キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

カテゴリ: 公務員になるまで

田舎社会は国公立大学を尊びます。
僕(中堅私立卒)の場合、特に婚活をしていると露骨に感じます。
「へー●●大学卒なんですか、よく県庁入れましたね、成り上りましたね」みたいに、露骨に冷めた反応をされることもしばしば……

地方の役所も田舎っぽい組織であることは間違いありません。
しかし、学歴に限っては違います。
出身大学が国公立であれ私立であれ、肩身が狭い思いをする機会は滅多にありません。

学歴関係なく同じ仕事をしている

役所に勤めているのは大卒者だけではありません。高卒の方もたくさんいます。

学歴区分に関係なく机を並べ、同じような仕事をしています。
年齢が一緒であれば、給与も昇進スピードも大差ありません。
そのため、学歴の違いを意識することが基本的にありません。

高卒/大卒の区別すら普段は意識に上らないくらいなので、国公立/私立の違いは言わずもがな。
職場でもし国公立大卒を尊重するような言動を取れば、思いっきり浮きますし、一気に敵を増やしてしまうでしょう。
調和を乱す言動にほかなりません。

実務能力とも関係ない

出身大学のランクと実務能力は直結しません。
役所で最も尊ばれるのは調整能力です。学識とは関係ありません。

勤務評価や出世とも関係ないと思われます。
僕の同期職員にも超有名国立大卒業者が何人かいますが、いずれもガチ出世コースからは外れています。

せっかくの学識を活かせていないだけという考え方もできますが……

いずれにせよ実務面でも待遇面でも、私立大卒だからといって全く支障ありません。

最終学歴の更新はできなくなる

学歴を負目に感じる方にとって、地方公務員はおすすめの職場だと思います。
役所内にいる限り、出身大学がプラスにもマイナスにも機能しないからです。

ただし、一旦役所に就職してしまうと上位学歴の取得がほぼ不可能になる点は留意しておくべきでしょう。
民間企業のような、大学院進学のための金銭的支援はありませんし、休職することへの理解も得られにくいです。
僕の知る限りでも、大学院進学のために地方公務員をやめた方が何人もいます。

今の学歴に満足しておらず、上位学位を取得して最終学歴を更新したいという野望があるのでしたら、地方公務員への就職は再考すべきでしょう。叶う見込みは極薄です。

事前面談会が大変なようで……当事者の皆様は本当にお疲れ様です。
ネット上にいろんな声が上がっていますが、僕の感覚では「まあそうなるよなぁ……」という感じで、正直驚きはありません。
表向きのルールを守らない流れなら、やっぱ今年も伝統行事「地上試験日拘束」やっちゃいそうですね……

事前面談会で深淵を垣間見た結果、国家総合職への就職を再考している方もいるかもしれません。
ただ、現時点で完全に見切りをつけられる方はごくごく少数でしょう。
そして大半は大いに迷っていることと思います。
特に「これまでの努力が無駄になってしまう」という葛藤と戦っているのでは?

この感情こそ、かの有名な「一貫性の法則」「サンクコストの錯誤」と呼ばれる人間の思考の癖です。
狩猟時代から人類の脳に刻まれた思考パターンであり、無意識のうちに人間の決定を方向付けます。
そしてときには不合理な決定をもたらし、後悔の素となるのです。
 
ファーストキャリアに国家総合職を選ぶかどうかは、人生において非常に重要な選択です。
認知の歪みに左右されることなく、合理的に考え抜いたうえで決定すべきです。

「一貫性の法則」や「サンクコストの錯誤」そのものの解説は別サイトに任せるとして、これらの思考の癖から解放されるためのヒントを考えてみます。


一貫性の法則:志望動機を冷静に深掘りしてみる

端的にいうと、「これまでずっと国家総合職を目指してきたから今更進路変更なんてしたくない」という気持ちを惹き起こすのが「一貫性の法則」です。

この法則の影響から逃れるためには、なぜ国家総合職を目指しているのかを今一度冷静に見つめ直して、「一貫性の法則」とは関係なく本心から国家総合職を志しているのかを問い直すのが効果的です。

  • 官僚というステータスに憧れている
  • 入庁後にやりたい仕事がはっきりしている

このように断言できるのであれば問題ありません。邁進してください。

断言できないのであれば、国家総合職を目指す動機を細分化してみることを勧めます。
 
前述の「官僚というステータスに憧れている」パターンでなければ、国家総合職への就職は目的ではなく手段です。

  • 目的を達成するための手段は、「国家総合職への就職」一択でしょうか?
  • または「国家総合職への就職」が利用可能な手段のうち最善の選択肢でしょうか?

