キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2019年03月

<2019.3.2 おすすめ本を追記しました>

先日、友人から「地方公務員として働き始めるまでに、学生のうちに勉強しておくべきことって何かある?」と訊かれました。
弟さんがとある役所に採用されたそうで、気にしているらしいです。

以下、友人への回答をベースに持論を紹介します。


仕事(実務関連)の勉強は不要

正直、仕事に直結するような勉強は働き始めてからで十分です。
貴重な学生時代を割くほどの価値はありません。

どうしても勉強したいのなら、
  • 民法
  • 行政手続法
  • 行政事件訴訟法
あたりの基本書を読んでおくと、どういう部署に配属になっても役に立つでしょう。

一方、
  • 公用文の書き方
  • 決裁文の書き方
  • 資料の作り方
みたいな実務的な内容は、一般論よりも組織ルールや上司の意向のほうが優先されるので、就業前に勉強しても仕方ありません。

お金とメンタルの勉強をしては?

一方、正規雇用者デビューに備えるという観点でみると、お金とメンタルの勉強が必要だと思います。
目的はいずれも、自衛です。

むしり取られないために…お金の勉強

地方公務員の給与は常時狙われています。
生命保険をはじめ、銀行の積み立てや外貨預金、損保会社の自動車保険、ハウスメーカーの不動産営業、証券会社のリスク商品営業、寄付や協賛金募集……こういった類の営業さんが連日職場に来ます。

新規採用職員への営業は特に熱心です。
彼らにとって、新規採用職員は手つかずの鉱脈です。競合他社どうし激しく奪い合います。
「他社よりもうちがいい」「いや、うちのほうがもっといい」というように、比較優位性を強調して取り込みを図ってきます。

「競合他社どうしで競争するんだから、すぐに契約せずに時間をかけて競争させれば、自分にとって有利なものが残るのでは?」という期待は実現しません。彼らはトータルスコアで競争しているわけではなく、比較優位な部分だけを強調しているだけなので、自社にとってのメリット(=お客さんにとってのデメリット)は減少させなくてもいいのです。

お金の基礎知識と信念が無ければ、営業さんのいうがままに契約させられ、無駄なお金を払わされてしまいます。
ただでさえ少ない給料をさらに減らす羽目に陥らないよう、自衛しなければいけません。

自衛のためには、以下の両面からの勉強がおすすめです。
  • ファイナンシャルプランナーの資格を取る(基礎知識)
  • 生々しいお金の本(金融機関がいかにして顧客を養分にするか)を読む(営業さん対策)
ファイナンシャルプランナーの知識は、やや営業さん寄り(お客さんのことを考えつつも、しっかり利益をむしり取るための知識)なので、セカンドオピニオンとして生々しい知識が必要です。
自衛という目的では、生々しい話だけでも十分でしょう。

「生々しいお金の本」のおすすめを挙げたいところですが、不勉強のためわかりません。申し訳ない。
僕は元証券会社の先輩から勧められた以下2冊を読みました。今も手元に置いて参照しています。
資産運用実践講座I 投資理論と運用計画編
山崎 元
東洋経済新報社
2009-05-29


資産運用実践講座 II
山崎 元
東洋経済新報社
2009-09-18



やや古い本なので、これをおすすめするのは気が引けます。
現在でも通用すると思いますが……


【2019.3.2追記】お金の勉強用おすすめの書籍です。どちらも予備知識なしで読めます。

人生100年時代の年金戦略 [ 田村 正之 ]
人生100年時代の年金戦略 [ 田村 正之 ]

お金は寝かせて増やしなさい [ 水瀬ケンイチ ]
お金は寝かせて増やしなさい [ 水瀬ケンイチ ]


無理なく洗脳されるために…メンタルの勉強

組織の一員として働くためには、組織のルールに従い、組織のロジックに馴染まなければいけません。
こういった「組織への適応」は、自分の価値観や感覚を劣後させられるという意味で、洗脳と同義だと僕は思っています。
言葉遊びの次元でしょう。

特に採用直後は、周りも「仕事を教える」ことで洗脳しようとしてきますし、自分も「仕事を覚えよう」として進んで洗脳を受け入れます。

仕事をするうえでは、完全に洗脳されているほうが気楽です。
しかし、役所ルールは時代錯誤でローテクでつまらないです。完全に洗脳されてしまうと、役所外の生活に支障が出るでしょう。

かといって、洗脳を拒んでいる=適応を拒んだまま仕事を続けるのは、とてもつらいです。

そのため、「職場にいる間だけ洗脳状態になる」ような、切り替えが必要だと思っています。

どうすればうまく切り替えができるのか、僕も試行錯誤している最中です。
少なくとも、人間の精神を客観的に見るための基礎として、心理学や精神医学の知識が欠かせないのかと思います。
心理学 第5版
東京大学出版会
2015-07-27





こういった本を読んでいると、知識が身につくと同時に、人間の精神を客観的に見るスタンスのようなふわっとした感覚もつかめるように思います。


勉強よりも大事なこと

以前の記事でも書きましたが、損得抜きの友情を育めるのは、大学時代が最後だと思います。

参考;地方公務員業務に役立つサークル活動とは?

友人との時間を何より大切にしたほうが、就職後にも活きてくるでしょう。
今回紹介した勉強は、隙間時間に取り組む程度で十分成果が出ると思います。
とりあえず書店で立ち読みだけでもやってみてはいかがでしょう?

