キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:受験生向け

事前面談会が大変なようで……当事者の皆様は本当にお疲れ様です。
ネット上にいろんな声が上がっていますが、僕の感覚では「まあそうなるよなぁ……」という感じで、正直驚きはありません。
表向きのルールを守らない流れなら、やっぱ今年も伝統行事「地上試験日拘束」やっちゃいそうですね……

事前面談会で深淵を垣間見た結果、国家総合職への就職を再考している方もいるかもしれません。
ただ、現時点で完全に見切りをつけられる方はごくごく少数でしょう。
そして大半は大いに迷っていることと思います。
特に「これまでの努力が無駄になってしまう」という葛藤と戦っているのでは?

この感情こそ、かの有名な「一貫性の法則」「サンクコストの錯誤」と呼ばれる人間の思考の癖です。
狩猟時代から人類の脳に刻まれた思考パターンであり、無意識のうちに人間の決定を方向付けます。
そしてときには不合理な決定をもたらし、後悔の素となるのです。
 
ファーストキャリアに国家総合職を選ぶかどうかは、人生において非常に重要な選択です。
認知の歪みに左右されることなく、合理的に考え抜いたうえで決定すべきです。

「一貫性の法則」や「サンクコストの錯誤」そのものの解説は別サイトに任せるとして、これらの思考の癖から解放されるためのヒントを考えてみます。


一貫性の法則:志望動機を冷静に深掘りしてみる

端的にいうと、「これまでずっと国家総合職を目指してきたから今更進路変更なんてしたくない」という気持ちを惹き起こすのが「一貫性の法則」です。

この法則の影響から逃れるためには、なぜ国家総合職を目指しているのかを今一度冷静に見つめ直して、「一貫性の法則」とは関係なく本心から国家総合職を志しているのかを問い直すのが効果的です。

  • 官僚というステータスに憧れている
  • 入庁後にやりたい仕事がはっきりしている

このように断言できるのであれば問題ありません。邁進してください。

断言できないのであれば、国家総合職を目指す動機を細分化してみることを勧めます。
 
前述の「官僚というステータスに憧れている」パターンでなければ、国家総合職への就職は目的ではなく手段です。

  • 目的を達成するための手段は、「国家総合職への就職」一択でしょうか?
  • または「国家総合職への就職」が利用可能な手段のうち最善の選択肢でしょうか?

どちらの問いもノーであれば、国家総合職への就職が必ずしも合理的とは言えません。
より志望動機を深掘りしていって、さらに問いを深めてみては?

その結果「国家総合職がベストだ」という結論に辿り着ければ問題ありません。

反対に「他の選択肢の方が良いんだけど、どうしても国家総合職を捨てきれない」という状態から脱せないのであれば、「一貫性の法則」のような認知の歪みが作用している可能性が高いです。
自分で悶々と考えていても仕方ないので、第三者の意見を仰ぐことを勧めます。
それか前掲の『影響力の武器』『ファスト&スロー』を読んでみて、自分の心理状態を客観的に見てみてください。

サンクコストの錯誤:そもそもサンクコストではない

「一貫性の法則」と若干被りますが、「今更国家総合職の道を止めるのは、これまでの過程を失敗とみなすことと同義だ。これまでつぎ込んできたお金・時間・労力などのコストを無駄にしたくない。だから国家総合職しか進路は無い!」という心理状態が「サンクコストの錯誤」です。

もしこういう風に考えているのでしたら、安心してください。
国家総合職を志して努力してきた日々は、少なくとも地方公務員になるのであれば、決して無駄にはなりません。

国と地方がうまく歩調を合わせられない理由の一つとして、官僚と地方公務員の間の絶望的な法令知識格差があると思っています。 
地方側に法令知識(中でも特に、民法と行政訴訟裁判例)が無いために、官僚の意図が正しく伝わっていないのです。
(いずれ別途記事にしようと思っています)
 
こういう構造的課題があるために、官僚並みに法令知識を備えている職員が地方側にいれば、国・地方の相当にとってものすごくありがたいのです。
過去の記事で「東大卒は人事異動のペースが遅い」と書きましたが、高学歴ならではの固有スキルである「知識の厚み」を活かして国と地方の仲介役という代替困難な役割を担っているために、異動させづらいのかもしれません。


 

