キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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タグ:公務員試験

「理系なのに行政職になったら、採用後ついていけないかも……」という不安を時々見かけますが、 
地方公務員レベルであれば、理系学部出身であっても、実務に困ることは全くありません。

大学で学ぶ知識はそもそも必要なのか

「理系学部出身者は文系知識が無くても大丈夫な部署に配属される」という意味ではありません。
 
そもそも、文系学部で学ぶ知識が大半の部署で必要とされません。
そのため、どんな学部を卒業していようと、地方公務員として働く上では関係無いのです。

大学レベルの知識が必要な地方公務員業務は、制度設計くらいだと思います。
現状、学識要素は外部有識者に任せっきりで、大抵の役所職員は役所的要素(お偉いさんをうまく納得させられるかの調整)しかこなせていないのでは?

大学で学んだ学識要素を実務に反映させられているかどうか。
ここが国家公務員(本省勤務)と地方公務員の大きな能力差だと思います。 
自分も猛反省です。

試験さえ突破すれば

理系学部の方だと、採用試験は苦労するかもしれません。
試験範囲が文系科目ばかりなので、初見に近い用語がたくさんあって圧倒されるでしょう。
ただ、公務員試験自体は単語暗記要素が強い試験なので、しっかり勉強すれば大丈夫だと思います。

個人的には、理系の方にもどんどん地方公務員事務職を志してもらいたいなと思っています。
役所くらい大きな組織であれば、人材は多様な方が強いです。

公務員受験ブログでもオススメされている、現役職員へのインタビュー(OB訪問)。
僕自身も受験前に何人かの職員にお話を聞き、実際には定時退社できないことを強く刷り込まれました。

実際に地方公務員として働き始め、インタビューされる側になってみると、公務員試験(特に面接)に役立つような情報を提供できているのか、むしろ偏った情報を与えているのではないかと不安に思うようになりました。

今回は、現役職員にインタビューする際の注意点を紹介したいと思います。
記事にするの、ちょっと遅かったかな…… 

※本記事での「インタビュー」は、採用試験に向けた情報収集のため現役の職員に非公式の場で会って面談することを指します。
あくまで採用試験に限った話です。

偏った個人的見解の危険性

役所内ではどんな部署でも、厳しく情報統制が敷かれています。
下っ端職員が対外的に喋ってもいいのは、すでに公表された情報だけです。

この制約は、公務員志望者相手のインタビューでも同様です。
既に記者発表されていたりホームページに掲載されている内容か、総合戦略や基本方針のような大雑把な方向性しか話せません。

そのため、インタビューでは、具体的な仕事内容の話題になると、ほとんどの職員が「自分の個人的な見解なんだけど……」という前置きを入れてから話し始めると思います。

この個人的見解が大変な曲者です。
個人的見解である以上、その職員の独りよがりなアイデアにすぎません。
いくら具体的で実現可能性があっても、自治体という組織全体にとって許容できるものか、未知数です。
耳触りは良くても、組織的には断固認められない考えかもしれないのです。

つまり、現役職員発のアイデアであっても、面接ウケするかどうかは別問題なのです

もし僕が「インターネットを活用した観光政策はこれからどうあるべきか?」と聞かれたら、「バーチャルユーチューバーみたいな感じでバーチャルゆるキャラを作るべき」と答えます。

もちろん出落ちではありません。モデル作成をどこに頼むか、中の人をどうやって選ぶか、原稿監修をどういう仕組みで運用するか……等々、ローンチからランニングまで具体的に、政治的な根回しも含めてお話しします。

飲み会の場では結構ウケが良いものの、実際に財政当局に予算要求して施策として認められるかは別問題です。

職員から聞いた話は、あくまでも一意見だと割り切らなければいけません。

総合戦略・基本方針を踏まえていないかも… 

地方公務員の面接では、総合戦略や基本方針を熟読して、これらを踏まえて喋ることがセオリーらしいです。

受験側としては、これらの抽象的な文言がどういうふうに具体的な施策に落とし込まれているのか、是非とも現役職員から聞きたいところだと思いますが……恥ずかしい話、全職員がこれらを自覚して仕事をしているわけではありません。
特に庶務系の仕事をしている職員だと、全く知らないかもしれません。

