キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2018年01月

「地方公務員は9時5時勤務」という根強い風潮がある一方で、地方公務員が書いているブログでは「実際は残業ばかり」という発言が目立ちます。

自分の経験からいうと、残業時間は部署、担当業務、そして上司によって変わってきます。
残業が長いかどうかは、巡り合わせ次第です。

残業が多くなりがちな部署や担当業務は確かに存在しますが、それと並んで上司のキャラクターによる影響が大きいです。
上司が細部までとことんこだわるタイプだったり、心配性で危険分子をしらみつぶしにしたいタイプであれば、どんなに簡単な業務であっても、長時間残業しないと帰らせてもらえません。

もちろん、担当業務自体が暇で、上司が大雑把でであっても、何らかのアクシデントが発生すれば、残業地獄に一変します。

「巡り合わせ次第」だけではブログ記事として味気ないので、
この結論はとりあえず置いといて、あえて若手特有の傾向を書いてみたいと思います。

若手のほうがたくさん残業している

確実に言えることは、若手のほうがたくさん残業しています。
理由はよくわかりません。ただ、組織的に考えると、残業が多い業務には単価の安い人間(役職なし)を充てるほうが、残業代を抑えることができるというメリットがあることから、そういう人事体制をとっているのかもしれません。

あとは家庭の問題でしょうか?年齢が上がるほどに育児・家事・介護に時間を取られるようになり、残業できなくなるのでは……
いずれにせよ、地方公務員特有の理由があるわけではなく、日本の正社員全般と似た傾向があると思われます。

新聞記事などで「職員の平均残業時間」が報道されることがありますが、あれよりは確実に長いと思って間違いないと思います。

自分の場合

自分(採用5年目)の場合、今年度は月40時間ペースを続けています。
3月は多分忙しくなるので、年度通してのトータルは500時間ほどになると思われます。

同期職員の様子を見ていると、短いほうです。
病休経験者や産休明けで時短勤務の方など、ほぼ毎日定時帰りの方を除けば、ベスト5に入る短さです。

何と言っても、ブログ書いている暇があるくらいですからね……

前回、若手県庁職員の離職率について書きましたが、その中で休職についても少し触れました。

今回は休職……特に病気休職の実情を、また自分の同期入庁職員の事例を参考に書いていきたいと思います。

【2020.8.16】7年目休職経験率を追加しました。

5年目休職経験率:6%(50人中3人)

同期入庁50人のうち、これまでに3人、休職に入っています。(現在は全員復職)
うち1人は防災系の部署で、定期的な宿直業務が体に合わず、体調を崩し休職しました。

残りの2人は最初の配属でいわゆる花形部署に配属されたのですが、半年持たずに休職しました。
多分、新規採用にもかかわらず、初っ端から他の職員と同レベルの成果を求められたのでしょう。花形部署の職員は総じて仕事できるんですが、周りへの配慮ができない方が時々いるんですよね……

3人とも3ヶ月休職し、元の部署ではなく、別の比較的平和な部署に復職しました。


7年目休職経験率:6%(50人中3人)だが……

入庁7年目を終えても、休職経験者は増えませんでした。
ただし、5年目までに休職を経験した職員のうち1名が、2回目の休職に入りました。
心配です。



民間と比べると、かなり休職しやすい

休職経験者に聞いたところ、診断書を人事に持参して休職申請したら、すんなり通ったとのこと。
民間企業だと休職させずに辞めさせようとするところもあるみたいなので、かなり休職しやすい環境なんだろうと思われます。


休職しやすく、かつ確実に復職もできるという点。地方公務員という職の魅力の一つだと思います。

地方公務員を検討している学生向けの記事を書こうと決意しておきながら、関係ない雑談が続いてしまいました。心を入れ替えます。

僕が就職活動をしていた頃は、「3年後離職率」がブラック企業の目安としてよく参照されていました。
上場企業であれば四季報に書いてあったりして確認できますが、公務員の場合は大抵公表されていません。
検索してみると「トータルで10%、若いほど離職率高い」というページがヒットしますが、体感としてはもっと低いです。
僕の勤める県庁ではどうなのか、自分の同期入庁職員(大卒行政職員)の事例を紹介します。

【2020/8/16】7年後離職率を追加しました。

3年後離職率:2%(50人中1人)

まずは3年後離職率。同期入庁職員約50人のうち、離職したのは1人だけです。
入庁前から結婚を約束した相手(幼馴染)がいて、その相手と結婚するために出身地に帰ることになり、出身自治体の公務員試験を再受験して無事合格を勝ち取り、こっちを年度末で辞めることになりました。


5年後離職率:4%(50人中2人)

続いては5年後離職率。さらに1人が離職しました。
元からなぜ地方公務員になったのかというくらいハイスペックな方で、特に語学と法律に堪能なのですが、特にやりたい仕事が見つからず、消去法で公務員になったと言っていました。

