キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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未婚者の増加が話題になるとき、地域別の傾向がよく取り上げられます。
その文脈の中で、独身者の性別が男女いずれかに偏っている地域のことを、「男余り」「女余り」と表現されています。

有名なのは、
  • 北関東は男余り
  • 福岡は圧倒的に女余り
あたりでしょうか。 

雑誌やインターネット上の記事を見ていると、男余り/女余りの根拠として「男女別の未婚者の人数」がよく使われています。シンプルでわかりやすいですね。

ただ、独身男性当事者としては、これだけでは物足りなく思っています。
「男女別の未婚者人数」は、あくまでも男余り/女余り現象を表しているだけです。
いわば結果であり、男余り/女余りの「原因」を説明しているわけではありません。

未婚者の増加を問題として捉えて解決策を模索したいのであれば、真に探求すべきは、男余り/女余りの原因ではないでしょうか?

男余り/女余りの原因は複数存在するでしょうし、地域ごとにさまざまな事情があると思います。

参考になりそうな数字を探していたところ、ヒントになりそうな統計を見つけたので、整理していきます。

年齢別の転入超過・転出超過から原因を探る

今回見ていくのは、男女別の人口流入/流出の状況です。
「住民基本台帳人口移動報告」を使用していきます。

この統計では、住民基本台帳上の転入・転出人数を、5歳ごとの年齢帯で集計しています。
今回、僕が興味のある10代後半~30代前半までのデータを抽出して、都道府県間の人口移動として表にまとめ、地域ごとの特徴を調べてみました。

僕が着目したのは、転入超過数(転入者-転出者)です。
この人数がプラスであれば転入超過(人口が増えている)、マイナスであれば転出超過(人口が減っている)です。

年齢帯ごとの呼称設定

この記事では、各年代に名前を付けてみました。
(毎回「15~19歳」などと年齢帯を記載すると、読みづらいため)

10代後半(15~19歳)は、「大学進学期」と命名しました。
この年代で県外に出るのは、大学進学が主な理由だと思われるからです。
高卒で県外に就職する方(工業高校卒→推薦で大企業の工場に就職するパターンなど)もそこそこ居そうですが、そもそも高卒就職者の割合は2割未満であり、進学者よりもだいぶ少数なので、今回は捨象しました。

20代は「ファーストキャリア期」と命名しました。
この年代の移動は、就職に伴うものが多いと思われるからです。
25~29歳をファーストキャリアと呼ぶのは微妙な気がしますが、数字を見るに20~24歳と傾向が似ているので、合わせることにしました。

30歳~34歳は「セカンドキャリア期」と命名しました。
この世代は、転職や、所帯を持つことによる転居といった、人生の第二幕開始に伴う転居が多いと思われるからです。


都道府県別に集計してみた結果

転入超過ビジュアル

都道府県別に人数を集計した結果が、上の表になります。
人数がプラスの部分は転入超過(人口が増えている)、マイナス部分は転出超過(人口が減っている)です。

上の表をもとに、地域別の特徴を見ていきます。

北海道

基本的に転出超過が続いていますが、大学進学期とセカンドキャリア期は減少幅が小さいです。

大学進学期は、道外に出ていく人も多い一方で、道外から北海道大学に進学する人がそこそこいる、ということなのでしょう。
ただ、大卒者を受け入れるだけの就職先が無いのか、大学卒業後のファーストキャリアで北海道を離れる人が多いと思われます。

セカンドキャリア期では、男性が転入超過になっています。
UターンなのかIターンなのかはわかりませんが、道外から北海道へ移住してきてセカンドキャリアを始める人が一定数いるのだと思われます。

男女差を見ると、女性のほうが転出超過しています。
完全に推測ですが、男性は一次産業に就業していく一方、女性は一次産業を避ける傾向があったりするのでしょうか……?