公務員にならないにしても、国家総合職試験に向けて膨大なインプットをこなしてきたという経験はきっと役立つでしょう。
とにかく無駄にはなりません。

どこの役所の採用面接でも、志望動機を書いたり喋ったりすると思います。
地方公務員の面接試験は大体ネガチェックです。
まともに受け答えできれば、よほどまずいことを言わない限り大丈夫でしょう。

今年は新型コロナウイル感染症のせいで説明会も無く、OB訪問もしづらい状況です。
そのためインターネットで情報蒐集している方が多いでしょう。
ただ、インターネット上の指導動機の例文を見ていると、僕からすれば「よほどまずい」に該当する地雷ワードが散見されます。

例文そのものが間違っているわけではなく、多分、田舎自治体向けではないのです。
あくまで推測ですが、インターネット上の受験情報は、都会の大規模自治体向けに最適化されているのでしょう。
受験者総数が多くて情報としてニーズが高いですし、合格サンプルも集めやすいので、そうなって当然です。

ただし、田舎自治体の職員としては違和感があるのは事実です。
例文をそのまま使えば、面接官から「業界研究が足りない」と思われても仕方ないと思います。

これまで本庁内のいろんな部局をたらい回しにされてきた経験をもとに、部局ごとの地雷ネタをまとめてみました。
もちろん自治体ごとに地雷は異なります。
できることなら避けたほうが無難な話題、というくらいの感覚で受け取ってください。

地雷さえ避ければ使いやすい

産業振興:個別企業・個人への支援までは触らない

産業振興関係は、自治体ごとに業務内容がばらばらで、力の入れ具合も全然違います。
前向きな仕事が多いので志望動機にも使いやすいでしょう。受験自治体のこれまでの施策を調べて、その流れに沿って喋ることが重要です。

ただし地雷もあります。
まず、自治体は個別企業の経営改善までは深入りしません。
これは半公的機関である商工会・商工会議所の役割です。

経営者の高齢化、後継者不在、複業化が進んでいなくて経営基盤が脆弱……等々、地方の企業は色々な課題に直面しています。
自治体の役割は、こうしたが外部課題の解決に役立つであろう支援制度を整備することです。
コンサルタントのように企業経営に立ち入って社内の問題そのものを解決するのではありません。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
経営学のゼミに所属して、教授の指導のもと企業の経営分析を多数こなしてきました。この経験を活かして、経営者や生産現場とも綿密にコミュニケーションを取りながら、中小企業の経営安定化に携わりたいです。

経営学の知見自体は大歓迎なのですが、「やりたい仕事」が役所とはかけ離れています。
補助金、講習会、アドバイザー派遣、マッチング機会の設置などの支援制度整備が役所の仕事です。

雇用・失業対策も注意が必要です。
こちらは主に労働局(厚生労働省)の仕事で、自治体の役割はあまり大きくありません。
特に失業者個人への支援は労働局の専売特許です。自治体は立ち入りません。

自治体が行う雇用施策では、最近だとUIJターン促進大学生の県外流出防止が熱いようです。
公務員試験受験者にとっては、ある意味最も身近な施策かもしれません。
自分自身がピンポイントにターゲットなのです。
深く考えなくてもオリジナルの意見がどんどん出てくるでしょう。
志望動機としても使いやすいと思います。

時間に余裕があれば、この本を読んでみてください。
地方企業の現状と課題がコンパクトにまとまっています。
産業振興部局の職員ならだいたい読んでいる基本書です。

文化振興:宗教との距離感に注意

産業振興と同じく、自治体ごとに業務内容がばらばらです。
受験自治体のこれまでの施策を確認して、その路線に沿いましょう。

ただし、政教分離の原則を忘れないよう注意してください。
いくら地域を代表する寺院であっても、自治体は宗教団体と距離を保たなければいけません。
面接でも、特定の寺院や宗教の名前を出すのは控えたほうが無難でしょう。


危機管理:ある意味成長分野

都道府県と市町村の役割分担がはっきりしています。
それぞれの役割をしっかり把握して、混同しないことが重要です。

危機管理業務に対してネガティブな印象を持っている方も多いかもしれませんが、福祉と並んで役所ならではの役割であり、かつ近年どんどん重要性が増してきている分野です。
県民の防災意識自主防災技能の向上わかりやすい防災情報の提供あたりは、志望動機としても使いやすいと思います。

