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地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

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公務員志望者向けの記事は「公務員になるまで」カテゴリにまとめているところですが、だいぶ記事数が増えてきて過去記事を参照しづらくなってきているので、本ページで整理しておきます。

公務員志望者(主に大学生)が抱きそうな疑問別に、僕の考えと関連記事を載せていきます。

筆記試験の勉強法は?

とにかく過去問演習が重要です。
公務員試験では「問題本文」という不親切な日本語を大量に読み解かなければいけません。
問題文を読解する力は、知識のストックとは別物です。
講義を受けたり、基本書を読み込んでも身につきません。問題演習という訓練が必要です。

予備校の必要性は、これまでの試験遍歴次第です。
これまで独学で受験や資格試験を突破してきた実績がある方なら、独学でも対応できるでしょう。
迷うなら予備校に通ったほうが無難です。

勉強法そのものは、弊ブログよりも参考になるブログや動画が多数あるので、そっちを参照してください。

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面接対策は?

志望動機に地雷を盛り込まないよう、受験する自治体が置かれている環境を調べておく必要があります。
加えて現役公務員と直接コミュニケーションをとって、「公務員っぽさ」を身につけるのが有効だと思います。
 
志望自治体の職員にOB訪問すれば、この二つを同時に達成できます。
あとは志望自治体でなくとも説明会に参加して、公務員との接触回数を増やせばいいと思います。

くれぐれもインターネット上の情報だけに頼ってはいけません。
自分が言うのもアレですが、偏っています。
生身の現役公務員に接触してください。

面接本番のテクニックは他のブログや動画を参照してください。

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待遇は?

大卒1年目の年収は、だいたい250万円くらいです。
(基本給+ボーナス(期末手当・勤勉手当)、残業手当・地域手当などその他手当除き)
 
これが30歳(勤続8年、休職なし)になると、だいたい年収400万円くらいになります。

大卒正規職員であれば、休職せず、不祥事を起こさずに淡々と仕事をしていれば、最低でもこれくらいは貰えると思ってください。
手取りだと、この金額の75%くらいです。

若いうちからバリバリ稼ぎたいなら、民間企業のほうが確実に適しています。
例えば地銀と比べると、だいたい営業成績が悪くてインセンティブが全然もらえていない行員×0.9くらいの水準だと思ってください。

よほど豪勢な暮らしをしない限り、独り身であれば黒字で生活できる給与水準ですが、結婚して子供が誕生すると厳しくなります。
黒字化するには共働き必須で、奥さんの産休中は赤字にならざるを得ません。


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公務員に向いている/向いていないのはどんなタイプ?

入庁前から「やりたい仕事」がはっきりしている方は、逆説的ですが公務員に向いていないと思います。
人事異動の仕組み上、どれだけ熱心に希望しようとも、「やりたい仕事」を担当できる保証が無いからです。

用地交渉や滞納整理のような担当職員が複数いる業務なら、実際に担当できるかもしれませんが、人事異動の仕組み上、その仕事にずっと携われるわけではありません。
長い公務員人生のうち、せいぜい数年間だけです。

さらに、「やりたい仕事」を担当できたとしても、自分の意向どおりに進められるとは限りません。
公務員(行政)は、そもそも意思決定を行う立場ではなく、国民(議会)が決めたことを粛々と執行するための存在です。
つまり、たとえ担当職員自身の意向とは正反対の内容であっても、国民が決めたことを覆せません。担当職員の意見なんて風前の灯です。

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成長できるのか?

インターネット上では「公務員としていくら働いても成長できない」というのが定説になりつつありますが、僕は違うと思います。
 
公務員経験も、成長に寄与します。
ただしその成長は、お金稼ぎには役立ちません。
転職市場では評価されませんし、独立して稼げる能力も身につきません。

「公務員の成長」の内実は、職員それぞれの異動遍歴によって決まると思います。
つまり人それぞれです。
自分がどういうふうに成長してきたのか、自分で考えてみるしかないでしょう。

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仕事よりもプライベート優先で考えたほうがいいと思います。

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民間企業への就職活動と両立できるのか?

