キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

カテゴリ: 公務員の仕事道具

先日職場にて、後輩職員たちが勤務環境の悪さを愚痴りあっていました。
彼ら曰く、「県庁は10年前から何も変わっていない」とのこと。

彼らはせいぜい入庁5〜6年目で、10年前の勤務環境を経験しているわけではありません。
言葉のあやというか、きりの良い数字ということで「10年」という年数を持ちだしたのでしょう。
ゆえに、「10年前」の姿を誤認していても仕方ありません。

しかし、それにしても……「10年前」の認識が甘すぎます。
10年前の県庁は、彼らが想像しているよりももっとずっとひどかったです。

「いや10年前はさぁ……!」という老害ツッコミを入れたくなるのをその場では必死に堪えましたが、結局モヤモヤが治らないので、以下発散させてもらいます。


OHP(オーバーヘッドプロジェクター)

大人数の前で何らかの発表を行う場合、今ならパソコンをプロジェクターに繋いでスクリーンに投影するのが一般的でしょう。
最近はこの方式すら時代遅れになりつつあるかもしれません。

僕が入庁した当時は、OHPを使うのが主流でした。
透明なプラスチックのフィルムに光を当てて、紙芝居のように投影するアレです。
長時間使っていると熱を帯びてきて、独特の匂いを放ち始めるんですよね。

奇しくも入庁2〜3年目くらいにOHPからプロジェクターへの置き換えが進展して、これまでOHPだった資料が一気にパワーポイント化されていきました。
僕自身、OHP資料を作ったのは最初の1年目だけです。

今から思い返してみると、OHP資料を作るのは本当に面倒でした。

OHPを使うには、発表資料をフィルムで1枚1枚用意する必要があります。
特別な印刷機を使う必要があり、手間も費用もかかります。
フィルムがけっこう高価で、しかもインクがうまく乗らなかったりして印刷ミスが多発するんですよね……

そのため、一部分だけ更新したい場合は、印刷し直すのではなく手書きで修正したり、修正箇所だけ印刷して切り貼りしたり……手先の器用さを求められました。

あと、「色を濃くしすぎるとうまく投影されない」とか、「細かい部分は印刷よりもペンで塗ったほうが綺麗に仕上がる」とか……いろいろなテクニックも必要でした。

パワポであれば数秒で済む作業に、相当な時間と労力をかけていましたね。

docx・xlsx・pptx禁止令

MicrosoftOfficeのファイルには、「docx・xlsx・pptx」のように末尾に xがつくものと、「doc・xls・ppt」のように末尾にxがつかないものがあります。
前者はOffice2007以降のバージョン、後者は2003以前の古いバージョンです。

エクセルの条件付き書式がxlsだとうまく動作しなかったりと、末尾にxがついているほうが機能が充実しているので、最近は普通はこちらを使っています。

僕が入庁した当時(2013年)は、末尾にxがつく形式でのファイル作成は厳禁でした。
庁内のパソコン更新が進んでおらず、xがつく新しい形式だと開けない職員が多発するからです。

役所内のみならず世間的にも「xがつく新しい形式は一般的ではない」という認識が強く、申請書のような書類様式をdocx形式でホームページにアップしてしまった日には、苦情の電話があったものです。

今となっては誰も気にしていないでしょうし、誰も覚えていないでしょう。
当時、苦情を食らった当事者でもない限り……


タバコ痕だらけの机

執務室内の机や椅子がボロいのは今も昔も変わりませんが、机に関しては10年前よりも随分改善されています。

僕が入庁した当時、執務室内の机にはたいてい焼け焦げた跡があり、凹凸がありました。
原因はタバコです。
執務室内でも自由に喫煙できた時代に、灰を落としたりして机を焼いてしまった痕跡が、ありありと残っ
ていたのです。

僕が入庁した頃には、すでに分煙が徹底されていて、各フロア設置された喫煙室以外では完全禁煙が達成されていました。
それでも先輩職員の皆さんは「自席で自由に喫煙できた時代」が忘れられないらしく、机の焦げ跡を懐かしげに眺めていたものです。