観光:施策の考え方を押さえておく

過去記事を参照ください。



地雷は少ないがネタにもしづらい

環境:受け身な仕事が多い

都道府県と市町村の役割分担がはっきりしています。
それぞれの役割をしっかり把握して、混同しないことが重要です。
例えば廃棄物処理だと、一般廃棄物(家庭ごみ)の所管は市町村ですが、産業廃棄物は都道府県が担います。
<地雷を踏んでしまう志望動機>
家庭ごみを減らすためには、まずは無駄なものを買わないこと、後々ごみになる過剰包装のアイテムを選ばないことが重要です。アルバイトを通じて身につけた発信力を活かして、個々人の意識を変えていき、家庭ごみを減らして行きたいです。

都道府県の志望動機としてこんな発言をしてしまうと、研究不足と思われてしまいかねません。家庭ごみは市町村の仕事です。

環境部局の仕事は規制法令の運用がメインで、民間団体が取り組んでいるような先進的な環境保全活動までは、なかなか着手できていません。
そのため、環境保全への熱意を示せば示すほど、役所側としては温度差を感じてしまいます。
つまり、やる気をアピールしづらいのです。

SDGsの話題も避けたほうが無難でしょう。SDGsを意識した施策を打ち出している自治体はまだまだ少なく、面接官が知っているとも限りません。


厚生・福祉:都道府県ならではの役割を見いだすのが難しい

たくさんの制度があり、どれも複雑です。
市と町村で役割が違うもの(町村エリアは都道府県が担う)も多く、都道府県だけの役割が正直よくわかりません。反対に市町村ならではの役割ならいくつもあるのですが……
志望動機にするなら入念に下調べしてください。

地域医療(過疎地域の医療体制確保、病院ネットワークの再編など)は、都道府県ならではの仕事で、かつ最近熱い話題です。
新型コロナウイルス感染症を受けて既定路線の見直しが始まりそうで、今後さらに熱くなっていくのでしょう。

おすすめ志望動機としてインターネット上でよく見かける「少子化対策」は、市町村と都道府県の明確な役割分担がありません。
そのため、少子化対策だけでは、「どうして都道府県(市町村)なのか」という決め手に欠けます。
受験自治体のこれまでの取り組みを確認して、補強が必要です。


国際交流:役所の役割はものすごく地味

自分の強みとして語学力をアピールしたい方はたくさんいると思います。
留学のような経験や定量的根拠(TOEICの点数など)のような裏付けも作りやすく、話しやすいですし。
「語学力という自分の強みを生かしたい」という理由で国際交流部局を志望するのも、一見すると自然かつ論理的な流れです。

しかしここが落とし穴。国際交流の名を冠している部署であっても、職員自身はあまり外国語を使いません。
外国語を扱うのは専門の職員(たいてい非正規)で、正規職員は国際交流団体(日本人)との連絡調整のような事務仕事がメインです。
そのためせっかくの語学力が活きないのです。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
留学経験を通して身につけた語学力を発揮して、国際交流部局で、県内に住む外国人の生活利便性向上に携わっていきたいです。

こういう活動をする民間団体を支援するのが役所の役割で、自ら企画立案するわけではありません。

「語学力を活かしたい」と言われたら、面接官は親切心で別の仕事を勧めたくなるでしょう。
役所には語学力を活かせるポジションが無いのです。

関連記事も置いておきます。





志望動機になりうるが自治体ごとの温度差が激しい

広報:あえてやらない自治体もある

広報業務への注力具合は、都道府県ごとに全然違います。
がっつり予算を注ぎ込んで、広告代理店を使ってイメージ戦略・ブランド構築に取り組んでいるところもあれば、公式ホームページ運用と広報誌発行くらいしかやっていない自治体もあります。

志望動機に広報ネタを入れるなら、受験自治体の広報業務へのスタンスを見極めなければいけません。
 
真剣に取り組んでいる自治体なら、「自分も感化された」等の体験談を交えつつ、熱い想いをぶつければよいでしょう。
一方、広報業務に力を入れていない自治体なら、そもそも志望動機にはしないほうが無難です。意図的に手を抜いている可能性が高いからです。

住民からすると、広報業務にどれだけ注力しようとも、生活水準の向上には繋がりません。
もちろん間接的な恩恵はあります。自治体の知名度が高まり観光客やふるさと納税が増え、自治体財政が豊かになり、行政サービスの質も向上するとか。
 