僕も現在の観光系部局に異動するまで、総合戦略も基本方針も知りませんでした。
それまでの配属部局は受け身なところばかりで、建設的な施策とは一切関係していなかったためです。

インタビューをお願いする相手は、産業振興や観光、広報のような、対外的施策を直接担当している職員を選んだほうが無難だろうと思います。

総合戦略や基本方針を作っているのは、企画調整や企画振興という部局になります。
ここの職員に直接インタビューできれば、これらの中身を詳しく聞けるでしょう。
ただ、(自治体によって状況異なると思いますが)この部局は対内的調整業務がメインで、志望動機にできそうな具体的な話を引き出すのが難しそうです。

複数人にインタビューするのがベスト

オススメなのは、複数の現役職員にインタビューすることです。
まずは一人、誰でもいいのでインタビューしてから、「○○について関心あるんですけど、お知り合いの方に会わせてもらえませんか?」とお願いして本命部署の職員を引き出すのです。

紹介されて出てくる職員は、職員の中でも相当まともな人でしょう。
まともではない人は、紹介できません。

具体的な施策の中身よりも、公務員特有の観点、ロジック、発想法がどんなものなのか、教わるというよりは見極めるくらいの気持ちで臨めばいいのかなと思います。

公務員試験の結果報告を見かけるようになりました。
合格された方、おめでとうございます。

複数の役所に合格した方は、本命以外のところの内定を早めに辞退してもらえると助かります。
引きずれば引きずるほど、補充が間に合わなくなるので……

無事合格された方は、ようやく試験勉強ともおさらばかと思います。お疲れ様でした。
試験勉強に使った書籍類は、もう2度と見たくないことでしょう。
ダンボール詰めて一括処分しようと準備中かもしれませんが、ちょっと待ってください。
中には翌春からの実務にも役立つものもあります。

今回は、公務員試験勉強の教材の中で、どんなものが実務にも役立つのかを紹介します。
試験勉強に使った教材を処分する前に一読してもらえると嬉しいです。 

※リンクで掲載している書籍は、参考までに適当に選んだものです。

専門科目の基本書は残しておいてもいいのでは?

俗にいう基本書は、もともと公務員試験対策に特化した書籍ではなく、幅広い読者層を想定しています。
試験対策だけでなく、地方公務員として働き始めてからの実務にも役立ちます。
そのため、保管するスペースがあるのなら、なるべく残しておいたほうがいいと思います。

少なくとも憲法・民法・行政法は実務で確実に使うので、ぜひとも残しておくべきです。
僕の場合、試験勉強中よりも実際に働き始めてからのほうが、頻繁に紐解いています。


憲法 第六版
芦部 信喜
岩波書店
2015-03-06


民法I 第4版: 総則・物権総論
内田 貴
東京大学出版会
2008-04-03


行政法 第5版
櫻井 敬子
弘文堂
2016-02-17

 



統計学も実務で使います
業務でアンケートを取る際、どれだけの数を集めないといけないのか、統計学の考え方をもとに算出することがあります。
今流行りの学問でもあるので、教養や話のネタとしても残しておいたほうが良いでしょう。

はじめての統計学
鳥居 泰彦
日本経済新聞社
1994-11-01



経済学
の基本書も、部署によっては頻繁に使います。
国の省庁では、制度設計にあたり、マーケットデザインやゲーム理論などの経済学(試験科目でいえばミクロ経済学寄り)の知見を利用しています。
この辺りの考え方を調べるため、基本書を紐解かなくてはいけません。

ミクロ経済学の力
神取 道宏
日本評論社
2014-09-25






あとは財政学です。
実務にあたっていると、財政の大局的なルールを見失いがちです。
時折見返して、自分は客観的にはどういう立ち位置で、どういった機能を果たしているのか、位置確認をすると良いでしょう。

財政学
持田 信樹
東京大学出版会
2009-10-22



参考書も1冊は残しておいてもいいかも?

