キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:公務員という立場

地方公務員志望者の中には、「プライベートを充実させたいから」というモチベーションの方も少なからずいらっしゃるでしょう。

実際、現役地方公務員にもこういう意識の方は大勢います。
歳をとるにつれて「(個人的な)プライベート充実」から「家庭生活充実」へと変質していくとはいえ、「オフを充実させたい」という基本的路線には変わりありません。
主権者たる国民からはお叱りを受けそうですが……

ただし、このブログでも散々書いているとおり、地方公務員のプライペートには色々制約が課せられます。
せっかく趣味を楽しむために地方公務員になったとしても、趣味によっては、この制約のために諦めざるを得ないかもしれません。 

とにかく「無難」を強いられるファッション

地方公務員だから楽しめない趣味の最たるものがファッションだと思います。 

職員の身なりに関する住民からの苦情は本当に多いです。
派手な格好をしていると当然怒られますが、かといって地味すぎても怒られます。
僕がかつて観光関係の仕事をしていた頃、「人前に出る仕事なんだから整髪料くらいつけろ」と怒られたことがあります。

服装のせいでお叱りを受けて仕事が止まってしまうのは、明らかに時間の無駄です。
住民の「お気持ち」は如何ともし難いので、苦情防止のためには職員側が自衛する、つまり派手すぎすダサすぎない「無難な格好」をするしかありません。

もちろん休日は好きな服を着ていいのですが、自分の身体は平日であれ休日であれ急には変えられません。
そのため、ファッションにおいて重要である「髪型」が厳しく制限されます。

女性であれば、ヘアカラーは黒か、染めるにしてもダークブラウンくらいです。
明るい色にはできませんし、メッシュ入れたりも不可です。
男性は黒一択、かつ長髪は確実に駄目です。 あとはツーブロックもNGな自治体が結構あるようです。
ちなみに僕は「もみあげが長すぎる」と叱られたことがあります。ブラック校則よりも細かいのでは?

女性の場合、手指のネイルも楽しめないでしょう。
ネイルアート自体は休日だけ(平日は落とす)にしても、土台となる爪そのものが長い時点でNGです。 
 
僕はキモオタク独身異常男性なので、ファッションは全く詳しくありません。
外見的にすぐわかる事例しか挙げられないのですが、ほかにも色々と制約があるのだろうと思われます。
ビジネスカジュアルマニアでもない限り、思い通りファッションを楽しむのは難しそうです。


長期休暇が取れないので近場しか旅行できない

細かい休みは取得しやすいものの、長期休暇は取りづらいのが地方公務員です。

地方公務員(特に本庁)の仕事はチームではなく個人技が基本です。
職員ごとに細かく担当業務が分かれており、一人でも欠けるとフォローしきれません。

そのため、「平日に連続して休暇をとる」ことへの強い抵抗感が染み付いています。
もし休んでいる間に担当業務で突発案件が舞い込んできたら、組織全体に迷惑がかかるからです。

僕の勤務先県庁だと、よほどの事情が無い限り、年休取得は週あたり2日が限度です。
お盆や年末年始を除けば、最長でも土日含めて4連休が限界でしょう。
ちなみに、ゴールデンウィークには期待しないほうがいいです。
暦通り休めたらラッキーなほうで、休日出勤せざるを得ないケースも少なくありません。
(ちなみに僕の場合、本庁勤務していた8年間、毎年1〜2日は休日出勤していました)



長期休暇を取れないとなると、長期の旅行、特に海外旅行ができません。
せいぜい3泊4日が限界でしょう。
台湾のような近場なら問題ないでしょうが、移動だけで時間を要するヨーロッパや南半球への旅行は、かなり難しくなります。

職務専念義務のために何であっても売れない

地方公務員には職務専念義務があり、営利活動は禁止されています。
地方公務員は地方公務員法38条により営利活動を制限されています。 
「営利活動」にはいろいろな解釈があるようですが、基本的に「売上が生じる活動は全部駄目」です。
つまり、売上以上に経費がかかっていて利益的にはマイナスであったとしても駄目です。

