと人間関係を拡大できるのです。
詳しくはよくわかりませんが、組合費を使って県外出張もできるとか……


政治家の道に挑戦できる

地方公務員はいつも政治的圧力に晒されています。
中には圧力を受け続けるあまり、「圧を加える側」、つまり政治家に転身したくなる職員もいるでしょう。

地方公務員にとって、組合は最も身近かつフレンドリーな政治団体です。
専従職員になって、政治活動っぽいこともやらせてほしいと名乗り出れば、いくらでもやらせてもらえると思われます。
実際にやってみて肌に合わなければ、地方公務員に戻れます。
退路をキープしたまま政治へチャレンジできるのです。こんな好待遇はなかなか無いでしょう。


組合加入のデメリット

次にデメリットを整理していきます。
デメリットというよりはコストと言ったほうが正確かもしれません。

組合費がかかる

組合員でいるためには組合費を払わなければいけません。
僕の場合、だいたい基本給の1.5%強、月4,500円くらいです。

けっこう面倒な「部署の組合担当」

どんな部署にも最低一人は「組合担当」がいます。
組合本部と部署内組合員との連絡中継役であり、ビラを各組合員に配ったり、勉強会のような行事を周知したりします。
行事によっては動員人数のノルマが課されていて、参加を渋る人を説得したりもします。

この仕事がなかなか厄介です。
僕も1年だけ経験しましたが、普通の業務よりもストレスを感じました。
動員のお願いが本当に辛い。


総評:金銭的には損だけど……

短期的な金銭面で考えれば、組合に加入するのは損でしょう。
とはいえ組合が弱体化したり消滅したらもっと損をしそうなので、金銭的に困窮していないのであれば、お布施感覚で組合費を払っていてもいいのでは?と思っています。

公務員の味方になってくれる唯一の団体

公務員の労働環境改善を堂々と主張できるのは、現状、組合だけです。

このブログでも何度か触れていますが、世間は「公務員の労働環境改善」に断固反対します。
「公務員にしかメリットのない予算執行は許されない」「そんなことに予算と労力を割くのなら住民に還元しろ」というロジックです。

最近だと、もし予算案の中で「庁内執務スペースの新型コロナウイルス感染症対策」をはっきり明記したら、マスコミや議会からコテンパンに叩かれるでしょう。

「公務員の労働環境改善」を実現するには、世間の大多数と戦わなければいけません。
もちろん役所は世間に逆らえないので、役所以外の誰かに戦ってもらうしかありません。

世間の潮流に真っ向から反抗するこんな危険な主張ができるのは、現状、労働組合だけです。
実現できるかどうかは別にして、組合以外は主張すらできません。
もちろん組合だって「公務員の労働環境改善」を主張すれば叩かれますが、組合という政治団体だから耐えられますし、他の政治要素と絡めることで環境改善を実現できるかもしれません。

組合がどれだけ頑張ったところで、賃上げは期待できません。
人事院勧告にはどうあがいても逆らえないからです。

しかし、「労働環境改善」のために、役所に支出させることは可能です。
これだけでも労働組合の必要性は十分あると思います。


闘争から守ってくれる唯一の団体

過去の記事でも少し触れたのですが、自治体では今後もどんどん非正規職員(会計年度任用職員)が増えていくと思っています。


 
正規職員と非正規職員では待遇が大きく異なります。
言うまでもなく非正規職員のほうが不安定であり、組合のような組織が必要です、
そのため、非正規職員が増えていけば、いずれ非正規職員だけの組合が登場して、力を伸ばしていくと思います。

非正規職員にとってみれば、正規職員は労働者ではなく使用者であり、闘争の相手です。
つまり、正規職員個人に対して非正規職員の組合が争議をふっかけてくるケースも十分想定されます。
(事務職員個人vs技能労働職組合という構図であれば、これまでも実際に発生しているかもしれません)

