キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2018年11月

ワールドトリガーを読み返していたら、全然ブログが書けませんでした。
この記事以外は全部、過去に書いたストックです。

あの漫画、テキスト量が多いんですよね……

大阪万博……

こんなこと言ったら怒られるんですが、大阪万博は落ちてほしかった。
12月議会直前という絶好のタイミングで発表になっちゃたせいで、おっちゃん議員の先生方ハッスル全開ですよ。

全国各地で、「大阪万博に向けた戦略は如何」みたいな質問が飛び交うことでしょうね……

ゾンビランドサガ

先月も触れましたが、やっぱりゾンビランドサガ面白いです。
アニメに興味がない方も、こちらの記事は必見です。

佐賀県の自虐、ついにゾンビまで…県の担当者がケロッとしている理由

うちの県だったら、ゾンビィという単語が出てきた時点で「県内の寺社仏閣に説明がつかない」って理由でタイアップ不可能でしょうね……

同じ九州舞台のアニメでも、「色づく世界の明日から」と対照的なのも面白いところです。
どっちも1クール作品みたいなので、放映終了したらまとめて取り上げてみようと思っています。

アクセス数急進

なぜかいきなりアクセス数が伸びています。
先月まではちょうど11,000PVくらいだったのが、今月は13,000を超えました。
特にパソコンからの閲覧数が増えてるんですよね。
もしや、財政課待機の影響か……?



「公務員は『てにをは』一つ決められずに延々と残業している」という批判。
僕自身、面と向かっていただいたこともありますが、事実です
てにをはに限らず、文章内の細かい言い回しを決めるために、十数人で集まって会議を開いています。

虚しい作業だなあとは思いつつも、決して無駄ではなく、むしろ必要不可欠な作業だと思っています。

自衛のための最小限度の手段

いくら公務員とはいえ、すべての文章で細かく「てにをは」を考えているわけではありません。
枝葉末節までこだわるのは、役所外部の不特定多数の人間に発する文章です。
議会答弁なんかが典型ですね。テレビで全国に放送されます。

文章を見聞きする人が増えれば増えるほど、世間一般とは異なった解釈をする人が現れやすくなります。
琴線に触れたのか、トラウマが想起されたのか……とにかく過敏に反応され、発信主に対して猛烈に抗議します。 

行政に限った話ではなく、Twitter上でもよく見られる光景ですね。

こういった思わぬ抗議を食らわないよう、もし抗議された場合にきちんと弁明できるよう、「てにをは」をはじめ言葉の枝葉末節にこだわるのです。

遍在する言葉狩り

地方行政レベルでも、状況は変わりません。
行政が発した言葉の枝葉末節に対して憤激する方は、どんな界隈でも常にいらっしゃいます。

僕の知る限りでも、とある式典の祝辞の「てにをは」が原因で、業界団体のトップがカンカンに怒ってしまい、長年続いていた事業が消滅した事例があります。


言葉の枝葉末節を考えるのは、よく言われているとおり、不毛で非生産的な作業です。
ただし、無駄ではありません。
枝葉末節をおろそかにすると、トラブルが多発し、その対処のせいでもっと時間と手間が取られてしまうのです。

地方公務員として働くにあたり、手帳は必須です。
スケジュール管理だけならスマートフォンのカレンダーアプリで十分なのですが、仕事中にスマートフォンを触っていると高確率でお客様(来庁者)からお叱りを受けてしまいます。

入庁以来、毎年色々なタイプな手帳を試してきましたが、2年前に暫定結論が出ました。
地方公務員なら見開き1週間のレフトタイプがオススメです。

レフトタイプってどんなもの?

こういうやつです。

出典:No.66 デスクダイアリー 高橋書店
https://www.takahashishoten.co.jp/notebook/31066.html 

僕の場合、左側のページを予定用、右側のページを記録用として完全に分けています。
記録用スペースが足りなければ、付箋で拡張したり、後ろのフリースペースを使います。

記録用スペースが不足しないよう、ちょっと大きめのB5サイズを使っていますが、僕にはこれくらいがちょうどよく、ほぼ毎週記録用スペースがきっちり埋まります。

地方公務員のスケジュール管理の特徴

地方公務員のスケジュール管理の特徴を考えてみると、レフトタイプが最善であるという結論に自然と至りました。

予定(アポイント)が少ない

大抵の地方公務員、特に平職員は、そもそも予定が少ないです。
そのため、一日のスケジュールを子細に組む必要がありません。
1時間刻みのタイムテーブルがメインの手帳もありますが、こういうページは不要です。