東北(青森〜福島)

仙台市を擁する宮城県の一強です。
大学進学期は、東北大学を擁する宮城県のみプラス。
ファーストキャリア期も、宮城県だけマイナス幅が小さいです。
セカンドキャリア期も、明確にプラスなのは宮城県のみ。
どの年代においても圧倒的に強いです。

男女差では、宮城県を除き女性のほうが転出超過しています。
特に福島県の女性流出が激しいです。
 
未婚者数ベースでも「南東北~北関東は男余りが激しい」とよく言われますが、まさにこの結果と一致します。

関東(茨城〜神奈川)

南関東と北関東でくっきり分かれています。

南関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)では、いずれの年代でも転入超過が続きます。
大学進学、ファーストキャリア、セカンドキャリアいずれの人生の転機においても、全国から人を集めているといえるでしょう。

ただ東京都のみ、セカンドキャリア期で減少が見られます。
一方、埼玉県・千葉県では同数ほど増加しているので、東京都内で賃貸暮らしをしていた人がマイホームを購入するにあたり、郊外に引っ越したということなのでしょう。

北関東は、セカンドキャリア期のみ増えています。
こちらも東京都内勤務の方が引っ越してきたのだと思われます。ベッドタウンという特徴が数字に表れているのでしょう。

一貫して転出超過なのは群馬県だけです。
東京のベッドタウンとしては遠いということなのでしょう。

男女差でも、北関東と南関東でくっきり分かれます。
北関東は女性のほうが転出超過、南関東は女性のほうが転入超過です。
ここでも未婚者数ベースの結果と一致しています。

北陸・甲信越(新潟〜長野)

県ごとに特徴が異なる地域です。

新潟県・富山県・福井県は、一貫して転出超過が続きます。
富山県だけファーストキャリア期の転出が少なめなのは、製薬会社やYKKなど就職先が多いからでしょうか?

石川県は、大学進学期だけ転入超過という宮城県や京都府と似た特徴があります。
近隣県から金沢大学へと進学しているほか、特に男性のほうが著しく転入超過になっているところを見ると、金沢工業大学にも県外から人が集まっているのでしょう。
ただ、せっかく集まった学生たちを引き留められるほど就職先には恵まれていないのか、ファーストキャリア期で大勢転出していきます。

山梨県は、大学進学期とセカンドキャリア期で転入超過になっています。
東京にも近く移住先として人気なので、セカンドキャリア期の転入超過はわかるのですが、15~19歳がなぜ転入超過なのか全然わかりません……ファナック関連企業に県外から高卒で就職してくるのでしょうか……?

長野県は、セカンドキャリア期で転入超過です。
長野県はよく「移住先進県」と言われますが、セカンドキャリア期の転入超過は、まさに移住人気を証明しているといえるでしょう。

男女差を見ると、石川県を除き女性のほうが転出超過傾向にあります。
ただし、ネットニュースによると、石川県も「激しく女性が転出している」と評されています。僕の集計方法がおかしいのか……?




 

東海(岐阜〜三重)

愛知県が圧倒的に強いです。
ただし東京都とは異なり、ファーストキャリア期の後半以降から転出超過に転じています。
 
地域全体を見ても転出超過なので、東京都のように近隣県にマイホームを持つために転出するのではなく、中京圏から去っているのだろうと思われます。
とはいえ、他地域と比べれば些細な転出超過です。

男女差では、ファーストキャリア期①で、女性のほうが圧倒的に転出超過になっているのが興味深いです。
製造業が強い地域ですが、女性にとっては魅力的な勤務先が少ないということなのでしょうか?


関西(滋賀〜和歌山)

関西といえば大阪・京都・兵庫の三強……というイメージですが、それぞれ特徴が異なります。

大阪府は非常に強く、セカンドキャリア期を除き転入超過です。
東京都と似ていますが、セカンドキャリア期の転出が東京都と比べてさほど大きくありません。不動産価格の違いなのでしょうか?
滋賀県・奈良県が大阪のベッドタウンという位置付けのようで、セカンドキャリア期で転入超過になっています。

京都府は大学進学期のみ転入超過で、以降は転出超過が続きます。
「京都は学生比率が高いから、人口のわりに税収が少ない」とよく言われますが、この数字を見ていてもそんな気がしてきます。

兵庫県は、ファーストキャリア期での転出超過が非常に大きいです。
神戸大学に集まってきた学生を引き留められていないのでしょう。

一貫して転出超過なのは和歌山県だけです。
関東における群馬県のように、ベッドタウンとしては遠いということなのでしょう。

男女差では、女性のほうが増えています。
特に大阪府は、ファーストキャリア期①で男性の約2.5倍も転入超過になっています。
大学進学期で、兵庫県・奈良県が女性のみ転入超過なのも面白いです。女子大の影響なのでしょうか?


