キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2019年07月

ブログ記事を書くときは主語の大きさに気をつけています。
主語を大きくするほど、主張は一般論に近づき、強いメッセージになります。
その分、例外が発生するリスクが高まり、粗探ししやすくなります。

例外を無視してでも強烈に訴えるのか、主語を小さくして正確性を追求するのか。
僕は後者のほうが好みです。
適用範囲は狭くても正確な情報を載せておいて、それをどう扱うかは読み手に委ねます。

主語を小さくするため、僕はよく「田舎の地方公務員」という表現を使います。
同じ地方公務員という職業であっても、都会と田舎では別物と思っているからです。

都会だと「親が地方公務員」はスティグマ?

つい先日、上司からこんな話を聞きました。
上司のお子さん(都内有名私大に通ってる)が、友人から親の職業を尋ねられて「県庁職員だ」と返したら、ひどく謝られたらしい。意味が解らず理由を聞いたら、「親が地方公務員という恥部を喋らせてしまった、デリカシーに欠けていた」という意味の謝意だった……

この一例だけで結論づけるのは性急すぎますが、都会と田舎とで地方公務員の社会的地位が大きく異なるのではと、かねてから僕も思っていました。

都会の地方公務員は自己評価が低い説

社会的地位の違いは、そのまま地方公務員本人の職業への満足度に反映されると思っています。

都会の地方公務員は、自分よりも高給で尊敬されてホワイトな労働環境の人に囲まれています。
隣の芝生は青いどころか、青々とした芝の中に取り残されてるようです。

これでは自分の境遇に不満を覚えやすいでしょう。

一方の田舎地方公務員は、青い芝があまり見当たりません。
そのため、自分は恵まれているほうだと信じられます。

この差が相当大きいと思うのです。

田舎の役所は存在感がでかい

加えて、田舎のほうが相対的に役所の存在感が大きいです。
例えば美術館。都会だと民営の大きな美術館がたくさんあり、公立の美術館といえば郷土資料がメインです。
一方、田舎には私立美術館なんてありません。公立の美術館が唯一にして最大。
郷土展示はもちろん、メジャーな企画展もこなさなければならず、都会の公立美術館よりも責任重大です。

美術館に限らず、こういう分野はたくさんあります。

存在感の大小が、やりがいの大小にもつながり、ひいては職業への満足度にもつながるのでは?


インターネット上だと「地方公務員は○○」と大きな主語で断定的に扱う主張が目立ちます。
しかし実際には一概に言えません。
都会か田舎か、自治体の規模の大小など、考慮すべき要素がたくさんあります。
中でも都会か田舎かは、慎重に扱うべき重大要素だと思います。

大型書店をぶらついていると、Amazonが絶対リコメンドしてこない本に出会えます。
今回紹介する本もそういう一冊。
地方公務員稼業とは一見関係が無いようで、深く考えさせられます。


出版社のページはこちら。

山梨県韮崎市を中心に展開したスーパーマーケット「スーパーやまと」社長の一代記です。
39歳で代表取締役に就任、赤字スーパーをV字回復させるだけでなく、地域の問題解決にも奔走するも、2017年10月に破産。
この一連の流れが綴られています。

背表紙を見た瞬間に嫌な予感がしました。

「この破産、絶対行政も絡んでる……」


贖罪を打ち砕かれた

本書を紐解くと、山梨県庁、韮崎市役所、甲府市役所……続々と出てきて、利益相反キャンペーンへの協力依頼を続々と持ち込んでいます。

本書を読んだ直後、2食抜きました。
胃が痛んで食事どころではなかったので。
スーパーマーケットの本を読んで食事ができなくなるとは思いもしませんでした。

ある程度キャリアを積んだ地方公務員なら、地域の民間事業者に負担を強いた経験が少なからずあると思います。
そんな時、謝金や営業補償として金銭面で穴埋めすることで、自分を赦していませんか?
僕はそうです。役所のわがままのせいで赤字を背負わせてはいけないと思っています。

ただ、本書を読んで、たとえ金銭面でフォローしたとしても行政に対する心理的な不信感は消えないんだなと痛感させられました。


これ以上の詳しい紹介は避けます。
ネタバレしないほうが絶対に身に沁みるからです。
胃痛を抱えながら読み進めて、228ページからの【行政関係者へ】と題されたメッセージを繰り返し噛み締めましょう。

