キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

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「コンプレックス」という概念を「劣等感」と同一視している方は結構多いと思います。
ただ本来コンプレックスとは、劣等感のほかにも色々な感情が織り混ざった複雑な状態を指します。


 

地方公務員が民間企業サラリーマンに対して抱く感情なんて、まさにコンプレックスなのでしょう。
収入などの待遇面、成長、やりがいなどの面では劣等感を抱きつつも、公益性のような点では優越感を持っていると思われます。

特に僕は民間就活で惨敗して地方公務員になったタイプなので、人一倍「民間企業コンプレックス」が強いタイプだと思われます。
「民間ではなく公務員になってよかった」と自分に言い聞かせつつも、いまだに民間への憧れを捨てきれていません。
我ながら面倒な人間だと思います。

いくら民間企業が気になるとはいえ、堂々と転職サイトに登録してしまうと、万一人事課に見つかったときに角が立ちます。
ただし今は外部団体へ出向中であり、人事にも監視されていないはず。
というわけで、 お試しで転職市場にエントリーしています。

お遊び転職活動スタート!

とりあえず利用者数が多い「リクナビNext」と「doda」に登録してみました。
あくまでも「転職市場でどういう扱いを受けるのか」が知りたいだけなので、エージェントとコミュニケーションをとるつもりはありません。今のところは。

プロフィールは正直に書いています。
保有資格も全部書きました。

県庁での勤務経歴もかなり詳細に書きました。
特に、僕が担当した業務の中で唯一民間企業勤務でも活きてきそうな「観光部局での仕事内容」は深掘りしました。

これまでの勤務経歴を改めて文章にまとめてみると、本当に一貫性がありません。
地方公務員が見れば典型的な閑職コースであり「あっ……(察し)」という感じなのですが、役所の事情に詳しくない民間企業の人事担当がこれを見たら、果たしてどういう感想を抱くのでしょう……

オファーは来るが……

登録してから半年くらいが経過しました。
今のところ、安定して週1通くらいのペースで企業からのオファーが届いています。
(ここでいうオファーとは、「あなたの経歴を見て『ぜひ面談したい』というリクエストが届きました」というやつです。ヘッドハンティングやスカウトではありません)

オファーをくれる企業は全て不動産業です。
財閥系・鉄道系の大手企業から地方のローカル企業まで、いろんなところから届きます。

業務内容はマンションのフロントが一番多く、あとは住宅販売の営業とか、商業施設の維持管理あたりが続きます。

提示される年収のレンジは、だいたい450万円〜650万円です。
今よりも少し上がります。

(2022.6.11追記)基本情報技術者資格を追加してみた結果

保有資格に「基本情報技術者」を追加したところ、IT技術者の派遣企業からもオファーが来るようになりました。

いずれの企業も入社後は研修から始まるらしく、どうやら経験者枠ではなく新人として扱ってもらえるようです。
基本情報技術者資格が評価されているというよりは、この資格を追加したことで「IT業界に興味がある」と見なされたのだと思われます。
年収はだいたい400万円前後で、今と同じくらいです。

もしや職歴なしでも大差ない?

不動産業界からオファーが来るのは、明らかに不動産トリプルライセンス(宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士)のおかげです。

中でもマンションフロントのオファーが本当に多く、慢性的に人手不足であることが伺えます。
地方公務員以上にクレーム産業なので人が定着しないのでしょうか?

一方、自治体絡みのオファーは全くありません。
  • 観光部局経験を買ってくれる企画会社
  • 自治体向けのDXプランを手がけているようなITコンサル
こういう煌びやかなオファー来たらどうしようかと内心ソワソワしていたのですが……現実はそう甘くありませんでした。
今のところ、地方公務員としての勤務経験は転職活動に全く活きないと結論するしかありません。

1月上旬の三連休って本当にありがたい存在ですよね。
僕の場合、年末年始は結局2日しか休めなかったこともあり、例年よりも一層ありがたみを感じています。 

年末の記事では「2022年は想像がつかない」と書いたところですが、僕個人の境遇はほぼ予測可能です。
昨年に続き労働時間が長く、とにかく「余暇を残業代に変換する」一年になるでしょう。 