締切が多い

一方、資料作成や照会回答など、締切はやたらと多いです。
締切は日単位なので、時間刻みで管理する必要まではありません。
見開きページで1ヶ月分の締切スケジュールを見渡しつつ、週間予定のページに細かい注記事項を書き込んでおけば、万全です。

記録が重要

地方公務員の仕事では、予定と並んで、「いつどこで誰がどういう発言・行動をしたのか」という記録が非常に重要です。
手帳とは別にノートを用意する職員もいますが、2冊を同時に持ち歩くのは結構面倒です。
それに、仕事のために2冊も買うのはなんだか癪なんですよね。

これらの理由、特に手帳に記録機能を持たせたいという理由から、レフトタイプがベストだと考えています。

1月始まりor4月始まり

役所のスケジュール的に4月始まりの方が使いやすいので、僕はずっと4月始まり派です。

ちなみに、過去の手帳は一応残しておいて、異動時に後任者に渡しています。
捨てるかどうかの判断は、後任者にお任せです。

先日、大学3年生からのOB訪問を受けました。
予備校の指導のせいか総合計画のことばかり聞いてくるので、あれはただの隠れ蓑で、実際は首長と議員と財界と地域有力者の思うがままだよという現実を説明。
 
瞳の輝きを奪ってしまいましたが、ミスマッチを減らせたということで……良しとしましよう。

せっかく現役職員にインタビューするなら、面接を通過するための小手先知識ではなく、就職後の人生がどうなるのかを聞いてほしいなと個人的には思っています。
理由はもちろん、入庁後の生活を大まかであれイメージしてもらうことで、落胆して離職するのを少しでも防止することです。

このブログをはじめ、地方公務員の実情ネタはネット上に多数転がっています。
ただし、ネット情報はあくまでも一般論か、どこか特定の役所のローカル事情です。
自分が就職を考えている役所にも当てはまるのかは、わかりません。
内部事情を知るのは、現役職員だけです。


以下、地方公務員人生を左右する重要項目のうち、役所ごとに実情が大きく異なるものをピックアップしました。
是非ともOB訪問時に現役職員に聞いてみて、許容できるかどうかを自分に問うてみてください。


今回挙げる項目は、なるべくアラサーで本庁勤務の職員に聞いてください。
 
若い職員は、把握しきれていません。
一方、部下を持つ年齢(30代後半)になると、正直に喋ってくれません。
 
出先機関の職員は、概してこういう内部事情に疎いです。本庁勤務職員のほうが色々喋ってくれるでしょう。


入庁後のミスマッチを防ぐための質問

人事異動のスパン・異動希望は叶うのか

地方公務員をやめた方の声を拝見すると、「異動希望が通らずやりたい仕事ができない」「関係ない部署ばかり回されて専門性が身につかない」といった人事異動への不満が頻繁に出てきます。

実際、「異動希望は基本通らない」「ジェネラリスト育成という名目で色々な部局を転々とさせる」のが、従来の一般的なやり方です。
ただ最近は、人材育成する余力がなくなってきているのか、異動スパンを遅くしたり同じ部局内を回したりして、スペシャリストを育成しようとする流れも出てきています。

キャリアパス的な意味だけではなく、持病や家庭の事情で異動希望を出す場合もあり得ます。
こういうパターンが許容されない役所だと、自分の意図に反して辞めざるを得ないケースもあるでしょう。

僕の友人は、山間部の名家に婿入りして家業を手伝わなくてはいけなくなり、「自宅近くの出先事務所でないと勤務できない」との異動希望を出して、見事通っていました。
一方、介護のために極力定時で帰りたいのに繁忙部署からずっと異動できず、離職した話もよく聞きます。

一般的なキャリアパス

入庁から退職までの大まかな流れは、いくつかのパターンに類型化できます。

  • 出世コース
  • 一般コース
  • 残念コース

くらいの大分類を聞き出せればベストですが、難しければ「何歳くらいにどんな仕事をすることになるのか」聞いてみるとよいでしょう。
 
聞けるようであれば、一般コースの小分類について掘り下げてみてください。入庁後の生活が生々しくイメージできるでしょう。
ちなみに、僕の勤める県庁では、一般コースの類型として、こんなのがあります。