最近は机の更新も進んで、焦げ跡が残っている机がだいぶ減ってきました。
もしかしたら「昔の名残がなくなる」と悲しんでいる職員もいるのかもしれませんが、僕は何の感慨もありません。
机の凸凹が無くなって使いやすくなりますし、住民の皆様から「いまだに机でタバコ吸ってるのか!」と誤解されてお叱りを受けるリスクが減りますし、良いことづくめです。

1ヶ月ほど前から唐突に、対話型AIが脚光を浴び始めました。
テレビやネットニュースはもちろんのこと、平均年齢70歳くらいの地方新聞の投書欄ですら、「AI=ChatGPT」と言わんがばかりの勢いで侃侃諤諤の議論が交わされています。

こういう新技術は、高齢者層から頭ごなしに否定されることが多い気がしますが、対話型AIに関しては賛否両論に分かれているような印象を受けます。
ただ、賛成側にしても否定側にしても、実際に使ったことがある人は果たしてどれくらいいるんでしょう?
話題になっているのを見て数回使ってみたくらいの人は結構いるかもしれませんが、日常的に使っている人はほとんどいない気がします。

創作のお供

僕は趣味で短編小説(主に二次創作)を書いています。

書きたいシーンはスラスラと言葉が出てくるのですが、そうでないシーンはなかなか進まないもので、いわば後片付けのために多大な時間と労力を注ぎ込んでいるような気がして、結構ストレスなんですよね。
こういう部分、あんまり筆が載らないシーンをAIに書いてもらっています。

あとは擬音や視覚表現のバリエーションを増やしたいときにも使っています。
例えば、殴り合いのシーンを5,000字くらい書いていると、どうしても擬音がワンパターンになるんですよね。「ガシッ」「ボカッ」みたいな典型だけだと足りません。
そこでAIに「擬音の候補」を提示してもらうのです。

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ちなみに、単に「殴ったときの擬音を教えて」とだけオーダーすると、倫理コードに引っかかってブロックされます。これを回避するために「あなたは編集者です」などの状況設定を入れています。

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エピソードは得意、ロジックは苦手

現状、対話型AIが得意なのは「エピソード」です。
シチュエーションを指定してやれば、それらしいエピソードを一瞬で創出してくれます。
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ChatGPTであれば、プログラムも書けます。
地方公務員に身近なところだと、エクセルの計算式やマクロコードも一瞬で仕上げてくれます。
僕自身、庁内各課から提出されてきたエクセルファイルを統合する作業を代行してくれるマクロコードをChatGPTに書いてもらって、早速楽をさせてもらっています。


一方、論理構造がしっかりした文章はまだまだ苦手です。
因果関係や論理関係がしっかりした文章はなかなか生成できませんし、ビジネス文章の基礎である「ロジックツリー」や「MECE」にもうまく対応できません。

根拠をはっきりさせたうえで意見を主張する文章も苦手です。
意見自体はそれなりに仕上がるのですが、根拠の部分が弱いです。
インターネット上の通説レベルの根拠はしっかり準備してくれるのですが、専門書レベルの知見や定量的データまでは引っ張ってきてくれません。
そのため、既視感のある薄っぺらい仕上がりになりがちです。

現状、対話型AIを仕事で使うのは仕事で使うにはまだまだ難しいと思います。
論理構造が今ひとつで根拠も弱く、説得力に欠けるからです。
一文一文は綺麗に書けていて、サラーっと流し読みするだけならそれっぽく見えるのですが、じっくり読むと穴だらけなんですよね。

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「昇給や賞与が少ない」とか「民間は週6勤務が一般的」というファクトがだいぶおかしいです。


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センチュリーが日本の伝統の結集であるのはまだわかるとしても、「地元の産業や文化に対するアピールにつながる」という結論にはつながりません。


一方、厳密なロジックや根拠が必要ない文章、例えば新聞の社説、コメンテーターの発言、エッセイ、感想文のような文章を作るには十分実用レベルだと思います。
特に、具体的なエピソードをもとに何らかの主張をするタイプの文章はとても良い感じに仕上がります。
ニュースでも「就職活動のエントリーシートをAIに書かせた」という事例が取り上げられていましたが、まさにこういう使い方において長所が発揮されるでしょう。