別の見方をすれば、限られた余暇時間をいかにやりくりするかが重要な一年ともいえます。
「時間できたし何しよっかなー」と場当たり的に考えていると、結局ぼんやりインターネットを眺めるだけで余暇時間を溶かしてしまいがちなので、あらかじめ「やりたいこと」を整理しておきます。

大人しく自己研鑽

新年早々オミクロン株が流行しており、今年も社交や遠出は難しい状況が続きそうです。
感染リスクを避け、かつ時間を有効活用すべく、今年もひたむきに自己研鑽を積んでいきます。

具体的には読書です。
まとまった余暇時間を確保できる保証が無いので、細切れの時間でも確実に実践できる自己研鑽方法といえば、やはり読書が一番だと思います。
年間50冊は少なくとも読みたいです。

今年の重点テーマは「IT」「フェミニズム」です。

ITに関しては、後述する資格試験チャレンジともあわせて、基礎知識を身につけたいと思っています。
フェミニズムに関してはちょっと補足します。

フェミニズムを経由して被害者意識への理解を深めたい

女性の権利保護や同族嫌悪的ミサンドリーに目覚めたわけではありません。
被害者意識の生成経路と、被害者意識に基づく救済要求の一般的論理展開パターンを学ぶのが趣旨です。

地方公務員という仕事では、自らを「被害者」と称する方々と、至るところで接します。
彼ら彼女らは、人数が多いだけでなく、非常に多様です。
個々人の属性、どのような被害を受けたのか、被害を訴えることで何を求めているのか、……等々、観点もたくさんあります。
唯一の共通点は、「自分は被害者だ」という認識、つまり「被害者意識」の存在くらいでしょう。

行政は、自らを「被害者」と称する方々に対し、
  • 行政が救済しなければいけない被害者なのか?
  • 救済するしてもどの程度か?
という判断を迫られます。

判断はもちろんケースバイケースなのですが、どんなケースであれ相手方の被害者意識を理解・分析するのが非常に重要であることには変わりません。

役所にいると個々のケースに引っ張られすぎて、なかなか「被害者意識とはそもそも何か」という抽象的な理解に至れません。
役所を離れて冷静でいられるうちに、被害者意識について体系的に知っておきたいと思っています。
そこで、この分野で最も学術的分析が盛んであろうフェミニズム界隈を選びました。

今年こそ応用情報

僕は典型的なオタク顔をしているせいなのか、周囲からよくパソコン関係の質問を受けます。
しかし実際は人並み以下の知識しかないので、期待には応えられず、がっかりさせてばかりです。

「オタク顔なのにITに詳しくない」という積年のコンプレックスを解消すべく、まずは基本的なところから勉強していきたい……ところなのですが、そもそも何をどうやって勉強すればいいのか、よくわかりません。

そこでまずは、幅広い基礎知識を、これまで慣れ親しんだ手法である試験勉強によって習得できる、資格試験にチャレンジしていきたいと思っています。

本当は去年10月に応用情報技術者試験を受けるつもりで勉強してきたのに、まさかの試験日当日に急な仕事が入ってしまい泣く泣く諦めた……という経緯があります。
今年こそはちゃんと受験して合格したいです。

ブログは「ハッピー路線」で

去年の弊ブログの運営方針は「理解のある彼くん」でした。
(インターネットスラングなので、ピンとこない方は検索してみてください)

弊ブログの主要読者層にとって2021年は苦行の連続になりそうで、日々の気苦労に寄り添うような内容が求められているのでは……と推察していたからです。

その結果、暗くて湿っぽい記事ばかりになってしまいました。
今では反省しています。

今年はもう少し明るい感じで、わずかでもハッピーになれるような記事を心がけていきたいです。




もちろんオタク活動も続けていきます。
今季は何よりNHKのプラネテス再放送が楽しみすぎます。
リアルタイムで見ていたはずなのですが、細部は覚えていないので……




今年の4月から念願叶って?、とある民間団体に団体に出向しています。
歴代の担当者の事例を踏まえると、出向期間は2年間。
すでに出向期間の20%を過ぎており今更感がありますが、抱負を書き残しておきます。
意識の高い順にお送りしていきます。

