「公務員は『てにをは』一つ決められずに延々と残業している」という批判。
僕自身、面と向かっていただいたこともありますが、事実です
てにをはに限らず、文章内の細かい言い回しを決めるために、十数人で集まって会議を開いています。

虚しい作業だなあとは思いつつも、決して無駄ではなく、むしろ必要不可欠な作業だと思っています。

自衛のための最小限度の手段

いくら公務員とはいえ、すべての文章で細かく「てにをは」を考えているわけではありません。
枝葉末節までこだわるのは、役所外部の不特定多数の人間に発する文章です。
議会答弁なんかが典型ですね。テレビで全国に放送されます。

文章を見聞きする人が増えれば増えるほど、世間一般とは異なった解釈をする人が現れやすくなります。
琴線に触れたのか、トラウマが想起されたのか……とにかく過敏に反応され、発信主に対して猛烈に抗議します。 

行政に限った話ではなく、Twitter上でもよく見られる光景ですね。

こういった思わぬ抗議を食らわないよう、もし抗議された場合にきちんと弁明できるよう、「てにをは」をはじめ言葉の枝葉末節にこだわるのです。

遍在する言葉狩り

地方行政レベルでも、状況は変わりません。
行政が発した言葉の枝葉末節に対して憤激する方は、どんな界隈でも常にいらっしゃいます。

僕の知る限りでも、とある式典の祝辞の「てにをは」が原因で、業界団体のトップがカンカンに怒ってしまい、長年続いていた事業が消滅した事例があります。


言葉の枝葉末節を考えるのは、よく言われているとおり、不毛で非生産的な作業です。
ただし、無駄ではありません。
枝葉末節をおろそかにすると、トラブルが多発し、その対処のせいでもっと時間と手間が取られてしまうのです。