キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

こんなブログ見ている暇があるなら「微熱空間」を読んでくれ(心の叫び)

新年一発目の記事は、今回も「今年の展望」でお送りします。

今年は「新型コロナ関係の集団訴訟」と「採用抑制」が大いに話題になると思います。
去年も同じことを書いていますが、今年こそガチです。


今年こそ新型コロナ集団訴訟が始まる?

去年は結局、訴訟関係の目立った動きはありませんでした。
感染症自体はまだまだ落ち着かないものの、重症患者は減りましたし、社会全体が良い意味で「慣れてきている」気がしています。

とはいえ、住民訴訟に関してはまだまだ安心できないと思います。
去年の記事でも書きましたが、発災から提訴まで年単位で間が空くのが住民訴訟の特徴です。
行政に対する住民の悪感情は、なかなか消えないものです。

昨年提訴されなかったのは、全国旅行支援や各種給付金のようなバラマキ施策のおかげだと思います。
住民訴訟を起こすのは、バリバリ働いている現役世代ではなく、時間に余裕のある方々です。
昨年展開されたバラマキ施策は、時間に余裕のある人ほど恩恵を受けられるものばかりで、(意図的では無いでしょうが)潜在的原告を宥める効果もあったと思っています。
個人事業主や中小企業に対する補助金も、同様に訴訟抑止効果があったでしょう。

今年もしバラマキ施策や補助金類が衰えたら、「金の切れ目が縁の切れ目」と言わんばかりに、今度こそ訴訟ラッシュが始まると思います。
これは完全に推測ですが、行政訴訟を生業としているプロの方々のほうでは、既に訴訟の材料や論点は準備できているはずです。
一旦始まってしまえば、かなり急展開で進んでいくと思います。


2023年の地方公務員採用数はほぼ確実に減る(減少幅は未知数)

今年からついに地方公務員の定年延長が始まります。
令和5年度はまず61歳まで定年が伸びることになり、年度末には定年退職者が発生しません。例年よりも退職者が減少するわけです。
従って、2023年度の採用者(2024年4月1日から勤務開始する人)も減らさないと、総職員数が激増してしまいます。

総務省の資料では、「定年退職者が2年に一度しか生じないことを踏まえ、2年ごとの平準化を基本としつつ、各職種の状況を踏まえ、平準化を行う年数については柔軟な検討が必要」という一文があり、定年退職者が発生する年度としない年度の採用者数の平均人数を算出して、2年ともこの平均人数を採用する…という方法を基本としているようです。(総務省資料を読解してみた過去記事はこちら。



つまるところ、2023年度は退職者数<採用者数となり総職員数が増えることを許容しています。
(逆に2024年度は退職者数>採用者数となり総職員数は減少)
そのため、2022年度と比べて採用者数が激減するようなことは無さそうです。

とはいえ、採用計画を決めるのは各自治体ですし、実際どうなるかはまだまだ分かりません。
とんでもない運用をする自治体が出てきたり、採用者数の減少以上に志望者が減って倍率が激減したり……何かと話題になりそうだと思っています。要注目です。


僕個人のレベルでは、次の異動先が最懸念事項です。
今の民間出向は今年3月いっぱいで終了するはずで、4月からは役所勤務に戻ります。
業務内容は最早何でもいいので、とにかく人間関係の良いところに潜り込みたいです…… 

全国でコロナ対応に従事している地方公務員各位には本当に本当に申し訳ないのですが、個人的に2022年は超楽しい一年でした。体感だと4ヶ月くらいで終わっちゃいましたね。
コロナが若干落ち着いてきて自由に行動できたおかげなのも大きいですが、仕事のストレスが過去最少だったのも大きいです。

外様でいるのがこんなに楽とは……

僕は昨年度からとある民間団体に出向しておりますが、そこでの扱いは完全に事務バイトです。
この2年、雑用とルーチンワークしかやっていません。
ひたすら業務量が多いのでだいぶ残業している(年末年始は今日明日しか休めません)とはいえ、業務自体は単純ですし、自分だけでほぼ完結するので面倒なコミュニケーションがありません。
「調整」から解放された生活、控えめに言って最高です。

何より、組織内のいざこざから無縁でいられるのが本当に気楽です。
プロパー職員どうしのドロドロした人間関係(20代のうちから謎のマウント合戦が展開されている)とか、部署間のパワーバランスとか、幹部への忖度とか……こういう面倒ごとは実質バイトである僕には何の関係もありません。

