キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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「地方自治体の出世コースといえば人事・財政・企画」という言説がインターネット上ではすっかり根付いています。
書き手によって順位付けは異なるものの、この3部局が突出している点ではだいたい共通しています。

これら3部局に配属されることが出世への近道、つまり出世コースであることは僕も完全に同意します。
ただし、配属後の業務の性質でみると、企画部局だけは毛色が違うと思います。

人事と財政は、仕事の中身がおおかた決まっています。
ものすごく重要かつ面倒だけど手順・作法が決まっている仕事を確実にこなすことが求められる、いわば急勾配で空気が薄いけど舗装された登山道で頂上を目指すようなものだと思います。

一方の企画部局は、どんな仕事が飛び込んでくるか、誰も予想できません。
未舗装かつ測量すらしていない斜面をひたすら手探りで登っていくようなものです。

俗にいう「長期構想」「基本計画」のような、全庁横断的(総合的)で長期的な計画のことを、本稿ではまとめてウィキペディアに倣い「総合計画」と表現します。

そもそも企画部局の仕事とは?

企画部局は、自治体によって名称がバラバラです。


都道府県だと、ここに掲載されている部局が「企画部局」にあたるものと思われます。
(山形県と新潟県は違うかな?)
「企画」「戦略」「総合」「政策」あたりの文言が特徴です。

自治体ごとに名称が異なるとおり、企画部局の所管業務は自治体ごとに異なります。
インターネット上では「企画部局=総合計画」というシンプルな整理をされている情報が目立ちますが、実際は他にもたくさんの業務を抱えています。

企画部局の業務をおおまかに分類すると、以下の3つに分類できます。
  1. 総合計画の策定、実績評価
  2. 全庁的な意見のとりまとめ
  3. 外部から突発的に降ってきた新規案件をとりあえず引き受ける

1は言わずもがな、企画部局の代表的業務です。
ただし、同じ総合戦略関係の業務でも、そのプロセスは自治体ごとにまちまちであり、特に企画部局が内容に口出しできるかどうかという点には注意が必要です。

強い企画部局であれば、実際に事業を行う課が作った原案にどんどん口を挟んで、目標値を上乗せしたり、事業期間を前倒したり、そもそもの目標を変えたり……等々、暴虐の限りを尽くします。まるで政治家です。

しかし弱い企画部局には、各課が提出してきた原案を日本語的に読みやすく整える程度の権限しかありません。


2の業務は、自治体としての総意をまとめるものです。
具体的には、首長どうしの懇談会や国会議員への要望が挙げられます。
こういった機会では、庁内各部局の案件をまとめてパッケージ化する必要があります。
業務プロセスは総合計画と似ていて、まずは各部局から原案を集め、それらを組み直し、縦割り感を消して統一感を持たせます。


3の業務は、事業内容がはっきりしなかったり、あまりに斬新な案件であったりするために、すぐには担当部局を決められない場合に、しぶしぶ企画部局が引き受けるものです。
最近だと中央省庁の地方移転やSDGsあたりでしょうか。

一旦は企画部局が引き受けるものの、あくまでも暫定的な対応です。
いずれ別部局に引き継ぎます。
引き継いだ後もちゃんと業務を回るよう「先鞭をつける」「前例をつくる」のが企画部局の役目と表現しても差し支えないと思います。

2と3の役割は、自治体によっては企画部局以外(財政、秘書、総務あたり)が担っているかもしれません。

とにかく精神がすり減っていく

前述の1〜3のいずれにしても大変な仕事です。
業務量はそれほどではないかもしれませんが、精神的負担は非常に大きいです。

「ゼロから全て組み立てる」という公務員らしからぬ仕事

まず、企画部局の仕事にはルールもマニュアルもありません。
達成すべき目標も、目標に向かう作業工程も、作業に必要なツールも、すべて自ら準備しなければいけません。
上司や同僚に相談しても有益な答えは返ってこないでしょう。彼ら彼女らもわからないからです。

ゼロベースで仕事を組み立てていくのが好きな方もいるでしょうが、大抵の地方公務員にとっては苦行です。
過去の業務経験がほとんど活きず、ひたすらもがき続ける日々が続くでしょう。


「忖度に次ぐ忖度」に陥りがち

「ゼロから仕事を組み立てていく」とは言うものの、担当職員に決定権限があるわけではありません。
むしろ担当職員の裁量は小さく、首長はじめ幹部職員、議員、地域住民の声、経済界の有力者といった方々の意見を収集し、ちょうどよい「落とし所」を探るのが担当職員の役割でしょう。