あとは質問を作るのも上手いと思います。
人間ではなかなか気がつかないようなものも含め、網羅的に論点を出してくれます。

実務に使えるか

いくつかの自治体では、既存の対話型AIを議会答弁や報道発表に活用する方向で検討しているらしいですが、僕はなかなか難しいのではないかと思っています。

役所が作る文章は、いろんな人が多角的・批判的に吟味してきます。
そのため、結論はもちろんのこと、論理展開や根拠にも一切手を抜けません。
全面的にAIにぶん投げて作文してもらうのは不可能でしょう。
AIが作った文章を、職員が全面的に修正する光景がありありと想像できます。

せいぜい細かい文言の候補を提示してもらうとか、記者発表原稿の大まかな流れを作ってもらうとか、その程度に止まるのではないかと思います。
 
これだけでも十分便利そうではありますが、世間で騒がれているほど革命的な進歩かと言われると……正直疑問です。
「エピソードの創作」という現状の強みを活かすのであれば、今すぐにでも対話型AIを活躍させられそうですが……役所内にそういう仕事があるのでしょうか?僕には思い当たりません。

それよりも、エクセルマクロのコードを書いてもらって日々の業務を効率化する用途にまず使うほうが、有益だと思います。あまり世間受けは良くなさそうですが……

今はまだ組織的に採否を判断するフェーズではなく、職員個々人が試しに使ってみて、どんな局面でAIを活用できるのかを探る段階だと思います。

加えて、どういう質問を投げると効果的に回答を得られるのかを探るのも重要だと思います。
「現状苦手」と書いた定量的根拠に基づく主張も、うまく質問を投げてやれると、きちんとした回答が返ってくるんですよね。

「地方公務員はAIに仕事を奪われて路頭に迷う」と警鐘が鳴らされ始めてから結構な時間が経過しました。
AIの進歩は凄まじく、誰でも手軽に使えるサービスが続々登場していますが、残念ながら役所には今のところチャットボットくらいしか導入されていません。
「仕事を奪われる」どころか、むしろチャットボットに関する苦情対応という新しい仕事が増えているくらいです。

地方公務員と同じくブロガー(ライター)も、「AIに代替される」と脅されています。
インターネット上に存在する膨大な文章をAIに学習させることで、条件さえ指定すれば「それっぽい」文章を量産できるので、わざわざ人間が時間と労力をかけて執筆する必要が無くなるのだとか。

ただ、学習材料となる文章量が少ないであろう地方公務員ネタの場合でも、AIはちゃんと対応できるのでしょうか?
実際に文章作成サービスを試してみました。

PlayAi

まずは「PlayAi」というサービスを使ってみます。
ボックス内に文章を放り込むだけで続きを書いてくれる、非常に使いやすいサービスです。
このサービスに、このブログの過去記事の冒頭部分を読み込ませて、続きを書いてもらいます。

使うのはこの記事。
(いくつかの記事で試してみたのですが、一番出来が良かったものを紹介します。)



<読み込ませた文章>

自分が出世コース入りしているのかどうか、30歳を過ぎる頃になれば自然と分かってきます。
同期職員の間でも業務内容の差が広がり、忙しい職員と暇な職員にはっきり分かれるからです。

過去にも紹介したとおり、出世コースに入るか否かは20代のうちに確定すると僕は考えています。

役所の出世コースは明確で、「誰が出世コースに乗っているのか」は人事録を数年分見ればおおよそわかります。

出世競争最大の謎であり役所人事の神秘は、その前段階である出世コース入りを賭けた2次選抜過程です。
誰が参戦しているのか傍目にはわかりませんし、戦っている当人すら自覚が無いかもしれません。

今回はこの「2次選抜」の真相に迫ってみます。


<ここからAI>

この記事では、私がどのようにして彼らと仕事をするようになったのか、そして彼らがどのようにしてそこにたどり着いたのかをご紹介します。
長い記事になりそうなので、2つのパートに分けます。これらのパートは、以下のように書かれました。
 