  • 庶務専属(部局を転々としながら庶務ばかり続く、高卒者に多い)
  • 制度専属(部局を転々としながら制度運用ばかり続く)
  • 渉外専属(観光・産業振興のような大概折衝ばかり続く)
  • 職人(マニアックな業務を4年以上やらせる、高学歴に多い)


意思決定の流れ・トップダウンかボトムアップか、平職員の裁量

「行政は意思決定が遅い」とよく言われますが、これも自治体によってまちまちです。
現場判断で物事を進められるところもあれば、細かいところまで首長了承が必要なところもあります。

退職者の声の中には、意思決定のあり方がストレスだったという意見もあります。
質問方法が難しいですが、なんとか聞き出したいところです。

即戦力として求められているのはどういう人材か

この質問を通して、役所内で求められているのがどういう能力なのか、ひいてはどういう人が出世するのかが見えてきます。
つまり、組織内の有力者像がわかるのです。
こういうタイプの人が生理的に無理だったら、やりづらいかもしれません。 
「自分は即戦力です」と面接でアピールするのが目的ではありません。

加えて、役所内の雰囲気もなんとなく掴めます。
 
例えば、「社交性があって人を動かすのがうまい人」が求められている場合。
「社交性に欠ける職員」が多く、陰キャでも過ごしやすい環境と推測できます。

反対に「法令知識に長けた人」が求められている場合は、ノリと勢いで仕事を進める陽キャ職員が多そうです。
 

ブラック度合いを見極めるための質問

ブラック度合いは人による要素が大きく、役所単位というよりも職場単位で大きく異なります。
それでも、役所単位の雰囲気を掴んでおくことは重要でしょう。

残業代の支給状況


離職状況

僕の知る限りでは、どこの役所も若手の離職が増えています。できれば離職理由も聞き出したいところ。
参考:若手地方公務員の離職率はどれくらいなのか?(県庁職員ケーススタディ)

休職状況

休職がスティグマになり、復職後居づらくて退職したという話も聞きます。
休職率よりも、職員の休職に対する捉え方を聞き出したいです。
参考:若手地方公務員の休職率はどれくらいなのか?(県庁職員ケーススタディ)

聞きにくければ……

ややネガティブな質問が多くなってしまいました。
こういった話題を出すのが憚られるのであれば、この記事を見せて「こういうネット情報があったんですけど……」という形で切り出してみては?
質問の意図が伝わり、現役職員としても答えやすいかもしれません。

ネガティブな公務員ブログを見せて「こういうネット情報って事実ですか?」と聞くスタイルは、現役職員側としても答えざるを得ないでしょう。
答えなかったら、暗に認めたようなものだからです。

(関連記事)
自治体職員にOB訪問するには?
他の公務員ブログでは「企画課に電話orメールで申し込もう!」とよく勧められていますが、僕はあんまりオススメしません。
企画課っていわゆる出世コースですし、取り繕ったいい子ちゃんな話しか聞けないのでは……
あと、終わった後に人事に逐一チクってそう。

地方公務員にインタビュー(OB訪問)する際の注意点とは? 
目的はどうであれ、複数人の意見を聞くほうが良いでしょう。

大きな役所になればなるほど、部署によって求められる能力が異なります。

県庁レベルになると、ある部署では「優秀」と言われていた職員が、次の異動先では一転して「無能」と評されてしまうこともしばしばあります。

しかし、役所という組織の一員である以上、どこの部署でも共通して賛美される能力も存在します。


物事の順序付けが上手い

僕が一番重要だと思うのが、これです。
プロジェクトの最初期段階で、具体的にどういう順序で物事を進めていくのか、どういう条件から先にクリアしていくのかを適切に判断する能力です。


例:アニメーター育成支援補助金の創設
首長の発案でこういう補助金を新設することになったと想定します。

首長発案の補助金なので役所内は誰も反対してこないでしょう。
しかし、補助対象が非常に狭いことから、役所外の色々な団体から苦言がありそうです。

反発してきそうな団体は、
・商工団体(なぜアニメだけなのか)
・美術関係団体(同上)
・音楽関係団体(同上)
・広告代理店(うちの領分を荒らすな)
・マスコミ(同上)
あたりでしょうか。

それぞれのパワーバランスを考えながら、事前合意を取り付けるか、批判してきても無視するかを、まずは判断します。

事前合意を得る場合は、どういう順番で得て行くかを決めます。

今回の場合は、以下の条件があるとします。
・美術団体のトップと首長の仲が良い
・美術団体は商工団体が嫌い
・美術団体のトップはものすごい権力者で、マスコミも広告代理店も逆らえない
・音楽団体のトップは行政OBで首長に逆らえない