このような事態が生じたら、個人vs集団ではあまりに部が悪すぎます。
正規職員側も個人ではなく集団、つまり組合として応じないと、押し負けます。

争議するためではなく、争議から身を守るためにも、組合の必要性があると思います。


この記事を書いて改めて考えてみると、僕にとって組合は、無くなったら困るけど関わるのは面倒という存在です。
住民から見た役所と同じようなポジションかもしれません。

ここ最近公務員関係の不祥事が立て続いているので、今年の新規採用職員研修では公務員倫理をみっちりレクチャーされるのではないかと思います。

公務員倫理と似たような意味で、「公務員としての自覚」という言葉もよく使われます。
こちらは明確な定義が無いようで、組織ごと・文脈ごとに様々な意味づけがなされているようです。

研修では「公務員としての自覚」と公務員倫理を同じものとして扱いがちですが、僕は個人的に、「公務員としての自覚」はもっと広い概念だと思っています。
そして、公務員倫理ももちろん大切なのですが、普段の業務、特に住民と接する業務においては、もっと重要な「自覚」があるとも思っています。

それは 「好かれていない」という自覚です。

住民の大半は公務員を好いていない(嫌悪するほどではない)

正式職員として役所に採用された方は誰しも、公務員という職業に「好感」を抱いていると思います。
公務員になるためには面倒くさい筆記試験を通過する必要があり、民間企業への就職と比べて時間もお金もかかります。

公務員という職業に魅力を感じ、好感を抱いていなければ、そもそもこんなハイコストな選択をしないでしょう。

しかし、その感覚は、世間一般からすれば異端です。
大半の人は公務員が好きではありません。

「好きではない」を通り越して明確に嫌悪している方もいますが、あくまでも多数派は「好きではない」程度の軽度な悪感情にとどまります。
10点満点(10点が「好き」、5点が「普通」、0点が「嫌い」)で評価するなら4点くらいです。

公務員を好いていない理由は複合的かつ人それぞれです。
  • 連日報道される公務員の不祥事に義憤を覚えた
  • 役所に手続きしに行ったら不愉快な目に遭った
  • 税金で食っているから
このあたりがメジャーな理由かと思われますが、他にもいろいろあるでしょう。

人事院が実施したアンケートの結果からも、世間の公務員への印象が見てとれます。



この「好きではない」という感情がものすごく厄介なのです。


普段は温厚でも、ひょんなことで爆発しかねない

多少なり公務員への反感を持っているとしても、ほとんどの方は普段は悪感情を表明しません。
理由もなく悪感情を露呈して他者を攻撃するのは世間一般のマナーに反するからです。

しかし、何らかの「理由」「きっかけ」さえあれば、こういう穏健な方々も爆発します。
爆発のきっかけになった案件に対してのみならず、「そもそも公務員は」「そもそも役所は」という前置きを挟んでから、公務員・行政全般への反感をここぞとばかりにぶつけてきます。

今の世の中、公務員嫌いを堂々と表明して叩く方も大勢います。
そのため公務員側としては、「公務員が嫌いな人はそう明言している。裏を返せば、公務員嫌いを明言していない人は公務員に対して好印象を持っているはずだ」と思いがちです。

この発想は完全な誤解であり、過度な楽観です。
普段は意志力によって公務員への反感を押さえ込んでいるだけで、内心は悪感情を溜め込んでいるかもしれないのです。


マイナスフィルターがかかる


「好きではない」相手の言動には、マイナスのフィルターがかかるものです。
 
 
態度のヒューリスティクス
態度とは、情報的で評価的な要素を含む特殊な信念の一つである。ある意味では、態度とは、ある対象について記憶に貯蔵された評価ー良いか悪いかーである。アンソニー・ブラトニカスとアンソニー・グリーンワルドによれば、人々には、意思決定や問題解決をするための手段として態度のヒューリスティクスを利用する傾向がある。態度は、対象を、好意的な部類(そこでは、賛成し、接近し、賞賛し、大切にし、保護するという方略が最適である)に割り当てるか、それとも、非好意的なカテゴリー(そこでは、反対し、回避し、非難し、無視し、傷つけるという方略が使われる)に割り当てられるのに利用される。

『ザ・ソーシャル・アニマル 第11版』p.132
E・アロンソン著 岡隆訳 サイエンス社



訪問販売の販売員が突然やってきて、商品を売り込んできた場面を想像してください。
どれだけ営業トークを聞かされても、「どうせぼったくりだろ」と決めつけて、心が動かないのでは?