地方公務員は、とにかく資料を作ります。何でもかんでも資料作りから始めます。

地方公務員の資料は、なるべく情報量を盛り込みつつも1枚に収めることが求められます。

公務員試験に限らず、試験の参考書はわかりやすい文章・ページ構成になっていて、資料作りの参考になります。
お気に入りのものを1冊残しておくと、後々役に立つでしょう。

その他役立つもの




詳説世界史研究
山川出版社
2017-12-03




 

詳説日本史研究
山川出版社
2017-08-31



地方公務員の教養として、地理・歴史は抑えてほいたほうがいいと思います。
(主にクレーマー対策のため。知らないとマウントを取られるかも。)

僕の場合、最初に配属された部署が防災系だったため、理系の参考書(特に物理・地学)も役に立ちました。




新 百万人の天気教室
白木正規
成山堂書店
2013-11-08



自分の手元に残しておくのではなく、友人や後輩に譲るのもアリだと思います。

科目にもよりますが、改訂版で追記された最新の内容は、公務員試験では滅多に出題されません。
試験勉強目的なら、少し古い版でも支障無いでしょう。 

最近はほとんどの自治体でインターンシップを実施しています。
民間企業のようにしっかり予算をかけているところは少ないようで、だいたいは人事部局で募集と参加者の部署別割振り人数を決めて、あとは各部署にお任せ、というパターンが多いようです。
 

インターン受入担当職員をとにかく見定めて

各部署でインターン対応にあたる職員(特に若手)は、職員の中でも上澄み中の上澄みです。
業務的に優秀で、人当たりも良く、自分の担当業務だけでなく行政全般のことをしっかり考えている職員が大概対応します。

自治体によっては、人事部局から指名されることもあるようです。
インターンの内容は放任なのに、対応者だけは指名するという気合いの入れ具合。
業務内容そのものよりも「人」を見せたいという意図すら感じます。


対応してくれた職員に好感を持てなければ、ほかの大多数の職員に対しても同じく好感が持てないでしょう。

また、対応してくれた職員の手際が悪いとか、粗ばかり目につくようであれば、地方公務員という仕事自体があなたの器にふさわしくない可能性が高いです。
優秀とはいえ、その程度です。採用されたら、もっと手際の悪い人たちと一緒に仕事をすることになります。

インターン対応を任されるような優秀な職員は、将来の幹部候補でもあります。
いずれ、その職員の部下になるかもしれません。
「こいつに命令されてどう思うか?」と自問自答してみてください。

インターン受入部署自体が平均以上の環境

余裕があれば、職場にいるほかの職員の様子もぜひ観察してください。
インターン生を受け入れるような部署は、役所の中でもメインストリームです。平均以上の職員で固められています。
 
実際に採用されてみると、もっとひどい環境が待っている可能性は十分あり得ますが、目の前以上の環境である可能性は相当低いです。
少なくとも眼前の環境を許容できるかどうか、よく見てみてください。


僕が現在勤務している観光の部署では、毎年インターン生が来ています。
勿論、僕のようなキモメン陰キャは、インターン生に近寄ることすらできません。 
毎年、イケメン新人とベテラン主任が対応しています。

インターンで見える部分は、地方公務員稼業の中でも最も輝かしい部分です。
大半の職員は、もっと地味な仕事をしています。
業務内容の紹介ではなく、職員の紹介なんだと割り切って人間観察に集中した方が、学びが多いかもしれません。


公務員予備校

以前にも記事にしたとおり、僕は独学で県庁地方上級試験に合格しています。
予備校は一切利用していませんし、模擬試験すら受けていません。

今回は、予備校不使用者の観点からみた、予備校に通うメリット・デメリットについて書いていきます。

僕の場合、元々民間志望だったところを諦めて公務員に転向、短期間の詰め込みでの公務員試験を受けました。予備校に通って勉強するだけの時間的猶予が無かっただけで、「予備校は不要だ」と思っているわけではありません。

もし県庁試験に落ちていたら、次年度の公務員試験に備えて、すぐに予備校に通い始めるつもりでいました。

予備校利用者の割合は?