パート1: 資格、面接、事前承認
第2部:二次選考のプロセス
この記事では、様々な情報源(無料、有料)を使用しましたが、なぜその情報源を選択したかを説明します。また、二次選考の流れや、どうすれば参加できるかを説明します。

資格について
行政職に就くための一番の資格は、困難な状況下でも働ける能力です。
近年では、ストレスの多い状況下でも働きやすいと言われています。
しかし、役所も年々変わってきており、それは条件も変わってきていることを意味します。
そのため、昔よりも資格を取ることが大切になっています。

最も重要な資格は、正しい姿勢を持っていること、そして正しい姿勢だけを持っていることです。
働くべき時に働けるだけではダメなのです。働かなくてもいいときに働けることも必要です。
常にスポットライトを浴びたいタイプの人は、自分のステータスを落とすようなことはしたくないでしょう。

しかし、それだけではありません。
行政の仕事にはレベルがあり、それぞれのレベルに見合った能力が必要なのです。
例えば、内務省で働きたいのであれば、家を空けるときに自分を養える能力が必要です。
内務省で働きたいのであれば、家にいるときに食事を提供できるようにしなければなりません。
内務省で働きたいなら、家を空けるときに家族を養うこともできなければならない。
これらの条件を満たせるかどうかが重要なのです。

応募する部署の条件を満たすにはいくつかの方法があり、それらの方法を「資格」と呼びます。
最も一般的な資格は、そのポジションの最低条件です。
各役職の要件は異なる場合があります。
例えば、公共サービス委員会の委員というポジションに応募するのであれば、以下の最低条件を満たす必要があります。
 

翻訳調?

出世の話ではなく採用試験の話になってしまいました。「選抜」という単語がまずかったのでしょうか?
とはいえ、前半部分は結構いいこと書いてませんか?

>行政職に就くための一番の資格は、困難な状況下でも働ける能力です。
>最も重要な資格は、正しい姿勢を持っていること、そして正しい姿勢だけを持っていることです。
>働くべき時に働けるだけではダメなのです。働かなくてもいいときに働けることも必要です。

このあたりは特に考えさせられます。

全体的に翻訳ソフト感があるので、海外サイトの文面を使ってAIに学習させたのかもしれません。


AIのべりすと

次に使うのは「AIのべりすと」というサービスです。
名前のとおり小説を書くことに主眼が置かれたサービスですが、小説以外の文体も書けます。
無料で使えますが、ユーザー登録が必要です。

こちらのサービスにも、このブログの過去記事の冒頭部分を読み込ませて、続きを書いてもらいます。
使うのはこの記事。
(こちらもいくつかの記事で試しており、一番出来が良かったものを紹介します。)




<読み込ませた文章>

何気に出世関係の記事が常時人気の弊ブログ。
地方公務員ブログを読むような現役職員って、「人生のコスパが悪いから出世したくない」とか「出世よりも『やりたい仕事』を優先したい」という考えの方のほうが多い印象ですが……なんだかんだで出世にも関心があるのでしょうか?

入庁からそれなりに月日が経過して、同期入庁職員からは財政課も人事課も輩出されてしまいました。
とりあえず、僕たちの出世レースはひと段落したところだと思われます。

「鉄は熱いうちに打て」ということで、ここで一旦、筆者が見た20代の出世レースを振り返ってみようと思います。

<ここからAI>

※筆者は公務員試験未経験者のため、行政職(I種)と一般職(II種)の区別や採用区分の違いなどについては割愛させていただきます。
 
■1年目・新卒配属時(財政課)
まずは財政課の新入職員時代についてお話しします。
財政課では主に地方債の管理業務を行っていました。
地方債というのは簡単に言うと借金のことですね。
この借金には大きく分けて二種類あります。
一つ目が起債と言われるもので、地方自治体が民間企業などにお金を借りることを言います。
もう一つが借換債と言いまして、借り換えのための資金のことです。
どちらも国の補助金が入るため、財政課の職員の主な役割はその補助額を調整すること。
具体的には、地方債の発行額を決めたり、償還計画を立てたりすることです。
このあたりの事務作業はかなり煩雑なのですが、この部署に配属されることは地方公務員としてはかなり恵まれた環境と言えるでしょう。

