訪日外国人の数がどんどん増えてきているということで、自治体レベルでも外国人対応をようやく真面目に考えています。
こういう情勢を受けて、語学力や留学経験を面接でアピールしようと企んでいる方も多いでしょう。
志望動機としても解りやすくて使いやすい話題です。「持ち前のスキルを活かして国際関係部署で即戦力として働きたい!」と言えば、誰でも理解できます。
ただ、役所の実務、特に都道府県の国際関係部署では、語学力も留学経験もあんまり役に立ちません。
面接でアピールしても大した評価はされないのではと思います。
専門技能は外注する
国際関係部署配属だと、語学や外国文化のような、普通の役所職員とは異なる能力が必要とされるように思うかもしれません。
しかし実際には、外国人対応に必要な特殊な知識や技能は、別途専門の人材を非常勤で雇ったり外注したりして補っています。
語学要員が必要なら、通訳を雇います。
外国人のためのサービスを考えるのであれば、専門のコンサルに外注します。
その分正規職員は、外国人支援団体との交渉や役所内部の調整業務に集中します。
こういった業務は、公務員としての力量の方が大事です。
語学も外国文化知識もあんまり関係ありません。
外国人と直接触れ合う機会は意外と少ない
自治体の規模が大きくなればなるほど、外国人と直接触れ合う機会は減ります。
その代わり、国際化協会のような外国人支援団体(日本人)とのやりとりが増えます。
こういった団体の仕事は、外国人の声を代弁すること。
基本的に「役所は遅れている」とガンガン批判してきて、外国人対応を即座に進めるようハードな要望をぶつけてきます。
彼らの要望を聞きながら役所の主張も通しつつ妥協点を探るのが、国際関係部署の大事な仕事です。
国際関係部署の仕事には、域内に住んでいる外国人との交流イベントのような楽しげな仕事も勿論あります。
ただ、こういう仕事で実際に外国人と接触するのは、専門に雇用している非常勤の語学スタッフです。
正規職員の仕事は、イベント開催までのハードネゴシエーションです。
参加してくれる外国人を集めるためにNPOに協力を仰ぎに行って、NPOから提示された交換条件(会場全てのトイレに英中韓仏独の案内をつけてくれ等)を諦めてもらうために交渉するとか……
一社会人として、語学力や留学経験があるのに越したことはありません。
というか、これからの時代、必須でしょう。
今回紹介した国際交流技能に限らず、地方の役所は職員の特殊技能を活かしきれていません。
当面は活かすつもりもないと思われるので、役所の外で活かせる場を探すしかないのでしょう。
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