キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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2019年05月

世の中には有料のデータベースがたくさんあります。
料理のレシピ集のようなお手軽なものから、とても個人では手が出せないような高価なものまで、様々です。

有料データベースの中でも役所内でよく使われているのが、TKC経営指標です。

業種別の平均値

TKC経営指標(BAST)とは、会計事務所や自治体向けに特化した情報サービス企業「株式会社TKC」が提供しているデータベースです。
多くの経営指標の業界別平均値を算出してまとめられています。

一部だけならホームページですぐに閲覧できます。 (TKCサイトへのリンク)

日本株に投資している方、特にファンダメンタルを重視する方にとっては馴染みのある資料です。

役所では主に、地場企業の経営分析に使います。
経営分析に欠かせないプロセスとして、時系列比較と同業間比較があります。
業界別平均値は、後者の比較に欠かせない資料です。

これが使えないとなると、経営分析作業が一気に面倒になります。
そもそもの基準(平均値)から準備しなければいけなくなるからです。

どこで見られるかを知っておく

このデータベース、誰でも使えるものではありません。

役所内でも、これを保有している部署はごくわずかでしょう。
産業振興や中小企業支援を担当している部署なら持っているかもしれません。

頻繁に使うものではありませんが、TKC経営指標というデータベースの存在を知っているだけでも、いずれ役に立つと思います。

今年の4月1日付けで、2年間勤務した観光部局から全くの別部門に異動しました。
異動希望は出していません。残留を希望しました。
しかし、結果は異動。

僕の勤める県庁は、3〜4年ペースの異動が通例です。
2年で異動するのは、引き抜かれたか追放されたかのいずれか。
考えるほどに高確率で後者です。

オタクなので「大衆感覚」が無い

僕の住む田舎では、まともな人なら25歳くらいで結婚します。
僕は完全に行き遅れ、マイノリティです。
しかも偏屈なオタクです。

観光絡みでいえば、旅行のたびに赤線青線を巡り、人気(ひとけ)のない集落を練り歩きます。

「ダークツーリズム」という言葉が登場する前からダークな場所ばかり回っていました。
あとは地場高級スーパー。地域性がもろに現れるので見ていて楽しいです。

うちの県の観光施策は、とにかく観光客数の増加を掲げています。
マニア受けよりも大衆受けを狙う方向性です。

大衆から零れ落ちたマイノリティである僕に、大衆の気持ちはわかりません。
そのため、大衆受けする施策やイベントが作れませんでした。

何をやらせても基本方針からズレたことばかりやっているので、勤務評価も低かったでしょうね……

忖度スキルが身につかなかった

観光振興は、自治体の裁量が効かせられる仕事です。
法令に縛られることもなければ、国からの指導もありません。
自治体が好き勝手できます。

もちろん、自治体の裁量と担当職員の裁量は全くの別物です。
自治体の裁量とは首長の裁量であり、有権者の裁量であり、有権者を束ねる大票田の裁量です。

つまり、観光振興のような裁量の効く業務では、首長が好む=有権者が好む=大票田が好むような結末を想像し、これに沿うように事業を組み立てます。

担当者に求められる能力は、観光振興の知識やノウハウではなく、大票田の意向を敏感に察する情報網と想像力、いわゆる忖度です。

僕はこれが苦手なまま、全然成長しませんでした。
非社交的なので人脈もできませんし、相手の意向をこっそり探るようなトークスキルも身につきません。

2年経っても成長する気配が無いので、成長性なしと判断されたのでしょう。

体力が無い

イベント会場でテントを組んだり、チラシが詰まったダンボール箱を運んだり、駅や観光地でチラシを配り続けたり、ゆるキャラの中に入って飛び跳ねたり…
県庁の中でも観光部局は立ち仕事や肉体労働が多く、体力が要ります。

僕は運動習慣皆無のオタクなので体力がありません。
数日間連続開催のイベントに動員されたりしたら、明らかに2日目以降のパフォーマンスが落ちます。
ゆるキャラの中に入って軽い熱中症になるようでは論外です。

参考:地方公務員の熱中症経験談。イベント業務(ゆるキャラ中の人)で倒れた際の教訓とは?

不適切な顔面

メディア出演機会が多いせいか、観光部門は男女ともに綺麗どころが多数います。
一方僕はキモメンです。メディア向きではありません。

一度だけウェブメディアの取材に出演して、その時の記事が今でも閲覧できるんですが、我ながらひどい顔をしています。
必死にPhotoshopで加工した跡がありますが、もともとの造形が駄目なのでどうしようもありません。


観光施策はかなり興味のある分野だったので、もう少し携わっていたかったのですが……
向いていなかったのは事実。
しっかり受け止めて、今の部署で頑張ります。


昨日書いた令和時代の展望に基づき、具体的にどうやって生きていくのが賢いのか、考えてみました。
参考:令和時代の地方公務員は「美味しい」職業なのか?