どちらの問いもノーであれば、国家総合職への就職が必ずしも合理的とは言えません。
より志望動機を深掘りしていって、さらに問いを深めてみては?

その結果「国家総合職がベストだ」という結論に辿り着ければ問題ありません。

反対に「他の選択肢の方が良いんだけど、どうしても国家総合職を捨てきれない」という状態から脱せないのであれば、「一貫性の法則」のような認知の歪みが作用している可能性が高いです。
自分で悶々と考えていても仕方ないので、第三者の意見を仰ぐことを勧めます。
それか前掲の『影響力の武器』『ファスト&スロー』を読んでみて、自分の心理状態を客観的に見てみてください。

サンクコストの錯誤:そもそもサンクコストではない

「一貫性の法則」と若干被りますが、「今更国家総合職の道を止めるのは、これまでの過程を失敗とみなすことと同義だ。これまでつぎ込んできたお金・時間・労力などのコストを無駄にしたくない。だから国家総合職しか進路は無い!」という心理状態が「サンクコストの錯誤」です。

もしこういう風に考えているのでしたら、安心してください。
国家総合職を志して努力してきた日々は、少なくとも地方公務員になるのであれば、決して無駄にはなりません。

国と地方がうまく歩調を合わせられない理由の一つとして、官僚と地方公務員の間の絶望的な法令知識格差があると思っています。 
地方側に法令知識(中でも特に、民法と行政訴訟裁判例)が無いために、官僚の意図が正しく伝わっていないのです。
(いずれ別途記事にしようと思っています)
 
こういう構造的課題があるために、官僚並みに法令知識を備えている職員が地方側にいれば、国・地方の相当にとってものすごくありがたいのです。
過去の記事で「東大卒は人事異動のペースが遅い」と書きましたが、高学歴ならではの固有スキルである「知識の厚み」を活かして国と地方の仲介役という代替困難な役割を担っているために、異動させづらいのかもしれません。


 

公務員にならないにしても、国家総合職試験に向けて膨大なインプットをこなしてきたという経験はきっと役立つでしょう。
とにかく無駄にはなりません。

どこの役所の採用面接でも、志望動機を書いたり喋ったりすると思います。
地方公務員の面接試験は大体ネガチェックです。
まともに受け答えできれば、よほどまずいことを言わない限り大丈夫でしょう。

今年は新型コロナウイル感染症のせいで説明会も無く、OB訪問もしづらい状況です。
そのためインターネットで情報蒐集している方が多いでしょう。
ただ、インターネット上の指導動機の例文を見ていると、僕からすれば「よほどまずい」に該当する地雷ワードが散見されます。

例文そのものが間違っているわけではなく、多分、田舎自治体向けではないのです。
あくまで推測ですが、インターネット上の受験情報は、都会の大規模自治体向けに最適化されているのでしょう。
受験者総数が多くて情報としてニーズが高いですし、合格サンプルも集めやすいので、そうなって当然です。

ただし、田舎自治体の職員としては違和感があるのは事実です。
例文をそのまま使えば、面接官から「業界研究が足りない」と思われても仕方ないと思います。

これまで本庁内のいろんな部局をたらい回しにされてきた経験をもとに、部局ごとの地雷ネタをまとめてみました。
もちろん自治体ごとに地雷は異なります。
できることなら避けたほうが無難な話題、というくらいの感覚で受け取ってください。

地雷さえ避ければ使いやすい

産業振興:個別企業・個人への支援までは触らない

産業振興関係は、自治体ごとに業務内容がばらばらで、力の入れ具合も全然違います。
前向きな仕事が多いので志望動機にも使いやすいでしょう。受験自治体のこれまでの施策を調べて、その流れに沿って喋ることが重要です。