中国・四国(鳥取〜高知)

転入超過なのは、鳥取県のセカンドキャリア期のみ。
基本的に転出超過です。厳しいですね……
 
他地域と比べて男女差が小さく、まんべんなく転出していっているのだと思われます。


九州(福岡〜鹿児島)

福岡県の一強です。
「九州の若者は福岡県に集まる」というイメージと見事に合致しています。

福岡県といえば「女余り地域」の代表格ですが、実際に女性の転入超過数のほうが多く、女余りっぷりが見事に表れています。

九州地方に特徴的なのは、セカンドキャリア期で幅広く転入超過になっている点です。
人数的にはさほど多くないものの、広範囲で転入超過が見られるのは、南関東と九州だけです。
UターンなのかIターンなのかはわかりませんが、移住先として人気があるということなのでしょう。


沖縄

ファーストキャリア期②から転入超過に転じるという、他地域とは異なる傾向が見られます。
男女差では、女性のほうが転出が少なく、転入が多い傾向にあります。
「セカンドキャリアを沖縄で始める」 という流れは、僕のイメージとも一致します。

やはり定性的調査・分析が必要なのか

ここまで見てきた「住民基本台帳上の転入超過数」は、未婚者数ベースの男余り/女余りと、それなりに関係があると思われます。
未婚者数ベースで「男余り」と言われる南東北や北関東は、やはり女性のほうが大きく転出超過になっていましたし、反対に「女余り」と言われる西日本や福岡県は、女性のほうが転入超過傾向にありました。

つまるところ、大学進学や就職のタイミングでの人口移動の男女差が、後々の未婚者数にも影響してくる……と考えて間違いなさそうです。
目新しい知見ではありませんが、印象論ではなく、定量的な裏付けもあると判断できるでしょう。

とはいえ、転入・転出の定性的な理由はわからないままです。
今回は僕のイメージで「大学進学」「就職」「転職」あたりを理由として想定してみましたが、実際の理由はもっといろいろあるでしょう。

移住定住施策や、少子化対策施策の一環で、若年層の転入・転出の理由を詳細に調べてみると、有用な知見が得られるかもしれません。

この統計調査では、転入元・転入先の都道府県ごとのデータ(例:北海道から東京に出ていく15歳~19歳男性の人数)まで細かく公表されているので、お住まいの自治体のデータの時系列推移を見るのも面白いでしょう。
地方公務員稼業の基礎データとして、幅広く使えそうです。 

どれだけ成果を上げようとも、どれだけしくじろうとも、待遇にはさほど反映されないのが地方公務員という仕事です。
より正確に言うと、業務実績に応じて人事評価が上がったり下がったりはするものの、人事評価と待遇があまり連動していません。せいぜいボーナス(勤勉手当)の支給額が数万円増減する程度です。
自分みたいな無能閑職にとっては非常にありがたい仕組みなのですが、優秀な職員の皆様はさぞかし憤っていることでしょう……
 
ただし、役所の中には、人事評価とは別に「評判」という評価軸も存在します。
大いに実害をもたらすのは「評判」の方です。
「評判」が低下すると、庁内の協力者が減ってしまって業務の手間が増えますし、職場でのストレスも激増します。


「人事評価」と「評判」を別物として考えたほうがすっきりする

我々は普段から、他の職員に対して評価を下しています。
  • 部下のみならず上司のフォローにも奔走している苦労人だ
  • 事務作業は得意だけどコミュニケーションが下手
  • 若いのにパワハラの気がある
  • いい歳して気配りが全然できていない……などなど。
こういう他者評価の集合体が「評判」です。
人事課が決めた基準に沿って行われる統制的な評価(=人事評価)とは全く別物の、自生的・民主的・多面的な職員評価といえるでしょう。

ここでいう「評判」は、あくまでも仕事面を評価しているもので、人間的な「好き/嫌い」とは関係ありません。
「業務能力の評価だって主観的な好き嫌いに影響されるだろ……」と思うかもしれませんが、実際我々は普段から
  • 仕事はできるけど嫌いな人
  • 仕事はできないけど人間的に好きで憎めない人
という評価を、他者に対して下しているはずです。
こういうカテゴリーが存在する以上、主観的な好みと業務能力をある程度分離して思考できていると考えて問題ないと思います。

