「公務員の終身雇用は終わった」
「これからは公務員もリストラされる時代」

とかいう煽りを最近毎日見かけます。

「地方公務員の将来は暗いぞ、自衛せよ」と、安穏と暮らす公務員達に警鐘を鳴らしたいという気持ちは共感できます。
しかし、パワーワードだけ提示されても響きません。むしろ情報商材の営業にしか見えない。

僭越ながら論客各位に代わって、いかにして公務員の終身雇用が崩壊していくのか、具体例を考えてみました。

前提
本稿でいう「終身雇用の崩壊」とは、従来並みの待遇が受けられなくなるというふわっとした意味合いです。
ネット上の論客各位も厳密な定義をしていないので、これに習います。

任期付き職員(非正規採用)が増える

まず変わるには採用です。
任期付きの職員(非正規の職員)が増え、正規採用人数を絞るでしょう。
財政・人事のような管理部門は依然として正規職員メインですが、観光や広報、土木、農林あたりの事業部門は、ほとんどが非正規職員になると思います。

現時点でも「移住コーディネーター」「旅行商品造成マネージャー」等の専門職員を任期付きで雇うケースは多々あります。これが拡大していくのです。

任期付き職員は異動しません。応募時に希望した課に配属され、任期を終えるまで継続勤務します。
成果が認められれば契約更新も有り得ます。
 
一方、正規職員は主に管理部門に配属され、管理部門の中で人事異動していきます。
一部は事業部門にも配属されます。
ただし、担当業務は議会と予算です。事業の中身は任期付き職員にお任せです。

待遇はもちろん正規職員のほうが上ですが、非正規職員には副業が認められます。
正規職員には認められません。

市町村だと、既にこんな感じの人事体制になった自治体がいくつもあると聞きます。
現在は少数派ですが、これからどんどん増えていって、いずれメジャーになるでしょう。


50歳くらいで役職定年

正規職員も、50歳くらいの時点で一定職位(課長あたり)まで出世できなかった場合、任期付き職員に切り替わります。民間企業でいう役職定年です。

任期付きとはいえ本定年まで契約更新は保証されますが、待遇は落ちます。
その代わり、副業が解禁されます。

役職定年導入により、今ひとつ出世できなかった職員が就く出先機関の次長(課長級)みたいな管理職級水増しポストが消えます。
正規公務員として本定年を迎えるには、ごりごり出世して役所組織を回す側を守り抜かなければいけません。

退職金が減る代わりにiDeCo等の税制優遇積立制度が拡充される

雇用形態の変化と同時進行で、福利厚生も劣化していくでしょう。
真っ先に変わるのは退職金です。民間企業で既に退職金廃止の流れが進んでいるからです。
最近は特に、確定拠出年金を導入するから退職金廃止という会社が続々現れています。田舎の上場企業あるあるです。

公務員の場合は、退職金が減額される代わりに、iDeCoのような積立制度が拡充されると推測します。
まずは現行iDeCoの枠拡大でしょうか。
枠が増えたところで、突っ込む資金を用意できる人は少なく、恩恵はごく一部(僕みたいなパラサイトシングルくらい?)に限られそうです。

美辞麗句を並べながら待遇を落としていく

公務員に限らず、労働者の権利待遇を落とすときには、これまで紹介してきた

「非正規化する代わりに副業を解禁する」
「退職金を減らす代わりに税制優遇制度を創設する」

のように、安定した既得権益を削るかわりに不確定要素の強い選択肢を付与するという形を取ると思われます。
この形であれば、前向きな施策のように説明できるからです。

今回示した具体例は、僕が50歳を迎える頃には、全部導入されてると思います。
僕は役職定年を食らうほうなので、中高年になって年収がガタ落ちしても耐えられよう、今のうちにから不労所得を育てていきます。