そろそろ上司から「食品衛生責任者の講習に行ってこい」と指示される職員もいるのでは?
ほぼ一日潰れて、しかも自腹で8,000円払わされるのは無駄だと思う方も多いでしょう。
僕としては、いい勉強になるので自腹でも行っておいたほうがいいと思っています。

食べ物を取り扱うために絶対必要な資格

食品や料理を提供するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
営業許可を得るための条件の一つに、この「食品衛生責任者」資格保有者を確保することがあります。
つまり、食品や料理を提供するために、絶対必要な資格です。
詳細はこちら。

講習を1日受講すればだれでも取得できます。試験はありません。
ただ、講習会は定員を設けていることが多く、満席で受講できないケースがよくあります。
特に年度初めは要注意です。就職や異動で資格が必要になった人が押し寄せます。
 
野外フェスの出店のような一時的な販売でも必要で、小売・飲食業に携わる方なら免許証レベルに必須の資格です。
(調理しているお兄さんお姉さんの誰かが本資格を保有しているはず。)

特に東京が厳しい

最近、東京都の食品関係衛生指導がものすごく厳しくなっています。
これまではグレーゾーンだった部分が細かくルール化されてチェックが厳しくなっただけでなく、ルールとして明文化されていなくとも、指導担当職員の裁量で色々な制限を課されるようになりました。
補足資料提出くらいなら面倒なだけで済みますが、自主検査のような費用の嵩むオーダーもあるとのこと。

自治体職員でも、首都圏の屋外イベントに出店したことのある方なら、痛い目を見た経験があるかもしれません。
例年通りの準備をして臨んだら、あれこれと注文をつけられ、既決予算では賄いきれず参加中止……とか。
昨年度よく聞いた話です。

食品衛生責任者についてもオーダーが厳しくなっています。
最近は「食品衛生責任者の売場常駐」を求めるイベントが増えてきています。

これまではイベント開始前に食品衛生責任者が現地チェックすれば常駐までは不要なパターンがほとんどでした。
常駐を求められると、食品衛生責任者の拘束時間が長くなり、人件費が嵩みます。
長時間のイベントだと、休憩回しのためにもう一名追加で必要になります。
人件費は事後的に手当てできますが、食品衛生責任者の頭数を増やすのは、急には対応できません。


東京都の規制強化路線は、オリンピック・パラリンピックを見据えての判断なのでしょう。
ということは、オリンピック会場になりうる関東圏全域には、少なくとも広がっていくと思われます。

食品衛生の知識が身を助く?

自治体職員が食品衛生責任者資格を取得するメリットは、大きく2つあります。

一つは頭数の確保。
とにかく人数が必要とされる資格になってしまったので、とりあえず取っておくだけでも安心感があります。

もう一つは、食品衛生の知識が今重要だから。
東京と田舎とでは、食品衛生への意識が全く異なります。雲泥の差です。
例えばHACCP。都内では既に、取得していないと正規ルートの流通に乗れないようですが、田舎ではまだまだ全然対応できていません。

今後は東京基準(厳しい)がスタンダードになっていくでしょう。
早く東京基準に対応していかないと、首都圏の販路を失います。いち早く対応した業者に取引先を奪われます。
 
役所としても、生産者の食品衛生リテラシーの向上が喫緊の課題です。
既に取り組んでいる自治体もたくさんありますし、この記事を読んで「2年遅い」とせせら笑っている職員も多いでしょう。
ただ、対応できていない自治体も多いと聞きます。

まずは職員が食品衛生について勉強しなければいけません。
そのための端緒として、食品衛生責任者の講習会が役立ちます。

どこの自治体でも定期的に講習会を開催しているので、調べてみてはどうでしょうか?