観光部局勤務もかれこれ2年近くなり、ようやく観光振興の基本がわかってきました。
ただ、わかるにつれて、仕事へのモチベーションが落ちていくんですよね。
理由は大きく2つ。政治的配慮上司の壁です。

結局は政治家の犬

地方公務員は、首長という政治家の道具です。
公益のために働いているという建前ではありますが、次回選挙で首長の票に繋がるどうかという観点から脱することができません。

観光振興のような自由度の高い業務では、この制約が強烈に作用します。
効果の出そうな施策よりも、大票田が喜ぶかどうかの方が重視されるのです。

大票田はご高齢の方が多く、高度経済成長期やバブリーな時代に活躍された方ばかり。
そのため、好みの施策もそういう時代に流行ったものばかり。
つまり、時代遅れです。
今更そんなことやっても意味無いでしょ……というマジレスを堪えつつ、時代遅れな施策を本気出して考えさせられます。

大阪万博とかね。深く同情します。

こういうジレンマ、ドラマなんかでもお約束ですよね。
覚悟はしていましたが、実際に当事者になってみると、ものすごく萎えます。

上司の理解力という壁

部下は、上司の理解を超える施策を実行に移せません。

僕が管理している観光施設ではフェイスブックページを運用していて、週2回くらいのペースで館内イベント情報を投稿しています。
ただ、フォロワー数がものすごく少なく、施設利用に繋がっているかは疑問です。

他県の類似施設のフォロワー数を見てみると、うちより投稿数が少ないのに10倍以上のフォロワーがいます。
そこで僕は、アカウントの露出度を高めればフォロワーが増えるのではと考えました。

露出アップには、広告機能を使うのが一番手っ取り早いです。
広告対象もターゲッティングでき、無駄打ちにもなりにくいです。

しかし、この話を上司に持っていったら、「よくわからないアルゴリズムへの支払いは認められない」と一蹴されました。
代わりに、広告用の予算で「フォローしてね」というチラシを刷って駅前で配布せよとの指示を受け、計画は完全に頓挫してしまいました。

結局、上司に内緒で広告を打ってるんですが、フォロワー数が倍以上に増え、施設利用者も増えています。
成果が出ているとはいえ、上司の命令に背いたわけです。
バレたら絶対に怒られるので、僕が異動するまで内緒にしようと思っています。

部局間移動するから正気が保たれている?

2年目の僕ですら若干嫌気が差してきているのですから、同じ部署に長くいる人は、一体どれだけの無念を重ねているのでしょうか?
自分のやってることのレベルがいつまでたっても低すぎて、気が狂うのではないかと心配になります。

よく「地方公務員は思考停止している」という非難を見かけますが、思考停止して自衛しないと気が狂うのかもしれません。

勿論、すべての役所が常時こんな感じだとは思いません。
確か長野県は、こういう役所にありがちな停滞を招かないよう、かなり工夫していたはず。

うちの県の観光部局も、数年前はバリバリイケイケだったと聞きます。
巡り合わせが悪かったのでしょうか……