住民の多数派にとって、公務員はこの場合における「訪問販売の販売員」と同程度に疎ましい存在です。
もともと好感度が低いために、何を聞かされても見せられても不信感を感じますし、そもそも関わっているだけでイライラしてきます。

住民側に負担が生じる施策であれば当然ながら断固拒否したくなりますし、住民側に一見メリットがある施策であっても何か裏があるように感じられます。

役所外の方と接する業務では、まずこのマイナスフィルターを取り除くところから始めます。
つまるところ「信頼関係の構築」です。
ラブコメ的な言い方をすれば「最悪の出会いから始まる恋」を軌道に乗せるようなものです。

「好かれていない」という自覚が無いと、マイナスフィルターの存在になかなか気づけません。
先述のとおり、多くの方は公務員への悪感情を見せません。
しかし、表に出す/出さないに関係なく、悪感情があれば、マイナスフィルターも存在します。

一見愛想よく見える相手であっても、まずはマイナスフィルターの除去から始めたほうが無難です。
これをすっ飛ばして、いきなり本題に入ってしまうと、表情が急に険しくなって炎上しかねません。


心から謙虚・低姿勢に振る舞うための「自覚」

「好かれていない」という自覚があれば、おのずと自制が効いて謙虚な態度がとれるようになります。
この「謙虚な態度」こそ、若手地方公務員に最も必要なものだと僕は思っています。

地方公務員になりたての頃は、地方公務員という職に誇りを持っている方が多いと思います。
しかし、住民からすれば、地方公務員は皆いけ好かない連中です。
地方公務員の言動全てにネガティブなフィルターがかかります。

そのため、公務員側としては「誇りをもって」仕事をしているつもりでも、住民側からすれば「横柄」「上から目線」「図に乗っている」ように見えてしまいがちです。
これが先述の「きっかけ」となり、爆発するのです。

無用なトラブルを避けるためには、謙虚で低姿勢に徹するのが一番無難です。

もちろん時には堂々と誇り高く(横柄なくらい)振舞うべき瞬間もあります。
ただし、これは若手の役目ではありません。肩書きのある職員の仕事です。

今は公務員に対する風当たりが非常に厳しく、怒り爆発のハードルが著しく下がっています。
トラブルを未然防止し、苛烈な罵声から自分の心身を守るためにも、「好かれていない」という自覚を持ち、謙虚な低姿勢を習得したほうが安全でしょう。

冷静に考えてみると、「公務員を好きになる機会」はなかなか存在しません。
公務員を好きになる機会=加点要素が無いために、ひたすらずっと減点方式で評価しているような状態なのでしょう。
「公務員嫌い」に転落する機会はたびたびあるけど、そこから好転する機会が無いのです。

「あなたの仕事のやりがいは何ですか?」というクエスチョンは、どんな職業においてもインタビューの定番です。

「やりがい」はあくまでも主観的なものです。
たとえ同じ仕事であっても、自分と他者ではやりがいを感じるポイントが異なるかもしれませんし、同じポイントに対して正反対のやりがいを感じるかもしれません。
そのため「公務員のやりがいは●●だ」という一般論を示すことは不可能だと思います。

とはいえ、多数のケースを収集すれば、「公務員の中には●●をやりがいと感じる人が多い」という傾向を察する程度なら可能でしょう。
あくまでも一例、河原に無数に転がっている小石の一つくらいの感覚で拾い読みしてください。

公益に貢献できる

公務員稼業のやりがいといえば、真っ先に「公益に携われる」という一文が思い浮かびます。
ただ冷静に考えてみると、「公益に携われる」職業は公務員以外にもたくさんあります。
むしろ公益に資さない仕事のほうが圧倒的に少数派でしょう。

例えばデイトレーダーのような、一見すれば自分のお金のことしか考えていない人であっても、儲けた分だけ納税しています。
もし年収1億円だったら、ざっくり2000万円(20%)くらいを所得税として納めているはずで、僕なんかよりもはるかに公益に貢献していると言えます。