■2年目・異動時(財政課)
2年目の秋に異動となりました。
異動先は財務部財政課というところでした。
財政課とはうってかわった地味な職場です。
主な業務内容は国債管理および地方債の審査。
いわゆる財務官僚がするような仕事をしていたわけですね。
ちなみに、国税庁でも同じようなことをしているらしいです。
財務部財政課では、国債を格付け会社に委託して格付けしてもらうのですが、その際には財務省から出向してきた方々にアドバイスを受けながら作業をしています。
また、年度末になると、財務省の方々と意見交換会を行います。
そこで出た話をもとに、年度予算案を作成するというのが主なお仕事でした。

■3年目・異動時(税務課)
3年目の春に異動しました。
異動先は再び財政課に戻り、今度は税務課へ。
主に法人課税関係の事務を担当していました。
こちらはいわゆる霞ヶ関の仕事で、法人課税の法律改正があった際には国会対応をしたり、企業への説明に出向いたりすることもありました。
あとは決算書の内容を確認したり、税金を納める法人さんを訪問して話を聞いたりすることもありましたね。
 
■4年目・異動時(財政課)
4年目はまたまた財政課に戻りました。
今度こそは異動なしでずっと財政課勤務になると思ってたので嬉しい限りです。
 
そんなこんなで新入職員時代は終わり、いよいよ本格的に公務員として働き始めます。
これからは、各自治体ごとに異なる制度の中で、どのように仕事を進めていけばいいのかを模索していくことになるでしょう。
 
さて、新入職員時代の思い出を振り返ると言っておきながら、いきなり財政課編になってしまったんですが……まあ、それはそれでいいでしょう! ここからは各自治体ごとの事情も踏まえつつ、新入職員時代の話を続けていきたいと思います。
※次回更新は5/16(木)予定です。

まじでAIに職を奪われるかもしれない

ちゃんとした日本語文章として成立しています。AIすげえ!
1文1文の繋ぎ方がすごく自然で、句読点の打ち方も過不足なく、僕が書く記事よりも明らかに読みやすくて敗北感を覚えています……
体裁的にもブログ記事らしく仕上がっています。

内容的にはツッコミどころ満載ですが、ちゃんと自治体(ちょっと地方財務局も混じってるっぽいですが)を舞台に作文してくれているのは普通にすごいと思います。
文章の流れが自然すぎるために、公務員以外の人が読んだら、どこが間違っているのか気づかないかもしれません。

人間とAIの役割分担

「AIのべりすと」本当にすごいです。
文章の読みやすさだけでいえば、それなりに練習したWEBライター並みだと思います。

「仕事のやりがい」や「経験談」みたいな、あくまで主観的意見であり、間違いの存在しない話題であれば、「AIのべりすと」でも十分読み応えのある記事が書けそうです。

反対に、
  • データや学説を根拠にして推論する
  • 固有名詞を多用する
  • テーマがマイナーすぎてAIがついてこれない
こういった文章は苦手なようで、まだまだ人間のほうが有利だと思われます。
根拠となるファクトや、最も伝えたい結論部分は人間が書いて、その中間の「つなぎ」部分をAIに書いてもらう……という役割分担がうまくできれば、現時点の無料サービスでも十分に活用できそうです。

おまけ:採用パンフレットを書いてもらう

役所がリリースする文章の中でも、ひときわ抽象的で主観的なのが採用パンフレット中の「職員の声」です。
AIの傾向を見るに、「志望動機」「やりがい」みたいな主観的意見は十分対応できそうなので、試しに「AIのべりすと」に書いてもらいました。
ついでにイラストもAIに描いてもらって、体裁を整えると……

先輩職員AI.001
AIだけでそれっぽいものが作れてしまいます。本当に末恐ろしいです。


久々に本を衝動買いしました。


公務員男性の服 普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる
古橋香織
ぎょうせい
2021-11-23