久々の読書メモです。
統一地方選挙前に読んでおくと面白いかなと思う一冊です。
 




リーダーの取り巻き次第で支配体制が決まる


支配のありようを支配者とその権力の存立を左右する基盤となる人々との関係から解き明かそうとする「権力支持基盤理論」をベースとした本です。
訳者あとがきによると、学術的な本というよりは、一般向けの読み物とのこと。

本書では、独裁政権と民主主義政権の間には境界は無く、

  • 名目的な有権者集団
  • 実質的な有権者集団
  • 盟友集団

この3集団の構成比や関係性によって政治のあり方が決まってくると説明します。

「名目的な有権者集団」は、選挙権を与えられている人全員です。
「実質的な有権者集団」は、有権者の中でもリーダーの選出に関わってくる人のことを指します。
「盟友集団」は、リーダーとしての地位を保つために絶対支持してもらう必要がある人のことです。

日本の首相選出(間接選挙)の場合
名目的な有権者集団 選挙権を保有する人全員
実質的な有権者集団 与党の国会議員
盟友集団 与党議員の意見を左右するだけの影響力を持つ人(与党内の有力議員、与党の金銭的パトロンなど)

都道府県知事(直接選挙)の場合
名目的な有権者集団 選挙権を保有する人全員
実質的な有権者集団 当選するのに最低必要な票数分の有権者
盟友集団 票集めができる有力者

政治のあり方を決めるのは、この中でも「盟友集団」です。

盟友集団への便宜を図るのがリーダーの仕事、おこぼれをもらうのが庶民

本書におけるリーダーとは、「自分の立場を維持するために、政府予算を使って盟友集団に便益を与える存在」です。
支配地の隅々、国民全員まで便益が及ぶかどうかは、最初から興味がありません。

盟友集団以外にも便益が届くかどうかは、盟友集団の人数や性質によって決まります。

盟友集団の人数が多ければ、総人口に占める便益を受けられる人数も多くなります。

加えて、盟友集団と有権者集団が結びついていれば、俗にいうトリクルダウンが発生して、盟友集団向けの便益が有権者集団へも流れ落ちて行きます。

一方、独裁的と言われる政治体制では、盟友集団の人数が少ない上、その外に便益が漏れません。
軍上がりの独裁政権をイメージしてみてください。
軍の将校(盟友集団)と一般庶民は隔絶されていて、どれだけ軍人が潤っても庶民にはお金が流れません。

盟友集団の人数が少なく、名目的・実質的な有権者集団と結びついていない場合、便益を受ける人数は限られます。結果、多くの人が政府サービスを受けられない政治、つまり独裁になります。
 
全校生徒2000人が参加する選挙で生徒会長が決まる高校があるとしましょう。
現生徒会長の盟友集団は、
学校一の塩顔イケメン
学校一の彫り深いイケメン
学校一の女顔イケメン
の3人であり、こいつらからの支持さえつなぎとめておけば、ほかの生徒も流されてくれて、難なく再選できます。
 
この場合、生徒会長はこいつら3人を喜ばせるためだけに生徒会予算を使いますが、独裁にはなりません。
イケメンでも学校の生徒であることには変わりなく、顔面の出来の良さを除けば、その他有象無象の生徒と大差ないからです。
(こういう状況を、「盟友集団と有権者集団とが結びついている」と言います。)

そのため、「イケメン達にとってはメリットがあるけど、その他大多数の生徒には何のメリットもない施策」、つまり独裁的な施策そのものが存在しにくいのです。
盟友集団とその他生徒との差がほとんどないため、盟友集団向けのサービスを提供したつもりでも、結局は盟友集団以外の生徒も喜びます。

このように、有権者集団とのしっかり結びついている場合は、盟友集団の人数が少なくとも、盟友集団以外にも便益が広がっていきます。

本書では、このような枠組みで、主に独裁政治の特徴を分析していきます。


地方自治体は割と独裁に近いのでは?

この枠組みで地方自治体の首長選挙をみると、盟友集団と有権者集団が結構隔絶している現状が見えてきます。

首長選挙を左右する盟友集団、つまり票集めができる人は、地主だったり〇〇協会会長だったりして
  • 高齢
  • 男性
  • 金持ち(資産家)
に偏ります。
(開票速報番組でバンザイしている人たちを思い出してみてください)

こういう人々からの支持を取り付けられた候補者が選挙に勝つわけですが、その結果、こういう人々向けの行政サービスを厚くせざるをえなくなります。
言うまでもなく、こういう人々は、人数でみれば、有権者集団の中でもマイノリティです。
首長の施策は「高齢・男性・金持ち」というマイノリティに向けられることになり、その他大多数の有権者は恩恵を受けづらくなるです。

去年の猛暑で「公立学校のクーラー設置が進まない」というニュースを見て以来、どうして地方自治体は教育にお金をかけたがらないのか考えていたのですが、本書を読んですっきりしました。
教育への支出、つまり子育て世代向けの支出は、多くの首長にとって、盟友集団を潤さないのです。
つまり、教育に支出すると、再選が遠のくのです。

子育て世代の人間が盟友集団に食い込めばいいのではと思うのですが、そういう能力のある若い人って地方には残らず東京に出ていっちゃうんですよね。

今回紹介したのは、本書の第1章に当たる部分のみです。
独裁のあり方、特に独裁がどのように続いていくのかに興味のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。

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