そろそろ今年度も終わりに近づいてきました。
なぜか今年度は管理職が些事にこだわってばかりで、全庁的に残業がものすごく増えています。
部下に残業させるほど出世する?
管理職の人事評価基準の一つに、首長からの指示をどれだけ早くこなせるかがあります。
素早く指示に対応するためには、あらかじめ準備をしておく必要があります。
しかし、いつ・どんな指示が下りてくるかは、予想できません。
そのため、管理職としては、所管する全ての業務について最新かつ詳細な資料を常時準備しておきたくなります。
首長から指示が下りてきた後に資料作りを始めていたら、「遅い」と怒られ、評価も下がります。
一方、あらかじめ資料を作っておけば評価アップ。結局使われずに徒労に終わったとしても、誰からも怒られませんし、評価も下がりません。
つまり、管理職としては、「現時点では全く使う予定がなくとも、とりあえず細かい資料を部下に作らせておく」という選択肢が、ローリスクハイリターンの好手なのです。
長期間通用する資料ならまだしも、数日後に開催される単発式典の座席表(欠席者が○人出たバージョン)みたいな余命幾許も無い資料を大量に作らされると、空虚にならざるを得ません。
民間企業との違い
「実際使うかどうかわからない資料を長時間残業して作る」という役所の風習が、民間企業からの転職組には相当な異文化に映るようです。僕も民間企業の方と一緒に仕事をすると、時々「どうしてそれが要るんですか?」とドン引きされることがあります。
民間企業だと、残業の削減も管理職のミッションです。
残業を削減すればするほど、残業代=人件費が減り、利益が増えるからです。
残業を減らすほど利益率が高まり、管理職の人事評価も上がることでしょう。
そのため、無駄な仕事はさせまいというモチベーションが自然と生じます。
そのため、無駄な仕事はさせまいというモチベーションが自然と生じます。
一方、役所の場合は、利益という概念がありません。
残業代が増えたとしても、残業代予算の枠内に収まっていれば誰も困りませんし、課の人件費総額を抑えたところで、誰にも何の見返りもありません。
役所の予算ルール上、余った残業代予算を別の用途に回すこともできません。
残業を減らしても誰も得しないので、組織としても「残業減らし」をあまり評価しません。
一方、残業させてでも細かい資料をあらかじめ用意しておくことに対しては、前述のとおり高く評価します。
一方、残業させてでも細かい資料をあらかじめ用意しておくことに対しては、前述のとおり高く評価します。
ヒラ職員ができること
役所内の「残業は正義」という風潮は、一朝一夕ではなかなか崩せないでしょう。「残業は正義」という考えは、よく時代遅れだと評されます。
しかし役所内では、この考えに基づいて行動することが、いまだに最善手なのです。
一職員レベルで実践できるのは、この悪しき風潮を役所外に押し付けないこと。
僕の担当業務(観光振興)でいえば、「民間の観光施設にものすごく細かい資料を要求しない」とか。
管理職の保身のために外部に迷惑をかけていては、存在意義を疑われてしまいます。
こういう「外部に迷惑かけたくない」という趣旨の発言をすると「そんな甘いこと言ってると舐められるぞ」って詰められるんですが、役所内部事情に付き合わせて信頼を失うほうが不味いのでは?
コメント
コメント一覧 (3)
村の掟(おきて)は絶対。従わない少数者には「村八分」。あくまで「内向き」の価値観を重視、「外からの評価」より「内なる空気」を非常に気にする心理的特性、日本のあらゆる分野で強く見られる現象ですね。
さらにそう言ってくる50代以上はだいたい体壊してる人多いし。あまり公務員は今の時代的によくないかも。。。笑 都庁技術とかも定員割れしてるらしいし、、、現実優秀な若者にはバレてるのかもしれない。
あくまで僕の体感ですが、今の50歳あたりをボーダーに、残業感覚に大きな違いがあるように思います。50歳以上は昔ながらの「質を高めるためならいくらでも残業すべし」という価値観、50歳未満は「質を無限追求するくらいなら残業減らそう」という人が多い気がします。