観光部局にて勤務していた2年間、多分30日間くらいは観光施設やイベントのスタッフとして、直に観光客を「おもてなし」しました。

この経験は貴重でした。
地方公務員の初任者研修に入れてもいいのではないかと思います。
「旅の恥はかき捨て」という言葉が悪い意味で罷り通っているという事実を、身を以て実感できるからです。

不当要求すれすれの罵詈雑言とパフォーマンス。
特に都市部在住の方は辛辣でした。


モノやサービスの値段が高い

「田舎の飯に1,000円も出せるか!」とか、「ダサい土産しか用意してないくせに金をとるのか!」とか……「高い」というクレームはいつでもどこでも聞こえてきます。

地方は物価が安いという風潮には、ほとほと困っています。
いくら田舎でも同じ日本です。通貨が同じである以上、物価が激変するわけないと思うのですが……

文句を言われるだけならまだしも、堂々と値切ってくる観光客も増えてきました。
市場のような、そういうコミュニケーションを楽しむ場所なら構いませんが、ターミナル駅のお土産物売り場のような場所で値切り交渉するのは如何なものでしょうか?

交渉を通り越して、高圧的に迫ってくる人もいます。
最近の流行りは「ネット炎上」です。
 
「値引きを断ったらネット炎上をちらつかせられた」「目の前でトリップアドバイザーにマイナス評価を投稿された」という相談も、去年に入った頃から多数聞きました。
脅迫じみた観光客は続々増えているようで、近いうちに大問題になるかもしれません。

交通手段が不便

「公共交通機関の待ち時間が長すぎる」というクレームもよく聞きます。
交通インフラに関しては言い訳しようがありません。実際不便です。
 
代替案として、待ち時間を楽しむ術を身につけてはどうでしょうか?

例えば、雑草に詳しくなるとか。
雑草観察を通して地域の特徴が見えるようになったら、待ち時間も無駄ではなく、貴重な観光タイムになるでしょう。

ブラタモリみたいに、地形からまちづくりを見るのもおすすめです。

ちなみに僕のような創作タイプのオタクは、任意のキャラクターを目の前に投影してSSのネタを考えているだけで無限に時間を使えます。


言葉の暴力による傷はなかなか治らないもので、観光の仕事から離れた今でも、忘れられずにモヤモヤさせられています。
良い意味で捉えると、彼ら彼女らのクレームから「地方」「田舎」の問題点を掬い上げれば、サービス改善につながるのかもしれません。