西日本豪雨の災害復旧対応に当たっている皆様、本当にお疲れ様です。

加えて、西日本以外の自治体にいる防災担当部署の皆様も、お疲れ様です。
今年の夏は全然休めなかったのでは?

今回は、国内のある地域で大きな災害が発生した場合に、そことは縁もゆかりもない遠方の自治体ではどんな動きをするのか、紹介したいと思います。

とりあえず調査する

遠方で災害が発生した場合、類似の災害が管内でも発生しないか、すぐに危険度調査をするよう指示が下ります。

発案者は様々です。議会、地元マスコミ、地元経済界、住民団体などの外圧かもしれませんし、首長自らの判断かもしれません。
学校ブロック塀のように、国が要請する場合もあります。


予算はほぼゼロです。
もともと予定していなかった業務ですし、予算要求する時間的余裕もありません。

そのため、普段なら外部に発注するような専門的な内容でも、職員が自らやります。
特別な計器が必要でも、手持ちの道具で済ませます。

時間も予算もノウハウも道具も無いという悲惨な条件下で行う調査なので、精度は疑わしいです。
あくまでも「どう見ても明らかに危険な箇所がないか」をチェックする機能しかありません。

この調査では、スピードが何より求められます。
結果をすぐに発表できないと、「日頃の危機管理体制が甘い」というお叱りを外部から受けてしまうからです。
災害のニュースが下火にならないうちに、調査結果をまとめ上げ、公表します。

今年の場合は、河川やため池の堤防強度調査を実施したのでは?
9月議会で結果報告すべく、お盆休み返上で結果取りまとめに当たったことでしょう。

自治体によっては、調査結果を踏まえた緊急対策プランを作って、補正予算で打ち出すところもあるでしょう。
今年中に詳細な調査を実施、冬場に工事設計、来年度頭から対策工事スタートして出水期に間に合わせる……くらいのペースでしょうか?

職員(特に管理職)にとってはまさに天災

この危険度調査、職員としては、それこそ天災のような業務です。
とにかく手探りで至急結果をまとめなければいけません。
平常業務はストップ、調査業務だけでものすごい残業時間になります。

ヒラ職員なら残業代で報われるものの、残業代の出ない管理職はたまったものではないと思います。

日本のどこかで災害が発生すると、被災地から遠く離れた自治体でも、このような突発的業務が発生します。
この行為を無駄と思うか、リスク管理としてあるべき姿と捉えるか。難しいところです。