このため地方公務員は、フリーマーケットで手作り雑貨を売ったり、同人誌を頒布することができません。
 
最近は何でもかんでも「副業」に括られて収益面ばかりが注目されがちですが、こういった活動はそもそも「作ることが楽しい」ものです。
僕もクリエイターとしては傍流の端くれですが、この気持ちはよくわかります。

モノを作るとなると、どうしても経費がかかります。
そこで「対価をとって経費を回収したい」と思うのであり、儲けのためにやっているわけではありません。
しかし地方公務員は、この「経費回収のための売上」が許されていません。

こっそりやっていればバレなさそうなのですが、実際のところ結構バレています。
僕の勤務先県庁でも定期的に発覚しています。
実例を挙げるのは避けますが、恐ろしいくらいにあっさり特定されてしまうようです。
 
僕も実は既に特定されていて、無収益だから放置されているだけなのかもしれません……


地方公務員人生と相性が良いのは、細々と続けていくタイプの趣味でしょう。
高確率で土日は休めますし、平日もそれほど夜遅くなるわけではないので、「毎日20分」とか「週1回」みたいな、細切れの時間は確保できます。

公務員は頻繁に「頭がおかしい」と揶揄されます。
 
住民は電話越しでも対面でも軽々と放ってきますし、マスコミによる公務員バッシングの中でも頻出表現です。

インターネット上では「公務員になるような人間はもともと頭がおかしいのか、公務員として働く過程で頭がおかしくなるのか」みたいなニワトリvsタマゴ論争も繰り広げられています。
(個人的には両方とも存在すると思います。そして両者は「おかしさ」の性質が違います。)

一方、公務員側が他者を「頭がおかしい」と思うケースもしばしばあります。
住民、マスコミ、議員といった役所外の人間はもちろんのこと、味方のはずの上司・部下・同僚ですら時折「頭がおかしいのでは?」と感じてしまうものです。
地方公務員の場合は、中央省庁を動かしている官僚に対して「頭のおかしさ」を感じるケースもあるでしょう。

自分にとって不都合な状況に陥ったとき、その原因を他者に求め、他者に責任をなすりつけると、気分が楽になります。
特に「他人の人格」に原因があると決めつけて、情状酌量の余地なしと断じてしまうと、自分の非が一切なくなり、感情的にもスッキリします。

ただ、こういう整理法は憂さ晴らしにはぴったりですが、根本的な事態の解決に至るとは限りません。
一方的に責任を押し付けられ、「人格に問題がある」と糾弾される側にとっては、当然ながら反発したくなります。
こうして敵対的対立構造が出来上がってしまうと、どんどん事態がこじれていって、解決が遠のいていきかねません。

「頭がおかしい」と判断する前に、情報の非対称性を疑ったほうがいいと思っています。

自分と相手の知識水準は異なる

「情報の非対称性」という言葉自体は公務員試験でも頻出のワードで、聞き覚えのある方も多いでしょう。

ここでいう「情報の非対称性」とは、以下のような状況を指します。

  • 自分の判断の根拠となっている「重大情報」を、相手は持っていない または
  • 相手の判断の根拠となっている「重大情報」を、自分は持っていない

持っている情報が異なるのであれば、異なる判断を下して当然です。
もし相手に自分と同じだけの情報が備わっていたら、自分と同じ判断を下すかもしれません。
この可能性を否定できないうちは、「頭おかしい」とは言えません。

同じ情報を持っているのに異なる判断を下すのであれば、相手と自分は判断基準が異なるわけで、「頭おかしい」認定も可能になります。

インターネットが普及したおかげで「情報の非対称性」が解消されたかのように思っている方もけっこういると思いますが、実際はまだまだ解消されていないと僕は思っています。
 
「情報の非対称性」の存在を忘れているのか無視しているのか、いずれにせよ
  • 「自分も知っていることは相手も当然知っているはずだ」 →相手の無知を考慮しない
  • 「相手が持っている情報は全て自分も持っているはずだ」 →自分の無知を考慮しない
こういう思い込みのせいで不必要にキレている方が多いように思います。
苦情対応していると本当によくあるケースです。


お互いを深く知らずにキレ合う役所と住民

地方公務員と住民という関係では、この「情報の非対称性」が特に生じやすいと思っています。

地方公務員(というより役所組織)は、大事な情報ほど隠したがります。
重大な政策判断ほど対外的に公表できないアレな理由で下されていて、下っ端の職員たちは真の理由を隠すための「表向きの理由」作りに奔走するものです。
さらに最近は個人情報保護にも気を遣わねばならず、何事も迂闊に公表できません。