評判は絶対評価ですが、人事評価は相対評価です。
そのため、評判と人事評価は相関していると思われますが、実態はよくわかりません。
(後述しますが、評判が良いほど、高い人事評価を獲得しやすいはずです)

評判が良いけど人事評価は高くない……という職員は少なくないでしょうし、反対に評判が悪いのに人事評価が高い職員も存在します。
「パワハラで後輩を潰しまくっているのに出世コースに突入する職員」なんかは、まさに「評判は悪いが人事評価は高い」というケースなのでしょう。

評判次第で役所生活が激変する

役所生活に影響してくるのは、人事評価よりも評判のほうです。

評判が良い職員には、役所組織が味方をしてくれます。
組織内の人望が厚く協力者がたくさんいますし、初対面の相手からも好意的に接してもらえます。

別部署の全然知らない人からいきなり電話がかかってきて、「資料ください」と依頼された場面を想像してみてください。
相手方の評判次第で、多少なりとも対応が変わるのではないでしょうか?

役所の仕事のほとんどは、一人では完結しません。他の職員とのコミュニケーションを伴います。
評判の良い職員は、組織内のコミュニケーションが円滑に進められますし、一度のコミュニケーションから得られるものも多いです。
ゆえに仕事を進めやすく、成果も出しやすいと言えるでしょう。
ひいては人事評価も高めやすいはずです。

何より、役所組織内に味方がたくさんいる、つまり職場の人間関係が良好であれば、仕事のストレスがかなり軽減されるはずです。
総務省資料によると、メンタルヘルス不調による休職に至った理由のうち最多なのが「職場の対人関係」です。
人間関係によるストレスの影響がいかに大きいかを物語っています。



何より評判は、部署異動してもリセットされません。
一度築きあげてしまえば、どこの部署に異動しようとも有用な資産になります。

逆に言えば、一度落ちた評判もずっと引き継がれていきます。
人事異動によって人間関係自体はリセットされようとも、評判が悪い職員は色眼鏡をかけた状態で見られてしまい、マイナスからのスタートになります。

果たして僕の評判はどこまで落ちるのか?

評判を高めるにはどうすればいいのか、いろいろ考えてみましたがよくわかりません。
生来のコミュニケーション能力によってほぼ決まるような気もしつつ、「口下手だけど評判の良い職員」も少なくないことを思うと、その他の要素も少なからずありそうです。

「人事評価は高くないが評判は悪くない」というポジションを確立できれば、役所生活はかなり楽になると思います。
評判のおかげで仕事しやすく、人事評価が高くないおかげでハードな部署には配属されません。
仕事がさほど忙しないおかげで精神的なゆとりを保てて、いつも朗らかでいられるので、「あの人はいつも接しやすいね」とさらに評判を高めていけます。

民間企業であれば、こういう社員は年齢問わずリストラの対象なのでしょう。
しかし役所はこういう職員を切れません。少なくとも勧奨退職年齢までは安泰です。
地方公務員の特権を活かせる生き方だと思います。

僕もこの路線を目指していたのですが、あまりに庶務の仕事が不出来すぎて、日々「評判」が落ちていくのを実感しています……
本当、僕に対する表情とか口調がどんどん冷たくなってきてるんですよ。
このままいけば、忘年会スルーしても全くお咎めねさそうです。

僕の勤務先県庁には「主任」という職位があります。
ヒラの主事と係長の中間に位置する職位です。
試験は無く、だいたい30歳前後でみんな横並びで昇進します。

一般的に「主任」といえば、ヒラ係員たちをまとめる役割だったり、係員業務の中でも比較的ヘビーな仕事を任せられたりするポジションにあたると思われますが、僕の勤務先県庁ではヒラとほぼ同じ扱いです。
「主任しか就かない席」はほとんどありませんし、主任と主事が入れ替わる(主任の後任が主事だったり、主事の後任が主任だったり)ことも日常茶飯事です。

入庁以来いわば「名ばかり」の主任たちを眺めてきて、「主任って何のためにいるんだろう?」と常々思ってきました。
そして今、僕自身が主任になり数年が経ち、ようやく主任の役割が見えてきました。

主任の役割、それは「疑う」ことだと思います。
ヒラの主事と比べて役所生活が長くて仕事に慣れている分、心にゆとりが生まれているはずです。
そのゆとりを活かして、目の前の現実に疑問を呈するのです。