最初に配属された医療系部署で仕事をするうちに医療機器の輸出入に強く惹かれていったらしく、知らぬ間に大手医療機器メーカーに転職を決めて、年度途中で退職しました。
県庁職員として仕事をしつつ、人脈をコツコツ広げていったのが効いたとのことです。


7年後離職率:10%(50人中5人)

本格的なアラサーを迎える前に、3人が新たに退職しました。
理由はいずれも家庭事情です。具体的には以下のとおり。
  • 介護のため実家(県外)に戻らざるを得なくなり退職
  • 転勤族男性と結婚して、夫の転勤についていくために退職
  • 玉の輿をゲットして寿退社
注目すべきは一番上のパターンでしょう。
実家を離れて就職すると、こういう事態が発生し得ます。
定年まで役所で勤め上げるつもりであったとしても、転職をせざるを得ません。

ただでさえ転職・再就職が難しいと言われている公務員です。
30歳近くという年齢、かつこれまで転職を視野に入れて能力を磨いてきたわけでもないため、民間企業への転職はかなり厳しいでしょう。
公務員への転職も、年齢的に「経験者枠」でエントリーせざるを得ず、厳しい選考になると思われます。


辞めなくてもなんとかなる

これまでのところ、職場への不適応で辞めた方はいません。
そういう事情があっても、うまいこと時短勤務や長期休暇(病気休職)を使いながら仕事を続けられるのが、公務員の魅力の一つですし。こちらは別記事で書きたいと思います。
→書きました

聞くところによると、県庁よりも市役所・町村役場の方が、離職率高いそうです。
「地方公務員の離職率」 とひとくくりにするのではなく、個々の自治体の実情を掴む必要があると思います。
個人的には国家公務員(特に本省)の離職率が気になる…… 

東京大学など一部の大学では、職員のパソコンを全部Macで統一しているところもあるらしいですが、地方自治体では聞いたことがありません。

自分が聞く限りでは、行政機関職員に支給されているパソコンは、全部ウィンドウズ機です。

ソフトは基本的にマイクロソフトオフィスしか使わないので、あえてMacを使う理由がありませんし、庁内システムをMacに対応させるだけで莫大な費用がかかってしまうことから、そもそも導入する余地がありません。


隠れMac派は多い


職場ではウィンドウズですが、自宅ではMacを愛用しているという方は結構います。

携帯電話がiPhoneで、iPadもさらに保有していたりすると、パソコンもMacに統一する方が何かと便利なんですよね。

かくいう自分も、一昨年からMacユーザーになりました。現在、MacbookPro2016SurfacePro3を併用しています。



備品のタブレットはiPadが多い


パソコンとは別に、備品としてタブレットを保有している部署が最近になって増えてきました。

出張が多い部署や、ウェブサイトを見ながら打ち合わせしたい部署なんかは、タブレットがあると便利なんですよね。

自分のスマートフォンを使ってもいいのですが、複数人で覗きこむときには、画面が大きい方がずっと便利です。


備品として購入する場合には、なぜかiPadがよく選ばれます。

レスポンスの良さが好まれるのでしょうか?
 


学生・教職員向けの割引のように、かつては官庁向けの割引があったらしいのですが、今はありません。

iPad導入が増えていることから、地方自治体のMac需要は確実に伸びてきていると思われるので、是非とも復活してほしいところです。

復活したらiPadPro12.9インチ)買います。

外部からのアポイント要望を断ったり、仕事の締め切りに間に合わないとき、よく「議会用務」「予算用務」を理由に使ってしまいます。
これは自分に限った話ではなく、自分だけでなく地方公務員、とくに県庁職員であれば身に覚えがあるかと思いますが、外部の方からは「嘘くさいな」と思われているようで、たまに嫌味を言われます。

実際のところ、あまり忙しいわけではないのですが、急に絶対優先の仕事が飛び込んでくる可能性が高く、別の予定を入れるとドタキャンせざるをえない場面が多々発生します。そのため、極力フリーなままでいたいのです。

今回は「予算要求用務」について、大まかな流れを書いてみたいと思います。


第一段階 課内・部局内調整

だいたい10月頃から、「来年度どれくらいの予算をかけて、何をするか」を各担当が考え始めます。
11月に入ると、課内の調整がはじまります。まずは各担当アイデアを課長がヒアリングし、課長が課としての方針を決めます。
課としてまとまったら、次は部局レベルでの調整です。部長が各課の方針をヒアリングし、部としての方針をまとめます。
ここまでは純粋に「どうすれば最大の効果が出るか」を念頭に事業を考えます。

【イメージ】
(担当)
来年度は「声優ラジオ番組とのタイアップ」を強化したいと思います。リスナーだけでなく、内容がネットニュースに取り上げられるなど、副次的な効果も見込まれます。声優事務所に問い合わせたところ、300万円で通年プロモーションが可能です。
(課長) 
安定した成果が望めるが、声優ラジオは成熟したメディア。再来年度に遅らせても支障ない。今やるべきはバーチャルユーチューバーの波に乗ること。こちらに予算を割きたい。声優事業は200万円以内に抑えたいから、通年でなくスポット的に実施することにして、いつやるか検討して、再度見積もりを貰ってくれ。