些細な案件であっても、施策の背景を知らないせいでキレている人によく遭遇します。
「なぜこの施策が実施されているのか」という理由や経緯を知らずに「無駄だ!」と怒っていたり、法的規制を知らずに「なぜ〇〇しないのだ!」と騒ぎ立てたり……

そういう方々から苦情をいただいた場合には、順序立てて背景を説明します。
「最初からそう言えよ!」と捨て台詞を吐かれれば幸運なほうで、「住民にはっきり伝えない役所の広報体制が悪い!」という新たなトピックへと延焼して対応が長引いてしまうパターンもよくあります。

「頭おかしい」認定する前に…… 

冒頭でも触れましたが、公務員は日常的に「頭おかしい」と叱責されます。

罵声を浴びせられる身としては、即座に相手を危険人物認定したい誘惑に駆られるものです。
 
しかし、そう判断する前に、「そもそも必要な情報を持っていなかっただけで相手の人格に問題は無い(はず)」と一呼吸置くことが大事だと思います。

相手を「頭おかしい」認定したところで、事態が好転するとは限りません。
実利を得るためには、軽率に「頭おかしい」認定するのではなく、どうして差異が生じているのかを落ち着いて考えてみるほうが良いと思います。

そもそも「頭がおかしい」という評価自体、もっと細分化して考えるべきだと思います。
判断に至るまでは様々なステップがありますし、各ステップを決定する要素も色々あります。
そのうちどこが自分と異なるのか、冷静に分析してみるのです。

即座に「頭おかしい」認定をぶつけあうギスギスした世の中だからこそ、腰を据えて「差異分析」する価値があると思います。


最近の時事ネタだと、「東京オリンピックの開催の是非」がまさに「情報の非対称性」の典型だと思っています。
当局側と一般国民の保有する情報があまりに異なるために、国民側は当局を「頭おかしい」と感じている……のでは?

ここからは僕の妄想です。

当局にとってすれば、オリンピックは外交問題なのでしょう。
やる/やらないの判断次第で、これからの国際社会における位置づけが変わって、いろいろな場面で不利益を被りかねません。
そこで、諸外国有力者の意向のような情報を収集して、諸々の判断を下しているのでしょう。

外交関係の情報はトップシークレットであり、国民が知るはずありません。
当局と国民の間には、凄まじい「情報の非対称性」が横たわっています。
そのため国民は当局の判断が理解できず、「当局の人間は頭がおかしい」と怒っているのです。

いかなる社会問題であれとりあえず叩かれるのが役所の宿命です。
特に最近は、縁もゆかりもないはずの遠方在住の方から叩かれる機会も増えてきました。

中央メディアの報道姿勢が変わったのか、SNSが浸透したせいなのか……原因はよくわかりませんが、従来であれば知りようのなかった「自分とは無縁な社会問題」に触れる機会、そして「自分とは無縁」にもかかわらず激情に駆られて行動を起こす機会が爆増していると思われます。

役所を叩くこと自体は構いません。
ただ、「役所=諸悪の根源」と信じて疑わない姿勢は大変危ういと思います。
実際は「真の黒幕」が別にいて、役所をスケープゴートにして甘い汁を吸い、青筋を立て口角泡を飛ばす批判者のすぐ隣でほくそ笑んでいるかもしれないのです。

あなたの不利益は誰かの利益、あなたの利益は誰かの不利益

そもそも、住民全員に害をなす社会問題はあまりありません。
多数派から問題視されている事象であっても、誰かがそこから恩恵を受けているものです。

年齢、居住地、職業、家族構成、社会的地位等々、個人を構成するステータス次第で、利害関係は大きく異なります。
そのため、全員が利益にあずかれる事象も無ければ、全員が不利益を被る事象もありません。

