キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2020年04月

4月1日付けで異動しました。想定外の1年異動です。
相変わらず本庁勤務なのですが、業務内容は帳票処理作業がメインで、他の自治体だと出先機関や出向先でやっている仕事だと思います。

複式簿記を普通に使う仕事なので、今更ながら必死に勉強しています。
過去記事で触れたレアケースに自ら該当してしまうとは……




電話回線がピンチ

コロナウイルス感染症関係の苦言電話が激増しています。
「困っている」という相談ではなく、行政の動きに苦言を呈すだけの電話です。

うちの県内の話よりも、国政や都政の話のほうが体感的には多いです。
課内の電話回線が苦情電話だけで埋まることも珍しくありません。

ちなみに僕も昨日だけで3件対応しました。いずれも「収入減少世帯への30万円給付」の話です。
この給付金、実務的には都道府県は絡まない(市町村が窓口)のですが、かかってきてしまったからには無下に切ることもできず、国のホームページに掲載されているレベルで説明しました。

「外出自粛」や「営業補償」など、具体的でわかりやすい議題がどんどん投下され始めたのが、苦言電話急増の原因かと推測しています。

役所の電話回線は貧弱です。すぐパンクします。
既に業務に支障が出ています。
県庁の場合、産業振興部局の業務が多分最も支障をきたしています。

中小企業支援施策は、市町村はあまり関与しません。
そのため県庁が行政サイドの最前線になり、実際に困っている経営者や従業員の対応をしています。
つまり、政権批判の電話で県庁産業振興部局がパンクしてしまうと、本当に困っている人への支援実務が滞るのです。

不要不急の電話はどうかご容赦を……


持て余したリソースを如何に発散してもらうか

  • 患者又はその周囲
  • 感染症対策の当事者として日々励んでいる方
  • 経済活動縮小の影響で困っている方
という、広義のコロナウイルス感染症の当事者がいる一方、余暇活動を自粛するあまり時間とエネルギーを持て余している方も相当数いると思われます。

あくまでも僕の経験と観測範囲内ですが、本来なら感染症対策に投じるべきリソースを、持て余している方々にかなり割いている(しかもその割合がどんどん増えつつある)というのが、今年度に入ってからの役所内の現状です。苦言電話対応の急増がまさにこの典型ですね。
非常に勿体無い、非効率な状態です。

災害時の復興ボランティアのような、意欲がある方が広く参加できる活動ができない(むしろ活動が逆効果になる)のが、コロナウイルス対策をさらに難しくしているのかもしれません。

少なくとも、誰かを叩いたところで事態は好転しないので、時間とエネルギーをもっと別のところに注いではどうかと思います。
こんなに潤沢に余力がある時期は滅多にありません。
特に今は、黙々と自宅で自己修養に励んでいれば、結果的に社会のためにもなるのです。

今すぐ誰でも取り掛かれるコロナ対策ならば、心身ともに疲弊している周囲の方のケアあたりが、一番有益ではないかと思います。
叩くのではなく守って癒す。

日々白熱している地方公務員の副業界隈に、新たな燃料が登場しました。
動画広告収入を得ていた町役場職員が厳重注意を受けたようです。


 




個人的な注目点は以下3つです。

「自ら収入を得ている場合は地方公務員法に抵触」という前例ができた

どうやら町役場は、職員自らが動画広告収入を得ることを副業とみなし、地方公務員法に抵触すると判断したようです。 

地方公務員の副業を推奨するブログには、「広告収入は副業に該当しないから大丈夫」という説明をしているところがあります。
その根拠としては、これまで処分されたケースが無いことが挙げられています。

しかし今回、広告収入は副業であると判断した自治体が存在することが明らかになりました。
しかもニュースになって前例として知れ渡ってしまいました。


今後、別の自治体で同様の事例が発生した場合、今回の判断が引用されるケースも出てくるでしょう。
地方公務員が堂々と広告収入を得るのは、これまで以上に難しくなるのかもしれません。

「収入を得るのが本人でなければ大丈夫」とは断言できない

本人曰く「動画編集や収入管理は母親名義に切り替えた問題ない」とのこと。
ただし町役場は、これで大丈夫とは判断していないようで、今後も調査を続けるようです。

地方公務員の副業推奨ブログでは、名義が公務員本人でなければ問題ないと説明されることも多いです。
しかし本件は、この対応でもダメかもしれないという可能性が残されてしまいました。
続報が気になるところです。

外部からの指摘で発覚した

そもそも本件が明るみに出たきっかけは、外部からの指摘です。

ニュース記事だけでは、どういう経緯で公務員バレしてしまったのかは不明です。
ただ、8年間も続けてこられていたということは、動画内で堂々と公務員を名乗っていたとは思えません。

リアル知人に密告されたか、ネット有志によって身辺調査されたか……
いずれにせよ、地方公務員の副業を快く思わない人がいる、ということなのでしょう。

『目からウロコの幸福学』という有名な本があります。
目からウロコの幸福学
ダニエル・ネトル
オープンナレッジ
2007-03-28


 
『Happiness: The Science Behind Your Smile』という本の訳書で、ものすごく評判が良い本なのですが、早々に絶版になってしまい中古価格が暴騰しています。
この記事を書いた時点(2020年3月)では20,980円でした。
 