タイトルを一目見た瞬間に「これ絶対面白いやつだ」と確信しました。

公務員関係の本って、タイトルがふんわりしたものが多いです。
よく言えば包括的、悪く言えば総花的というか……まるで自治体総合戦略のキャッチフレーズみたいな印象があります。

一方で本書は明らかにワンイシューです。
しかも公務員男性の服装といえば、「クレームを避けるべく地味に徹しましょう」という定説が確立しており、今更議論する余地は無さそうに思われます。
僕がこのテーマでブログ記事を書くとしたら、多分2,000字に届かないと思います。

こんなにニッチな、しかも定説が確立しているテーマで、どうやって書籍1冊分も中身を膨らませるのだろう?
期待が溢れるあまり、すぐに購入してしまいました。

ちなみに、僕のファッション知識は10年前で止まっています。
大学デビューすべく脱オタクファッションガイド2ちゃんねるのファッション板で勉強して以来、アップデートされていません。
(勉強方法がおかしい点は一旦スルーで……)

  • チェックシャツやめて無地の白シャツに
  • ジーンズをやめてチノパンに
  • レザースニーカーを履く
この辺が鉄板だった記憶があります。

無難≠ダサい

本書の中身は基礎基本に徹しています。
ファッション知識に乏しい僕ですら、見聞きしたことのある事柄ばかりです。

とはいえ何事も「基本=簡単」というわけではなく、僕を含めて実践できていない人が大勢います。

情報としては知っていても、それを実践できるほど具体的に理解できていないか、実践するほどにモチベーションが湧いてこないのか、外的要因により実践したくてもできないのか……理由は何であれ、ファッションが基本すら守れていない地方公務員男性が大勢いるのは事実です。

基礎力が問われる「無難」スタイル


地方公務員の服装がダサい最大の原因は、住民の目だと思います。

地方公務員は、普通にスーツを着ているだけでも「調子に乗るな」と言われる職業です。
(20代前半の頃、よく高齢の方から言われました)
身に付けるものは何であれ配慮しないと、すぐにトラブルになります。

住民から打たれ続けた結果、アラサーになる頃にはほぼ全員が「無難な服装をしなければいけない」と刷り込まれます。

そしてこの年代になると、外見に絶望的なほどに格差が生じます。
「無難だけどおしゃれな人」がいる一方、僕みたいに「ただダサい人」が発生するのです。

「無難な格好をしよう」という趣旨は全員共通なのに、どうして仕上がりに格差が生じるのか。
これは確実にファッション基礎力の差です。

ファッション強者は「無難だけどおしゃれ」に仕上げられますが、僕みたいな無知な人間は「無難」と「ダサい」の区別がつかず、うまくまとめられないのです。

地方公務員男性に密着している、タイトルに偽りなし

本書は僕みたいなファッション弱者にも理解できるレベルまで噛み砕いて説明してくれるので、「無難だけどダサくない」というゴールがどんなものなのかがわかります。

かつ本書のすごいところは、実際に改善してみる意欲を湧かせてくれるところです。
本文中の至るところで地方公務員男性の境遇とメンタルが徹底的に観察・分析されているおかげで、結論に説得力があります。
ベースとなる「地方公務員男性の現状」に完全同意できるために、論理展開にも結論にも納得できるのです。

何よりも本書は、ファッションという切り口で役所を分析するという観点がとにかく面白いです。
地方公務員あるあるネタをファッションのボキャブラリーで再構築するのは、役所実務とファッションの両方を知る著者ならではの技だと思います。

最後の部署別鉄板スタイルは声を出して笑いました。
特に「農業政策課はスニーカー履き」「福祉課はグレーのカーディガン」が解釈一致すぎてたまりません。

もし本書の女性編が出たら、きっと買ってしまうと思います。読み物として絶対に面白い。

着用時間が長いんだからお金をかけてもいいのでは?