しかし住民の多くは、こんなまどろっこしい恩恵は求めていません。即物即金を尊びます。
そのため民意レベルでは、広報は無駄金という方向に傾きがちです。

首長や幹部職員にも、広報のような成果が不確実な事業にただでさえ少ない予算を配分するのは論外だと考える人がいます。
広報に力を入れていない自治体は、こうした事情があるために、あえて注力していないのです。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
学生時代を東京で過ごしましたが、近隣の〇〇県や▽▽県はマスコミなどによく取り上げられていたのに、●●県は全然見かけませんでした。これでは●●県の魅力が伝わらないと悔しい思いをしました。これまでに学んだマーケティングの知見を活かして、●●県の広報を強化していきたいです。

広報をあえてやらない自治体に対してこんなことを言ってしまうと、致命的な見解の相違が生じます。研究不足と思われても仕方ないでしょう。

総合政策・企画:自治体ごとに立ち位置が全然違う、事前リサーチ必須

インターネット上では財政・人事と並んで神格化されている企画部局ですが、全ての役所がこうとは限りません。
企画部局の立場が弱いところもあります。

例えば長期構想や総合戦略の策定業務。
企画部局がリーダーシップを発揮して方向性や内容を決めている、つまり各事業担当課よりも企画部局の意見のほうが優越するところもあれば、単に各課から提出されたものを合体させているだけのところもあります。

僕の友人が務める某県庁では、企画部局は「ポエマー」「ホッチキス」と揶揄されているとのこと。
各課から提出された原案の細かい表現にケチをつけるだけで、自ら代案を示すこともせず、合体作業しかやらないらしいです。

志望動機として企画業務を語るのであれば、受験自治体の企画部局の業務内容や立ち位置を、OB訪問などで事前に調べておいたほうが安全です。

勘違い君と思われる

建設・土木:事務職は裏方

建設・土木系の部署は、技術職が主役です。
事務職の仕事は庶務経理がほとんどで、あとは用地買収、公営住宅賃料などの滞納管理、許認可法令担当がいるくらいです。
いずれも目立つ仕事ではありません。

<地雷を踏んでしまう志望動機>
    • 大学で学んだ都市経済学の知識を活かしてまちづくりに携わりたい。
    • 特徴的な景観で世界的に有名な▽▽国に留学して、伝統的な景観を守りつつも住民生活の利便性を向上させる術を学んだ。この知見を活かして、●●県の景観保全に携わりたい。

こういうきらびやかな仕事は事務職の役目ではありません。志望動機としても使わないほうが無難です。

農林水産系:事務職は裏方

建設土木系と同じく、ほとんどの業務で技術職が主役になります。
事務職は裏方です。庶務経理がほとんどで、あとは生産者(農業従事者)支援制度の運用や、許認可・法令担当が少しいる程度でしょう。
華々しい仕事はたいてい技術職です。

例えば、特産品の販路開拓やプロモーション。
一見事務職の仕事のように思えるかもしれませんが、実際は専門的な農業知識が必要なため事務職には荷が重いです。

「特産品のプロモーション」と聞くと、通行人に試食を渡したり、イベントにブース出展して販売したり、動画や冊子を作ったり……という、イベント会社のような仕事を想像するかもしれません。

こういった業務も実際ありますが、売り子や動画製作自体は役所の役割ではありません。だいたい外注します。
役所の役割は、特産品の魅力は何なのかを分析し、定義することです。
このプロセスには農学の専門知識が不可欠で、事務職では困難です。

加えてプロモーションでは、法人相手の営業活動にも注力しています。
消費量を増やすには、個人のファンを増やすよりも、小売や流通、飲食業界の法人顧客を作るほうがずっと効果があります。
さらに、法人相手の営業活動は、個々の生産者には難しいです。自治体というネームバリューと予算規模が必要で、生産者サイドからも需要のある事業といえるでしょう。

法人相手の営業では、職員はプロのバイヤーと対峙しなければいけません。
ここでも農学全般の知識が必要になります。事務職員では太刀打ちできない世界です。

生産者(農業従事者)と接触する仕事も、ほぼ全て技術職が担当すると考えて間違いないでしょう。
生産者も農業のプロです。事務職の付け焼き刃知識なんて求めていません。

総務:個人ではどうしようもない

総務部局系の話題(≒役所組織の話題)は、面接では避けたほうが無難です。
職員個人の思いでなんとかできるレベルの話ではありません。

しかも面接官(だいたい人事課)は、職員の中でも組織運営の専門家です。知識の深さでは敵いません。
ごりごり深掘りされて言葉に窮する場面が容易に想像できます。

おすすめ(無難)な志望動機ネタ

僕のおすすめは、
  • 産業振興(特に若者の県内就職促進)
  • 危機管理(特に自主防災支援)
  • 文化振興
  • 観光
です。

産業振興と危機管理は、役所ならではの仕事であり、かつ市町村よりも都道府県よりの仕事です。
差別化を意識しなくても、自然と都道府県の志望動機に仕上がっていくでしょう。