僕の前任者は「プロパーから見下されるのが辛い」「やりがいが無さすぎる」と嘆いていましたが、僕としてはむしろ楽なのに給与据え置き、しかも残業代がちゃんと貰えるという神環境です。

仕事のストレスが少なく精神的にゆとりがあるおかげで、例年よりもアクティブに活動できました。
このブログでもネタにしたように転職活動してみたり、久々に旅行に出かけたり、弁当男子を始めたり、暫時中断していた小説執筆を再開したり……他にも色々とやりたいことができました。
残業や休日出勤のせいで余暇時間自体は短いはずなのに、心が元気だから精力的に動けるんですよね。

来年4月に県庁に復帰したら、これまでの反動で今度は苦労するのでしょうが、それまではぬるま湯環境に浸かっています。

基本をとことん丁寧に

今年は漫画作品のアニメ化が大いに盛り上がりました。
ヒット確定の超有名作のみならず、ややマイナーな作品がアニメ化された途端に人気爆発する……というパターンも散見されたのがとても喜ばしいです。それだけ「動き」と「音」の付加価値が高まっているということなのでしょう。

漫画作品をアニメ化する場合、コマとコマの間隙を埋める必要があります。
間隙の埋め方次第で、同じ原作でも全然違うアニメになり得ます。
今年の作品はこの「間隙の埋め方」がものすごく良かった。

その典型例が「ぼっち・ざ・ろっく」です。
間隙を埋めるリソースを「1対1の人間関係構築過程」につぎ込んでいたように思われます。
ここが丁寧に補足描写されていたおかげで、主人公達の感情を機微に至るまでトレースできるようになり、何よりキャラクターがとても魅力的に見えました。
漫画原作アニメのひとつの極地だと思います。

今年は他にも「1対1の人間関係」にスポットを当てた良作が多かった気がします。
「リコリス・リコイル」とか「明日ちゃんのセーラー服」とか。
組織やチームを描くにしても「1対1の人間関係の総体」として描かれていて、組織・チームありきで人間関係が決まるわけではありません。

つまるところ今年は、「魅力的なキャラクターどうしが交流することで、魅力的な人間関係が生まれる」というフィクションの基本中の基本がしっかりできている、地に足のついた良作が多かったのだと思います。
視聴者として楽しめたのみならず、創作者の端くれとして、とても勉強になりました。

一方で悩まされたのがラブライブ!スーパースター!!2期(以下「星2期」)です。
7月から10/9まで放送されていましたが、終盤2話の怪作っぷりをいまだに消化できず悶々としています。

とにかくメインテーマが何だったのかが釈然としないんですよね……
途中まで「リベンジ的な勝利をチームで獲る」がメインテーマだったはずで、これに沿って個々のエピソードが積み重ねられてきたところだったのに、終盤でいきなり留学という縁遠い要素が登場、さらにラストでその留学要素が台無しにされるという……というドタバタ劇で締められたせいで、「リベンジ的な勝利をチームで獲る」というテーマも中途半端、留学要素は何したかったのかがよくわからずにいます。

個々のエピソードは良いんですよ。特に「UR葉月恋」と「オニナッツ関係」あたり。

あとはキャラクター描写がいつになく淡白だったのも、消化不良の原因だと思っています。
(特に一年生メンバー、誰かに同調するだけなシーンが多かったのと、変化らしい変化が生じていないせい?)

正直これまでのシリーズもメインプロットが迷子になりがち(あるいは希薄)ではありましたが、それでもキャラクターがしっかり立っていたので、視聴者がキャラクターの意図や思考をトレースして、物語を「補完」することができました。(2010年代以降にヒットした作品は、いずれもこういう性質を備えていると思います。)
しかし星2期は、キャラクターの言動の意図を探ろうとしても、手がかりが足りないのです。

とはいえ少なからず感情を揺さぶられたのは事実であり、このまま忘れるのは勿体無いです。
腑に落ちるまで感想漁りを続けていこうと思います。 

 

弊ブログ読者の中には、ひょっとしたらブログ執筆に興味のある方がいるかもしれません。
そういう方に向けて、地方公務員ネタ中心で約5年間ブログを書いてみた率直な感想をお届けします。

ブログ執筆を趣味とするメリットは?