公務員試験対策と民間就活は両立可能ですし、たとえ公務員が第一志望であっても民間就活を経験しておいたほうがいいと思います。
エントリーシートの書き方や面接本番の受け答えの練習になりますし、もしかしたらワンチャン公務員より高待遇の職に就けるかもしれません。

何より、民間就活の成果(内定を得られるかどうか)という客観的事実をもって、労働市場における自分の価値がなんとなくわかります。
内定を得られた方は「民間でも通用するけど『公務員を選んだ』」人間です。
一方、僕のように無い内定であれば「民間では使えない『公務員しか務まらない』」人間です。

公務員生活に嫌気がさして離職を考えるとき、この差は非常に大きいです。
前者のタイプはうまく転職できる可能性がありますが、後者は厳しいでしょう。

新卒時点で民間就活を経験しなかったら、自分がどちら側の人間なのかわかりません。
その結果、全然民間向きではないのに「自分は民間でも通用するはずだ」という見当外れの期待を抱いて意気揚々と離職するも、転職に失敗……という悲劇に陥りかねません。

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仕事のやりがいは?

やりがいは人それぞれです。
離職率の低い職業なので、なんだかんだで各自やりがいを見出しているのではないかと思います。

僕の場合、日常に潜む闇を垣間見れるのがやりがいです。
個々人の心理だったり、古の慣習であったり、組織間の縄張り争いだったり……
「事実は小説より奇なり」という言葉を日々噛み締めています。

蓋されている「臭いもの」を暴いて、ひとつでも改善できればいいなと思っています。
 


この記事を開いたということは、予備校に通わず独学で公務員試験にチャレンジしたいと少なからず考えていることでしょう。独学のほうが圧倒的にローコストですし、時間の融通も効きます。

他のブログでも語られているとおり、「新スーパー過去問ゼミ」(以下「スー過去」)の中身をマスターできれば、独学でも地方上級の筆記試験なら合格できると思います。
(時事問題と論文対策は別途対策が必要ですが)
僕自身、この方法で独学合格しました。

とはいえこの方法は簡単ではありません。
ある程度の「独学適性」が必要であり、誰もが達成できるものでもないと思います。


独学で「スー過去マスター」の域に到達できる人の条件を考えてみました。
独学での公務員試験チャレンジを考えているなら、自分が以下の条件を満たしているのかを冷静に考えてみるといいと思います。

「スー過去」要点解説パートの文章をすらすら理解できる

独学での試験勉強の王道戦略は、
  • 入門書(概説書)を読んで大枠をつかむ
  • 過去問を解きつつ基本書を読み、知識をつける
  • 模擬試験を受けて自分の相対的順位を把握する
  • 「過去問を暗記」「基本書をほぼ理解」という状態に仕上げる

という方法です。
マークシート形式の試験なら、この方法でなんとかなると思います。
地方上級試験も基本的にはマークシートであり、他のサイトでも似たような勉強法が推奨されています。

ただし公務員試験対策でこの方法を採ろうとすると、
  • 試験範囲がものすごく広い(科目数が多い)ため、全科目でこの方法を採っている時間がない
  • 科目によっては公務員試験向けの「入門書」「基本書」が無く、そもそもこの方法が使えない

という公務員試験特有のネックがあるために、うまくいきません。

このネックを「スー過去」がうまく補ってくれます。
「スー過去」は単なる問題集ではなく、しっかりした要点解説パートがあります。
このおかげで、入門書の役割も果たしてくれるのです。

しかし、「スー過去」の要点解説パートは、決して読みやすい文章ではありません。
限られた紙面に重要事項を詰め込んでいるために、文章は固く、ビジュアル的な解説も少なめです。
万人が初見で理解できるとは思えません。

独学での地方公務員試験対策は、まずは「スー過去」の要点解説パート読み込みから始まります。
ここの文章が頭に入ってこないと、先に進めません。
要点解説パートの文章が理解できないなら、独学は諦めたほうが無難です。

予備校に通えば、要点解説パートと同等かそれ以上の内容を、丁寧に講義してもらえます。
講義を受けても理解できなったとしても、個別に質問して教えてもらえます。
一人で「スー過去」を読み込むよりは、確実に知識が身につきます。

独学に興味があるなら、本格的に勉強を始める前に、「スー過去」の要点解説パートを独力で理解できるかどうか実際に試してみることを勧めます。
初学だとわかりづらい「民法」「ミクロ経済学」あたりの科目で試すのがおすすめです。
理解できなかったら予備校に通ったほうが無難です。 

僕は高校生の頃から授業を聞かず参考書で自習(内職)ばかりしている嫌な生徒で、もともとテキストベースの学習に慣れていました。
そのため「スー過去」にもすぐ馴染めました。