「仕事道具にお金をかけるのはもったいない」と考えている方も多いでしょう。

僕は常々「モノの時間単価」を考えるようにしていて、使用時間の長いものは何であれこだわったほうが人生トータルで豊かになると思っています。

職場で過ごす時間は、残念ながら人生の中でも結構長いです。
そのため僕は職場で使うガジェット類には惜しまず投資しています。

仕事着も同様です。
否が応でも長時間着なければいけないので、何回着られるのか不確定な私服よりも投資効率は高いはず。

ガジェット類と比べるとスーツは高価なので、これまでは躊躇してきましたが、本書を読んで投資意欲が湧いてきました。
来シーズン前くらいにオーダースーツに挑戦してみようかと思っています。


新型コロナ対応で忙殺されている自治体勤務の皆様には非常に申し訳ないのですが、僕は連休以後1日も出勤していません。
ずーっとテレワークです。

僕の出向元自治体は、少なくとも3月時点ではテレワーク環境が全然準備されておらず、今年度中に急ピッチで整備する予定みたいです。
そのせいなのか、僕のテレワーク環境のことを人事担当からいろいろ聞かれています。

自分で言うのも小恥ずかしいですが、僕みたいな独身貴族機材オタクのテレワーク環境は、社会的正常者が多い自治体組織においては貴重なサンプルだと思います。
どこかの誰かの参考になることを祈念しつつ、僕のテレワーク環境を公開します。 

ハード編

職場PC(シンクライアント端末)

職場から支給されたテレワーク用パソコンで、インターネット経由で職場のサーバーにアクセスして仕事しています。
機種名は秘密ですが、僕の出向元自治体のパソコンより圧倒的に高性能です。
メモリなんて8GBもあります。3月まで僕が使ってた自治体PCの4倍です。


外付けモニター

プライベートで普段使いしているモニターをそのまま使っています。
USB-C接続対応、縦方向でも使える製品ということで、EIZOの「FlexScan EV2795」という製品を使っています。
個人的には、小さくとも24インチは欲しいところです。
これより小さいと、左右で別々のオフィスソフトを開いて作業するのが難しい。


キーボード・マウス

これも普段使いしているものです。
エクセルを触る仕事が多いので、フルサイズキーボードを使っています。


カメラ内蔵マイク

オンラインミーティングの時だけセットしています。
カメラもマイクも職場PCに内蔵されているのですが、僕は私物を使っています。
せっかく持っているのに死蔵させておくのが勿体無いので。

たくさんあるWEBカメラの中でも、本製品はかなり広角に写せるほうなので、複数人を1画面に収めたい(オンライン会議用のアカウントが足りず、端末1台で複数人が参加する場合など)に向いています。

この機材は昨年、職場用に購入したものです。
僕の出向元自治体では、オンライン会議用のハード面の調達が遅れたため(自治体が好きな低価格帯商品が品薄で買えなかったらしい)、カメラやマイク、場合によってはパソコンやタブレットまで職員が自腹で購入していました。


手帳(todoリスト兼メモ帳)

テレワークだと誰もリマインドしてくれないので、ついつい用事を忘れがちです。
そのため、予定・タスク管理には普段以上に気を遣っています。
 
何より、出勤日にしかできない「先送りする仕事」をきちんとメモしておくことが重要です。
 
「テレワーク日にしかできない仕事」はありませんが、「出勤日にしかできない仕事」は意外とたくさんあります。
紙媒体の提出物を処理したり、データ化されていない大昔の資料を探したり、書籍媒体の資料を参照したり……
僕はケチなので資料の印刷も出勤日にまとめてやっています。自腹は極力切りたくありません。

出勤日が少なくなればなるほど、出勤日の使い方が重要になってくるのです。


スマートフォン

職場から電話がかかってくるかもしれないので、念のため卓上に置いてあります。
たいていの用事はビジネスチャット(後述)で連絡を取り合う文化なので、、職場からの電話はほとんどありません。
むしろ出向元自治体からの電話のほうが多いです。正直さみしいのでありがたい。


筆記用具・電卓

私物を使っています。職場から持って帰ってくるのが面倒なので。


タブレット

職場PCはセキュリティが厳しく、ログインが必要なwebサービスがほとんど使えません。
そのため、常用している「Googleカレンダー」や「todoリスト」、「Notion」のようなアプリを使うために、私物のiPadを卓上に常駐させています。


