記事タイトルを見て「わざわざ記事にするということは、高卒と大卒だと随分待遇差があるんだろうなあ」と思った方も多いかと思うので、先に結論を申し上げますと、
新規採用時の配属先から最初の人事異動までは明らかに差がありますが、その後はほとんど見られませんという趣旨の記事になります。
あくまでも僕の知る範囲での紹介になります。
「同じ自治体でも、学歴によって全然違うルートを歩む」と説いているブログもあるので、自治体によって扱いがかなり違うのかもしれません。あくまで一事例ということで。
最初の配属は「自宅近辺の出先の庶務」
高卒者の初期配属は、明らかに自宅近辺の出先機関が多いです。
中でも、県立学校、土木・農林事務所、〇〇会館のような小規模県立施設が多く、反対に県税事務所はいません。
どういう意図が働いているのかは不明です。未成年者に一人暮らしや遠距離通勤を強制させたくないという意図かなと僕は推測しています。
出先機関では、事務方の仕事は庶務系ばかりに限られるため、担当業務も自然と庶務系になります。
大卒の場合は、最初から本庁配属になる場合も多々あります。担当業務も庶務に限りません。
出先機関では、県立学校や小規模県立施設は滅多に無く、逆に県税事務所が多いです。
出先の次は本庁
出先機関で3年程勤務した後、最初の人事異動で、ほぼ確実に本庁に配属されます。
本庁での仕事は様々です。引き続き庶務系を担当する場合もあれば、いきなり事業担当を任されることもあります。
部局もバラバラです。土木事務所から福祉系部局だったり、県立学校から農林系部局だったり、いろいろです。
もちろん、出先機関と同系列の部局に異動するパターンもあります。
大卒の場合は、規則性が全然ありません。
初任給は異なるが、年齢ベースでは一緒
初任給を見ると、高卒者の方が大卒者より2万円ほど給料が安くなっていますが、これは学歴による差ではなく、年齢によるものです。
高卒5年目の23歳と、大卒1年目の23歳は、ほとんど同じ額になります。
5年間の中で一度でも高評価をもらい、追加昇級していれば、高卒5年目のほうが給料が高くなっているかもしれません。
結論:待遇差は最初だけ
「初期配属では出先機関で庶務を担当、初めての人事異動で本庁に来る」までは、明らかに差がありますが、その後はほぼ一緒です。
高卒者でも財政課や人事課のような出世ルートにも乗りますし、国の省庁へも派遣されていっています。
事務職の場合、大卒でないと務まらない仕事(学士レベルの学識が必要な仕事)は、ごくわずかだと思います。
僕の経験では、大学教授からのクレーム対応くらいでしか役立った記憶がありません。
そのため、高卒と大卒で待遇差がほとんどないという実態は、理に適っていると思います。
部局長クラスになると、高卒者はわずかになりますが、そもそも大卒者よりも高卒者のほうが人数が少ないので、学歴のせいとは言いづらいです。
コメント
コメント一覧 (6)
多くの公務員の場合、国家公務員の総合職を除いて(事務系であれば)学歴の差はほとんど生じないと言って差し支えないでしょうね。もちろん高卒の局長以上レベルはさすがに見たことがない(一部例外はいるよう)ですが、そもそも高卒者数が少ないことから、あえて学歴で切っているというより、そういう対象者が少ないだけと考えられてます。学歴はあまり重視しない。そこは公務員稼業の良い側面であり、もっと評価されるべきところでもあります。
ただ、例外として、国家キャリア総合職に関してはまだまだ東大閥が占めています。これも当の現役東大生からは「不人気」のレッテル貼りをされているがために、徐々に学閥見直しが進んでくるだろうと予想されます。東大以外の学歴上位層にも官僚トップの出世の道が広がるのは決して悪いことではないという見方も一部にあります。(過去あまりにも東大法閥に固執していたためその弊害というのは確実にあったと思われる)
女性の幹部進出も政策的にさらに進むであることから、一定の学歴足切りラインは保ちつつも、様々な学歴の人が役所のトップにつくことは想像に難くなく、MARCHや早慶上クラスの女性幹部が出てくるのもそう遠くない時期にはあるかも。
では、それで何かが変わるのかどうか?はちょっと未知数ですが、今後の役所人事に関しては特定の大学閥をトップに据えるような意図的な派閥人事はさすがになかなか続けにくくなると思いますね。(東大閥が牛耳ってきたところで官僚のステータスは見事に落ちる一方だったし?)
(以下参考記事)
文科省ナンバー2、初のノンキャリに 丸山洋司氏が就任(朝日)
https://www.asahi.com/articles/ASN7N7J9SN7NUTIL04B.html
文科省局長に抜擢“ノンキャリの星”の正体と人事の裏側(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/257477
とはいえ、まだまだ上には東大閥が定着していることを思うと、本格的に学閥が解体されていくとしても、十数年後くらいになるのでしょうか……
僕の勤務先が田舎で、一定以上のレベルは全部一緒扱い(MARCHの序列なんて誰も知らなかったり)だからなのかもしれませんが、本当に学閥らしきものは存在しません。見ている側としては「ある」ほうが面白いのですが……(不謹慎発言)
そうなんですよね。これはスゴい時代の変革ですね。東大閥人事が削がれるかもしれないという危機?
ここはまさに悪名高い「内閣人事局」のキモであり、つまり今後の東大閥官僚が時の有力政治家に従順(無反抗)になれるかどうかで、東大閥人事の先がハッキリ見えてくることになりそうです。(今のところ忠犬化傾向)
彼ら(忠犬)が今後どのような態度を政治家に対して取るのか、国民としてもぜひ注目して見ていきたいと思いますが、さらに東大閥が忠犬として飼いならされ、その地位が何とか連綿と受け継がれるのか、女性や若手・外部・高卒などの大抜擢をして今後の政権浮揚にもあてられるのか?
世の流れでいくと後者(非東大閥)の抜擢になる可能性が増えてくるのは自然と見られます。官庁幹部人事を認める総理大臣や官房長官等の出身学歴も関係する複雑な話になるかもしれません。
国家キャリアについては、学歴偏重の誹りもありますが、法案作成や国際交渉などは、相当な処理能力が求められ、そもそも高学歴でないとこなせない業務であることから、今のような採用になっているのだと思います。