できる限り全自動化

僕の担当業務は、基本的にパソコン作業ばかりです。
「vlookup関数の式をゼロから組み立てる」以上の難しい作業はありません。

ただしやたらと業務量が多く、閑散期でも40時間は残業せざるを得ません。
前任者いわく「繁忙期は100時間を余裕で超える」とか……

中でも特にエクセルファイルを合体させる(特定の行・列をコピペして集計する)作業が多く、エクセルファイルを探して開閉するだけで毎日1時間は使っていると思います。

正直、マクロを組めば一瞬で終わる気がするんですよね……

このほかにも、関数を工夫したりマクロを使ったりすれば効率化できる作業がたくさんある気がするので、いろいろ試していきたいと思っています。
役所に戻った後も役立ちそうですし。

「スピード感」の正体とメリデメを突き止める

よく言われるとおり、やはり役所と比べて民間団体は意思決定のスピードが段違いに早いです。
意思決定までのステップも少ないですし、意思決定の場(ヒアリングや会議)1回あたりの時間も短いです。

見方を変えると、意思決定に必要な下準備が役所と比べてずっと少ないとも言えるでしょう。
例えば、役所みたいに資料の余白を調整したり、空きスペースにフリー素材イラストを入れたりする必要はありません。
意思決定に必要な情報が過不足なく盛り込まれていれば十分です。

役所の重厚長大型意思決定プロセスに慣れ親しんだ僕にとっては、「えっこんな簡単に決まっちゃっていいの!?」と不安になってきます。
どこかに歪みが生じている気がしてならないのです。

よく「役所も民間企業並みに意思決定を速やかに行うべき」という主張がなされます。
実際、役所の意思決定プロセスは冗長で、効率化の余地がたくさんあると思います。
しかし「民間のやり方をそっくりそのまま役所が真似してもいいものか」と問われると、役所脳な僕にとっては「否」としか思えないのです。

カルチャーショックを味わいつつ、役所の意思決定効率化を阻む「特有の事情」みたいなものを見出していきたいです。

現代的な働き方を堪能する

以前も少し触れましたが、今は新型コロナウイルス感染症のせいで在宅勤務がメインです。
職場から貸与された在宅勤務用パソコンを使えば、インターネット経由で職場サーバーにアクセスできるようになっており、在宅でも職場とほぼ変わらない環境で仕事ができています。

それに何よりパソコンが高性能です。メモリが8GBもあるので全然フリーズしません。
(県庁ではメモリ2GBが標準でした……)

ほかにもいろいろなソフトやWebサービスを使わせてもらえており、正直、全地方公務員の中でも上位1%に入れるくらい先進的な環境で働いていると思います。

これまで時代遅れな環境下で働いてきた分、ここで労働環境のナウなトレンドに追いつきたいです。


ランチを楽しむ(いずれ)

これまで幾度となく取り上げてきていますが、地方公務員は落ち着いて昼食を楽しめない職業です。

ただ今は違います。
昼休みを妨害してくるノイズとは無縁であり、丸々1時間、きちんと昼休みを取れます。
しかも僕の職場は結構な都市部にあり、飲食店がたくさんあります。

つまり、退職しない限り不可能だと思っていた「外でランチ」が楽しめるのです。
この機会を逃すわけにはいきません。

もちろん今は新型コロナウイルスが猛威をふるっており、軽率な行動はできません。
(そもそも在宅勤務なので飲食店に行けません)
コロナが落ち着いたら、ガンガン外ランチに出かけていきたいです。

蓄財500万円

出向直前のとある日、人事課から直々に「時間外手当は遠慮せず満額申請してほしい」と言われました。
どうやら過去の担当者で出向中にメンタルに不調をきたしてしまった職員がいたようで、この出向ポストは「忙しくてストレスが多い」と見なされているようです。
つらいポストを命じる代わりに、せめて残業代で心を癒してほしい……という配慮なのでしょう。

今のペースだと、年間の総残業時間は800時間強になるはず。
先日投稿した年収モデルで計算してみると、年収550万円は堅いと思われます。
昨年と比べて100万円ほどの収入アップです。

年収増かつ、コロナのせいでろくに外出できず支出も減っているので、頑張れば年間250万円、2年間の出向期間トータルで500万円を目標に蓄財に励んでいきます。
高額ガジェットに散財したりしないよう注意しなければ……