同様に、無駄な施策というものも滅多にありません。
目立たないかもしれませんが、誰かが得をしています。

あなたが「問題だ」「無駄だ」と感じたとしても、たまたま自分が恩恵を受けていないだけで、大抵の場合は誰かが救われているのです。

特定の事象を問題視して騒ぎ立てる行為は、方法を間違えれば、この事象から恩恵を受けている方々への迫害・脅迫になりかねません。
たとえ騒ぐ側に加害意図が無かったとしても、騒がれる側は防衛本能が働いてネガティブに捉えがちで、想像以上に傷ついています。

ある事象が社会問題として騒がれると、役所には「罪の告白」のような声も寄せられます。
「私はこの事象のおかげで生活できているのですが、これは犯罪なのでしょうか?」
「自分の存在そのものが否定されている気がして、眠れません」
「このままだと生きていられません、助けてください」
こういう切実な声を聞かされるより、罵倒されるほうがずっと楽です。

真に問題視すべき事象は、単に不利益が生じているだけではなく、
  • 利益よりも不利益のほうが圧倒的に大きい
  • 利益を得ている層があまりにも少ない、不利益を被っている層があまりに多い
  • 利益を獲得する(不利益を押しつける)に至るまでにプロセスに不正があった
こういう極端なケースです。
そしてこういうケースには、たびたび黒幕が潜んでいます。

探してみよう「真の黒幕」

いかなる社会問題であっても、行政は悪者扱いしやすいです。
  • 行政の縦割り構造
  • 意思決定の遅さ
  • 忖度の文化
  • 職員が無能
あたりの理由は汎用性が高く、どんな事象にも適用できます。
こういった理由を組み合わせてやれば、こじつけ感の無い理由が簡単に組み立てられます。 

実際、「行政に一切非が無い社会問題」はごく稀であり、理由は何であれ、行政に責任はあるでしょう。
しかし、「行政=諸悪の根源」であるケースもごく稀だと思います。

行政は執行機関であり、民主主義プロセスの結果なされた意思決定を淡々と実行する立場です。
役所(公務員)が自主的に物事を決めているわけではなく、民意に従って動きます。
社会問題への立場も、基本的には民意に従います。役所に意思はありません。
つまり、一見役所が悪者に見える社会問題であっても、意のままに「民意」を操縦して私腹を肥やす「真の黒幕」が存在するかもしれないのです。

先にも書きましたが、人によって利害関係は様々であり、行政に対する意見も異なります。
そのため、全員が共有できる「民意」というものは実現不可能なのでしょう。
とはいえ、なるべく多くの人が共有できる「民意」を作り上げべきであるところ、「真の黒幕」たちはあらゆるテクニックを駆使して、自らの利益に資するよう「民意」を整えます。


民意=多数派の意見、とは限りません。
とある集団内の有力者の意見をその集団の「民意」とみなすような慣例もありますし、「これが民意だ!」と大声で騒ぐ個人の意見をなし崩し的に受け入れてしまう場合もあります。
とにかく「民意」らしく仕立て上げる、客観的に「民意」のように見えることが重要です。
 

地方公務員稼業では、こういう「真の黒幕」にたびたび遭遇します。
まさに「世にも奇妙な物語」の世界です。
いくつか例示したいところなのですが、さすがに憚られます。

「真の黒幕」の正体は様々です。
有名な人もいれば、無名な人もいます。 
わかりやすい金の亡者もいれば、マジモノのサイコパスもいます。
 
彼ら彼女らが求める「利益」も様々です。
お金、地位、名誉、自尊心、他者の苦痛などなど……

「真の黒幕」というと大仰な話に見えるかもしれませんが、
  • 近隣自治体と比べて公立学校の冷房整備が遅れている
  • 新しくできた公共施設の形がいびつで使いにくい
  • 道路が補修されないまま放置されている
  • 転落事故が起きているのに手すりが設置されない
こういう身近な案件こそ「真の黒幕」がいたりするものです。
卑近で小さな案件ほど、ちょっと激しく動けば個人レベルでも「民意」を左右できて、甘い汁を吸えます。


役所叩きで溜飲を下げる風潮が続く限り、「真の黒幕」達の利益は安泰であり、社会問題も改善されないでしょう。
逆にいえば、役所叩きは「目くらまし」であり、大々的に行政批判されている時期こそ「真の黒幕」が活発に動いているのかもしれません。