ただし地雷もあります。
まず、自治体は個別企業の経営改善までは深入りしません。
これは半公的機関である商工会・商工会議所の役割です。

経営者の高齢化、後継者不在、複業化が進んでいなくて経営基盤が脆弱……等々、地方の企業は色々な課題に直面しています。
自治体の役割は、こうしたが外部課題の解決に役立つであろう支援制度を整備することです。
コンサルタントのように企業経営に立ち入って社内の問題そのものを解決するのではありません。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
経営学のゼミに所属して、教授の指導のもと企業の経営分析を多数こなしてきました。この経験を活かして、経営者や生産現場とも綿密にコミュニケーションを取りながら、中小企業の経営安定化に携わりたいです。

経営学の知見自体は大歓迎なのですが、「やりたい仕事」が役所とはかけ離れています。
補助金、講習会、アドバイザー派遣、マッチング機会の設置などの支援制度整備が役所の仕事です。

雇用・失業対策も注意が必要です。
こちらは主に労働局(厚生労働省)の仕事で、自治体の役割はあまり大きくありません。
特に失業者個人への支援は労働局の専売特許です。自治体は立ち入りません。

自治体が行う雇用施策では、最近だとUIJターン促進大学生の県外流出防止が熱いようです。
公務員試験受験者にとっては、ある意味最も身近な施策かもしれません。
自分自身がピンポイントにターゲットなのです。
深く考えなくてもオリジナルの意見がどんどん出てくるでしょう。
志望動機としても使いやすいと思います。

時間に余裕があれば、この本を読んでみてください。
地方企業の現状と課題がコンパクトにまとまっています。
産業振興部局の職員ならだいたい読んでいる基本書です。

文化振興:宗教との距離感に注意

産業振興と同じく、自治体ごとに業務内容がばらばらです。
受験自治体のこれまでの施策を確認して、その路線に沿いましょう。

ただし、政教分離の原則を忘れないよう注意してください。
いくら地域を代表する寺院であっても、自治体は宗教団体と距離を保たなければいけません。
面接でも、特定の寺院や宗教の名前を出すのは控えたほうが無難でしょう。


危機管理:ある意味成長分野

都道府県と市町村の役割分担がはっきりしています。
それぞれの役割をしっかり把握して、混同しないことが重要です。

危機管理業務に対してネガティブな印象を持っている方も多いかもしれませんが、福祉と並んで役所ならではの役割であり、かつ近年どんどん重要性が増してきている分野です。
県民の防災意識自主防災技能の向上わかりやすい防災情報の提供あたりは、志望動機としても使いやすいと思います。

観光:施策の考え方を押さえておく

過去記事を参照ください。



地雷は少ないがネタにもしづらい

環境:受け身な仕事が多い

都道府県と市町村の役割分担がはっきりしています。
それぞれの役割をしっかり把握して、混同しないことが重要です。
例えば廃棄物処理だと、一般廃棄物(家庭ごみ)の所管は市町村ですが、産業廃棄物は都道府県が担います。
<地雷を踏んでしまう志望動機>
家庭ごみを減らすためには、まずは無駄なものを買わないこと、後々ごみになる過剰包装のアイテムを選ばないことが重要です。アルバイトを通じて身につけた発信力を活かして、個々人の意識を変えていき、家庭ごみを減らして行きたいです。

都道府県の志望動機としてこんな発言をしてしまうと、研究不足と思われてしまいかねません。家庭ごみは市町村の仕事です。

環境部局の仕事は規制法令の運用がメインで、民間団体が取り組んでいるような先進的な環境保全活動までは、なかなか着手できていません。
そのため、環境保全への熱意を示せば示すほど、役所側としては温度差を感じてしまいます。
つまり、やる気をアピールしづらいのです。

SDGsの話題も避けたほうが無難でしょう。SDGsを意識した施策を打ち出している自治体はまだまだ少なく、面接官が知っているとも限りません。


厚生・福祉:都道府県ならではの役割を見いだすのが難しい

たくさんの制度があり、どれも複雑です。
市と町村で役割が違うもの(町村エリアは都道府県が担う)も多く、都道府県だけの役割が正直よくわかりません。反対に市町村ならではの役割ならいくつもあるのですが……
志望動機にするなら入念に下調べしてください。