数的処理がそれなりにできる

捨て科目を作るのが常道である地方公務員試験ではありますが、数的処理を捨てて合格するのは至難の技です。配点が大きすぎます。
逆にいえば、数的処理を味方にできれば合格に近づけます。

独学推奨ブログではたいてい「解法さえ暗記すれば数的処理は余裕」という解説がなされていますが、これは典型的な生存バイアスだと思っています。誰もが実行できる芸当ではありません。

試験本番で得点を稼ぐには、解法を暗記するだけでなく、問題に対してどの解法を適用すべきかを判断する「直感」のようなものが必要です。
これを独学で習得できる人は限られるでしょう。

そもそも解法を暗記すること自体、人によっては困難です。
解法の理解すらままならない方、解答の解説を読んでも意味がわからない方も少なからずいると思います。

つまるところ、独力では数的処理を学習できない方も相当数いるのです。

独力で数的処理をマスターできるかどうか、いわば数的処理適性を測るには、実際に「スー過去」で過去問を解いてみればいいでしょう。
正答できなくても大丈夫です。解説を読んで納得できれば、独学でも伸び代があります。
解説を読んでも意味がわからなければ、予備校に通って講義を受けたほうがいいと思います。

僕の場合、中学受験を経験しており、そこで数的処理みたいな問題を散々叩き込まれていました。
小4〜小6の3年間にわたって数的処理の勉強をしていたようなものです。
(そのせいで友人と遊ぶ時間が全く無く、遊戯王・ミニ四駆・ビーダマン・ハイパーヨーヨー・ベイブレードあたりの男子小学生カルチャーを全く経験していません)
 
このおかげで、公務員試験の数的処理は初見でだいたい解けました。
試験勉強もほとんどしていません。直前期に肩慣らし感覚で過去問を解いた程度です。 
正直、数的処理が得意というバフ要素が無ければ、独学合格は無理だったと思います。

あくまでもボーダーライン

どんな試験であれ、独学で突破するには、テキストベースの学習が必要です。
そして、テキストベースでの学習で成果を上げるには、読んで理解する能力が不可欠です。

地方上級試験の場合は、本稿で紹介した
  • 「スー過去」要点解説パートを読んで理解できること
  • 数的処理の解答解説を読んで理解できること
この2つが絶対必須だと思います。

超高偏差値大学に合格できるレベルの方であれば、このくらいは余裕でしょう。
しかし、地方上級試験のボリューム層である地方国公立大学・中上位私立大学の方だと、全員がこの能力を持っているとは限りません。

インターネット上では「地方上級試験に独学で合格には1,000〜1,500時間の勉強が必要」という定量的な基準がよく用いられていますが、誰もがこれだけの時間勉強すれば合格できるとは思えません。

本稿で挙げた2つの条件を満たしている方でないと、1,500時間どころでは足りないでしょう。
 
地方公務員試験の受験者は、勉強開始前のスタート時点の知識量では大差ないと思っています。
自分に合う方法で知識を身につけていけば、誰にでも勝ち目があります。
独学にこだわるあまり、せっかくの勝ち目を逃すのはあまりに勿体無いです。
不安を感じるなら予備校に通うことを勧めます。


これまで数多くの学園ラブコメ作品で「主人公とヒロインが一緒に試験勉強」というシーンが描かれてきました。
実際に経験したことのあるリア充方もいるでしょう。爆発してくれ

二人っきりの試験勉強、非常に微笑ましいシーンではありますが、僕は根暗コミュ障なので、試験勉強といえば一人で黙々と進めるものだと今でも思っています。

そもそも複数人で勉強すると、全く頭に入りません。
誰かに話しかけられたら集中が途切れますし、そもそもほかの人の仕草が気になって集中モードに入れません。
 
大学受験のときは「一緒に勉強しようぜ」と誘われないよう放課後すぐに帰宅していましたし、公務員試験のときも、学内の公務員志望クラスタとは距離を置いて、主に自室で勉強していました。

僕のように「一人でないと集中できない」「作業するときは一人で没頭したい」というタイプの人間が地方公務員になると、けっこう苦労すると思います。

こういうタイプにとって、役所は非常に集中しづらい環境です。

あまりに気が散るために、苛立ちを募らせてしまうかもしれません。 

集中しようのない職場環境

そもそも役所は、誰にとっても集中しづらい環境です。

まず、役所は設備が大変貧弱です。
机椅子はボロいしサイズも合わない、夏は暑くて冬は寒い、薄暗い、人口密度が高いせいで息苦しい……などなど、挙げ出すときりがありません。