ブルートゥーススピーカー



ときどきBGMを流すのに使っています。
低音と高音をそれぞれ別々に調整でき、ギターやベースがガンガン鳴っているタイプの曲は低音強調、ボーカルを堪能したいときは高音強調……みたいに調整できます。低音強調して「無敵級*ビリーバー」を聞くとたくさん脳汁が出ます。

正直僕みたいなアニソンばかり聴いているオタクにはオーバースペックな逸品なのですが、有線接続もできるBTスピーカーが意外と少なく、こちらを購入しました。

卓上以外のハード

つくえ

小学生時代から使っている学習机をそのまま使っています。
パソコン作業するには天板が低く、改善の余地ありと思っています。


いす

数年前に購入した「コンテッサⅡ」というガチチェアを使っています。
腰に爆弾を抱えているので、ちゃちな椅子は怖くて座れないのです。
 

ソフト編

ビジネスチャット

サービス名は秘密ですが、かなり有名なサービスを職場で契約しています。
容量の大きい添付ファイルや長文メッセージをやりとりする場合を除き、職場内のコミュニケーションはもっぱらビジネスチャットです。


Apple Music

BGM用です。
僕は無音のほうが集中できるタイプなのですが、逆にずっと無音だと集中しすぎるのか一日持ちません。午前11時には力尽きてしまいます。
そのため、小難しい資料を解読する仕事のような「特に集中したいとき」を除き、あえて過度に集中しないよう、音楽を流しています。

雑感

ビジネスチャットは個人的に必須

本格的にテレワークを導入するのであれば、ビジネスチャットは不可欠だと思います。
「メールで十分だろ」と思う方もいるかもしれません(僕も思ってました)が、実際に使ってみると非常に便利です。

テレワークが増えれば増えるほど、テキストメッセージのやりとりも増えます。
全部メールで済ませようとすると件数が膨大になり、メール管理が煩雑になりますし、受信ボックスもすぐパンクします。
その結果、外部とのやりとりのような「メールでないと処理できない」重要案件が埋もれてしまいかねません。

ただ、「テキストメッセージのやりとりはメールに一元化したほうが遺漏が少なくて管理しやすい、メールとチャットに分けるとかえって混乱する」と方もいると思います。

タブレット端末をもっと応用していきたい

テレワーク中は、人目を気にする必要がありません。
そのため、職場だと試せないような「働き方」を実験できます。

僕が一番可能性を感じているのが、タブレット端末の活用です。
業務効率化に役立ちそうなアプリやサービスを試していきます。
卓上で使う場合、サイズは大きければ大きいほど便利です。
そのため先月発表された「iPadPro 12.9インチ」の新型がめちゃくちゃ気になっています。
Pro級の性能は絶対持て余すのですが、約13インチというディズプレイサイズには抗いがたい魅力があります。
12.9インチのAirが出たら即購入なのに……

環境構築のためのイニシャルコストは高くつく

僕はひきこもり気質かつオタクなので、自室の設備は以前かなり充実していました。
「ハード編」で紹介した機材類も、(職場PCを除き)全部元から保有していたものです。
テレワークのための新規購入したものは一つもありません。

ゼロから僕並みに環境を整えようとすると、40万円くらいかかります。

機材のグレードを落としても、5万円はかかるでしょう。

正直パソコンさえあれば仕事できないことはありませんが、それでも健康のために長時間座っていられる椅子は必須だと思います。

僕みたいにテレワーク有無にかかわらず在宅時間が長い人間は別にして、「テレワークのため」だけに諸々購入しようとすると、金銭的にも精神的にも大損になりかねません。
こういう場合は必要最低限の設備で抑えるか、あるいは理由をつけてテレワークを拒むのもアリかもしれません。

急に「テレワークしろ」と言われて慌てて調達する羽目になり、割高な買い物をしてストレスを溜めるより、あらかじめどれくらいのグレードの設備にするかを想定し、金銭的負担の見積もりを用意していたほうが安全な気がします。

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