若いうちからリスク資産への投資

給与収入の減少は、ほぼ確実だと思っています。
昇給ペース減という形で基本給が下がるだけでなく、時間外手当(残業代)はじめ諸手当も削減されていくでしょう。
そのため、給与以外の収入源を早いうちから作っておきたい。

副業はいつ解禁されるのかわかりません。
すぐ取りかかれるのは、資産運用です。
金融資産の運用、特にインデックス投資なら、巧拙関係なく誰でも実施可能です。

最近はiDeCoやつみたてNISAがだいぶ普及してきましたが、これらは退職後の生活資金を構築するための仕組みです。
これからの地方公務員に必要なのは、現役時代の収入上積み。
iDeCoやつみたてNISAに加えて、結婚前の資金的余裕のあるうちに、インカムゲイン目当ての投資が必要なのではと思っています。

短期取引で安定して稼げたら最高なんですが、(少なくとも僕には)不可能なので、大人しく高配当株を買い増していきます。
 

ローコスト体質になる

公務員の給与水準だと、節約しないと投資資金が捻出できません。
固定費を見直す、天引きして隔離口座に貯める等の節約テクニックをフル稼働させつつ、お金を使わない人間への転生を試みます。

よくよく周囲のモノを見てみると、見栄と利便性を無視すれば、あえて買わなくても済むものばかりです。
そういうものを一切買わない、それか買う前にしっかり考えるようにすれば、不要な出費を減らせるのではないかと考えています。

自己投資は慎重に

よくある公務員向けの自己啓発ブログだと、だいたい
  • 資産運用しましょう
  • 副業解禁に向けてスキルを身につけよう(プログラミングとか)
がセットで推奨されています。

前者は全面的に同意しますが、後者は疑問です。
少なくとも、通信講座やオンラインサロンのような、有料のサービスを使う必要は無いと思っています。

公務員の副業解禁は、いつになるかわかりません。
解禁された頃の労働ニーズがわからないのに、どうやって準備するのでしょう?
解禁された頃にどんなスキルが求められているか、予想できます?

加えて、実務経験を伴わない付け焼き刃程度のスキルなら、誰でも身につけられます。
保有者が多いスキルは、市場価値も低いです。買い叩かれます。
時間とお金をつぎ込んで折角身につけたのに全然稼げない……という未来が見えるのは、僕だけでしょうか?

自分への投資が無駄だとは思いません。
ただ、収入増を目的に、実用的スキル習得のために支出するのは、勿体無いと思います。
自己投資の目的が収入増なら、その資金で株を買う方が確実では?

時間にしろお金にしろ、自己投資するなら、楽しそうかどうかの評価軸で考えたほうが幸せになれると思っています。

狭く深い強みを持つ

広く浅い知識なら、誰でも簡単にアクセスできる時代です。
社会人として活躍するには、一朝一夕では身につかないプロフェッショナルな知見が求められます。

仕事抜きにしても、専門的知見は自己肯定感を高めます。
「いつか役に立つかもしれない」という期待が自分を支えてくれます。

知識というよりも知見です。
知識と経験を踏まえ、どういう意見を構築するかが重要だと思います。

というわけで、僕は令和時代も創作型オタクを続けていきます(唐突な自己肯定)

サラリーマンにとって、平成の約30年間は厳しい時代でした。
給料は上がらない、すぐに首切られ非正規化、そもそも就職できない……等々。

その中で、地方公務員という職業は相対的に美味しいポジションだったのではと思います。

これからの令和時代はどうなるのか。
私見を書いておきます。

仕事が増える

行政の仕事はどんどん増えていくでしょう。
福祉や防災など、行政の本領分野に課題が山積しているからです。

福祉分野では今更言うまでもなく、少子高齢化によって既存のシステムが危機に晒されています。なんとかしなければいけません。

防災分野では、極端な気象現象(過去最大規模の大雨とか)が増えてきており、被害も拡大傾向にあります。こちらも対策が必要です。

加えて、従来は手出ししていなかった分野でも、行政の役割が持つようになりそうです。
例えば伝統工芸。昭和中期までは放っておいても需要があり、行政の出番はありませでしたが、バブル崩壊以降はどんどん需要が細っていき、今では補助金まみれです。
こういう分野が続々と出てくるのではと思います。