地域医療(過疎地域の医療体制確保、病院ネットワークの再編など)は、都道府県ならではの仕事で、かつ最近熱い話題です。
新型コロナウイルス感染症を受けて既定路線の見直しが始まりそうで、今後さらに熱くなっていくのでしょう。

おすすめ志望動機としてインターネット上でよく見かける「少子化対策」は、市町村と都道府県の明確な役割分担がありません。
そのため、少子化対策だけでは、「どうして都道府県(市町村)なのか」という決め手に欠けます。
受験自治体のこれまでの取り組みを確認して、補強が必要です。


国際交流:役所の役割はものすごく地味

自分の強みとして語学力をアピールしたい方はたくさんいると思います。
留学のような経験や定量的根拠(TOEICの点数など)のような裏付けも作りやすく、話しやすいですし。
「語学力という自分の強みを生かしたい」という理由で国際交流部局を志望するのも、一見すると自然かつ論理的な流れです。

しかしここが落とし穴。国際交流の名を冠している部署であっても、職員自身はあまり外国語を使いません。
外国語を扱うのは専門の職員(たいてい非正規)で、正規職員は国際交流団体(日本人)との連絡調整のような事務仕事がメインです。
そのためせっかくの語学力が活きないのです。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
留学経験を通して身につけた語学力を発揮して、国際交流部局で、県内に住む外国人の生活利便性向上に携わっていきたいです。

こういう活動をする民間団体を支援するのが役所の役割で、自ら企画立案するわけではありません。

「語学力を活かしたい」と言われたら、面接官は親切心で別の仕事を勧めたくなるでしょう。
役所には語学力を活かせるポジションが無いのです。

関連記事も置いておきます。





志望動機になりうるが自治体ごとの温度差が激しい

広報:あえてやらない自治体もある

広報業務への注力具合は、都道府県ごとに全然違います。
がっつり予算を注ぎ込んで、広告代理店を使ってイメージ戦略・ブランド構築に取り組んでいるところもあれば、公式ホームページ運用と広報誌発行くらいしかやっていない自治体もあります。

志望動機に広報ネタを入れるなら、受験自治体の広報業務へのスタンスを見極めなければいけません。
 
真剣に取り組んでいる自治体なら、「自分も感化された」等の体験談を交えつつ、熱い想いをぶつければよいでしょう。
一方、広報業務に力を入れていない自治体なら、そもそも志望動機にはしないほうが無難です。意図的に手を抜いている可能性が高いからです。

住民からすると、広報業務にどれだけ注力しようとも、生活水準の向上には繋がりません。
もちろん間接的な恩恵はあります。自治体の知名度が高まり観光客やふるさと納税が増え、自治体財政が豊かになり、行政サービスの質も向上するとか。
 
しかし住民の多くは、こんなまどろっこしい恩恵は求めていません。即物即金を尊びます。
そのため民意レベルでは、広報は無駄金という方向に傾きがちです。

首長や幹部職員にも、広報のような成果が不確実な事業にただでさえ少ない予算を配分するのは論外だと考える人がいます。
広報に力を入れていない自治体は、こうした事情があるために、あえて注力していないのです。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
学生時代を東京で過ごしましたが、近隣の〇〇県や▽▽県はマスコミなどによく取り上げられていたのに、●●県は全然見かけませんでした。これでは●●県の魅力が伝わらないと悔しい思いをしました。これまでに学んだマーケティングの知見を活かして、●●県の広報を強化していきたいです。

広報をあえてやらない自治体に対してこんなことを言ってしまうと、致命的な見解の相違が生じます。研究不足と思われても仕方ないでしょう。

総合政策・企画:自治体ごとに立ち位置が全然違う、事前リサーチ必須

インターネット上では財政・人事と並んで神格化されている企画部局ですが、全ての役所がこうとは限りません。
企画部局の立場が弱いところもあります。

例えば長期構想や総合戦略の策定業務。
企画部局がリーダーシップを発揮して方向性や内容を決めている、つまり各事業担当課よりも企画部局の意見のほうが優越するところもあれば、単に各課から提出されたものを合体させているだけのところもあります。

