地方上級と国家一般職。
数ある公務員の中でも、採用試験の難易度ではあまり差がありません。
入庁時点での能力も、ほとんど同じと思われます。

しかし、入庁後の経験の違いのせいなのか、5年も経つ頃には相当の差ができていると僕は痛感しています。
僕の感覚では、概して国家一般職のほうが優秀です。

最も差が出ていると僕が思うのが、メールの作文能力です。
国家公務員、特に本省から来るメールは、たいてい長文なのにわかりやすいです。

文章の基礎が完璧、しかも早い

国家公務員メールのわかりやすさを、自分なりに分析してみました。

一文の中では
  • 文章の主語・述語がはっきりしている
  • 修飾・被修飾の関係が明確

文章全体としては
  • 論理の飛躍が無い、適切な順序で情報が並んでいる
  • 文言の省略や代名詞が少なく、一義的な解釈しかできない

要するに、文章の基本がしっかりできています。
国家公務員は、わかりやすい文章の基本が完全に骨身に染みていて、わかりやすい長文メールを短時間で仕上げます。

僕も、メールの文面には相当気を遣っています。
僕の仕事(観光振興)は役所外部とのやりとりが多く、役所特有の言い回しなんかは厳禁です。
幸いにもこれまでメールが発端のトラブルは一度も起こしていませんが、起こさないためにメール作文にものすごく時間をかけています。

感覚的に僕だと30分くらい作文に要しそうなメールを、国家公務員は数分で返してきます。
多分、ノーチェックで仕上げているのでしょう。
それでもミスなく作文できているのです。

メールが上手くないと生き残れない?

国家公務員は、全国の自治体に一斉にメールを送る機会が多いです。
統計調査や制度改正の通知、全国会議の日程調整などなど……案件は事欠きません。

都道府県だけに送る場合でも、一気に47人に送ることになります。
この場合、メールの文面がわかりにくかったら、最大47人から電話で質問を受ける羽目に陥ります。
こんなことをされたら、電話対応だけで時間を奪われ、ほかの業務が進められません。
わかりやすいメールを書くことは、自分の仕事時間を確保するための必須スキルなのでしょう。

研修しよ?

国家公務員からのメールを見てから、庁内のメールを改めて見返してみると、目も当てられないレベルの悪文が続々出てきます。
メールが原因で外部組織とトラブルになった事例も良く聞きます。

国家公務員の場合と同じく、メールをわかりやすく書くスキルが身につけば、送ったメールに対する質疑の時間が減り、時間を有効利用できます。
しかも、どこの部署でも普遍的に役立ちます。 
手っ取り早い業務改善、生産性向上ではないでしょうか?

全体の新規採用研修あたりで、一斉にメールの書き方を指導してもいいのではないかと思います。