地域活動(お祭りとか)も、担い手がいないという理由で行政の仕事化していくのでしょう。

既存の課題はどんどん深刻になるし、新しい課題も次々湧いてくる。
行政が待ち受ける未来はこんな感じでしょう。

行政の仕事増≠公務員の仕事増、とはいえ……

行政が担うべき仕事が増えるとしても、公務員の仕事が増えるかどうかはわかりません。
公務員に変わって、人工知能が全てこなしてくれるかもしれません。

ただ僕は、行政の仕事増が、そのまま公務員の仕事増に繋がると考えています。

役所という組織は、とにかく新技術や設備投資を嫌います。
そのため、技術革新の恩恵を得られません。
AIにしろRPAにしろ、当分導入されないでしょう。

巷で噂されているような、「AIによって仕事を奪われた公務員が路頭に迷う!」みたいな未来が来てくれることをむしろ期待するほどです。

負担は地方に降りてくる

同じ公務員でも、今後は特に地方公務員の仕事が増えていくと思います。

「地方創生」「権限委譲」「自主性の尊重」あたりのワードとともに、課題設定だけ国でやっておいて、具体的な対策は地方自治体にお任せ、という施策が最近増えています。

これまで国の出先機関がやっていた単純作業も、どんどん地方自治体に移管されています。

今から中央集権に戻るとも思えないので、この流れは当分変わらないでしょう。

行政の仕事が増える&難しくなる、負担増の多くが地方公務員に降ってくる。
これが僕の予想です。

地方公務員とはいえ、東京都庁は別です。
特に一昨年くらいから、自治体というよりも国みたいな雰囲気を感じます。
都庁施策の一部を、当然のように地方に振ってくるとか。

待遇が良くなるわけがない

仕事が大変になったとしても、待遇は変わらないでしょう。
むしろ悪化する方があり得ます。

行政の仕事が増えるということは、必要な予算も増えます。
待遇改善に回す余裕はありません。民意が許さないでしょう。

去年の福井市のように、理由をつけて賃金カットされるケースも続々出てくるのでは?
参考:福井市職員給与カットへの私見

割りに合わないけど、やりがいはある

仕事は増えて難しくなるのに、待遇はそのまま、下手すると悪化。
まったり薄給を求める人にとっては、地方公務員は割りに合わないでしょう。

ただ、仕事のやりがい自体は確実に上がると思います。
特に、真面目に学問を修めてきた高学歴層。

すでに少しずつ、国が何も決めない自治体が自主的に施策立案していく時代になりつつあります。

施策立案には、学識が不可欠です。
現状、大学教授から意見を聞いて学識要素を補完しようとしているものの、役所内に基礎知識を備えた人が少なすぎるせいで、意見を理解できずに空回りしています。
役所において、学識は専門技能です。
持っていれば、職位にかかわらず、メインプレイヤーになれます。

これまではウェイ系の方が活躍できる職場でしたが、これからはインテリの時代です。多分。

地方公務員という職場の良いところ。
体が弱くても活躍できるところだと思っています。

もちろん体力勝負の部署もありますが、体が弱くても問題ない部署も多いです。
体の都合であれば、配属や担当業務も考慮してもらえます。 

ただ、埃っぽい環境が駄目な方は、地方公務員は相当きついと思います。

紙の山から逃れられない

役所はとにかく大量に紙を使います。
棚はいつも満杯で、そこから溢れた冊子や紙束が床に積み上がっています。

そのため、役所の中は常に埃っぽいです。

加えて、最近の財政難傾向もあり、庁舎清掃にかける予算もどんどん減ってきているようです。
僕の勤める県庁でも、定期清掃の頻度が半分くらいに減りました。
来客スペースはまだ綺麗に保たれていますが、職員しかいない執務室は一層埃っぽくなりました。

改善の見込み無し

最近の公文書関連のニュースを見ていると、これまで以上に保存文書すべき公文書の幅が広がりそうで、執務室内の紙の量も増える一方だと思われます。
 
公文書の保管スペースを別途作ってくれればいいものの、庁舎内環境改善のような職員しか喜ばない予算は通らないのが役所の常。
努力でスペースを捻出しろという流れになるのは目に見えています。

つまり、地方公務員として働く限り、紙だらけ埃だらけの環境から逃れられないのです。 

鼻の粘膜が弱くて鼻血が出やすいタイプの方にとっては、かなりきつい労働環境になると思います。
僕もかつてはそうでした。小学校時代は図書室に行くたびに鼻血出してましたね。

もちろん、役所によって事情は異なります。
ただ、こういう一般的傾向があることは確実です。

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