僕の友人が務める某県庁では、企画部局は「ポエマー」「ホッチキス」と揶揄されているとのこと。
各課から提出された原案の細かい表現にケチをつけるだけで、自ら代案を示すこともせず、合体作業しかやらないらしいです。

志望動機として企画業務を語るのであれば、受験自治体の企画部局の業務内容や立ち位置を、OB訪問などで事前に調べておいたほうが安全です。

勘違い君と思われる

建設・土木:事務職は裏方

建設・土木系の部署は、技術職が主役です。
事務職の仕事は庶務経理がほとんどで、あとは用地買収、公営住宅賃料などの滞納管理、許認可法令担当がいるくらいです。
いずれも目立つ仕事ではありません。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
    • 大学で学んだ都市経済学の知識を活かしてまちづくりに携わりたい。
    • 特徴的な景観で世界的に有名な▽▽国に留学して、伝統的な景観を守りつつも住民生活の利便性を向上させる術を学んだ。この知見を活かして、●●県の景観保全に携わりたい。

こういうきらびやかな仕事は事務職の役目ではありません。志望動機としても使わないほうが無難です。

農林水産系:事務職は裏方

建設土木系と同じく、ほとんどの業務で技術職が主役になります。
事務職は裏方です。庶務経理がほとんどで、あとは生産者(農業従事者)支援制度の運用や、許認可・法令担当が少しいる程度でしょう。
華々しい仕事はたいてい技術職です。

例えば、特産品の販路開拓やプロモーション。
一見事務職の仕事のように思えるかもしれませんが、実際は専門的な農業知識が必要なため事務職には荷が重いです。

「特産品のプロモーション」と聞くと、通行人に試食を渡したり、イベントにブース出展して販売したり、動画や冊子を作ったり……という、イベント会社のような仕事を想像するかもしれません。

こういった業務も実際ありますが、売り子や動画製作自体は役所の役割ではありません。だいたい外注します。
役所の役割は、特産品の魅力は何なのかを分析し、定義することです。
このプロセスには農学の専門知識が不可欠で、事務職では困難です。

加えてプロモーションでは、法人相手の営業活動にも注力しています。
消費量を増やすには、個人のファンを増やすよりも、小売や流通、飲食業界の法人顧客を作るほうがずっと効果があります。
さらに、法人相手の営業活動は、個々の生産者には難しいです。自治体というネームバリューと予算規模が必要で、生産者サイドからも需要のある事業といえるでしょう。

法人相手の営業では、職員はプロのバイヤーと対峙しなければいけません。
ここでも農学全般の知識が必要になります。事務職員では太刀打ちできない世界です。

生産者(農業従事者)と接触する仕事も、ほぼ全て技術職が担当すると考えて間違いないでしょう。
生産者も農業のプロです。事務職の付け焼き刃知識なんて求めていません。

総務:個人ではどうしようもない

総務部局系の話題(≒役所組織の話題)は、面接では避けたほうが無難です。
職員個人の思いでなんとかできるレベルの話ではありません。

しかも面接官(だいたい人事課)は、職員の中でも組織運営の専門家です。知識の深さでは敵いません。
ごりごり深掘りされて言葉に窮する場面が容易に想像できます。

おすすめ(無難)な志望動機ネタ

僕のおすすめは、
  • 産業振興(特に若者の県内就職促進)
  • 危機管理(特に自主防災支援)
  • 文化振興
  • 観光
です。

産業振興と危機管理は、役所ならではの仕事であり、かつ市町村よりも都道府県よりの仕事です。
差別化を意識しなくても、自然と都道府県の志望動機に仕上がっていくでしょう。

文化振興も使いやすいのですが、市町村との差別化が難しいです。
観光も使いやすいのですが、市町村だけでなく民間との差別化も考えなければいけません。
差別化ポイントをあらかじめ考えておく必要があります。

中央省庁や都庁志望の優秀な若者を田舎役所に引きずり込みたいという邪念を抱きながら日々更新している本ブログ。
このブログがきっかけで地方公務員に興味を持ってくれたらこの上ない喜びです。