「時間」を「残業代」に変換していきます

あくまで僕の想像ですが、メンタルを崩してしまった先達は「単純作業が延々と続く」ことに向いていなかったのではと思われます。
成長志向の強い方にとっては地獄でしょうし、ひたすら残業も多いのでプライベートも圧迫されます。

僕としてはむしろ、面倒な調整業務から解放されて、役所にいる頃よりもずっと気楽です。
しかも独身異常男性なので、労働時間が伸びたところで生活に支障は出ません。

何より残業代がモチベーションになります。
やりがい?成長?知りませんねぇ……

唯一の懸念は、100時間/月の残業に耐えられるかどうか。
ストレス自体はさほど無いにしても、睡眠時間を確保できなくなったとき、ちゃんと健康を保てるのか……ここだけが不安です。

たいていのオタクはタイムリープ作品が大好きです。
鳥の雛の「刷り込み」のごとく、一番最初に触れたタイムリープ作品がオタク観構築に強く影響を及ぼすとも言われています。

自分がタイムリープしたらどうするか?というシミュレーション(妄想)も大好きです。

というわけで、僕が今の記憶を保ったまま大学生3年生の春頃に戻ったとしたら、果たしてどんな就職活動をするだろうか、考えてみました。

まずは民間特化就活

1年目は民間就活に特化します。公務員試験は受けません。

これまで何度もネタにしているとおり、僕は約20社の民間企業にエントリーして全滅しました。
本当はもっと受けるつもりだったのですが、諦めて公務員路線にシフトしました。
戦略的撤退です。

東京本社の一流企業から地元地銀まで満遍なく落ちました。
当時は「キモメンだからだ」とヤケになっていましたが、今となっては落ちて当然だと思います。

まず、当時は民間企業のことをあまりにも知らなさすぎました。

  • 営業職は常にノルマに追われて大変
  • とにかくコミュニケーション能力とリーダーシップが求められている

この程度の認識しかありませんでした。

業界研究・企業研究らしきものも一応やってはいましたが、採用プロセス(面接の回数など)と待遇面ばかり調べていて、財務状況やビジネスモデルは全然見ていませんでした。

こんな体たらくではろくに志望動機が組み立てられるはずがなく、面接官に評価されるわけがありません。

しかも僕の場合はキモメンというディスアドバンテージを背負っているわけなので、しゃべりの中身でしっかり挽回しなければ合格するわけがありません。
 

加えて、志望業界も志望企業もはっきりしていませんでした。

当時は東日本大震災のせいで新卒採用数が絞られていたうえ、大手企業でも試用期間中に新卒者を解雇するケースがたびたび発生していて、新卒採用という意味ではコロナ禍の今よりも酷かったかもしれません。

そのため僕は「ブラック企業以外ならなんでもいい」という高望みしないスタンスで、「やりたい仕事を考えるなんておこがましい」とすら思っていました。
面接中も正直「安定した給与と休日さえもらえるなら何でもやりますよ!!!!!」と叫びたかった。

今から思い返せば、この高望みしないスタンスが失敗だったのでしょう。
心の底から「ブラック労働以外ならなんでもいい」と思っていたために、個社の志望動機に気持ちが乗りませんでした。
そのせいで面接官側からすれば「志望度が低いんだろうな」と思われていたでしょう。

さらに先述したとおり、企業研究が足りていないので話す中身も薄っぺらい。外見も駄目。
どこにも採用されるわけありませんよね……

今の自分であれば、株式投資のおかげで当時よりは民間企業に明るくなりましたし、業界研究・企業研究の方法も身に付きました。

それに何より志望業界が見えてきました。 
過去記事でも触れたことがありますが、僕は「『当たり前』を『当たり前』のまま運用する」仕事に強いやりがいを感じます。

 
民間企業でいえばインフラ業界です。
中でも通信業界は、これからどんどん重要性が増していきますし、改善の余地も大きい分野です。
これからの時代のニューノーマル、新しい「当たり前」を作っていく仕事であり、一生を賭するに値すると思っています。


もう一度新卒就活をやり直したところで、キモメン口下手というディスアドバンテージは相変わらず重くのしかかってくるわけですが、今の知識と熱意を引き継いだ状態であれば、当時よりはまともな志望動機を組み立てられるでしょうし、面接でも喋れるはず……