第二段階 財政部局調整

部局での方針がまとまったら、次は財政部局との調整です。
財政部局は、「一般論としてロジックが通っているか」「組織として一貫性があるか」「政治的に問題ないか」という観点から、事業案を検査します。
まずは各課の担当が財政部局担当に事業案を説明し、財政部局担当から財政部局内の上司へ諮っていきます。
ここからはマジレス・クソリプの応酬です。これらをうまくこなすことが必要になってきます。
こなせなかったら「効果が薄い」「実現可能性が無い」とみなされ、どんどん予算額がカットされていきます。そのため、財政部局からの指摘への対応は、優先順位を高くせざるをえません。
ここで上手なマジレスを繰り出せる財政部局担当は、例外なく出世しています。

【イメージ】
(担当)
ウェブメディア活用事業は、これまではニコニコ超会議とのコラボなどコンテンツ提供プラットフォームとの連携が中心でしたが、プレミアム会員数の減少など、ユーザーのプラットフォームへの忠誠心が薄れています。
そこで来年度は、提供プラットフォームではなく、コンテンツの作り手との連携を強化します。具体的には、現在大人気で高い効果が望める「バーチャルユーチューバーとのタイアップ」に300万円、成熟したメディアであり安定した効果が望める「声優ラジオ番組とのタイアップ」に200万円を計上しています。それぞれの具体的内容は……(以下、タイアップ内容の詳細)
(財政部局担当)
本当にプラットフォームの力が弱まってるの?ネットフリックスとかアマゾンプライムビデオ、Spotifyなんかは絶好調じゃなかったっけ?単にニコニコが弱ってるだけじゃないの?
これまでずっと「プラットフォームとの連携」を続けてきたんだから、まずはコラボ先のプラットフォームを乗り換えるほうが自然じゃない?どうしてこれをしないで、いきなりプラットフォームを見捨てるの?
バーチャルユーチューバーのファンって本当に若者?統計資料あるの?こっちが用意した原稿通りに読んでくれる保証はあるの?そもそもバーチャルユーチューバーってアウトローさが売りだから自治体とタイアップした時点で魅力無くならない?もしこの事業のせいで人気落ちた場合の補填は?
声優ラジオは誰とタイアップするの?うちの自治体関係者のアニメ監督〇〇さんの意見は聞いた?〇〇さんの了解貰わずに進めても大丈夫なの?そもそも〇〇さん監督のアニメってラジオやってないけど、これって〇〇さんラジオ嫌いってことじゃないの?〇〇さんがうちにふるさと納税してくれてるって知ってるよね?機嫌損ねない?大丈夫?
(担当)
……確認します。
(財政部局担当)
明日の朝8時までにお願い。


第三段階 首長の一声

財政部局が認めてくれたら、首長に諮ります。
首長に対しては、財政部局から全部局分まとめて説明し、反応を伺います。
すんなり了承してくれれば問題ないのですが、首長が私論を語りだしたら一大事。その私論が実現可能か、大至急確認が必要になります。

【イメージ】
(財政部局)
オタク振興部ウェブメディア活用課においては、従来のプラットフォーム活用の効果をさらに高めるため、プラットフォームと連携を保ちながら、コンテンツの作り手とも連携を強化していきます。具体的にはバーチャルユーチューバー及び声優ラジオとのタイアップを実施します。予算規模は500万円です。実施に当たっては、〇〇監督の意見を適宜聞きながら進めていきます。
(首長) 
先日〇〇監督と会食したとき、彼が□□という新人の女性声優を推していた。来年秋に彼女を主役に起用して新たなシリーズものを始めるらしい。バーチャルユーチューバーは今年半ばには下火になる。□□を使って話題性をつくる側に回れ。500万円で足りるのか?成果を必ず出せ。
(財政部局担当)
□□という声優を知っているか?〇〇監督の次回作に起用されると首長が聞いたらしい。彼女を使ったタイアップ事業を作れ。声優ラジオに限らない。予算規模は最大2000万円まで認めるから、確実に成果が出る手堅いものを考えろ。明日6時までに必ず。
(課長)
マジかよ……(大至急〇〇監督に連絡して事実関係を確認、監督から□□に声掛けしてもらう確約をとり、2000万円の積算をでっちあげ、首長に「できます」と回答、)


第四段階 議会の承認

首長に了承されたら、最後は議会での審議です。
よほど政治的にグレーな問題でない限り、承認されます。


だいたいこんな感じですが、第三段階でのどんでん返しはほとんどありません。財政部局が首長の意向をだいたい把握しているので、第二段階を通り抜けるまでに、首長好みの内容に仕上がっています。

予算用務全般、とにかく期限がシビアで、時にはクソリプに付き合わなければならず、時間も精神力も奪われてしまうのです……

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