ただし、万人に対して地方公務員就職を勧めたいとは思っていません。
役所という組織も公務員の仕事も合わない人にはとことん合いませんし、何より辞めた後の選択肢が限定されます。
特に民間企業への転職は難しく、公務員並みの待遇と求めるとなると相当困難でしょう。

そのため、一旦地方公務員に就いたなら、なるべく辞めてほしくありません。
入庁前に情報収拾して、自分の適性を考え抜いてほしいです。

役所組織や実務への適性は、インターネット上にたくさんの情報が既にありますし、このブログでも何度か取り上げています。











 
今回は役所から離れて、地方都市生活への適性について考えてみます。

大都会(特に東京)からUターン・Jターン就職してきた方の中には、政令市レベルの都市でも満足できずに結局東京に戻ってしまう方が一定数います。
政令市のどういうところに満足ができなかったのか、何が不足しているのか。
僕がこれまで見聞きしたケースを紹介します。

文化資源が全然足りない

美術館や博物館巡りの魅力に目覚めてしまった方は、地方都市に満足できなくなってしまいがちです。
これら文化施設のコンテンツ力は、東京の一人勝ちです。

常設展示もさることながら、企画展や特別展示の回数・質は、地方都市とは比べものになりません。東京の圧勝です。
海外の美術館からの借り物をはじめ、東京でしか開催されない企画展も多数あります。

地方の施設にも魅力的なコンテンツはありますが、数が少なく、入れ替わりもほとんどありません。
そのため一度行けば十分で、新鮮味がありません。
東京の刺激を一度知ってしまったら到底満足できません。

休みをとって上京して巡回するという方法もありますが、なかなか難しいようです。
こういった文化施設はたいてい行列ができ、入場までに時間がかかります。
そのため地方から上京していては時間が全然足りないのです。

地方都市には存在しない業種・職種に就きたい

とりあえず就職してみたものの、本当にやりたい仕事とのミスマッチに耐えかねて、東京に戻って行くパターンもよく聞きます。
仕事の幅では、東京には到底敵いません。
特に学識を活かすタイプの仕事は、政令市には無い職種がたくさんあります。

わかりやすいのは理系の研究職・開発職です。
地元大手企業に就職するも、大学時代と比べて研究・開発水準があまりに低くつまらなさすぎたというパターンを頻繁に聞きます。
僕の友人の中には「高校物理のほうがレベルが高い」と言い残して東京に戻っていった連中もいます。

加えて地方企業だと、研究や開発に専念させてもらえないことも多いようです。
研究職で採用されたのに、人手不足を理由に経理も兼務しているとか。


文系は一層深刻です。
地方都市の文系職は、たいてい何でも屋です。
役所並みにジェネラリスト志向のところが多く、たとえ大学で高度な学識を身につけていようとも考慮されません。
つまり、文系学問の知見を活かせる仕事が地方都市にはそもそも存在しないのです。

東京本社の大都市と比べて組織が小さいために、文系専門職を雇うだけのキャパシティが無いのでしょう。
都庁と県庁を比較しても、この傾向がはっきり見て取れます。
専門家を採用・育成しようとする都庁と、ひたすらジェネラリスト(笑)志向の地方県庁。
組織のスケール的にどうしようもないのだろうと思われます。

東京で築いた人間関係がものすごく大切

UIJターン就職すると、東京で築いた人間関係からは疎遠になります。
いくら遠隔通信手段が発達した時代とはいえ、東京在住時代と同程度の緊密さをキープするのは至極困難です。
僕自身、大学時代の友人とどんどん疎遠になって行くのを感じています。
結婚式なんかで久々に再会すると特に実感します。

会話は続かないし、愛想笑いの頻度の多いこと。
共通の話題といえば大学生当時の思い出話ばかりなのですが、これすら評価が割れます。
僕にとっては「楽しいエピソード」なのに、周囲にとっては「どうでもいいこと」だったり。逆も然り。

かつての友人とどんどん疎遠になっていくことを、僕は仕方ないものと思っています。
人間は日々変化していくものです。
そしてこの変化には、周囲の環境が大きく影響します。
地方都市と東京という異なる環境下で暮らしていれば、それぞれ異なる方向へ変化していって当然です。