本論の前に、僕の周囲の予備校利用状況を紹介します。
同期採用職員のうち、大卒ストレート合格者に限っていえば、8割近くが予備校を利用していたようです。
特に地元大学組は、ほぼ全員が予備校を利用していて、初任者研修の時点で既に人間関係が出来上がっていました。予備校時代からの顔なじみなんですね。

一方、都会の超有名大学からのUターン組は、利用していない人が多いです。

メリット:試験情報が手に入る

 
予備校を利用する最大のメリットは、受験自治体の正確な試験情報が手に入ることだと思います。
僕は遠方からの単独参戦だったため、過去の論文試験の主題も、面接の形式も知らないまま、本番に臨みました。ものすごく不安でした。

予備校に通う代わりに、僕は現役職員と直接交流して情報を集めようと考え、実際に何名かの現役職員とお話しさせてもらいました。
結果、自分に向いているかどうかの判断には大いに役立ちましたが、試験そのものにはあんまり役立ちませんでした。

大抵の職員は、試験のことを覚えていません。
僕みたいにツイッターで勉強ログを取っていれば別ですが、そんな人間はごく稀です。

試験の様子は、現役職員に聞くよりも、多くの受験者からの情報をとりまとめている予備校のほうが豊富に知っています。
論文添削や面接対策も、大学の就職サポートセンターみたいなところでも対応してくれますが、受験自治体の情報を持っている予備校であれば、受験先の特色に合わせて実施してくれます。

逆に言えば、受験自治体ピンポイントの情報収集や試験対策をしてくれない予備校には、通うメリットは薄いともいえそうです。
Uターン受験する場合には、面接対策だけでも、帰省したタイミングあたりに地元予備校を利用したほうが良いでしょう。

デメリット:費用とコミットメント


予備校のデメリットは、独学と比べかなりの費用がかかることです。
 
予備校で得られるサービスに比べて費用が高すぎるという意味合いではなく、前もってコストを投じてしまうことで、公務員試験に縛られてしまい、公務員以外の魅力的な選択肢が閉ざされかねないことのほうを、僕は問題視しています。

有名な心理効果に、サンクコストやコミットメントというものがあります。
ざっくり言うと、一度コストを投じてしまった(コミットしてしまった)物事に対しては、冷静に考えて悪手だと後々解っても、手を引きづらくなるというものです。

公務員よりも魅力的な就職先は、世の中たくさんあります。
そういうものに出会ったら、「せっかく払った予備校代が勿体無い」と思わずに、挑戦してみるべきです。
公務員は年齢制限さえ超えなければ、またチャンスがありますが、民間就職は新卒勝負です。

学科試験対策としての予備校

学科試験対策という観点では、予備校に通うべきか否かは、完全に人によると思います。

僕の感覚では、大学入試のセンター試験に近いです。
思考力よりも知識量、浅いけど幅広く知識をストックできるかどうかが試されていると思います。
以前、独学合格の超有名大学卒の同期も、「公務員試験はセンター以上に暗記ゲー」と話していました。

そのため、予備校に通っても通わなくても、勉強時間の大半は問題集の周回に充てることになると思われます。
自分で調べ物をしたり、文献を探したり読み込んだりするのではなく、暗記と想起の訓練です。
これが自力でできる、つまりテキストや問題集の内容を一読して理解できるのであれば、予備校は不要かもしれません。

実際に初学科目の『スーパー過去問ゼミ』を解いてみるのがおすすめです。





ただし、公務員試験は大学受験よりも科目数が多いので、試験勉強のスケジューリングが難しいです。
試験勉強慣れしていないのであれば、予備校に通う方が安全でしょう。
 

以上、予備校不使用者なりに予備校のメリット・デメリットを考えてみました。

つまるところ、
 
・利用するなら地元予備校
・公務員よりも魅力的な就職先を見つけたら、予備校代を勿体無いと思わずに真剣に比較考量しよう
・よっぽど試験勉強慣れしている場合を除き、予備校に通ったほうがいい 

というのが、僕の思いです。

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