収蔵している図書館も少ないです。
知名度の割に実際読んだ人は少ないという不思議な本でした。

そんな本が今年2月、タイトルを改めて出版されました。

ざっくりいうと、本書は「幸福」に関する心理学の知見をまとめたものです。


幸福追求という本能

大抵の人間は「幸せになりたい」と思うわけですが、これは生存競争を勝ち抜くための進化の過程で脳に刻み込まれた、いわば本能です。
幸福を追求することが、人間の生存戦略なのです。

重要なのは、本能が求めるのは「幸福であること」ではなく「幸福を追求すること」である点です。
人間はある程度の幸福を達成したとしても、さらに一段階進んだ幸福の段階へと突き進むよう、本能に急き立てられます。
つまり、いつまでも幸福追求の努力を止めさせてもらえないのです。

欲望と快感と幸福

さらに人間は、幸福そのものを追求しているわけではありません。
幸福に類似した概念である「欲望」と「快感」を追求しています。

欲望は「欲しい」という気持ちです。脳内物質ドーパミンによって支配されています。
快感は「嬉しい」という気持ちです。脳内物質オピオイドによって支配されています。

大抵の場合、欲望と快感と幸福とはリンクしています。
欲望を満たすように行動すれば快感を得られ、幸福に近づけます。
さらには生存競争を勝ち抜くにも、こうなる選択をするのが最善手です。

しかし、このリンクが途切れているケースも実際には多々あります。
現代社会では特に顕著です。
そもそも、この仕組み自体ができたのは太古の昔。野生動物と食うか食われるかの戦いを繰り広げていた時代です。現代社会とは全く状況が違います。

つまり人間は、本能の赴くままに欲望を満たしたとしても、幸福になれるどころか、一時的な快感を得られるかどうかすら怪しいのです。

地方公務員の幸せとは?

以上、本書で提示される論点を2つだけ紹介しました。
他にもたくさんの観点から幸福について切り込んでいきます。
 
中には結構シビアな結論も出てきます。
幸福かどうかは遺伝で決まるとか。

ただし本書は不安を煽るだけではありません。
具体的な対策、幸せになるための具体的な処方箋も示してくれます。

また絶版になってしまう前に、是非手にとっていただきたい一冊です。

ちなみに本書の記述によると、
  • 地方公務員は自己決定権に乏しいため、幸せになりづらい
  • その対策として、定時ダッシュしてブログを書くのが有効

という結論になります。
これだけ見ると意味わからないかもしれませんが、読めばわかります。

ネット上(特にSNS)には、新人地方公務員向けのアドバイスが溢れています。
特に個人的経験ベースの情報は生々しくて有益です。読んでいても面白い。

他の方々はあまり触れていませんが、「議会や予算編成、監査のような役所全体を巻き込む行事のスケジュール」を何より抑えてほしいと、僕は思っています。
 
担当業務によっては関係のない行事もあるでしょう。
出先勤務の場合は、そもそもどれも縁遠いです。

それでも把握しておくメリットが確実にあります。
というより、把握しておかないと役所生活に大いに支障が出ます。

常識すぎて教えてくれない

全庁的業務は、役所業務の中でも優先順位が高いものばかりです。
これらのスケジュールと各部署個別業務が被ったら、全庁的業務が優先されます。
そのため、全庁的業務の大まかなスケジュールを把握しておかないと、自分の担当業務の年間スケジュールが組めません。

年休も原則取れません。
新人にありがちなのが、ゴールデンウィーク後オフシーズンの5月下旬に年休とって旅行に行こうとしていたのに、議会準備のせいで年休が認められず旅行も断念……というパターン。
旅行が潰れてがっかりするだけでなく、上司から高確率で「そもそもこんな時期に休もうとするのがおかしい」と怒られます。

ある程度の勤務年数を経た地方公務員にとって、全庁的業務のスケジュールは常識です。知ってて当たり前の情報です。
正式に開示される前であっても、感覚的に「だいたいこのあたり」と見当つけられるくらいに染み付いています。

新人も例外ではありません。知ってて当たり前とみなされます。
あまりに当たり前になってしまっているために、本来は教えなければ知り得ない情報であることを失念しがちなのです。
 

主な全庁的行事

  • 議会
  • 委員会
  • 予算編成
  • 決算
  • 監査
  • 定例の会合(知事会、市長会、町村会、国会議員との意見交換会など)
  • 選挙
このあたりのスケジュールを押さえておけばまずは安心でしょう。
ただし一つ注意があります。
ヒラ職員にとっては、行事本番よりも準備のほうが重要です。 
そのため、本番の日程だけでなく、それに先んじて発生する作業のスケジュールも押さえなければいけません。

例えば議会だと、会期を把握するだけでは不十分です。
  • 議案の提出締切
  • 手持ち資料の提出締切
  • 首長への懸案事項説明スケジュール
  • マスコミからの事前取材対応スケジュール
このあたりの議場以外で発生する諸々のスケジュールも把握しておく必要があります。

スケジュール感を覚えるためには「周りを観察する」

入庁3年目くらいになると

「6月議会に重大案件があるから、首長に事前説明しないといけない。だいたい6月第1週に議会開会だから、5月第2週に首長説明。4月中に部局内でヒアリングして宿題もらって、連休中にこなして、連休明けに再度部局内ヒアリング。ゴールデンウィークは消えたな……」

という見通しが、4月1日の異動初日で組み立てられるようになります。
むしろ組み立てられないと怒られます

スケジュール感を身につけるには、どういう行事があるのかを事前に把握しておいた上で、周りの職員がどう動くのかを観察するのが何より重要です。
目の前の仕事で精一杯かもしれませんが、ちょっと視野を広げてみましょう。

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