偉い人たちが意思決定するための準備(資料作成、事例収集など)をして、決まったことを機械のように実行していくだけです。
職員自身の意に反する流れになろうとも、口を挟む権限は全くありません。
むしろ「自分の意思」なるものを極力排し、偉い人たちの意向が正確に実現されるよう心を砕くべきです。いわば高度な忖度です。

どんな部局であれ、地方公務員の仕事には「偉い人への忖度」が含まれるものですが、企画部局の仕事は特にこの要素が強いと思います。
忖度は巧拙はっきり分かれます。誰でもできるわけではありません。
苦手な人にとっては苦痛でしかありません。



他部署に仕事を押し付けざるを得ない

企画部局の仕事は役所全体に影響します。
他部局に仕事を振って、平常業務の手を止めて作業させるくらいは日常茶飯事で、時には過去の意思決定を撤回してもらうことすらあります。
他部局からするとたまったものではありません。いい迷惑です。

そのため、企画部局はよく他部局と揉めます。
人事や財政とは異なり、企画部局には権限がありません。
他部局からすると、企画部局に従うメリットも無ければ、従わない場合のデメリットもありません。
企画課側から何か指示したところで大人しく従ってくれるケースは稀で、たいていは自らの主張をぶつけ返してきます。

いかに他部局を従わせるか、企画部局の職員は日々頭を悩ませていることでしょう。
「最初から敵意全開の相手を説得する」という他部局とは比にならない高度な調整能力が求められますし、相当な精神的負担があることは想像に難くありません。

僕自身、企画部局からの作業依頼を素直に引き受けたせいで上司から怒られた経験があります。
「君がその作業に手をつけてしまったら、それが前例になって、議会の質問も住民訴訟も全部うちが引き受けなきゃなんないんだぞ?しかも企画部局案件だから人員も予算も増えないんだぞ!?」と。
完全に厄介者扱いです。

配属されてからが真の競争

企画部局の仕事は、頑張ってどうにかなるものではありません。明らかに向き不向きがあります。
他の出世コース(財政・人事)の仕事よりも体系化されておらず、きちんとこなせる職員は少ないでしょうし、年度による当たり外れも大きいでしょう。
そのため、人事や財政と比べ、適応できずに脱落する職員の割合が大きいと思われます。


その反面、企画部局でしっかり仕事をこなせれば、役所内でも希少な人材となり得るとも言えるでしょう。
企画部局で経験する「ゼロからの業務組立」「対外的な忖度」「高度な庁内調整」は、いずれも間違いなく役所運営に欠かせない要素であり、どんな部署でも、どんな地位まで上り詰めようとも活きてくると思います。


民間企業だと、「営業職」「経理職」「法務職」のように担当業務の種類ごとに社員を分類します。
対して地方公務員は、所属する部局ごとに分類するのが一般的です。
業務の種類では、「事務職」「技術職」のような採用区分よりも細かく分けることはほとんどありません。

役所では、事務職であれ技術職であれ、一人が何役も兼務しています。
そのため業務内容別に職員を括るのが困難です。

例えば今年度の僕の場合、経理(支払い事務)・法務・ホームページ管理・雑用担当を兼ねています。
それぞれの業務に費やす時間も労力も凡そ均等で、どれがメインとも割り切れません。

とはいえ、自分のポストがどういう種類の業務から成り立っているのか分析して客観的に眺めてみれば、新たな発見が得られのではないでしょうか?

とりあえず事務職の県庁職員バージョンの分類法を考えてみました。

県庁職員の5大業種


まず、県庁職員(事務職)の業務を、
  • 内部調整
  • 庶務・経理
  • 法規・制度
  • 住民対応
  • 非法定事業

という5つの類型に整理します。
これらの項目は完全に僕のフィーリングです。もっと適切な分類方法もあるでしょうが、今回はこれで進めます。


先にも触れましたが、地方公務員は複数の担当業務を兼任している場合がほとんどです。
そのため、ある職員を5類型のうちのどれか1つに当てはめようとすると無理が生じ、正確な把握ができません。

そこで、業務全体に占める5要素それぞれの内訳(割合)という形式を用います。
10ポイントを各要素に配分して、「内部調整3、庶務・経理4、法規・制度3」のような形で、担当業務を定量的に表現します。
さらに配点をレーダーチャート化することで、業務の特徴が可視化されて、よりわかりやすくなります。
 

01_チャート概説


具体的な事例も掲載しておきます。

02_典型例



定量的に表現することで、これまでの担当業務の比較が容易になります。

例えば、楽しかった年度(または辛かった年度)の間に、共通する特徴を見つけられるかもしれません。
僕の場合、「非法定業務」がある年度は、残業が多かったものの楽しかったです。