文化振興も使いやすいのですが、市町村との差別化が難しいです。
観光も使いやすいのですが、市町村だけでなく民間との差別化も考えなければいけません。
差別化ポイントをあらかじめ考えておく必要があります。

これまでずっと「学力的に合格する見込みが立たないので国家一種は断念した」と書いてきましたが、これは半分嘘です。すみません。

実はその前にもっと決定的な出来事がありました。

あまりに恥ずかしいのでこれまで隠してきましたが、公務員試験日程が乱れているこの機に公開します。

以下、国家総合職(当時は国家一種)採用の国家公務員のことを「官僚」と表記します。
 

官僚になれば新しい自分になれるはず

僕が官僚に憧れ始めたのは、大学2年生の初め頃でした。
希望する省庁は特にありません。とにかく官僚になって大きな仕事がしたいと思っていました。

僕が大学生だった頃はmixiの全盛期でした。
誰もがサンシャイン牧場に熱を上げ、読者範囲を巧妙に調整した日記を投稿し、足跡を残さずに気になる異性の個人ページを覗くことに全力を注いでいました。
当時のmixiは招待制で、mixiのアカウントを持っていること自体が一種のステータスでした。
プラチナカードを見せびらかすが如く、アカウントを手にした日には、それを誇示するかのように頻繁に日記を更新したものです。

そんなわけで、今でもmixiアカウントにログインすれば、大学生当時の生々しい日記が続々出てくるのです。
この記事を書くために一通り読み返してきましたが、本当に恥ずかしいです。 

当時の僕のmixi日記には、頻繁に「変わりたい」という言葉が登場します。
中学受験に失敗したせいなのか、僕は昔から自己評価が低い人間でした。
当時はさらに、内心期待していた大学デビューにもつまずいて、いっそう鬱々とした日々を過ごしていました。

陰キャで小物で負け癖が染み付いている、これまでの自分と決別して、新しい自分に生まれ変わりたい。

しかし、都会の大学に進学したくらいでは変われなかった。
それならさらなる高みに到達するしかない。

いつしか僕は、就職のタイミングでさらにグレードの高い世界に進みたいと思うようになりました。
そして、目指すべき「グレードの高い世界」として、なぜか官僚の世界を志すようになりました。

官僚の仕事そのものに興味があったわけではありません。
国家を動かすという唯一無二のステータスへの憧れと、「筆記試験のウェイトが大きい公務員試験のほうが、コミュ力一本勝負の民間就活より勝率が高そうだ」という打算的期待のためです。


官僚への就職は、僕にとっては「自己実現の手段」でした。
官僚になることが変化のの証、生まれ変わった自分を象徴するステータスだと捉えていたのです。

官僚になれば、負け組ではありませんし、小物でもありません。
周囲からの評価も変わるでしょうし、何より自己評価が変わるはず。
そう信じていました。

当時は自覚できていませんでしたが、官僚として働きたいというよりも、「官僚になれば変われる、幸せになれる」と思っていたのです。

この認識が一変したのが、大学3年の夏休み開始直後。
高校時代の友人に誘われて、首都圏のいろんな大学から官僚志望の学生たちが集う交流会に参加したときのことです。

ガチになれない自分がいた

「交流会」という名称からして、これから本格化する公務員試験勉強のモチベーションを高めるべく勉強仲間をつくるのが目的の、お気楽な会だと思っていました。オフ会みたいなものだと。
 
実態は全然違いました。
試験の話題なんてほとんど出ず、まるで自分がすでに官僚の一員であるかのように、制度や法令を語っているのです。
 
知識の深さとか論理性とか、話している内容自体は大したレベルではなかったかもしれません。
しかし、評論家のような外野から文句をつけるようなスタンスではなく、為政者として、当事者として、とにかく真剣に語っていました。

彼らの姿は、僕には眩しすぎました。
崇敬の念を抱きつつも、埋めようのない差を理解しました。
知識の厚み、行政に関わった経験の量、そして何より情熱の源泉の尽きないこと。
 
彼ら各自がどうして官僚を志したのかは知りません。
ただ確実に、僕の志望動機である「新しい自分になりたい」なんか足元にも及ばないほど、明確で前向きで強烈だったと思います。