僕は人間関係全般に対して関心が薄いので、こういうふうに割り切っていますが、そうでない方のほうが多数派だと思います。

そのため、東京で築いた人間関係を重視する方は、自然と東京に戻っていきます。
大学時代がものすごく楽しかったリア充にありがちなパターンです。

よく言われるように、一度生活のレベルを上げてしまうと、元のレベルに落とすのが非常に苦痛に感じられます。
人間関係も同様で、一度ハイレベルな環境を経験してしまうと、通常の環境では満足できなくなるのです。

「楽しくない」「つまらない」という不満感だけでなく、劣等感を覚える人もいるでしょう。
地方都市にいる自分が相対的に停滞しているように感じられるのです。

結局はメリデメの比較

東京生活にはデメリットもたくさんあります。
通勤のストレスだったり、物価の高さだったり、人口密度だったり、自然の少なさだったり……
 
こういったデメリットを打ち負かすほどの強烈なメリットとして人を動かしたのが、今回紹介した3事例になります。

今回挙げた3事例は、いずれも2013年〜2019年という限られた期間に観測されたケースです。
これからどうなるかはわかりません。
ただ個人的には、変わらないどころか、もっと顕著になると思います。

結局のところ、自分が本当に地方都市で満足できるのかどうかは、自分にしかわかりません。
今まさに東京にいるのであれば、まずは考えうるデメリットを全て経験してみてください。
貴重なヒントになるはずです。

これまでずっと「学力的に合格する見込みが立たないので国家一種は断念した」と書いてきましたが、これは半分嘘です。すみません。

実はその前にもっと決定的な出来事がありました。

あまりに恥ずかしいのでこれまで隠してきましたが、公務員試験日程が乱れているこの機に公開します。

以下、国家総合職(当時は国家一種)採用の国家公務員のことを「官僚」と表記します。
 

官僚になれば新しい自分になれるはず

僕が官僚に憧れ始めたのは、大学2年生の初め頃でした。
希望する省庁は特にありません。とにかく官僚になって大きな仕事がしたいと思っていました。

僕が大学生だった頃はmixiの全盛期でした。
誰もがサンシャイン牧場に熱を上げ、読者範囲を巧妙に調整した日記を投稿し、足跡を残さずに気になる異性の個人ページを覗くことに全力を注いでいました。
当時のmixiは招待制で、mixiのアカウントを持っていること自体が一種のステータスでした。
プラチナカードを見せびらかすが如く、アカウントを手にした日には、それを誇示するかのように頻繁に日記を更新したものです。

そんなわけで、今でもmixiアカウントにログインすれば、大学生当時の生々しい日記が続々出てくるのです。
この記事を書くために一通り読み返してきましたが、本当に恥ずかしいです。 

当時の僕のmixi日記には、頻繁に「変わりたい」という言葉が登場します。
中学受験に失敗したせいなのか、僕は昔から自己評価が低い人間でした。
当時はさらに、内心期待していた大学デビューにもつまずいて、いっそう鬱々とした日々を過ごしていました。

陰キャで小物で負け癖が染み付いている、これまでの自分と決別して、新しい自分に生まれ変わりたい。

しかし、都会の大学に進学したくらいでは変われなかった。
それならさらなる高みに到達するしかない。

いつしか僕は、就職のタイミングでさらにグレードの高い世界に進みたいと思うようになりました。
そして、目指すべき「グレードの高い世界」として、なぜか官僚の世界を志すようになりました。

官僚の仕事そのものに興味があったわけではありません。
国家を動かすという唯一無二のステータスへの憧れと、「筆記試験のウェイトが大きい公務員試験のほうが、コミュ力一本勝負の民間就活より勝率が高そうだ」という打算的期待のためです。


官僚への就職は、僕にとっては「自己実現の手段」でした。
官僚になることが変化のの証、生まれ変わった自分を象徴するステータスだと捉えていたのです。

官僚になれば、負け組ではありませんし、小物でもありません。
周囲からの評価も変わるでしょうし、何より自己評価が変わるはず。
そう信じていました。

当時は自覚できていませんでしたが、官僚として働きたいというよりも、「官僚になれば変われる、幸せになれる」と思っていたのです。

この認識が一変したのが、大学3年の夏休み開始直後。
高校時代の友人に誘われて、首都圏のいろんな大学から官僚志望の学生たちが集う交流会に参加したときのことです。

ガチになれない自分がいた

「交流会」という名称からして、これから本格化する公務員試験勉強のモチベーションを高めるべく勉強仲間をつくるのが目的の、お気楽な会だと思っていました。オフ会みたいなものだと。
 