一方、「内部調整」と「法規・制度」の両方にポイントが計上された年度は、いずれも非常に辛かった。
法令的に不可能な処理を別部署から無理強いされるケースが多発し、精神的に磨耗したせいだと思われます。

応用編 〜業務経歴の可視化〜

過去の担当業務のスコアを足し上げていけば、これまでの自分の経歴を可視化することも可能です。

経験豊富な業務ほどスコアが高くなります。

地方公務員の業務経歴に触れる場合、たいていは所属していた部局を語ります。
ある部局の所属年数が長いことを以って「〇〇畑だ」と表現するのが、その典型です。

しかし地方公務員は部局をまたいで異動するのが普通であり、「〇〇畑」を自称できるほど特定部局に特化できるケースはむしろ稀です。
このために「自分には専門分野が無い」「公務員は専門性が身につかない」と嘆く人も多いです。

所属部署という要素を除外して、業務の種類という観点で経歴を見てみると、全く別の特徴が見えてきます。
役所がよく標榜している「ジェネラリスト育成」という題目では、5要素どれもを均等に経験させることを理想としていると想定されますが、実際は結構偏っていると思います。
この偏りから、自分のキャリアの特徴、つまり専門性が浮かんできます。

出世コースの謎が解ける?

業務経歴を定量化することで、出世コースへと選抜される職員の特徴を特定できるかもしれません。
試しに僕の同期職員のケースで算定してみました。比較対象として僕のケースも掲載しておきます。
 
03_経歴比較

出世コースに進んだ職員と僕とでは、チャートの形が明らかに異なります。


出世コースへと選抜された職員は、部局が変われども「内部調整」「非法定事業」スコアの高い業務を担当し続けていました。
俗にいう新規施策や目玉施策は、これらのスコアが高くなります。
こういった目立つ事業を担当しているうちに幹部の目に留まって、出世コースへと抜擢されるのでしょうか?

事例を収集していけば、役所の神秘「出世コースに選ばれるまでの過程」を検証できるかもしれません。

誰か改良してみて(他力本願)

この方法の肝は、数多くある役所の仕事をいかに分類・集約するかだと思います。

僕は前掲のとおり5要素にまとめてみましたが、もっと良い方法があると思います。

まず、5要素のほかに「役所間調整」を別要素として設けるべきか否かで未だ迷っています。
特に県庁の場合、国や市町村とのやりとりが業務内に大きな割合を占めていますし、庁内調整とも住民対応とも異なる独特のコミュニケーション力を必要とする業務でもあるからです。

他にも
  • 「定型作業」を別要素として設けるか
  • 外部団体への出向をどうスコア化するか
  • 係長級以上はこの5要素だと通用しなさそう(あくまで担当レベルの分析ツールにとどまる)

あたりは、現状認識している課題です。



どこの自治体も、そろそろ異動希望の調査がある頃合いでは?
僕は今年の4月に異動したばかりですが、「とにかく出先機関に異動したい」と回答するつもりです。

今の部署に不満があるわけではありません。
1年スパン異動を繰り返しているので、久々に同じ部署に腰を落ち着けたい気持ちもあります。
 
しかし今後の自分のキャリアのため、そして組織のために、僕は早急に出先機関に転出するべきだと思っています。

40代以降はずっと出先機関

同期入庁職員の出世ヒエラルキーが概ね決まり、僕が本庁で出世する可能性はほぼゼロに固まりました。
係長以上のポジション、つまり部下を持つ役割を本庁で拝命することはあり得ないと思われます。

僕の勤務先の場合、本庁勤務のヒラ職員は、せいぜい30代までです。
僕もこの流れに従い、40代以降はずっと出先勤務になると思われます。
出先機関であれば、部下を持つ機会もあるでしょう。

しかし僕は、これまで出先機関で勤務したことが一切ありません。ずっと本庁にいました。
そのため、出先機関の仕事に関しては、中身も進め方も職場の雰囲気も一切わかりません。

自分が出世コースから漏れたと自覚した際、「出世コースであれば不可避であるストレスフルな調整業務から逃げられた!」と歓喜したものの、同時に「出先機関にいきなり放り込まれて右往左往するかもしれないのか……」という不安に駆られました。

ヒラ職員である今のうちであれば、「あの人いい歳してこんな簡単なことも知らないんだ」と嘲笑されるだけで済みます。
失敗しても損害は大きくありません。所詮下っ端です。