そして同時に、官僚の仕事に対してさほど興味を持てていない自分に気がつきました。
交流会の他の参加者たちに心から敬意を抱きつつも、彼らのようになりたいとは不思議と思いませんでした。
もし官僚になれていたとしても、彼らのようなパフォーマンスは決して発揮できなかったでしょうし、違和感を抱えたまま漫然と仕事をしていたことと思います。

その後、とある出来事を経て官僚の激務っぷりを思い知り、官僚を完全に諦めました。
 
ここから僕の迷走が始まります。
「変わりたい」という漠然とした欲求だけそのままに、これまで最有力だった官僚という選択肢が消えてしまったのです。

エントリーシートすらほとんど通過せずに民間就活全滅、唯一合格した地方上級(県庁)にすがりつくも再受験しようかと思い悩み……結局、ラブライブ!によって救済されるまでずっとモヤモヤしていました。


3つのギャップ

交流会に参加して、僕は3つのギャップを感じました。
  1. 他の受験生との能力のギャップ
  2. 他の受験生との情熱のギャップ
  3. 官僚と「なりたい自分」とのギャップ
もっとも重要なのは3つ目です。
それまでは官僚こそ「なりたい自分」なのだと盲信していましたが、将来の官僚候補たちのリアルな姿を知ったことで、「なりたい自分」と官僚とは別物だと気がつきました。
つまり、これまで漠然としていた「なりたい自分」のイメージが少しだけ明確になったのです。

本当ならもっと早い段階で明確に「なりたい自分像」を持っておくべきなのですが、当時の自分はとにかく「変わりたい」という思いが先行していて、冷静に自己分析ができずにいました。
大学3年生の夏になって、ようやく自己分析の口火を切れたのです。

ちなみに、交流会に参加した方々の中から、実際に多くの官僚が生まれています。
官庁訪問でも熱意が伝わったのでしょう。

自己実現の手段としての官僚就職はあんまり勧めない

「すごい自分になりたい」「大きな仕事をしたい」という漠然とした思いが先にあって、それを実現するための手段、いわば自己実現の手段として官僚への就職を考えている方もいることと思います。
当時の僕のように。

もし心当たりがあるなら、僕は再考を勧めます。
「なりたい自分」「やりたい仕事」を、まずはもう一段階具体的に考えてみてください。
それらを実現するためのルートとして、官僚は本当に最適なのでしょうか?

国(省庁)という組織の一員として、または組織を使って何事かを成したいのであれば、官僚になるしかありません。
ただし、国組織に依る必要がないのであれば、別の選択肢のほうがベターかもしれません。
 
官僚就職という選択肢には超絶激務という代償が伴いますが、自己実現の手段は他にもたくさんあります。
大抵の選択肢は官僚よりも時間的・体力的に余裕があり、自己実現に投じられる資源の総量が多いです。
とりあえず感覚で官僚になってしまったがために、本当にやりたいことを見つけられず、見つかっても追いかけられず、年月を過ごしてしまうことだけは、なんとしてでも避けてほしいです。

【2020.6.24追記】
噂の事前面談会ですが、やはりルール無用の長時間拘束・深夜営業らしく「ああやっぱり」という感じです。
本省はこれが平常運転です。県庁でさえ、本省から「解散指示あるまで待機」と連絡があって夜明けまで帰れない事態がよく発生しています。

今年の受験生はある意味ラッキーかもしれません。
普通なら入省するまでわからない(東京大学みたいなOBがたくさんいるところは別として)、本省のリアルな職場の雰囲気が垣間見れたのです……

【追記ここまで】


前回の記事で紹介したとおり、今年の公務員試験では国家総合職と地方上級の併願が難しいです。
参考:【懸念】2020年は国家公務員(総合職)と地方上級の併願は事実上困難な気がする

しかも今年は新型コロナウイルス感染症のせいで説明会がありません。
そのため、どっちの選択肢もよく理解しないうちに決断を迫られることになりかねません。

過去にも記事にしていますが、僕は国家公務員の激務っぷりが怖くて地方に逃げた人間です。
この判断は大正解でした。自信を持って断言できます。 

そんなクソ雑魚メンタルの僕からの提案です。

弊ブログをご覧ということは、国家公務員だけでなく地方公務員も興味があるのでは?
それなら国家総合職という選択肢をちょっと見つめなおしてみませんか?

短時間睡眠での激務に耐えられますか?