加えてうるさいです。
定時内はひっきりなしに電話がかかってきますし、会議や打合せも多いです。
基本的に定時内はだれか喋っていて、話し声が聞こえてきます。

さらに人の出入りも激しく慌ただしいです。
窓口機能のある部署は当然ながら利用者が訪れますし、そうでない部署でも頻繁に他部署の職員がやってきます。
特に意味もなく巡回に来られる住民の方々もいらっしゃいます。

つまるところ、もともと集中しづらい環境(設備面、騒音面)である上に、集中が途切れやすい環境(電話・来客など外的刺激が豊富)でもあるのです。


コミュニケーション最優先

役所は組織であり、だれか一人だけで完結する仕事はほとんどありません。
仕事を進めるには、職員間のコミュニケーションが不可欠です。

定時内はコミュニケーションが何より優先されます。
いくら目先の作業に集中したくとも、
  • 話しかけられたら即座に顔を上げる
  • 電話がかかってくれば応じる
  • メールが届けば即開封
これが暗黙のルールです。

目先の作業を優先してコミュニケーションを後回しにするのは、限られた状況下でしか許されない特例措置です。
「どうしても今作業しないと期限に間に合わないから」なら認められますが、「今は集中したいから」という個人的な理由だったら総スカンを食らうでしょう。
少なくとも定時内は、自分の世界に没入していられないのです。

僕の知り合いには、集中するために1〜2時間の有休を取って自家用車に籠る職員が複数います。
職場にいるとコミュニケーションに気を取られるので、こうやって一人の時間を捻出し、集中力を要する仕事をこなしているとのこと。
一人で集中する時間が欲しければ、役所内から避難せざるをえないのです。

僕は集中を放棄した

公務員試験に限らず、試験勉強には集中力が重要であるとよく説かれます。
実際僕もその通りだと思います。勉強時間(勉強量)も重要ですが、だらだらやっていては効果が薄いものです。

公務員として採用されるには公務員試験をクリアする必要があり、公務員試験のクリアのためには試験勉強をうまくこなす必要があります。そして試験勉強には集中力が重要です。
したがって、公務員として採用された人は、集中力が求められる公務員試験を突破しているわけで、それなりに高度な集中力を備えているものと思われます。

公務員試験を突破された方々は、試験勉強の過程において、集中することのメリットを経験しているでしょう。
そのため公務員実務でも、これまでに培った集中力を発揮して効果的に仕事を進めたいと思うはずです。
ところが実際には、集中したくでもなかなかできません。
特に「一人でないと集中できない」というタイプには厳しい環境です。

僕はもう職場で集中することを諦めています。
集中しようとしてもどうせできないし、できないせいでフラストレーションが溜まるだけですし。

幸いにも閑職なので集中を要する仕事はそれほど多くありません。
制度改正の中身を読み込んだり、気を遣う相手へのメール文面を練るときくらいでしょうか。

出世したいのであれば、どんな環境下でも集中力を発揮しなければいけないでしょう。
横槍を食らってもすぐに集中モードに復帰できる「切り替えの早さ」も求められます。 

 

来年度の公務員試験に向けて動き出している方も、そろそろ増えてきている頃だと思います。

今年は新型コロナウイルス感染症のせいで人と人との接触を控える風潮が強いため、役所主催の説明会に参加したり、OB訪問したり、予備校仲間と歓談したり……という従来通りの情報収集方法が使えず、情報収集に苦労していることと思います。

代替手段として、インターネット経由の情報収集が重要になってきます。
役所の公式サイトは勿論、ブログやSNS、掲示板のような個人発の情報を参照する方もいるでしょう。

ただ、こういった個人発の情報は、鵜呑みにはできません。
発信元の偏りを認識し、解釈する必要があります。

インターネット上にいる公務員はマイノリティ

インターネット上で情報発信している公務員は、公務員の中でもレアな存在です。
 
総務省によると、地方公務員(一般行政職)は、全国で約92万人います。

一方、地方公務員を名乗るTwitterアカウント、しかも鍵垢ではなくオープンにツイートを発信しているアカウントは、地方公務員総数に対してどれくらいでしょうか?
多くて0.5%くらいでは?圧倒的少数です。