先日コメントを頂戴して初めて気づいたのですが、これまで労働組合関係の記事をひとつも投稿していませんでした。
ネタ集めの最中だったり、うまくまとまらずにボツにしたわけではありません。
「組合関係の記事」という着想がそもそもありませんでした。

僕にとって労働組合は「朝からビラ配りしてて大変だなあ」程度の認識しかありません。
一応加入はしているものの、行事にはほぼ参加していません。

そのため、組合の内実はよくわかりません。
こんなライトユーザー視点での組合評です。

組合加入のメリット

まずはメリットとデメリットを整理していきます。

そこそこコスパの良い共済(≒保険)を利用できる

組合員になると、組合が提供している各種共済サービスが利用できます。
共済は保険のようなもので、生命保険や医療保険、自動車保険など、地方公務員が利用しそうなメニューがひととおり用意されています。

保険会社が提供する保険サービスと比べると、共済のコスパは悪くありません。
あくまでも僕の感覚ですが、基本料金が格段に安いというよりも、オプションが安いです。
そのため、それなりに保障内容を充実させるのであれば、保険会社の保険よりも共済のほうが安価になりそうです。

ただし、共済は組合員向けのサービスです。
組合費を払い、組合員の地位を得ている間でないと、利用できません。
共済そのものの費用だけでなく、組合費を含めたトータルコストで比較すれば、それほど安くないかもしれません。

  • 生命保険は死亡保障だけで十分、保険金も最低限でいい
  • 自動車保険は対人対物保障だけで十分、車両保険は不要、レッカーサービスとか示談代行も不要
のように、「保険は必要最低限の内容のみで十分、とにかく安くしたい」という方であれば、共済はかえって割高になるでしょう。もっと安価な保険を探したほうが良さそうです。

人間関係が広がる

組合では、宴会やスポーツ大会のような組合員向けの交友イベントをよく開催しています。
役所内での人間関係を広げたいのであれば、こういうイベントは絶好のチャンスです。
部署・年齢に関係なく職員が集まってくるため、普段の仕事では出会えないような人と巡り会うチャンスです。

実際、職員どうしで結婚した方々から、組合主催のイベントで出会ったという話をよく聞きます。

組合経由での出会いの強みは、似た者どうしが集まりやすいという点です。
交友イベントに参加するのは「人間関係を広げたい」というタイプであり、僕みたいな内向的陰キャはいません。
お互いの目的意識が一致するので、有意義なコミュニケーションが生まれるはずです。

さらに、組合の役職に就けば、他自治体の職員(組合役職者)とも交流できます。
役所内だけでなく全国へと人間関係を拡大できるのです。
詳しくはよくわかりませんが、組合費を使って県外出張もできるとか……


政治家の道に挑戦できる

地方公務員はいつも政治的圧力に晒されています。
中には圧力を受け続けるあまり、「圧を加える側」、つまり政治家に転身したくなる職員もいるでしょう。

地方公務員にとって、組合は最も身近かつフレンドリーな政治団体です。
専従職員になって、政治活動っぽいこともやらせてほしいと名乗り出れば、いくらでもやらせてもらえると思われます。
実際にやってみて肌に合わなければ、地方公務員に戻れます。
退路をキープしたまま政治へチャレンジできるのです。こんな好待遇はなかなか無いでしょう。


組合加入のデメリット

次にデメリットを整理していきます。
デメリットというよりはコストと言ったほうが正確かもしれません。

組合費がかかる

組合員でいるためには組合費を払わなければいけません。
僕の場合、だいたい基本給の1.5%強、月4,500円くらいです。

けっこう面倒な「部署の組合担当」

どんな部署にも最低一人は「組合担当」がいます。
組合本部と部署内組合員との連絡中継役であり、ビラを各組合員に配ったり、勉強会のような行事を周知したりします。
行事によっては動員人数のノルマが課されていて、参加を渋る人を説得したりもします。

この仕事がなかなか厄介です。
僕も1年だけ経験しましたが、普通の業務よりもストレスを感じました。
動員のお願いが本当に辛い。


総評:金銭的には損だけど……

短期的な金銭面で考えれば、組合に加入するのは損でしょう。
とはいえ組合が弱体化したり消滅したらもっと損をしそうなので、金銭的に困窮していないのであれば、お布施感覚で組合費を払っていてもいいのでは?と思っています。

