サラリーマンにとって、平成の約30年間は厳しい時代でした。
給料は上がらない、すぐに首切られ非正規化、そもそも就職できない……等々。

その中で、地方公務員という職業は相対的に美味しいポジションだったのではと思います。

これからの令和時代はどうなるのか。
私見を書いておきます。

仕事が増える

行政の仕事はどんどん増えていくでしょう。
福祉や防災など、行政の本領分野に課題が山積しているからです。

福祉分野では今更言うまでもなく、少子高齢化によって既存のシステムが危機に晒されています。なんとかしなければいけません。

防災分野では、極端な気象現象(過去最大規模の大雨とか)が増えてきており、被害も拡大傾向にあります。こちらも対策が必要です。

加えて、従来は手出ししていなかった分野でも、行政の役割が持つようになりそうです。
例えば伝統工芸。昭和中期までは放っておいても需要があり、行政の出番はありませでしたが、バブル崩壊以降はどんどん需要が細っていき、今では補助金まみれです。
こういう分野が続々と出てくるのではと思います。

地域活動(お祭りとか)も、担い手がいないという理由で行政の仕事化していくのでしょう。

既存の課題はどんどん深刻になるし、新しい課題も次々湧いてくる。
行政が待ち受ける未来はこんな感じでしょう。

行政の仕事増≠公務員の仕事増、とはいえ……

行政が担うべき仕事が増えるとしても、公務員の仕事が増えるかどうかはわかりません。
公務員に変わって、人工知能が全てこなしてくれるかもしれません。

ただ僕は、行政の仕事増が、そのまま公務員の仕事増に繋がると考えています。

役所という組織は、とにかく新技術や設備投資を嫌います。
そのため、技術革新の恩恵を得られません。
AIにしろRPAにしろ、当分導入されないでしょう。

巷で噂されているような、「AIによって仕事を奪われた公務員が路頭に迷う!」みたいな未来が来てくれることをむしろ期待するほどです。

負担は地方に降りてくる

同じ公務員でも、今後は特に地方公務員の仕事が増えていくと思います。

「地方創生」「権限委譲」「自主性の尊重」あたりのワードとともに、課題設定だけ国でやっておいて、具体的な対策は地方自治体にお任せ、という施策が最近増えています。

これまで国の出先機関がやっていた単純作業も、どんどん地方自治体に移管されています。

今から中央集権に戻るとも思えないので、この流れは当分変わらないでしょう。

行政の仕事が増える&難しくなる、負担増の多くが地方公務員に降ってくる。
これが僕の予想です。

地方公務員とはいえ、東京都庁は別です。
特に一昨年くらいから、自治体というよりも国みたいな雰囲気を感じます。
都庁施策の一部を、当然のように地方に振ってくるとか。

待遇が良くなるわけがない

仕事が大変になったとしても、待遇は変わらないでしょう。
むしろ悪化する方があり得ます。

行政の仕事が増えるということは、必要な予算も増えます。
待遇改善に回す余裕はありません。民意が許さないでしょう。

去年の福井市のように、理由をつけて賃金カットされるケースも続々出てくるのでは?
参考:福井市職員給与カットへの私見

割りに合わないけど、やりがいはある

仕事は増えて難しくなるのに、待遇はそのまま、下手すると悪化。
まったり薄給を求める人にとっては、地方公務員は割りに合わないでしょう。

ただ、仕事のやりがい自体は確実に上がると思います。
特に、真面目に学問を修めてきた高学歴層。

すでに少しずつ、国が何も決めない自治体が自主的に施策立案していく時代になりつつあります。

施策立案には、学識が不可欠です。
現状、大学教授から意見を聞いて学識要素を補完しようとしているものの、役所内に基礎知識を備えた人が少なすぎるせいで、意見を理解できずに空回りしています。
役所において、学識は専門技能です。
持っていれば、職位にかかわらず、メインプレイヤーになれます。

これまではウェイ系の方が活躍できる職場でしたが、これからはインテリの時代です。多分。