僕の場合、1記事書くのに大体3時間くらいかかります。
累計だと1500時間程度、20代後半から30代前半にかけての貴重な時間をこのブログに費やしているわけです。
地方公務員法抵触リスクを恐れて広告は貼っていないので、いくら書いても収入はゼロです。
金銭的に見れば時間の浪費にほかなりません。

しかしこの時間は、僕の成長に間違いなく寄与しています。無駄だったとは思いません。

文章力の向上

ブログを書き続けたおかげで、堅めの文章を書くスキルは確実に向上しました。
1文1文の表現力はまだまだ未熟ですが、文章全体の構成力や論理展開のほうは随分マシになったと思います。詳しくは後述します。

正確な知識の定着

ブログを書くために制度要項や統計データを調べていると、意外な発見がたくさんあります。
初めて知る事実だったり、勘違いだったり……いずれにしても「ググればわかる」ことを案外知らないものだと、日々痛感させられています。
職場で恥をかくまえに誤解を正せて良かったと思います。

日常が面白く見える

普段から「ネタ探し」という観点で役所内を眺めるようになり、役所内で過ごす時間が少し楽しくなりました。
別部署との衝突とか問題職員とのやりとりみたいな面倒な仕事も、「格好のネタ」と捉えられるようになり、以前ほど億劫には感じられません。

自律性の回復

ここまでブログを書き続けてこられたのは、ひとえに楽しいからです。
特に、調べて考えて文章化する……という一連のプロセスの達成感に取り憑かれています。
ひたすら他律的であることを強いられる仕事とは違い、ブログが好き放題書けるおかげで、平日ゴリゴリ削られた自律性を回復できている実感もあります。

 



ブログ執筆のデメリットは?

ブログ執筆のプラス面は上述のとおりで、手軽かつローコストで始められる手段としてはかなりリターンが大きいと思います。
ただし、地方公務員をネタにしてブログを書こうとすると、特有のデメリットが生じてきます。

オフの時間も仕事のことを考える羽目になり気分転換できない

地方公務員をネタにブログを書くということは、仕事について休日にも真剣に考えることにほかなりません。ある意味セルフ休日勤務です。
「せっかくの休日を潰して仕事のことを考えなければいけない、しかも無賃」と捉えると、地方公務員ブログは苦行そのものです。
僕自身、「どうして休日なのに役所のことを考えなきゃいけないんだろう?」と虚しくなってきて、執筆を中断することも時々あります。

正直、僕がこの虚しさに耐えられているのは、
  • 田舎なので娯楽が少ない
  • 他の娯楽を楽しむだけのお金が無い
  • 独身ゆえに時間に余裕があり休日を持て余しがち
という条件が重なっているおかげだと思います。
もし僕が都会に住んでいたら、このブログよりも別の娯楽に流れていることでしょう。

ネガティブな情報を収集せざるを得ず鬱々としてくる

地方公務員をネタにするなら、どうしても社会のダークサイドに触れざるを得ません。
役所の仕事の多くはマイナスをゼロに近づける仕事であり、今現在どのような惨状が存在するのかをまずは情報収集して理解しないと、記事は書けません。
まちづくりや地域振興のような前向きな話題であっても、必ずダークサイドは存在します。 

地方公務員に向けられる軽蔑や嫌悪感も、役所の意思決定や地方公務員の価値観に大きな影響を及ぼしており、無視できません。
ブログを書くためには、地方公務員がどのように叩かれているのかを詳細に把握する必要があります。
せっかくの休日にわざわざ社会のダークサイドを調べたり、ネット上の公務員叩きを眺めたりしていると、どんどん気分が悪くなってきます。
ブログをやらなければ知らずに済んだはずのネガティブ情報を知ってしまい、余計にストレスを抱えているわけです。
精神的自傷と言っても過言ではないでしょう。

もちろん、ネガティブな情報を一切省いて、ひたすら明るく仕上げることも可能ではあります。
しかし、地方公務員界隈はネガティブなファクトがてんこ盛りであり、これらを無視して地方公務員ネタの記事を書こうとすると、相当工夫しない限り薄っぺらくなるでしょう。
素材が全然足りないのです。

文書力を向上させるにはどうすればいいのか?