公務員の味方になってくれる唯一の団体

公務員の労働環境改善を堂々と主張できるのは、現状、組合だけです。

このブログでも何度か触れていますが、世間は「公務員の労働環境改善」に断固反対します。
「公務員にしかメリットのない予算執行は許されない」「そんなことに予算と労力を割くのなら住民に還元しろ」というロジックです。

最近だと、もし予算案の中で「庁内執務スペースの新型コロナウイルス感染症対策」をはっきり明記したら、マスコミや議会からコテンパンに叩かれるでしょう。

「公務員の労働環境改善」を実現するには、世間の大多数と戦わなければいけません。
もちろん役所は世間に逆らえないので、役所以外の誰かに戦ってもらうしかありません。

世間の潮流に真っ向から反抗するこんな危険な主張ができるのは、現状、労働組合だけです。
実現できるかどうかは別にして、組合以外は主張すらできません。
もちろん組合だって「公務員の労働環境改善」を主張すれば叩かれますが、組合という政治団体だから耐えられますし、他の政治要素と絡めることで環境改善を実現できるかもしれません。

組合がどれだけ頑張ったところで、賃上げは期待できません。
人事院勧告にはどうあがいても逆らえないからです。

しかし、「労働環境改善」のために、役所に支出させることは可能です。
これだけでも労働組合の必要性は十分あると思います。


闘争から守ってくれる唯一の団体

過去の記事でも少し触れたのですが、自治体では今後もどんどん非正規職員(会計年度任用職員)が増えていくと思っています。


 
正規職員と非正規職員では待遇が大きく異なります。
言うまでもなく非正規職員のほうが不安定であり、組合のような組織が必要です、
そのため、非正規職員が増えていけば、いずれ非正規職員だけの組合が登場して、力を伸ばしていくと思います。

非正規職員にとってみれば、正規職員は労働者ではなく使用者であり、闘争の相手です。
つまり、正規職員個人に対して非正規職員の組合が争議をふっかけてくるケースも十分想定されます。
(事務職員個人vs技能労働職組合という構図であれば、これまでも実際に発生しているかもしれません)

このような事態が生じたら、個人vs集団ではあまりに部が悪すぎます。
正規職員側も個人ではなく集団、つまり組合として応じないと、押し負けます。

争議するためではなく、争議から身を守るためにも、組合の必要性があると思います。


この記事を書いて改めて考えてみると、僕にとって組合は、無くなったら困るけど関わるのは面倒という存在です。
住民から見た役所と同じようなポジションかもしれません。


本記事を読む前に、これまでの人生を振り返ってみてください。
仕事以外の用事、つまりプライベートの用事で都道府県庁に行ったことって、どれくらいありますか?

僕の場合、
  • マンション管理士試験の申込書を貰うために公営住宅担当課に行った
  • 県立の体育館を借りるために申込書を提出しに行った

この程度です。
多分ほとんどの方が、プライベートの用事では滅多に県庁に行かないのでは?

一方、市役所や町村役場のほうは、たびたび足を運んでいるでしょう。
僕の場合も、マイナンバーカードを作ったり、転入・転出届を出したり、戸籍謄本などの証明書類を取得したり……なんだかんだ用事があって毎年1回は行っています。

この違い、つまりプライベートの用事で訪れる頻度の違いが、市町村職員と県庁職員の業務の違いにも大きく影響していると思います。


市役所・町村役場はプライベートモードの人、つまり「オフの人」を主に相手にしています。

一方、県庁は仕事モードの人、つまり「オンの人」を主に相手にします。


「オン」相手の仕事、「オフ」相手の仕事

もちろん県庁にも「オフの人」を相手にする仕事があります。
自動車税や都道府県民税、公営住宅関係の仕事がその典型でしょう。
ただし、県庁の業務全体からみれば、こういった業務の割合は小さく、従事している職員の数も少ないです。