また民間全滅したら公務員を目指す

大学4年の9月頃まで民間就活一本で突っ走って、どこからも内々定が出なければ、おとなしく留年して公務員試験に切り替えます。

志望順位はこんな感じ。
  1. 国会図書館
  2. 東京都庁
  3. 出身地県庁(現在の勤務先)
  4. 国家一般職(地方整備局、農政局、経済産業局)

今の勤務先が嫌なわけではありませんが、待遇面を考えると国会図書館や都庁のほうが勝ります。
市区町村は受けません。過去の記事でも触れましたが、性格的に続けられなさそうです。



今の職場には十分満足していますし、もう一度ここに就職するのも大いにアリですが、本音ではもっと「やりがい」と「待遇」を追求したいです。

ただし、現状を捨ててまでチャレンジするほどの勇気はありません。
あくまでも「大学3年生の春頃に戻れたら」という奇跡が起こった場合の仮定の話です。

ここまで書いてふと気づいたのですが、僕の大学時代は1ドル70~80円台という超絶円高ドル安でした。
このころにFXを始めてドル買いポジションをとっておき、2015年に1ドル120円台まで上がったときに売れば、労せずして莫大な儲けが出ます。
これを種銭にして仮想通貨を買い、2017年末のピークで売却してさらに種銭を増やし、2020年春の暴落時に株を買えば……今頃は軽く個人資産2億円を超えます。夢が広がりますね……

「あなたの仕事のやりがいは何ですか?」というクエスチョンは、どんな職業においてもインタビューの定番です。

「やりがい」はあくまでも主観的なものです。
たとえ同じ仕事であっても、自分と他者ではやりがいを感じるポイントが異なるかもしれませんし、同じポイントに対して正反対のやりがいを感じるかもしれません。
そのため「公務員のやりがいは●●だ」という一般論を示すことは不可能だと思います。

とはいえ、多数のケースを収集すれば、「公務員の中には●●をやりがいと感じる人が多い」という傾向を察する程度なら可能でしょう。
あくまでも一例、河原に無数に転がっている小石の一つくらいの感覚で拾い読みしてください。

公益に貢献できる

公務員稼業のやりがいといえば、真っ先に「公益に携われる」という一文が思い浮かびます。
ただ冷静に考えてみると、「公益に携われる」職業は公務員以外にもたくさんあります。
むしろ公益に資さない仕事のほうが圧倒的に少数派でしょう。

例えばデイトレーダーのような、一見すれば自分のお金のことしか考えていない人であっても、儲けた分だけ納税しています。
もし年収1億円だったら、ざっくり2000万円(20%)くらいを所得税として納めているはずで、僕なんかよりもはるかに公益に貢献していると言えます。

仕事のやりがいとして「公益への貢献」を挙げるなら、なるべく深掘りして具体的に表現する必要があると思います。
特に他の職業との違いを強調したいのなら尚更です。

僕の場合、公務員稼業は主に2つの意味で公益に資する仕事だと思っています。

相対的に困っている人へ→生活水準の底上げ

1つ目は生活水準の底上げです。
 
役所が提供する行政サービスによって恩恵を受けるのは、主に「相対的に弱い立場にいる方々」です。
勿論サービスそのものは住民全員に対して開かれてはいますが、強い立場にいる方々(高所得者など)は、行政サービスを使わずとも生活が成り立つので、必ずしも恩恵を受けているとは限りません。

教育あたりが典型でしょう。
お金のある方は公教育の世話になることなくずっと私立に通わせられますが、普通の方々は公教育を利用します。

電力や通信サービスであれば、立場の強弱に関係なく、使った分だけ支払いが生じます。
こちらは万人の公益に資するサービスです。
一方で行政サービスは、相対的に弱い立場にいる方々を特にケアするものです。
そのため「底上げ」という表現がしっくりくると思っています。

相対的に強い人へ→秩序の維持

2つ目は秩序の維持です。どちらかというとこっちが本命です。
行政がルールを運用したり、各種サービスを提供することによって、社会の秩序が保たれています。
(先述した「生活水準の底上げ」の結果でもあるでしょう)