仕事のやりがいとして「公益への貢献」を挙げるなら、なるべく深掘りして具体的に表現する必要があると思います。
特に他の職業との違いを強調したいのなら尚更です。

僕の場合、公務員稼業は主に2つの意味で公益に資する仕事だと思っています。

相対的に困っている人へ→生活水準の底上げ

1つ目は生活水準の底上げです。
 
役所が提供する行政サービスによって恩恵を受けるのは、主に「相対的に弱い立場にいる方々」です。
勿論サービスそのものは住民全員に対して開かれてはいますが、強い立場にいる方々(高所得者など)は、行政サービスを使わずとも生活が成り立つので、必ずしも恩恵を受けているとは限りません。

教育あたりが典型でしょう。
お金のある方は公教育の世話になることなくずっと私立に通わせられますが、普通の方々は公教育を利用します。

電力や通信サービスであれば、立場の強弱に関係なく、使った分だけ支払いが生じます。
こちらは万人の公益に資するサービスです。
一方で行政サービスは、相対的に弱い立場にいる方々を特にケアするものです。
そのため「底上げ」という表現がしっくりくると思っています。

相対的に強い人へ→秩序の維持

2つ目は秩序の維持です。どちらかというとこっちが本命です。
行政がルールを運用したり、各種サービスを提供することによって、社会の秩序が保たれています。
(先述した「生活水準の底上げ」の結果でもあるでしょう)

社会の秩序が保たれていれば、身体的・精神的・財産的な安全が確保され、安心して生活を営めます。
この意味での恩恵は、住民誰もが享受しているはずです。
ネットニュースで「高所得者は行政サービスを受けられない、年収〇〇万円以上だと税金払い損」のような煽り記事がよく掲載されていますが、「秩序の維持」という観点ではむしろ高所得者ほどメリットが大きいと思います。

普段から「行政のおかげで秩序が保たれている」と意識している方はごく少数だと思います。
むしろ「そんなの当たり前だろ」と思う人が大多数でしょう。

ただ自分は、行政による秩序の維持をありがたく感じる人が全然いない現状を、むしろ嬉しく思います。
「当たり前」になっていることを「当たり前」のまま運用していく、これこそが秩序を維持する最大のポイントだと思います。


つまるところ、「生活水準の底上げ」と「秩序の維持」という2点で公益に貢献できるのが公務員であり、これらが僕にとっての「やりがい」です。


知的好奇心を満たせる

僕にとって役所稼業は、個人的な知的好奇心を満たすプロセスでもあります。

無秩序な部局横断的な人事異動のおかげで色々な分野の仕事を経験できるので、幅広い知識が身につく」という意味では断じてありません。

配属部署・担当業務に関係なく、地方公務員稼業を続けていればいつでもどこでも探求できるトピックが、僕は少なくとも2つあると考えています。

現状の不条理分析→真の黒幕は誰なのか? 

ひとつは現状の不条理分析です。

役所の仕事の多くは、現に発生している問題を解消しようとするもので、いわばマイナスをプラスに転じようとする試みです。
そのため、何事もまずはマイナスな事態が発生している現状の分析から始めます。

現状を深掘りしていくと、結構な頻度で既得権益を発見します。
大多数の目には「問題」として映る事態であっても、特定の個人・団体には「利益の源泉」として機能している。こういうケースが散見されるのです。
既得権益といえば金銭的なものがメジャーですが、権威・メンツも立派な既得権益です。

迷惑を被っている人が大勢いることを知っていながらも、私利私欲のために問題解決を意図的に妨害している「真の黒幕」も意外といらっしゃいます。

僕は心根が中二病なので、こういう「黒幕の構造」を探求していくのが楽しいのです。


普通の人のダークサイド分析→常人のキレポイントは?

もうひとつは普通の人のダークサイド分析です。

先にも触れましたが、行政サービスをありがたく思う人はごくごく少数です。
何をやっても感謝されず、むしろ不満や怒りをぶつけられてばかりです。

行政に対して敵意を向けてくる方のほとんどは、戦いの素人です。
戦闘が生活の糧というわけでなく、普段は平穏に暮らしています。
(もちろん戦闘のプロも少なからずいます。役所はじめいろんな相手に戦いを仕掛け、戦果をあげることで収入を得ている方々です。)