「後輩」を疑う

まず真っ先に疑うべき相手は、職場の後輩です。
後輩の仕事ぶりを常に疑いの目で眺めて、腑に落ちない点があればどんどん指摘していけばいいと思います。

ただし、あくまでも「口を出す」だけです。
後輩を疑うところまでは主任にも許されていますが、後輩が間違っていると結論づけたり、後輩の言動を抑止する権限は、主任にはありません。ここまでくると上司の権能です。

後輩に対して疑義を提示して、少し足踏みさせて考えを深めさせる。
こうすることで、後輩の仕事が少なからずブラッシュアップされて組織に迷惑かけずに済むでしょうし、(迷惑に思うかもしれませんが)後後輩自身の成長にもつながるでしょう。

「上司」を疑う

上司の役割はいろいろありますが、主要な役割として「判断を下す」ことが挙げられます。
判断を下す瞬間、上司は完全なる「正しい存在」でなければいけません。

入庁当時と比べると、主任になる頃には上司との心理的距離が随分近づいて、上司の気持ちがわかるようになってきているはずです。
「正しい判断を下さねば」というプレッシャーの重さにも、少なからず勘付いていることと思います。

上司が下した判断を部下がすんなり受け入れる場合、判断が正しいか否かの責任は、全面的に上司にあります。
一方、上司の判断に対して部下がやんわりと疑問を挟み、わずかでも議論をした瞬間、部下に対しても責任が共有されます。
正しいか否かの判断過程に、部下も関わることになるからです。

このようにして部下と責任を共有できることで、気分が楽になる上司も少なくないでしょう。
上司の心理的プレッシャーを緩和するのも、ヒラ主事と比べて上司との距離が近い主任の役割だと思います。

もちろん、部下からの異論を忌避するタイプや、自分一人で判断を下すことに快感を覚えるタイプの上司もいるので、相手を見ながら必要に応じてやればいいでしょう。

「組織」を疑う

次に疑うべき相手は組織です。
常々「おかしい」「間違ってる」と感じている事柄のみならず、これまで盲目的に信用してきたことも含めて、幅広に疑ってかかればいいと思います。

重要なのは、愚痴や批判に終始するのではなく、きちんと疑問を抱くことです。
何かが「嫌だ」とか「ダメだ」とか喚くだけではなく、「なぜそうなっているのか」を徹底的に問い詰めていくのです。

主任にもなると、役所在籍年数が長くなり、過去の因縁や陰の権力者といった裏要素が見えてくるものです。
主任には、既存のルールに違和感を覚えるだけのフレッシュさと、既存のルールの一層深掘りするための基礎知識が備わっています。
これらを両立できるのは主任のうちだけでしょう。
 
奇しくも今はDXの時代です。ルールを変えることのハードルが下がっています。
「組織を疑う」ことの価値も高まっているはずです。

「住民」を疑う

正直なところ、主事と主任の間には大して能力差は無いと思います。
職位の差よりも個人差のほうが顕著でしょう。
例えば、出世コース候補の3年目主事と、主任3年目の僕を比べれば、前者のほうが圧倒的に優秀です。

ヒラ主事と主任との間で差が開くスキル、つまり役所生活が長ければ長いほど身につくスキルといえば、住民対応くらいでしょう。
より正確に言えば、攻撃的な言動を浴びせられても一定の冷静さを保てる(むしろ罵倒されればされるほど冷静に思考を回せる)技能です。

単に苦境を申し立ててくるのみならず、執拗に役所組織や職員個人を攻撃してくる住民の方々には、何らかの目的があるものです。
一方的に怒鳴ったり机を叩いたり椅子を蹴ったりしてくる住民に対して、ヒラ主事であれば、その場を収束させるだけで精一杯かもしれません。
しかし主任であるからには、住民の主張を鵜呑みにせず(もちろん話は聞きつつ)、その背後にあるカネや権力構造を探るくらいの付加価値をつけたいところです。



現状に対する不平不満を垂れ流すだけなら、ヒラ主事はもちろんのこと、非常勤職員の方々や外注先・出入りの業者さんにだって可能です。
不平不満を単に発散させるのではなく抱えたままにして、「なぜ」という方向に思考を深めてこそ、主任なのだと思います。

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