趣味でブログを書くことの効用として、「文章力の向上」がよく挙げられます。
文章力が身につくことで、本業のみならず副業にも役立つ……という文脈が多いでしょうか。

地方公務員の場合、普段から仕事でそれなりに文章を読み書きしています。
そのためわざわざブログを書かずとも相当程度の文章力が備わっているものです。
そこからさらに文章力を高めていくためには、ただひたすら記事を量産していくのみならず、文章力とは何なのかを改めて考えて、意識的に練習する必要があると思います。

文章力=語彙力×構成力

俗にいう文章力は、語彙力構成力の2つに大別されると思っています。
 
語彙力は、適切な単語と表現を扱えることです。
構成力は、文章全体の流れを整えることです。

文章力の構成要素には他にもいろいろあるのでしょうが、この二つを高めることで、正確でわかりやすく、読者の心に残る文章が書けるようになるはずです。

語彙力:たくさん読む

語彙力のほうは、よく言われるように、たくさん読んで、使える単語や表現のストックを増やしていくしかないと思います。
特に、自分が書きたいテーマに関する単語や表現を中心に、網羅的に収集していけばいいでしょう。

さらに語彙力は、物事をより深く理解し考察する助けにもなります。
単語は概念であり、思考や分析のツールでもあります。
ある物事に属する固有名詞をたくさん知っていれば、それだけその物事を細かく分類・分析できるわけですし、ある物事を描写する形容詞をたくさん知っていれば、それだけその物事を多角的に観察できるわけです。

例えば、雨についての単語をたくさん知っていれば、それだけ雨を細かく分類できる、つまり雨について深く考察できます。
より身近な例だと、「公務員」という単語しか知らない人と、「会計年度任用職員」「臨時的任用職員」「任期の定めのない職員」「フルタイム再任用職員」「短時間再任用職員」などの公務員の細目を知っている人とでは、同じく公務員批判をするにしてもレベルが段違いのはずです。

語彙力が伸びれば、文章力向上につながるのみならず、思考力もどんどん増していき、文章の中身自体がより面白くなります。

構成力:参考書を読みながら練習する

ブログ執筆により磨かれるのは、語彙力よりも構成力のほうだと思います。

文章の構成といえば「起承転結」や「序破離」あたりが有名ですが、これらが万能というわけではありません。
文章のフォーマット次第で、求められる構成力は異なります。

地方公務員の日常業務でも、メール、通知文、議事録、挨拶文、議会答弁……などなど、いろいろなフォーマットの文章を書きます。
我々はこれらを同じ方法論で書いているわけではなく、それぞれの書き方のコツを無意識に使い分けています。

話の舞台を役所実務から文章全般に敷衍しても、状況は同様です。
世の中にはたくさんのフォーマットがあり、フォーマットに応じた作文のコツ、つまり構成力が存在します。
つまるところ、自分が書きたい文章のフォーマット次第で、習得すべき構成力も変わってくるわけです。

とはいえ、多数のフォーマットで適用できる汎用的な構成力も存在します。
こういう構成力を身につければ、文章力が飛躍的に向上します。

僕の経験では、
  • ロジカルな文章
  • 脚本(ストーリー)
  • エッセイ
この三種類はかなり応用が効きます。

おすすめ参考書

構成力の養成方法自体は単純です。
定評のある参考書を入手して、それに従って練習するのみです。

ロジカルな文書だと『考える技術・書く技術』が一押しです。



超有名な本なので、すでに読んだことのある方も多いでしょう。
僕が学生の頃は「就活中にマスターすべき一冊」とも言われていました。
Amazonのレビューだと「読みにくい」という声が多数ですが、地方公務員なら難なく読めると思います。
ちなみにこのブログも、2019年2月頃から本書のメソッドに従って書いています。


脚本(ストーリー)だと、このあたりでしょうか。
ストーリー
ロバート・マッキー
フィルムアート社
2019-05-24


SAVE THE CATの法則 SAVE THE CATの法則
ブレイク・スナイダー
フィルムアート社
2018-08-03


「感情」から書く脚本術
カール・イグレシアス
フィルムアート社
2018-08-03



ストーリーの力を借りると、事実をわかりやすく印象的に伝えることができます。
「創作趣味も無いのにストーリーを書く技術がどうして必要なのか?」と思う方もいるかもしれませんが、ちょっと齧ってみるだけでも案外役に立つものです。

エッセイはいまだにピンとくる参考書に出会えておらず、どう書けばいいのかよくわかりません。
自分が経験した事実と感情を淡々と描写しつつ、さりげなく自分の主義主張を織り交ぜて読者の思想を誘導するのがエッセイの極意だと思っているのですが、その塩梅が難しいです。

地方公務員ネタでブログを書く際のコツとは?