山梨県内の地方公務員の感想が気になるところでもあります。
会う機会があったら話を振ってみます。 

僕の住む田舎県は完全な車社会です。
大人ならマイカーを最低1台は保有しているのが当たり前だと、幼少期から教育されてきました。
しかしここ最近、結婚したらマイカーを手放す流れができつつあります。

車を間引いて養育費を貯める

自家用車を手放す理由は、家計のためです。
車の維持費を削減し、将来の養育費に回すのです。

全く車に乗らなくなるわけではありません。
奥さんの車を共用します。
奥さんでも安心して運転できる車を残しておく、という判断です。

僕が作った地方公務員キャッシュフロー表でも、お子さんが生まれたら赤字になる試算です。
参考:地方公務員のキャッシュフロー表を作ってみました
 
車を減らして維持費を抑制し、養育費を準備するという判断は、とても賢いと思います。

マイカーで遊べる時間は短い

自家用車を失うと、時間的にも空間的にも行動が制限されます。
休日は家から出なかったり、近場で過ごすことが増えます。

外出系の趣味しかない人は、かなりストレスを抱えるでしょう。
こうならないよう、インドアな趣味を早いうちから見つけておくことを勧めます。

加えて、乗りたい車があるなら、なるべく早く買いましょう。
迷っているうちに人生は進んでいきます。
一旦結婚してしまったら、子ども達が独立するまでお預けです。

つい先日、新婚の友人がGT-Rを手放しました
所有期間は1年半。「もっと早く買っておけばよかった」と涙ながらに語っていました。
ずっと憧れていたものの、即金で買うべくお金を貯めていたら、購入が遅れてしまったとのこと。

「買う理由が値段なら買うな、買わない理由が値段なら買え」という家電クラスタ格言があります。 
前者は「安物買いの銭失いを避けろ」という意味です。
一方後者は、まさに彼のような後悔を避けるためのメッセージなのでしょう。

これまで何度か、地方公務員に向いている/向いていない人間の特徴を取り上げてきました。
参考:地方公務員の適性とは?「有能」と「向いてる」は別問題?
参考:中学・高校の文化祭の準備に黙々と取り組んでたタイプの人間は地方公務員(特に県庁)に向いている?

ニーズがある話題だと思うのですが、書くのがものすごく難しい
どれだけわかりやすく正確に書こうとしても、それぞれの単語の解釈は読み手次第です。
僕の意図が伝わっているとは限りません。
言葉の力の限界を感じます。

そこで今回、公務員への向き不向きを説明する新たな手法として、アニメの登場人物を挙げて、公務員適正を考えてみることにしました。
現実と虚構の区別がついていないオタクなので。

公務員適性を言葉で定義するよりも伝わりやすいのではと期待しています。

オタクの戯言はどうでもいいから結論示せという方は、最後のまとめをご覧ください。

第一回はラブライブ!シリーズより黒澤ルビィちゃんです。
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ラブライブ!というコンテンツは複雑で、雑誌連載・漫画・アニメ・ゲームそれぞれで若干キャラクター設定が異なります。
本稿はアニメ版に準拠します。

黒澤ルビィちゃんとは 

浦の星女学院の1年生。花丸とは仲良しで、いつも一緒にいる。泣き虫で臆病だけれど、名家のお嬢様だけあって芯は持っている。ずっとアイドルに憧れていた。唯一の得意は裁縫。

もっと詳しいプロフィールはピクシブ百科事典をどうぞ。

弱気だけど一本気が通っていて、大事な時には譲らない。
ハイカラな名前に反し、彼女は王道クラシックなキャラクターです。
黒澤ルビィちゃん以外にも思い当たるキャラクターがたくさんいるでしょう。リアルなお知り合いでもいるのでは?

アニメ版は彼女の成長物語でもありました。
最初は「与えられる」「守られる」側だった彼女が、周りの助けを借りながら少しずつ弱気を乗り越えていって、2期ではしっかり「与える」「守る」側として役目を果たします。

アニメシリーズはいくつものテーマが輻輳する物語であり、黒澤ルビィ成長譚はサブテーマの一つという位置付けです。
解釈が難しいサブテーマもある中、ほぼ満場一致で視聴者から歓迎されました。
 

役所勤務との相性は……

弱気だけど一本気が通っていて、大事な時には譲らない。

かっこいい生き様です。
現実であれフィクションであれ、憧れられる存在です。

しかし、こういうタイプの人間は、残念ながら地方公務員には向いていません。
黒澤ルビィちゃんがもし役所に入ったら、「仕事できないのに頑固な子」という烙印を押されてしまいそうです。