社会の秩序が保たれていれば、身体的・精神的・財産的な安全が確保され、安心して生活を営めます。
この意味での恩恵は、住民誰もが享受しているはずです。
ネットニュースで「高所得者は行政サービスを受けられない、年収〇〇万円以上だと税金払い損」のような煽り記事がよく掲載されていますが、「秩序の維持」という観点ではむしろ高所得者ほどメリットが大きいと思います。

普段から「行政のおかげで秩序が保たれている」と意識している方はごく少数だと思います。
むしろ「そんなの当たり前だろ」と思う人が大多数でしょう。

ただ自分は、行政による秩序の維持をありがたく感じる人が全然いない現状を、むしろ嬉しく思います。
「当たり前」になっていることを「当たり前」のまま運用していく、これこそが秩序を維持する最大のポイントだと思います。


つまるところ、「生活水準の底上げ」と「秩序の維持」という2点で公益に貢献できるのが公務員であり、これらが僕にとっての「やりがい」です。


知的好奇心を満たせる

僕にとって役所稼業は、個人的な知的好奇心を満たすプロセスでもあります。

無秩序な部局横断的な人事異動のおかげで色々な分野の仕事を経験できるので、幅広い知識が身につく」という意味では断じてありません。

配属部署・担当業務に関係なく、地方公務員稼業を続けていればいつでもどこでも探求できるトピックが、僕は少なくとも2つあると考えています。

現状の不条理分析→真の黒幕は誰なのか? 

ひとつは現状の不条理分析です。

役所の仕事の多くは、現に発生している問題を解消しようとするもので、いわばマイナスをプラスに転じようとする試みです。
そのため、何事もまずはマイナスな事態が発生している現状の分析から始めます。

現状を深掘りしていくと、結構な頻度で既得権益を発見します。
大多数の目には「問題」として映る事態であっても、特定の個人・団体には「利益の源泉」として機能している。こういうケースが散見されるのです。
既得権益といえば金銭的なものがメジャーですが、権威・メンツも立派な既得権益です。

迷惑を被っている人が大勢いることを知っていながらも、私利私欲のために問題解決を意図的に妨害している「真の黒幕」も意外といらっしゃいます。

僕は心根が中二病なので、こういう「黒幕の構造」を探求していくのが楽しいのです。


普通の人のダークサイド分析→常人のキレポイントは?

もうひとつは普通の人のダークサイド分析です。

先にも触れましたが、行政サービスをありがたく思う人はごくごく少数です。
何をやっても感謝されず、むしろ不満や怒りをぶつけられてばかりです。

行政に対して敵意を向けてくる方のほとんどは、戦いの素人です。
戦闘が生活の糧というわけでなく、普段は平穏に暮らしています。
(もちろん戦闘のプロも少なからずいます。役所はじめいろんな相手に戦いを仕掛け、戦果をあげることで収入を得ている方々です。)

こういう方々にとって、敵意を顕にして怒声を上げ罵詈雑言を撒き散らす機会なんて、人生全体で見ても滅多に無いでしょう。

幸か不幸か、役所という場、公務員という相手は、こういうごく普通の方々が秘めたる敵意を発露させやすいシチュエーションだと思います。
つまり公務員は、「普通の人の心のダークサイド」という(ある意味貴重な)事例を垣間見れるのです。

人間の心理に興味のある僕としては、これもまた「やりがい」のひとつです。
……というふうに自分に言い聞かせることで、敵意を浴びるストレスを軽減しようと企てているところです。


やりがいとの付き合い方

僕はなぜか頻繁に異動していて、ほぼ毎年のように担当業務が変わっています。
そのため、どんな部署でも共通するような抽象的な「やりがい」しか思い当たりません。
特定の部局で長く勤め上げているような職員であれば、もっと具体的なやりがいがあるのかもしれません。

逆にいえば、公務員稼業全体に通用するような「やりがい」が見出せず、現在の担当業務と直結した個別具体的な「やりがい」しか見出せないのであれば、人事異動のたびに苦しむのかもしれません。
例えば「観光客の笑顔がやりがい」というだけでは、観光部局から異動した途端に振り出しに戻ってしまいます。

やりがいはあくまでも主観的なもので、口外するものでもありません。
正直、何を抱いていても構いません。
役所勤務の充実感を少しでも高めるための「おまじない」みたいなものでしょう。
自分の納得いくお題目を設定した者勝ちだと思います。 

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