しかし、もし40歳手前で初めて出先機関に配属されて、しかも部下を持つポジションだったら、僕の失敗の影響は僕一人に止まりません。
部下をはじめ方々に迷惑をかけることになりますし、組織の名前にも傷をつけます。

つまるところ、職員人生の後半はずっと出先機関で過ごすことになる(しかも責任ある立場を務めるかもしれない)んだから、今のうちから経験を積ませてほしいのです。
このままだと大惨事を引き起こしかねません。ものすごく不安です。


本庁感覚を伝えたい

僕が出先機関に行けば、出先勤務の若手職員の成長にも貢献できると思っています。

出先機関(特に大きなところ)では、自分より若い職員も大勢います。
彼ら彼女らの多くは、本庁での勤務経験がありません。
そのため、本庁職員が置かれている状況を理解できず、本庁からの指示や依頼をとにかく疎む傾向が強いです。

マスコミ対応がその典型です。
取材対応に必要なデータを至急送るよう出先機関職員にお願いすると、たいていかなり渋られます。
「どうしてマスコミを優遇しなければいけないのか、自分たちの平時の仕事を軽んじるのか」と言わんばかりの剣幕です。

本庁勤務経験があれば、マスコミには即時対応しないと揉めることを知っています。
対応が遅れると「対応が遅い、きっと裏に何か隠している」と騒ぎ立てられますし、そもそもマスコミから取材がある時点で、そのトピックに関して誰か黒幕が存在しています。
すぐに現状を調べ上げて幹部に報告して臨戦体制を整えておかないと、その黒幕が本格的に動き出した際に手遅れになってしまいます。

僕のような本庁勤務経験が長めの職員であれば、「マスコミ」と聞いた瞬間に上述のような連想がひらめいて、ヒラ職員の慌てふためく様子と、眉間に皺を寄せて嫌な汗を滲ませる管理職の姿が浮かんできます。
この感覚を出先勤務の若手職員に教えてあげることが、彼ら彼女らの成長に繋がり、ひいては組織のためにもなると思うのです。
 
特に僕の場合、本庁のいろんな部局を経験させてもらったおかげで、いろんな事態を目にしてきました。
本庁の感覚を出先の若手職員に伝える役割なら、我ながらなかなかの適任だと思っています。

出先機関経験を経て本庁に来た職員は、口を揃えて「出先にいた頃は本庁の意図がわからなくてイライラしたし、本庁職員に対して暴言を吐いてしまったこともある」と悔いています。
こういう職員間のすれ違いや、結果として生じかねないトラブル・後悔を未然防止すべく、自分の感覚や経験を若手職員に伝えることが、結果として組織への貢献になると思います。



というわけで、出先機関への異動、特に農林事務所か整備事務所(土木)を希望しています。
いずれも大所帯で、本庁経験のない若手職員もたくさんいますし、何より埋没できるので精神的に楽です。

来年度すぐに異動できなくとも構いません。同じ希望を来年度も提出するだけです。
信念を貫く、ブレないことが大事だと思っています。

「フェルミ推定」という単語を見かけるたびに学生時代を思い出します。
「外資系企業のインターンシップで試されるから」という理由で、同級生たちが挙って参考書を開いて、山手線の一日の乗降者数や、東京都内のビルの総フロア数のような課題に取り組んでいました。
「フェルミ推定」という単語を知っていることが一種のステータスでもあったので、ことあるごとにドヤ顔でフェルミフェルミと口にする人もたくさんいました。

大学生当時の印象が強いせいか、フェルミ推定といえばキラキラ民間企業のものであり、田舎の役所とは無縁だという認識で、これまでずっと凝り固まっていました。

しかし改めて考えてみると、フェルミ推定は地方公務員でも有用な思考法です。
特に財政課ルートで出世するためには必須のスキルだと思います。




財政課に欠かせない

財政課の仕事、特に予算編成において、フェルミ推定は必須です。
「フェルミ推定」という単語・概念を意識しているかどうかは別にして、誰もが自然と利用している思考パターンでしょう。
 
県の当初予算は数千億円に上ります。
この金額を設計するためには、事業ごと・部署ごとに積み上げていくボトムアップのアプローチだけでは、時間もマンパワーも全然足りません。
あらかじめざっくりと「あたり」をつけて、個別の事業・部署ごとの予算要求額を見ながら、「あたり」を修正・具体化していくという漸進的なアプローチが必要です。

精度の高い「あたり」をつける技術は、フェルミ推定とかなり重複します。
つまり、フェルミ推定のスキルを身につけることで、財政課における予算編成業務という役所組織運営の根幹的業務をスムーズに進められるのです。