県庁での対外的な仕事といえば、法人相手の手続き対応がメインです。
職員が対面する相手は「一個人」ではなく「組織の一員」であり、典型的な「オンの人」であります。

何より県庁は、国や市町村とのやりとり、つまり公務員相手の仕事がものすごく多いです。
公務員もまさに「オンの人」です。



一方、市町村の仕事は、住民票関係や各種手当(児童手当など)、生活保護、介護保険、国民健康保険など、住民のプライベートに関わる仕事がたくさんあり、多くの職員がこういった仕事に関わっています。
これらの制度を利用する住民は「オフの人」です。
仕事のためではなく自分自身の私生活のために利用しているからです。

「オンの人」相手の仕事もあるのでしょうが、県庁よりはずっと少なく、役所の仕事全体に占める割合も小さいと思います。

「オン」の人、「オフ」の人

どんな人も「オン」と「オフ」とで異なる顔を持ちます。
 
オンオフの差は人それぞれですが、一般的に「オン」のときのほうが感情の起伏に乏しく打算的だと言えるでしょう。
よく言えば冷静で落ち着いている、悪く言えば無味乾燥でつまらない人間です。
 
人間関係においては、自分の本心を曝け出すわけではなく、表層的な段階を超えません。
まさに「仕事上の関係」です。

「オンの人」と「オフの人」、いずれを相手にするかによって、業務の雰囲気が大きく変わります。

「オンの人」相手の仕事=腹の探り合い

まず、「オンの人」は属性が限られます。
年齢は20代〜60代で、日本語が使えて、健康かつ認知機能のしっかりした方ばかりです。
社会的なステータスもそれなりに高く、常識をわきまえている方がほとんどです。

「オンの人」はたいてい親切です。好感を持たれるよう愛想よく振る舞います。
怒るときも、感情を爆発させるわけではなく、理路整然と詰めてくるほうが多いです。

ただし、親切なのはあくまでも自分の目的を達成するための手段です。
嫌われるよりも好かれていたほうが何事もスムーズに進むから親切なだけで、役所が好きなわけでもなければ、担当職員に個人的な好印象を持っているわけでもありません。
基本的なビジネスマナーを実践しているだけです。

そのため、ある程度までは容易に信頼関係を築けるものの、心の底から打ち解けるような状態までは滅多に至りません。
裏切ったほうが目的に適うと判断すれば、あっさり裏切られます。
なんともドライな関係です。

「オンの人」相手の実際の仕事では、相手の言動は打算であるという前提で動きます。
相手から感謝されても、怒られても、悲しまれても、あくまでも打算だと考え、これらのアクションの裏を読もうとします。
相手の言葉をそのまま鵜呑みになんて絶対しません。発言の経緯や真意を探ります。
相手と協調路線で物事を進めているような状況でも、裏切られた場合を常に想定しています。
ニコニコ笑顔を取り繕いつつも腹の探り合いをしているようなものです。

「オフの人」相手の仕事=生身の人間との対面

一方、役所が関わる「オフの人」は、たいてい苛立っています。
特に役所の窓口に来る方は、来たくて来ているわけではなく、来させらているという認識であり、「貴重なプライベートが潰された!」と言わんがばかりのイライラが表れています。
ただし、うまくスムーズに対応できれば、笑顔で帰ってくれることも多いです。
このときの笑顔は打算ではなく本心でしょう。


属性も幅広く、相手に合わせた対応が必要になります。
認知症のために話が通じなかったり、心身に深い傷を負っていたり、カタギでなかったり……
「読み書きができない」という方も結構いらっしゃいます。

「オフの人」相手の仕事では、文字通り「生身の人間」を相手にしているという感覚があります。
僕の思い違いかもしれませんが、打算ではない「本心」を感じます。
感謝されたら嬉しいですし、力になれなかったら凹みます。


比率の違い

県庁も市役所・町役場も、「オンの人」「オフの人」両方を相手にします。
ただし、その割合は大きく異なります。
県庁であれば「オンの人」、市役所・町役場では「オフの人」相手の仕事が多いでしょう。

どちらの仕事が向いているかは、完全に人それぞれです。
「どちらが楽か」「どちらがやりがいがあるか」とも一概には言えません。

インターネット上には「県庁の仕事は住民のためになっている実感が無く、やりがいが感じられない」という意見が多数ありますが、これは「オンの人」対応が多いという県庁の性質の帰結なのかもしれません。

僕は圧倒的に「オンの人」相手のドライな仕事のほうが性に合っていて、県庁を選んで正解だったと思っています。

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