そもそもこんな記事を書いているのは、安易に国家総合職を選んでしまうと、あまりの激務っぷりに心身をやられてしまう危険があるからです。

どこの省庁でも国家総合職の方は激務を強いられています。
僕自身は本省勤務経験はありませんが、現役官僚の友人知人や、本省出向経験のある同僚など、本省の実態を知る人に囲まれています。
皆さん口を揃えて、それはもう激務としか言いようがないエピソードを語ってくれます。

僕のような木っ端地方公務員でも、本省職員の勤務時間がめちゃくちゃなのは、はっきり見てとれます。
本省の方から、365日24時間、どんなときにもメールや電話が飛んでくるからです。

金曜日の夕方に提出した調査ものに対し、日曜日の明け方に「追加調査やります、月曜9時までに回答求む」という返信が届いて月曜日に絶句するなんてパターンは日常茶飯事。
自分は未経験ですが、「どうして土日に電話に出なかったのか」と週明けに叱られるケースも多数聞きます。

省庁内で完結するならまだしも、本来なら指揮命令権限の無いはずの地方自治体職員にまで365日24時間稼働を求めざるを得ないのです。
切迫したスケジュール、組織内プレッシャーの凄まじさがにじみ出ています。

社畜の徹夜は一味違う

国家総合職にとって、深夜残業は必須スキルです。
「徹夜慣れしているから大丈夫」という自信がある方もいるでしょう。
ただし、仕事での夜更かしは、学生時代までに経験した夜更かしとは別物です。


●人に囲まれている、コミュニケーションを伴う夜更かし
省庁での深夜労働は、一人で黙々と作業するだけではありません。
上司や同僚と一緒に、日中と同じようにコミュニケーションを取りながらの仕事が続きます。
気心の知れた家族や友人とではなく、職場の同僚とずっと一緒という環境。これが予想以上に堪えます。

●いつ始まるか、いつ終わるか全くわからない
省庁に限らず、役所の徹夜仕事は、いつも突然に始まります。
だいたい外部から持ち込まれるものです。
つまり、いつ突然深夜労働を強いられるかわからないし、いつ終わるかもわからないのです。

こういう「見通しの不透明さ」をストレスに感じる人は結構います。
徹夜そのものは平気でも、毎日常に「今日は徹夜かもしれない」という可能性をちらつかせられるのがストレスになるのです。


このような労働環境を知って、僕は国家公務員を諦めました。
ただし、ちゃんと適応できている人も少なからずいます。
ハードだからこそ得られるものがあることも事実です。
そういう方々に支えられているのが今の中央省庁なのでしょう。本当に感謝しかありません。

「国家公務員」ではなく単に「公務員」になりたいだけなら国家総合職は再考したほうがいい

とにかく公務員になりたくて、手当たり次第に試験を受けている方もいるでしょう。
こういう方は一度冷静に考え直してみたほうがいいと思います。
 
特に、難関大学に通っていて、周りがみんな国家総合職を受験しているという理由だけで、強く志望しているわけではないけどとりあえず受験を考えている方。
採用された後、本当にきついと思います。

公務員を志望する理由を、改めて考えてみてください。
その志望理由が国家総合職でしか叶わないのであれば、堂々と国家総合職試験に臨んでください。応援します。

加えて消去法でも考えてみてください。
消去法でも国家総合職しか残らないのであれば本物です。
ただし、国家総合職以外の選択肢も消せないのであれば、ハードな労働環境に挑戦できるのかどうかを再考してみてください。
  • 住民対応やりたくない
  • 自治体職員はレベルが低いから一緒に働きたくない
  • 30代後半まで部下持てないなんてあり得ない
  • 役所に骨を埋めるつもりはない、地方公務員だと転職できなくなる
まずはこのあたりの条件からチェックしてみては?

「地方自治体は今後破綻するリスクが高く身分保証されるとは限らない」という理由で、国家公務員を志している方もいるでしょう。
確かに自治体が破綻して、解雇されたり待遇が大幅悪化されるリスクはあります。
しかし、仕事が原因で自分が潰れるリスクは、国家公務員の方が圧倒的に高いです。
失職リスクを考えるなら、都庁はじめ財政的に豊かな都会自治体の方が、トータルで見て安全です。

この記事を読んでどう思いました?