インターネット上で情報発信している公務員(元職含め)を、典型的な公務員だと思ってはいけません。
彼ら彼女らは少数派であり、こういう人間が職場にたくさんいるわけではありません。

加えて、インターネット上の公務員情報は「少数派職員フィルターを経由した情報」であり、必ずしも公務員の総意ではないことを認識したほうが安全です。

たとえば、公務員が書いたブログやSNS投稿を真に受けて
  • 公務員って陰気で愚痴っぽい人間ばかりだな
  • 組織に対する不満が常に充満しているんだな
などと理解するのは早計です。

大多数の公務員は、余暇時間までわざわざ仕事のことを考えません。
仕事はあくまでも生活要素の一部であり、家庭のような、より重要な生活要素を持っています。
たとえ職場で嫌なことがあっても、業務終了後にTwitterで愚痴ツイートを作文したりはしません。
むしろそんなこと(広義の仕事)に時間と労力を割くことのほうが勿体無く感じられます。


インターネット上で情報発信しているのは公務員の中でも圧倒的少数派であり、概して「余暇時間まで仕事のことを考えている真面目な人」、あるいは「暇人」なのだと思われます。

一般論は書きようがない

書き手の層の偏りという要素を除いても、そもそも一個人に普遍的真理を書くだけの知見はありません。
公務員の仕事は法令で定められている要素が大きく、他の職業よりも普遍的な部分が多いとは思います。
しかしそれでも、地域ごと・自治体ごとに、仕事内容も待遇も異なります。

インターネット上にある個人の投稿は、あくまでも書き手が経験した範囲での結論であり、局地的・部分的真理であることを認識する必要があります。

ブログにしてもSNSにしても、公務員関係の文章は「公務員は〜」「役所は〜」のように主語が大きくなりがちです。

主語の巨大化は、そもそもインターネット上の言論にありがちな傾向です。
公務員界隈の場合は更に、書き手側に「勤務先自治体の特定を避けたい」という心理があり、こういう「ぼかし表記」を使いたがるという特殊事情も加わります。
弊ブログもまさにこの呪縛に囚われています。

体感的に、一般論として書かれたインターネット上の言説のうち、僕も同じく一般論だと肯けるのは3割程度です。
5割は部分的真理としては賛同できるもの(自分の経験からもそう思うが一般論とまではいえない)、残り2割は賛同できません。

経験業務によっても変わってくる

さらに公務員は、たとえ同じ役所に同じ年次で入庁したとしても、配属先・異動ルート次第で経験する業務が全く異なります。
インプットが異なれば、醸成される価値観や思考回路も異なります。
つまり、同じ年次に採用された同じ自治体の職員であっても、過去に経験した業務次第で、考え方が大きく異なるのです。

弊ブログの過去記事を読んでいただいている方なら、住民との協力関係に対して僕が相当悲観的であることをご存知だと思います。
この思想はあくまでも、僕が住民と対立しがちな部署ばかり経験してきたから形成されたものであって、住民協働に前向きな職員はたくさんいます。

役所といえど徐々に変化している

インターネット上には古い情報も残っています。
時代遅れと揶揄されがちな役所ではありますが、それでも少しずつ変化しています。
 僕が入庁してからの約7年間でも随分変わりました。

たとえ自分の疑問に対してドンピシャで書かれている内容であっても、書かれた時点が古い情報は、鵜呑みしてはいけません。
特に更新が止まっているブログの場合、追記やリライトされている可能性がほぼゼロのため、一層注意が必要です。

「※個人の見解です」を脳内で補完する

個人発の公務員情報は、先述のとおり、普遍的真理ではなく局地的・部分的真理です。

  • どういう経歴・性質の人間が発している情報なのか
  • 書き手の属性からして、どういうバイアスがかかりうるのか
を意識して読み解いていくのが、無難な使い方だと思います。

弊ブログも同じです。本記事の内容全てがブーメランと化して脳天に突き刺さります。

極力バイアスを排しようと頑張っているつもりですが、一人きりで書いている以上、バイアスまみれになっていると思います。
独身アラサーオタク(出世コース脱落)という書き手像、役所内ヒエラルキー下位の人間が書いているという前提をお忘れなきよう……

事前面談会が大変なようで……当事者の皆様は本当にお疲れ様です。
ネット上にいろんな声が上がっていますが、僕の感覚では「まあそうなるよなぁ……」という感じで、正直驚きはありません。
表向きのルールを守らない流れなら、やっぱ今年も伝統行事「地上試験日拘束」やっちゃいそうですね……

事前面談会で深淵を垣間見た結果、国家総合職への就職を再考している方もいるかもしれません。
ただ、現時点で完全に見切りをつけられる方はごくごく少数でしょう。
そして大半は大いに迷っていることと思います。
特に「これまでの努力が無駄になってしまう」という葛藤と戦っているのでは?