こういう方々にとって、敵意を顕にして怒声を上げ罵詈雑言を撒き散らす機会なんて、人生全体で見ても滅多に無いでしょう。

幸か不幸か、役所という場、公務員という相手は、こういうごく普通の方々が秘めたる敵意を発露させやすいシチュエーションだと思います。
つまり公務員は、「普通の人の心のダークサイド」という(ある意味貴重な)事例を垣間見れるのです。

人間の心理に興味のある僕としては、これもまた「やりがい」のひとつです。
……というふうに自分に言い聞かせることで、敵意を浴びるストレスを軽減しようと企てているところです。


やりがいとの付き合い方

僕はなぜか頻繁に異動していて、ほぼ毎年のように担当業務が変わっています。
そのため、どんな部署でも共通するような抽象的な「やりがい」しか思い当たりません。
特定の部局で長く勤め上げているような職員であれば、もっと具体的なやりがいがあるのかもしれません。

逆にいえば、公務員稼業全体に通用するような「やりがい」が見出せず、現在の担当業務と直結した個別具体的な「やりがい」しか見出せないのであれば、人事異動のたびに苦しむのかもしれません。
例えば「観光客の笑顔がやりがい」というだけでは、観光部局から異動した途端に振り出しに戻ってしまいます。

やりがいはあくまでも主観的なもので、口外するものでもありません。
正直、何を抱いていても構いません。
役所勤務の充実感を少しでも高めるための「おまじない」みたいなものでしょう。
自分の納得いくお題目を設定した者勝ちだと思います。 


最近エゴサーチしてますか?
僕は四半期に一回くらいのペースでエゴサーチしています。

自意識過剰と思われるかもしれませんが、公務員(内定者含む)であれば、誰もが一度はしっかりエゴサーチして、インターネット上に転がっているオープンアクセスな情報だけでどの程度まで自分の身辺を洗えるのか、把握しておいたほうがいいと思います。

多くの地方自治体では、何らかの形で、職員の氏名を公表しています。
最もオープンな自治体ではインターネット上で人事録を公開していて、平職員のフルネームまで容易に調べられます。
紙媒体の人事録であれば、情報公開窓口に行けば、ほとんどの自治体で閲覧できるでしょう。

人事録を作っていない小さな自治体でも、部署ごとの座席表であれば庁舎内に掲示されているでしょう。それを見れば氏名がわかります。

つまり、地方公務員であれば、誰もが氏名を検索窓に打ち込まれ、個人情報を漁られる可能性があるのです。
そして実際、役所外部の人間にガンガン検索されています。

地方公務員の個人情報は(いろんな意味で)おもしろい

自治体職員とのコネクションを求める団体や個人は案外います。
 
営利目的で営業を仕掛けるため、許認可や補助関係で便宜を図ってもらうため、内部情報を入手するため、職員首長や議員へのパイプ作りのため、民間どうしの係争で役所を味方につけるため……等々、目的は様々です。

目的は何にせよ、いきなり見ず知らずの相手にアプローチを仕掛けるより、何らかのバックグラウンドを共有している相手から攻め崩していったほうが勝率は高まります。
役所側から民間に仕掛けるときにも頻繁に使う手法です。

特に便利で汎用性があるのが、以下の情報です。
  • 出身地
  • 学歴
  • 職歴
  • プライベートで所属している団体(地域のスポーツクラブなど)

氏名でググってみてこのあたりの情報がヒットすれば儲け物。
「共通の知人」くらいの間柄の人なら簡単に探し出せるでしょう。
せっかく公表されているのですから、検索しなければもったいないです。
何もヒットしなくても損失はありません。ゼロコストローリターンです。


役所を叩きたい方々にとっても、公務員の個人情報は重要です。
プライベートでの不祥事を発見できれば即席の批判ネタとして使えますし、職員個々人の詳細なプロフィールがわかれば、新たな火種を見つけられるかもしれません。

新規採用職員は特に狙い目です。
公務員が置かれている立場をよく理解していないためにガードが甘く、氏名でググるだけで色々な情報がまさに芋づる式に掘り起こせます。



良い意味でも悪い意味でも、公務員の個人情報は注目されています。
面倒ごとを引き起こさないためには公開情報のコントロールが必須です。
コントロールの第一歩となるのが現状把握であり、すなわちエゴサーチなのです。