能力的に適性がない

自分の意志・理想をしっかり持っているけど、それをうまく外部に発信するだけの度胸や器用さ、手際に欠ける彼女。
2期4話のアルバイトしてるシーンなんかが典型ですね。

地方公務員に求められるのは、意志や理想よりも実務能力です。
素質としては真逆です。

役所全体で見ると、彼女のようなパッションを秘めた人材も必要です。
ただし、その役割を担うのは管理職です。ヒラの担当職員ではありません。

ヒラ職員の仕事は、パッションを実現するための実務。
他者のパッションをただ受け入れるだけでよく、自ら考える必要はありません。
 

性格が合わない

さらに地方の役所では、担当職員の考えよりも政治的事情の方が優先されます。
自分の意志をしっかり持っているほど萎えてしまう世界です。

与えられた既定路線に従って淡々と実務をこなして行くのが地方公務員。
自分の意志に反した仕事もたくさんあります。
彼女のように自分の意志をしっかり持っていて譲らないタイプには、やりがいを感じないどころか、ストレスを抱えやすい環境でしょう。

そもそも彼女は大きな組織自体に向いていないのかもしれません。

彼女の良さを引き出すには、周囲の人間のサポートが不可欠です。
内気な彼女と打ち解けるには時間を要します。
作中では、中学校時代からの親友である国木田花丸ちゃんがいたから、彼女は一歩踏み出すことができました。

彼女の本質を知るには、時間をかけて密なコミュニケーションをとらなければいけません。
しかし、定期人事異動で周囲の人間がごっそり入れ替わる環境では、彼女の良さを引き出す前に人間関係がリセットされてしまいます。

役所適正=乗り越えるべきハードル、捨てるべきネガティブ要素

アニメシリーズ1期4話にて、彼女にとっての第一のターニングポイントが訪れます。
以前から興味があったスクールアイドル活動(≒部活動)を始める機会に巡り会えたのに、色々理由をつけて躊躇します。

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そんな彼女に、親友の国木田花丸ちゃんが投げかけた一言。

「ルビィちゃんはもっと自分の気持ち、大切にしなきゃ。自分に嘘ついて、無理に人に合わせても辛いだけだよ」

自分に嘘ついて、無理に人に合わせる。
これこそ、地方公務員業務に求められる素養です。
辛さを感じていたら仕事になりません。

作中でネガティブ要素扱いされたものが適性という皮肉。
地方公務員はダークサイドの存在だった……?


まとめ

黒澤ルビィちゃんみたいな人、つまり
  • ドジで手際が良くないけど
  • 芯が通っていて自分なりの信念を持っている
こういうタイプは地方公務員に向いてないと思います。
地方公務員に求められる資質はむしろ上記の真逆、信念は無くとも実務能力が高い人です。

この結論だけを示しても伝わりにくいかと思い、黒澤ルビィちゃんという実例を引用してみました。

ちなみに、Aqoursで一番地方公務員に向いてるのは津島善子ちゃんだと思います。
彼女も信念をしっかりと持っていますが、仕事は仕事と割り切れそう。

SNSの鍵垢で毎日愚痴るけど、職場ではそんな素振りを見せず的確にこなしてる姿が目に浮かびます。

最後に

本稿に着手したのが4月頃で、書き上げるまでに3ヶ月もかかってしまいましたが、なんとか劇場版ブルーレイ発売までに間に合いました。
ラブライブ! サンシャイン!!劇場版ブルーレイ、ついに7月26日発売です。
アニメシリーズ26話かけて成長した黒澤ルビィちゃんの集大成がここにあります。
 


ドラゴンボールで例えるなら、ギニュー特選隊を倒したところで終わったような作品でした。 
後ろに肝心のフリーザ様が控えているのに、謎の余韻を残してEND。こんな感じ。
続編があるものと信じています。頼むよ……


地方公務員に向いているアニメキャラも現在執筆中です。
まずは羽沢つぐみちゃんの予定なのですが、キャラクターの解釈が難しくてなかなか進みません。

京都アニメーション火災の件がショックすぎて、今日は急遽年休取りました。
ショックというか、ひどく気分が滅入っている。

オタクならだれもがショックな事件ではあるものの、僕の場合はそれだけではない。
もっと根源的な悲しみがある。
気分を紛らすために、朝からずっとこの文面を書いています。

