自治体は男女共同参画を推し進める主体であり、率先して旧弊を改めるべき立場にあります。
お茶汲みやコピーとりを女性に押し付けるような習慣は、少なくともうちの役所ではすっかり根絶されました。
セクハラやパワハラにもかなり気を使っていて、些細な言動にも注意を払っています。

しかし、「善意の性差別」と呼ばれる一連の思考・行動は未だ色濃く残っています。

善意の性差別 
E・アロンソン『ザ・ソーシャル・アニマル 第11版』より

好意的に見えるが、実は恩着せがましい、女性に対する態度。女性に対して肯定的なステレオタイプ的見方をするが、心の底では、女性が弱く無能な性であると仮定している。(p.423)
善意の性差別主義者は、女性を非現実的に理想化する傾向があり、素晴らしい料理人や母親として女性を崇め、女性が必要としていないのに女性を守りたがる。
女性に対する敵意の色合いがなく、男性にとって「偏見」のように思えないーーそして、多くの女性にとってもそう思えないー-(p.296)

端的にいえば、「負担の重い仕事を女性に振ってはいけない」という信念が役所全体に染み付いていて、俗にいう出世ルートに乗る女性がほとんどいないのです。
財政課職員の男女比を見ると露骨です。

役所の出世ポストは、どこであれ例外なく長時間労働とヘビーな感情労働がが求めれます。
例えば財政課であれば、10〜2月の当初予算編成時期は2徹3徹、怒鳴り怒鳴られが当たり前です。
男女共同参画の旗印の下、こういうポストに女性をガンガン充てていくべきかと問われると……

というよりも、こういうハードなポストの存在は本当に必要なのか?なんとかすべきでは?という方向で議論すべきなのですが、そんな動きは全く見られません。
現状の役所はこういうポストの人間がいないと機能停止するので、無くしようがないからです。

つまるところ、地方自治体の多くは男性にしか要職を任せられない構造になっています。
こういう意味で、役所は典型的な「男社会」だと思います。

この傾向は地方自治体に限った話ではなく、何より国家本省がこのやり方で固まっています。
本省が変わるか、首長が大鉈をふるって改革しない限り、どうしようもないのかなと思っています。