実態は全然違いました。
試験の話題なんてほとんど出ず、まるで自分がすでに官僚の一員であるかのように、制度や法令を語っているのです。
 
知識の深さとか論理性とか、話している内容自体は大したレベルではなかったかもしれません。
しかし、評論家のような外野から文句をつけるようなスタンスではなく、為政者として、当事者として、とにかく真剣に語っていました。

彼らの姿は、僕には眩しすぎました。
崇敬の念を抱きつつも、埋めようのない差を理解しました。
知識の厚み、行政に関わった経験の量、そして何より情熱の源泉の尽きないこと。
 
彼ら各自がどうして官僚を志したのかは知りません。
ただ確実に、僕の志望動機である「新しい自分になりたい」なんか足元にも及ばないほど、明確で前向きで強烈だったと思います。

そして同時に、官僚の仕事に対してさほど興味を持てていない自分に気がつきました。
交流会の他の参加者たちに心から敬意を抱きつつも、彼らのようになりたいとは不思議と思いませんでした。
もし官僚になれていたとしても、彼らのようなパフォーマンスは決して発揮できなかったでしょうし、違和感を抱えたまま漫然と仕事をしていたことと思います。

その後、とある出来事を経て官僚の激務っぷりを思い知り、官僚を完全に諦めました。
 
ここから僕の迷走が始まります。
「変わりたい」という漠然とした欲求だけそのままに、これまで最有力だった官僚という選択肢が消えてしまったのです。

エントリーシートすらほとんど通過せずに民間就活全滅、唯一合格した地方上級(県庁)にすがりつくも再受験しようかと思い悩み……結局、ラブライブ!によって救済されるまでずっとモヤモヤしていました。


3つのギャップ

交流会に参加して、僕は3つのギャップを感じました。
  1. 他の受験生との能力のギャップ
  2. 他の受験生との情熱のギャップ
  3. 官僚と「なりたい自分」とのギャップ
もっとも重要なのは3つ目です。
それまでは官僚こそ「なりたい自分」なのだと盲信していましたが、将来の官僚候補たちのリアルな姿を知ったことで、「なりたい自分」と官僚とは別物だと気がつきました。
つまり、これまで漠然としていた「なりたい自分」のイメージが少しだけ明確になったのです。

本当ならもっと早い段階で明確に「なりたい自分像」を持っておくべきなのですが、当時の自分はとにかく「変わりたい」という思いが先行していて、冷静に自己分析ができずにいました。
大学3年生の夏になって、ようやく自己分析の口火を切れたのです。

ちなみに、交流会に参加した方々の中から、実際に多くの官僚が生まれています。
官庁訪問でも熱意が伝わったのでしょう。

自己実現の手段としての官僚就職はあんまり勧めない

「すごい自分になりたい」「大きな仕事をしたい」という漠然とした思いが先にあって、それを実現するための手段、いわば自己実現の手段として官僚への就職を考えている方もいることと思います。
当時の僕のように。

もし心当たりがあるなら、僕は再考を勧めます。
「なりたい自分」「やりたい仕事」を、まずはもう一段階具体的に考えてみてください。
それらを実現するためのルートとして、官僚は本当に最適なのでしょうか?

国(省庁)という組織の一員として、または組織を使って何事かを成したいのであれば、官僚になるしかありません。
ただし、国組織に依る必要がないのであれば、別の選択肢のほうがベターかもしれません。
 
官僚就職という選択肢には超絶激務という代償が伴いますが、自己実現の手段は他にもたくさんあります。
大抵の選択肢は官僚よりも時間的・体力的に余裕があり、自己実現に投じられる資源の総量が多いです。
とりあえず感覚で官僚になってしまったがために、本当にやりたいことを見つけられず、見つかっても追いかけられず、年月を過ごしてしまうことだけは、なんとしてでも避けてほしいです。

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