次世代創作分野を担うはずだった

以前、僕は同社のことを、超有名原作を圧倒的ハイクオリティな作画(映像)で忠実にアニメ化する制作会社だと思っていた。

この印象を改めたのがCLANNAD AFTER STORY第3話「すれちがう心」の春原芽衣ちゃん描写。

AFTER STORY というタイトルのとおり、本作は「CLANNAD」という作品の続編という位置づけで、実質25話目である。
しかし、過去24回とは明らかに雰囲気が違う。

ゲーム業界屈指の傑作感動巨編「CLANNAD」のアニメ化であり、素直にやるだけで傑作になるのは間違い無しなところ、いきなり場違いなクッソあざとい描写が続く異色回である。



最初視聴したときは「これいる?」って疑問だったが、次の回で即納得。
全ては視聴者に「春原芽衣ちゃん超可愛い」と思ってもらうための作戦だった。
超可愛いいい!というテンションのまま次の回に突入することで、CLANNADの本領である感動が際立つ。
まんまと引っかかった僕は4話「あの日と同じ笑顔で」でしこたま泣いた。クライマックスエピソードの次に泣いた。

興味のある方は3話4話だけでも視聴してみてほしい。僕の意図は伝わるはず。

単にハイクオリティな映像を作るだけでなく、その技術を生かして表現のアレンジもできる制作会社なのだと、この2話を考えを改めた。

アレンジの匠

以降、同社は原作ものを中心にヒット作を連発していく。
マスコミの報道だと「ハイクオリティな映像が支持された」くらいの説明しかされていないが、僕が思うに、原作の良さを残しつつも映像の力をフル活用してアレンジしたのが鍵だと思っている。

例えば「けいおん!」(1期のほう)。
同作は俗にいう日常もので、物語というよりは登場人物の淡々とした日常を楽しむ作品である。
原作(4コマ漫画)で描くのは、主に登場人物の言動であり、彼女らの周囲に漂う雰囲気は描きにくい。
(その意味で4コマながら空気感が伝わってくる『あずまんが大王』はガチな天才だと思う)

同社は同作アニメ化にあたり、その雰囲気を見事に映像化した。
アレンジ力の賜物だと思う。

原作をアレンジしつつアニメ化するという手法では、今や他の追随を許さない制作会社だと思っている。(好みにもよる)
例えば「響け!ユーフォニアム」シリーズを他の制作会社で作るのは無理だろう。

総合フィクション制作企業

ここ数年、同社はオリジナルアニメに力を入れてきた。

今や同社はただのアニメーション制作会社ではない。
自社で出版レーベル(KAエスマ文庫)を擁し、原作も自社から輩出する体制を確立しつつあった。
グッズも制作している。
役所っぽい言い回しになるが、アニメを中心とした総合的なフィクション作品制作会社なのだろう。

かなり私見が混じっているが、要するに同社はアニメーション制作会社の垣根を越えた日本アニメのリーディングカンパニーであり、今後の活躍がものすごく楽しみだった。


ティム・クック氏の言う通りだよ。

加えて技術研究や人材育成にも熱心で、業界に強くポジティブな影響を与えていたといわれる。
どういう業界においても、こういう会社が躓くのは、社会全体にとって大いに損失である。

文化の破壊

前章で述べたとおり、同社は社会全体にとって重要な存在である。
そんな社会的に大事な存在が一個人の暴力によってあっけなく壊滅したという事実がキツい。
滅入る。

感情的には東日本大震災の直後に近い。
僕は関東にいて、震度5強の揺れを食らった。

その後仙台に行く機会があり、駅近くの展望台から海側を眺めたら、ある一線から更地が広がっていた。
津波の威力を肉眼で見た瞬間。あの時のやるせなさに近い。

その後県庁に入り、防災部局で勤務したことで、いろいろな天災の事例に触れることができた。
天災の破壊力は計り知れない。人智が及ぶレベルではなく、時には「どうしようもない」と言わざるを得ないケースもある。

だが、今回の火災の原因は人である。しかも一個人。
たかが一個人が、これまで同社が築き上げてきた技術と人材と、これからの輝かしい未来を、一瞬でぶち壊したという事実が実に堪える。

天災でも組織でもなく、一個人による文化の破壊である。
そんなことが犯せる世の中だとは思ってもいなかった。

今はただ、一人でも多くの方の無事を祈るしかない。



(追記)
犯人がデジカメ板の撮り鉄の掟コピペ野郎なのではという説を見かけて背筋が凍った。
僕がデジカメ板にいた頃(ちょうど2年前くらい)にEOS1DXmk2スレなんかで「バリ順・シチサン・カツカツ・日の丸」をお題目だと言って連呼していた人がいたけど、まさか……

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