この記事への直感的な感想も、重要なチェックポイントだと思います。

「はぁ……やっぱ地方公務員はだらしないし頼りないんだよな。こんな奴に行政運営は任せておけない。やはり国がしっかりしないと駄目だわ。」と思った方。
貴殿こそ国家公務員たるべき器の持ち主です。


「地方公務員だと平凡な人生で終わりそうだけど、国家公務員になれば何か新しい人生が始まりそう!この期待を捨てきれないんだ!」という方。
健康を賭け金として差し出せるか、考えてみてください。
国家総合職として働くほうが成長できるでしょうし、大きなことを成し遂げられるでしょう。
ただし、激務のあまり心身を壊すリスクを忘れないでください。

加えて、地方公務員であっても全国スケールで活躍している方もいます。ごくわずかですが。
大半の地方公務員は平凡な人生を歩むでしょうが、偉業を成し遂げることが不可能とは限りません。
むしろ余暇時間が確保できるので、独力で挑戦するような事柄なら、地方公務員のほうがやりやすいかもしれません。 

順延後の国家公務員試験の日程が発表されました。
まさか地方上級よりも後になるとは……


 

 


国家公務員が本命の方は、試験勉強期間が長くなって大変なことと思います。
しかも「事前面談会」という新要素もあって勉強時間が相当奪われるようで、ますますお気の毒です。
総合職事前面談会ガイド2020(PDFで開きます)

これ事実上の官庁訪問でしょ……ここで大方選考しておいて、官庁訪問本番は意思確認だけのやつでしょ……それに「土日は拘束しない」ってわざわざ書いてあるのも怪しいです。例年通り「有志の交流会」みたいな別名目で地上試験日を拘束するのでは……

 

国家総合職と地方上級の併願は事実上困難では?

公表日程をもとに、内々定までのスケジュールを作ってみました。 
青色部分は僕の予想です。例年のケースをもとに僕が勝手に想像しているものです。公式情報ではありません。
試験日程.001

地方上級は例年通りのスケジュールを入れてあります。
国家公務員のほうは、総合職も一般職も想像です。
どの省庁も、総合職採用を固めない限り、一般職採用のボーダーラインを決められないと思われます。
そのため何より一般職採用の開始前に、例年よりもハイペースで総合職採用を完了させるでしょう。
官庁訪問期間がもっと短くなって、内々定時期がもっと早まることも考えられます。


僕の予想では、国家総合職の官庁訪問・2次試験と地方上級(県庁・大きい市役所)の面接期間が思い切り重複します。
つまり、国家総合職・地方上級の両方とも筆記通過したとしても、面接日が被ってしまうせいで、どちらかを切り捨てざるを得ないケースが大いに発生しうるのです。
事実上、持ち駒が一つ減るのと同じです。

都庁や特別区だとお決まりの事例なのですが、今年は地方上級でも発生するのです。

どっちを取るか?で志望順位を推定する


官庁訪問にしても地方自治体の採用面接にしても、受験者側の都合で日程を変えてもらうことは基本的に不可能です。
特に官庁訪問は、指定日に素直に応じるかどうかも重要な選考要素です。ここで志望度を測ります。
実態はどうであれ、日程変更を申し出た瞬間に「うちの省庁以外が第一志望だな、そっちの官庁を訪問するんだな」と評価されるでしょう。

そのため、変更を打診すること自体、やめておいたほうが無難です。

地方自治体なら変更に応じてくれるかもしれません。
ただ、もともと面接日として用意されている日が少ないです。
1日で全員分こなしてしまうところもあるでしょう。
そのため、地方上級の面接日も、基本的には変えられないと思ったほうが無難です。

あらかじめ順位を決めておくしかない?

最も影響が大きいのは、国家総合職が第一志望の方でしょう。滑り止め候補が一つ減るのです。
中でも、国家公務員(総合職)なら何でもいいわけではなく、第一志望の省庁以外は興味無しという方にとっては、持ち駒の減少は痛いところと思われます。

後悔しないために、今のうちから しっかり優先順位を考えておいて、シミュレーションしておくことを強くおすすめします。
選考本番が近づくにつれて、どんどんプレッシャーが強まっていき、冷静な判断ができなくなります。

志望順の円.001

国家総合職志望者を図示してみました。
どんな方も①〜⑤のいずれかにあてはまるでしょう。

自分がどこにいるのか、今のうちに冷静に考えておくと良いと思います。
そして、第一希望の選択肢が断たれたときにどうするのかも、合わせて考えてみてください。
僕のリアル知人たちを見る限りでは、場の雰囲気に流されて志望順位の低い省庁に総合職入庁してしまうパターンが一番つらそうです。
 

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