条件を整理すると、
①美術団体のトップを抑えればマスコミ・広告代理店は黙る
②商工団体を先に抑えると美術団体が確実に反発を強める
③首長を使えば美術団体トップを抑えられる
④音楽団体は無視で構わない
となります。

ここから導き出される結論は、美術団体トップと首長の懇談をセットして同意を得て、ほかの団体は様子見です。


このような順序付けは、事業担当であれば、ほぼ毎日必要です。
順序づけがうまくできれば、良い結果が残せるだけでなく、無駄な仕事も減らせます。


ゴールまでに必要な全作業をスタート時点で網羅的に洗い出せる

手探りで動くことほど、時間と体力と信用の無駄はありません。
無駄を減らすためには、初期段階で必要な作業を洗い出し、リストアップするのが一番です。

例:美術団体への説明資料作り
「補助金対象はアニメーターだけですが、決してアニメーターだけを優遇しているわけではありません。本自治体が有名背景美術アニメーターをたくさん輩出していることに着目し、後進を育成することで、本自治体を『背景美術の聖地』とするのが目的です。この補助金事業の中では、有名アニメーターが感銘を受けた美術作品全般の展示会も多数実施するので、美術界隈全体にも多大なメリットがあります。」という主旨の資料を作り、美術団体に説明に伺うことになりました。

資料作成のためには、下記情報が必要です。
①出身アニメーターにはどんな人がいるのか
②各アニメーターが感銘を受けた美術作品とは例えばどういうものか

①は調べればすぐに分かりますが、②は少し面倒です。
作業を細分化して、③過去のインタビュー記事を探す、④講演会のログを探す、⑤過去のアニメ関係の美術展情報を探す あたりに分けます。

③は「どういう媒体からインタビューを探すか」という観点から、さらに細分化できます。雑誌、ウェブ、設定資料集、ブルーレイの特典冊子、オーディオコメンタリー……等々、関係がありそうなものを挙げていき、作業の全体像を作ります。
こういう作業の細分化・リストアップを、プロジェクトの着手時点でしっかりやっておかないと、後々致命的なミスに繋がりかねません。

僕はオタクなので、この事例ならサクッとリストアップできます。
しかし仕事では、全くアニメを知らないガチリア充職員であっても、「ブルーレイの特典冊子をチェックせねば」と気づかなければいけないのです。

逆に言えば、僕ももしかしたら「プロバスケチームを作ることになったから、監督と選手集めとホームグラウンドづくり、頼んだよ」と指示されるかもしれないのです。無理ですね。


最終決定者の意向を推察できる


どれだけ素晴らしい成果が確約されていようとも、最終決定者の意向にそぐわなければ、やり直しです。

最終決定者は、役所内の上司とは限りません。
議員さんかもしれませんし、財界のドンかもしれませんし、「住民の総意」という形のない相手かもしれません。
いずれにせよ、最終決定者の意向に沿うように物事を組み立てていかないと、意味がありません。

基本的に、最終決定者の意向に沿えているかどうかの監督は、上司の仕事です。
ただし、担当者がちゃんと意向に沿った作業ができていれば、作業効率が大幅にアップし、スムーズに仕事が進みます。


以上3点、なるべく具体的に書いたつもりですが、伝わったでしょうか?
これらがこなせる職員は、例外なく出世コースに乗っています。

どうやったら身につくのか?

役所内・他自治体の過去事例を知識としてストックしていけば、いずれの能力も身についていくと思います。

役所仕事の多くは、大抵は過去の類似事例や他自治体の事例を真似しているだけです。
 
事例として挙げた「アニメーター育成補助金」も、よくあるIT人材育成補助金と構造は大差ありません。
アニメに詳しくなくとも、特定セクターへの補助金を新設した過去事例を知っていれば、難なくこなせるでしょう。

地方公務員にとって、事例とはお手本のようなものです。
何事も、完全な我流よりも、お手本を見ながらやる方がうまくいきます。
過去事例のストックを増やすことは、お手本の引き出しを増やすことと同義です。


いずれの能力も、学歴とは全く関係がありません。
公務員として働く中で身について行くスキルでしょう。

加えて、採用区分とも関係ないでしょう。
技術職で出世する方は、技術的知識がある方よりも、こういった能力に長けている方なんじゃないかと思うほどです。

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