ディフェンシブが基本

最近は「セルフブランディングが重要」と叫ばれていて、プライベートの一部をインターネット上に公表するメリットも説かれているところですが、地方公務員の場合はあまりにリスクが高すぎると思います。
(実名で活動している公務員の方々は想像を絶する苦労をされているところを思います。本当に尊敬します。)

特段の目的が無いのであれば、プライベートの情報は極力公開しないほうが無難です。

SNSは鍵かけて意味不明なアカウント名にする

今の時代、何が原因で炎上するかわかりません。
本来燃えるはずがないものすら悪意をもって燃やされる時代といったほうが正確かもしれません。

特にSNSのアカウントは原則非公開にして、リアルな友人知人との交流目的だけに止めたほうが安全でしょう。
かつ、アカウント名は、本名とはかけ離れたものにすることを勧めます。
アカウントを非公開設定にしたところで、アカウント自体が見つかってしまえば、そこからプライベートを掘られてしまうからです。

僕の本名が「久川颯」で「hayate_hisakawa」というツイッターアカウントを持っていると仮定します。
炎上が怖いのでアカウントに鍵をかけています
(俗にいう「非公開設定」であり、僕が許可したユーザーしかツイート内容を読めません)。
 
そこそこ珍しい氏名なので、ググれば簡単にツイッターアカウント自体は特定できます。
ただし鍵がかかっているのでツイート内容は一切読めませんし、フォロー/フォロワー関係もわかりません。

しかし、ツイッター内の検索機能を使って、hayate_hisakawaあてのリプライを検索してみれば、他者から僕に宛てられたリプライを探せます。
僕がいくら鍵アカウントであっても、リプライ発言者(発信元)が鍵をかけていなければ、僕あてのリプライ内容が読めてしまうのです。

リプライの内容次第では、僕とリプライ発信者の関係性を推測できます。
「同窓会行くの?」だったら同窓生ですし、「明日昼飯一緒に行こうぜ」だったら職場の同僚、「尊い…」だったらオタク趣味仲間の可能性が高い、とか。
関係性が見えてくれば、あとはリプライ発信者のプロフィールを特定できれば、僕のことも芋づる式にわかります。

一人のリプライ発信者からわかる情報は限定的かもしれません。
しかし何人分も同じ作業を続けていけば、恐ろしいことにそれなりに見えてきます。

リプライ内容自体が問題になるケースもありえます。
「また大麻売ってくれよ」みたいな反社会的内容はもちろんのこと、「最近儲かってんだろ?ゴチになるわ」みたいな些細な会話から副業を疑われるケースも考えられます。
 


とにかくアカウント自体を発見されないようにしたほうが安全です。

もし不特定多数の人と交流したいのであれば、絶対に氏名と結びつかないよう(氏名を検索しても絶対にヒットしないよう)注意するか、特定されても一切問題がないよう聖人君子のように振る舞う必要があるでしょう。

「勝手にアップされている個人情報」を把握する

インターネット上には、自分がアップしたわけではない個人情報も転がっています。
  • 大学時代の研究室やゼミのホームページ
  • バイト先・サークルのブログ
  • 予備校の合格体験記
  • スポーツの大会記録

ざっと思いつくのがこのあたりでしょうか。

こういった情報は自分では消せません。放置しておくしかありません。
とはいえ、どういう情報がインターネット上に掲載されているのか、リスクとして把握しておく必要があります。

まずはエゴサーチしてみよう

よほど珍しい名前でない限り、同姓同名の人間が存在します。
そのため氏名だけでエゴサーチしてみても、同姓同名の方々の中に埋もれてしまい、自分の情報が見つからないかもしれません。

エゴサーチするときは、単に自分の氏名を検索するだけでなく、自分がヒットしやすくなるよう絞り込めるような要素を付け加えて検索してみてください。
 
具体的には
  • 居住している都道府県名・市区町村名
  • 勤務先自治体
  • 在籍した学校(小学校〜大学まで全部)

あたりの要素は必須級で、ほかにも自分と関係のある要素を試してみればよいでしょう。

苗字だけとフルネームの両方を検索することも重要です。
フルネームの表記は無くても、苗字だけ記載されているドキュメントも多数あります。
フルネームだけ検索していては、こういう情報を見落としてしまいがちです。


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