現役地方公務員のブログやSNS投稿を見ていると、役所語法に毒されているなあと感じるものを時々見つけます。

ブログの差別化、つまり地方公務員らしさを出すための戦略として、役所語法を盛り込むのは大いにアリだと思います。
しかし、役所語法は概して一文を長くしがちなので、ウェブ上で発信するための文章とは相性が悪いです。

まずはどういうものが役所語法なのかを自覚して、意図的に使い分けをしなければいけないでしょう。


よくある役所語法

〜については

主に話題の提示に使います。書き出し部分でよく見かける表現です。
主語を明示しなくても話を進められるので、ついつい安易に使ってしまいます。

〜ところ(である) 

こちらも主語をごまかす表現です。一般論っぽく見せかける機能もあります。
「〜については」と合わせることで、当たり障りのないイントロダクションが簡単に作れます。

(例)
外見に気を使わない成人済オタク男性(以下「キモオタク」とする。)、昨今より国内外から問題視する声が強まりつつあり、今後のインバウンド推進の観点からも、速やかな根絶が望まれているところである。

→キモオタク根絶を一般論っぽく見せつつ、明示はしていません。「印象操作だ!国民はむしろキモオタクを愛している!」という反論がきたら、「望んでいるのはインバウンド業界のことでして…」等、後出しで主語を出して逃げることができます。

〜において

一般論ではないことを示す表現です。誤解・曲解を防ぐために使われます。


(例)
外見に気を使わない成人済オタク男性(以下「キモオタク」とする。)については、昨今より国内外から問題視する声が強まりつつあり、今後のインバウンド推進の観点において、速やかな根絶が望まれているところである

→キモオタクを根絶したいのはインバウンド業界だけで、その他の観点では中立であることを示しています。

〜である/〜することから 

主に因果関係を示しますが、単なる順接としても使われます。
格式張った文章では重宝しますが、安易に使うと一文が長くなり文意がわかりにくくなります。
ここぞというときだけに抑えたい表現です。


(例)
外見に気を使わない成人済オタク男性(以下「キモオタク」とする。)については、昨今より国内外から問題視する声が強まりつつあることから、今後のインバウンド推進の観点において、速やかな根絶が望まれているところである

→役所的には美文なのですが、よく読むと意味がわかりません。
一見「問題視する傾向が強まりつつある」 と「根絶が望まれている」の間に因果関係が成立するように読めますが、それぞれの主語が何なのか不明ですし、問題視→根絶希望という因果関係も飛躍しすぎています。

ちなみに、僕のブログの記事タイトルは、意図的に機関委任事務時代の質疑集・通達集っぽくしています。
許認可事務担当の方であればピンときてくれるはず。