この感情こそ、かの有名な「一貫性の法則」「サンクコストの錯誤」と呼ばれる人間の思考の癖です。
狩猟時代から人類の脳に刻まれた思考パターンであり、無意識のうちに人間の決定を方向付けます。
そしてときには不合理な決定をもたらし、後悔の素となるのです。
 
ファーストキャリアに国家総合職を選ぶかどうかは、人生において非常に重要な選択です。
認知の歪みに左右されることなく、合理的に考え抜いたうえで決定すべきです。

「一貫性の法則」や「サンクコストの錯誤」そのものの解説は別サイトに任せるとして、これらの思考の癖から解放されるためのヒントを考えてみます。


一貫性の法則:志望動機を冷静に深掘りしてみる

端的にいうと、「これまでずっと国家総合職を目指してきたから今更進路変更なんてしたくない」という気持ちを惹き起こすのが「一貫性の法則」です。

この法則の影響から逃れるためには、なぜ国家総合職を目指しているのかを今一度冷静に見つめ直して、「一貫性の法則」とは関係なく本心から国家総合職を志しているのかを問い直すのが効果的です。

  • 官僚というステータスに憧れている
  • 入庁後にやりたい仕事がはっきりしている

このように断言できるのであれば問題ありません。邁進してください。

断言できないのであれば、国家総合職を目指す動機を細分化してみることを勧めます。
 
前述の「官僚というステータスに憧れている」パターンでなければ、国家総合職への就職は目的ではなく手段です。

  • 目的を達成するための手段は、「国家総合職への就職」一択でしょうか?
  • または「国家総合職への就職」が利用可能な手段のうち最善の選択肢でしょうか?

どちらの問いもノーであれば、国家総合職への就職が必ずしも合理的とは言えません。
より志望動機を深掘りしていって、さらに問いを深めてみては?

その結果「国家総合職がベストだ」という結論に辿り着ければ問題ありません。

反対に「他の選択肢の方が良いんだけど、どうしても国家総合職を捨てきれない」という状態から脱せないのであれば、「一貫性の法則」のような認知の歪みが作用している可能性が高いです。
自分で悶々と考えていても仕方ないので、第三者の意見を仰ぐことを勧めます。
それか前掲の『影響力の武器』『ファスト&スロー』を読んでみて、自分の心理状態を客観的に見てみてください。

サンクコストの錯誤:そもそもサンクコストではない

「一貫性の法則」と若干被りますが、「今更国家総合職の道を止めるのは、これまでの過程を失敗とみなすことと同義だ。これまでつぎ込んできたお金・時間・労力などのコストを無駄にしたくない。だから国家総合職しか進路は無い!」という心理状態が「サンクコストの錯誤」です。

もしこういう風に考えているのでしたら、安心してください。
国家総合職を志して努力してきた日々は、少なくとも地方公務員になるのであれば、決して無駄にはなりません。

国と地方がうまく歩調を合わせられない理由の一つとして、官僚と地方公務員の間の絶望的な法令知識格差があると思っています。 
地方側に法令知識(中でも特に、民法と行政訴訟裁判例)が無いために、官僚の意図が正しく伝わっていないのです。
(いずれ別途記事にしようと思っています)
 
こういう構造的課題があるために、官僚並みに法令知識を備えている職員が地方側にいれば、国・地方の相当にとってものすごくありがたいのです。
過去の記事で「東大卒は人事異動のペースが遅い」と書きましたが、高学歴ならではの固有スキルである「知識の厚み」を活かして国と地方の仲介役という代替困難な役割を担っているために、異動させづらいのかもしれません。


 

公務員にならないにしても、国家総合職試験に向けて膨大なインプットをこなしてきたという経験はきっと役立つでしょう。
とにかく無駄にはなりません。

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