インターネット上では、日々いろんなメディアが地方公務員について論じていますし、当事者(現役・元職の地方公務員)が運営しているブログもたくさんあります。
そんな中でこれからブログを開始し、価値ある情報を発信していくには、地方公務員として得た知識や経験を用いて、市井の人々よりもう一段階深掘りすることが重要だと思っています。

一般的なブログ運営手法とは真逆だと思われますが、地方公務員ネタのブログに限っては、僕はむしろ著者をブランディングせずに「凡百の一地方公務員」という立場で書くほうが面白くなるとも思っています。
大多数の地方公務員が感じたり考えたりしそうな事柄を、普通の人よりもう一段階深掘りするだけで、十分読み応えが出ますし、オリジナリティも宿るからです。
さらに「物事を深掘りする」という行為自体が、自分自身の成長につながります。

「地方公務員的には常識だけど世間には知られていない」情報だけで十分差別化できる

「役所の常識は世間の非常識」という定型句があります。
公務員の人格を非難する文脈で頻出の表現ですね。

実際、役所の常識と世間の常識は大きく乖離しています。
ただ、常識が乖離している理由は、一般的に言われるような人格的問題よりも情報の非対称性が大きいと思っています。
お互いに保有している情報が違うせいで「当たり前」も食い違うのです。
  • 制度の仕組み
  • 施策の背景や経緯
  • 公的統計情報
あたりは、今やググればすぐにわかるとはいえ、世間一般には案外知られていないものです。
そもそも「ググったら誰でもわかる」という認識すら無いかもしれません。
こういう「地方公務員以外にはあまり知られていない行政関係情報」をきちんと押さえたうえで世の中を眺めてみると、インターネット上の多数説とは異なる発想が見えてきます。
これが地方公務員ならではの付加価値であり、地方公務員ブログを面白くする要素になると思います。

たとえば、今年話題になった「マイナンバーカード取得率の普通交付税算定への反映」だと、
  • 自治体間の競争を無駄に煽る
  • 国の責任を自治体に押しつけるな
  • マイナンバーカード取得の事実上の強制だ
みたいな主張が盛んになされていますが、地方公務員ならではの強み、例えば地方交付税制度の知識を踏まえると、新しい視点が見つかります。

以下、ネットで見つけた某自治体の研修資料を見ながら書いてみました。

地方交付税の目的は、地方交付税法第1条で規定しているとおり「財源の均衡化」と「財源の保障」です。
要するに、税収の少ない自治体でもきちんと行政機能を維持できるように、国が「地方交付税」という財源を配分するのが、地方交付税という仕組みです。

ただし、何でもかんでも財源保障するわけではありません。
地方財政計画に計上されている「標準的な歳出」、つまり
    • 法令に定められている事業(生活保護、ごみ収集など)
    • どんな自治体でも実施している事業(道路の維持補修など)
あたりを中心に財源保障しており、
    • 自治体公式Youtubeチャンネルの運営経費
    • 地域のお祭りへの補助金
みたいな、一部自治体しか実施していなかったり、義務づけ度の低い事業に対しては財源保障していません。

また、地方交付税は国税の一部(消費税の33.1%など)を原資としており、税収に応じて毎年度総額が決まっています。
総額をいかに配分するかを決めるのが総務省の仕事で、今回「マイナンバーカードの取得率を反映させる」と決めたわけです。

このような地方交付税の性質を踏まえると、
    • 現時点ではマイナンバーカードを活用した施策なんて一部先進自治体でしか実施されていないのに、地方交付税で財源保障すべき「標準的な歳出」と言えるのか?
    • もっと優先して財源保障すべき経費がたくさんあるのでは?保健所職員の時間外勤務手当とか……
    • 「一般財源同水準ルール」が適用されている現状では、地方交付税の総額を増やすのは困難であり、マイナンバーカード事業分を新たに財源保障する分だけ、他の事業の財源保障をカットして財源捻出することになるのでは?
あたりの批判が可能でしょう。
 

行政関係のファクトをきちんと押さえておけば、スーパー公務員の方々のような個性的卓見を持たなくとも、それなりにユニークな内容に仕上げられるものです。
いちいち調べるのは面倒ですし時間もかかりますが、その分だけ自分の血肉になりますし、無駄ではないでしょう。


深掘りの練習方法

物事を深掘りしていく手法は、コンサルタントやシンクタンク向けの書籍が参考になります。
一般的な分析・思考のフレームワークをちょっと使ってみるだけでも、新しい視点が得られます。
僕はこのあたりの書籍をよく参照しています。

ロジカル・シンキング Best solution
岡田 恵子
東洋経済新報社
2013-05-02



新版 問題解決プロフェッショナル
齋藤 嘉則
ダイヤモンド社
2015-01-19




地方公務員ならではの「行政実務にまつわる知識と経験」を使って、世間一般とは異なる切り口で物事を眺めたり、世間一般よりも深掘りすることで、新規性のある中身に仕上がるはずです。

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