このことは同時に、財政課で高い人事評価を獲得することに直結し、さらなる出世につながるのです。

財政課にたどり着くまでも欠かせない

フェルミ思考は、財政課にたどり着くまでの過程、俗にいう「プレ財政課部局」でも役立ちます。
中でも特に産業振興部局で成果を上げるためには欠かせないでしょう。

産業振興部局では、民間企業の方と協力して仕事をする機会が多いです。
民間企業にとって、フェルミ推定は当たり前の思考法です。
役所職員側もフェルミ推定を理解していなければ、ついていけません。

新しいプロジェクトを始める前の準備段階で、スケジュールや予算感を大づかみに検討する際なん
かには、厳密にリサーチしてから決める部分もあるでしょうが、フェルミ推定を使う部分も多いでしょう。

役所という組織は、推定を元に動くことがなかなかできません。
とにかく根拠を求めます。
民間企業からすれば非効率でトロいと思われるのでしょうが、民主主義の下で動いているという役所組織の特性を思うと、仕方のないことと思います。

とはいえ民主主義を理由に推定を全て排除していては、民間企業との協働は実現しません。
ある程度は推定を受け入れなければいけません。

このため、役所(ひいては議会・住民)でも許容できる程度に「確度」「推定プロセスの透明さ・妥当性」を備えた推定を作るという役割が、産業振興部局の職員に課されます。
これにはフェルミ推定に対する深い理解が必要です。

希少性も高い

さらにフェルミ推定は、役所内においては稀少性の高い技能でもあります。

大半の地方公務員は、1円単位を正確に合わせることに心血を注いでいます。
フェルミ推定を用いる業務は限られていて、先述したような出世コースにあたる職員しか普段は担当しません。
実務を通した推定は、いわば帝王学のようなもの。見込まれた職員しか経験できないのです。

普通に仕事をしているだけでは、フェルミ推定のような大枠を掴む思考法は身につきません。
実務に使えるだけでなく、希少価値もあるスキルであり、他の職員から抜きん出るための差別化要因にもなるのです。


先述のとおり、役所におけるフェルミ推定は、世間一般よりも「確度」や「推定プロセスの透明さ・妥当性」が求められます。
そのため、市販のワークブックをなぞるだけでは不足すると思われます。
普段の業務でフェルミ推定を使ってみて、概念的に理解するだけでなく、役所内でも通用するようにアレンジしていく必要があるでしょう。

田舎社会は国公立大学を尊びます。
僕(中堅私立卒)の場合、特に婚活をしていると露骨に感じます。
「へー●●大学卒なんですか、よく県庁入れましたね、成り上りましたね」みたいに、露骨に冷めた反応をされることもしばしば……

地方の役所も田舎っぽい組織であることは間違いありません。
しかし、学歴に限っては違います。
出身大学が国公立であれ私立であれ、肩身が狭い思いをする機会は滅多にありません。

学歴関係なく同じ仕事をしている

役所に勤めているのは大卒者だけではありません。高卒の方もたくさんいます。

学歴区分に関係なく机を並べ、同じような仕事をしています。
年齢が一緒であれば、給与も昇進スピードも大差ありません。
そのため、学歴の違いを意識することが基本的にありません。

高卒/大卒の区別すら普段は意識に上らないくらいなので、国公立/私立の違いは言わずもがな。
職場でもし国公立大卒を尊重するような言動を取れば、思いっきり浮きますし、一気に敵を増やしてしまうでしょう。
調和を乱す言動にほかなりません。

実務能力とも関係ない

出身大学のランクと実務能力は直結しません。
役所で最も尊ばれるのは調整能力です。学識とは関係ありません。

勤務評価や出世とも関係ないと思われます。
僕の同期職員にも超有名国立大卒業者が何人かいますが、いずれもガチ出世コースからは外れています。

せっかくの学識を活かせていないだけという考え方もできますが……

いずれにせよ実務面でも待遇面でも、私立大卒だからといって全く支障ありません。

最終学歴の更新はできなくなる

学歴を負目に感じる方にとって、地方公務員はおすすめの職場だと思います。
役所内にいる限り、出身大学がプラスにもマイナスにも機能しないからです。

ただし、一旦役所に就職してしまうと上位学歴の取得がほぼ不可能になる点は留意しておくべきでしょう。
民間企業のような、大学院進学のための金銭的支援はありませんし、休職することへの理解も得られにくいです。
僕の知る限りでも、大学院進学のために地方公務員をやめた方が何人もいます。

今の学歴に満足しておらず、上位学位を取得して最終学歴を更新したいという野望があるのでしたら、地方公務員への就職は再考すべきでしょう。叶う見込みは極薄です。

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