「ここ数年で若手地方公務員の離職が増えている」という認識は、今やかなりの人が持っていると思います。
このブログでもたびたび触れてきました。
ただ、「若手地方公務員の離職者が増えている」というデータを見たことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか?
若手キャリア官僚の離職であれば、人事院の発表などで定量的情報が公表されているところですが、地方公務員に関してはググってもヒットしません。
根拠不明の数字だったり、就活専門家の「推定値」だったり、僕みたいな個人ブロガーが独自手法で算出している数字ばかりです。
しかし実は、総務省ホームページの中で、ひっそりと公表されています。
ブログネタを探すため総務省ホームページを見ていたところ、偶然発見しました。
若手地方公務員の離職率に言及しているのは、「ポスト・コロナ期の地方公務員のあり方に関する研究会」第2回の事務局資料です。
この資料によると、20代以下の若手地方公務員(一般行政職)の離職率は上昇傾向にあり、平成27年度は1.5%だったのが、令和元年度には2.1%まで上昇しています。
民間企業よりはだいぶ低いとはいえ、伸び幅は大きく、1.5倍近くに上昇しています。
離職率の算出方法は他にも考えられますが、地方公務員制度を司っている総務省が公表資料で用いている指標ということで、この数字が非常に重要なのは確実でしょう。
先ほどの総務省資料では、ありがたいことに離職率の算出方法が詳細に説明されており、しかも元データはすべてインターネットで閲覧できます。
というわけで、元データを使って、もっと細かく算出してみました。
まずは自治体の種類別に算出してみました。
平成30年度だけなぜか数字が合いませんが、他の年度はぴったり一致したので、算出方法は間違っていないはずです。
パーセンテージの数字が被っていて見づらい箇所があるので、詳しい数字は表のほうを見てください。
グラフを見てみると、いずれの年度でも政令指定都市の離職率は低め、町村が際立って高いです。
政令指定都市の離職率が低いのはなんとなくわかるのですが、町村は謎です。
しかも町村は離職率の伸び率も大きいです。一体何が起こっているのでしょうか……?
続いてはパーセンテージではなく絶対数(人数)を見ていきます。
まず、「20代以下」の若手地方公務員の数は、全国トータルで2万人近く増えています。
採用数が多かったためでしょう。
さらに、「20代以下」の若手地方公務員の退職者数も増えています。
こちらは1.5倍近くに増えています。
「ここ数年で若手地方公務員の離職が増えている」という印象は、離職率の増加というよりも、退職者の絶対数が増えているせいではないかと思います。
退職者が増えているのは若手に限った話ではなく、もしかしたら全世代に共通する特徴かもしれません。
というわけで、他の年代とも比較してみました。
年代が上がるほど離職率は下がっていきます。
20代以下と比較して、30代は7割前後、40代は3割ほどまで落ち込みます。
離職率の推移を見ると、30代は20代同程度に上昇傾向、40代はほぼ変わらずという状況です。
30代に関しては、40代との差が広がっているとも言えるでしょう。それでも微々たる差ですが……
ざっくりまとめると、
ひょっとしたら、町村役場特有の事情というよりは、田舎から都会への若手労働力という一般的トレンドの影響が強いのかもしれません。
町村部は役所に限らず、どんな職業であっても若手離職率が高いとか……
このブログでもたびたび触れてきました。
ただ、「若手地方公務員の離職者が増えている」というデータを見たことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか?
若手キャリア官僚の離職であれば、人事院の発表などで定量的情報が公表されているところですが、地方公務員に関してはググってもヒットしません。
根拠不明の数字だったり、就活専門家の「推定値」だったり、僕みたいな個人ブロガーが独自手法で算出している数字ばかりです。
しかし実は、総務省ホームページの中で、ひっそりと公表されています。
ブログネタを探すため総務省ホームページを見ていたところ、偶然発見しました。
だいたい2%
若手地方公務員の離職率に言及しているのは、「ポスト・コロナ期の地方公務員のあり方に関する研究会」第2回の事務局資料です。この資料によると、20代以下の若手地方公務員(一般行政職)の離職率は上昇傾向にあり、平成27年度は1.5%だったのが、令和元年度には2.1%まで上昇しています。
民間企業よりはだいぶ低いとはいえ、伸び幅は大きく、1.5倍近くに上昇しています。
離職率の算出方法は他にも考えられますが、地方公務員制度を司っている総務省が公表資料で用いている指標ということで、この数字が非常に重要なのは確実でしょう。
もっと細かく算出してみた
先ほどの総務省資料では、ありがたいことに離職率の算出方法が詳細に説明されており、しかも元データはすべてインターネットで閲覧できます。というわけで、元データを使って、もっと細かく算出してみました。
団体種類別・・・「町村」の離職率が際立って高い
まずは自治体の種類別に算出してみました。
平成30年度だけなぜか数字が合いませんが、他の年度はぴったり一致したので、算出方法は間違っていないはずです。
パーセンテージの数字が被っていて見づらい箇所があるので、詳しい数字は表のほうを見てください。
グラフを見てみると、いずれの年度でも政令指定都市の離職率は低め、町村が際立って高いです。
政令指定都市の離職率が低いのはなんとなくわかるのですが、町村は謎です。
しかも町村は離職率の伸び率も大きいです。一体何が起こっているのでしょうか……?
職員数・離職者数の推移・・・どっちも増えてる
続いてはパーセンテージではなく絶対数(人数)を見ていきます。
まず、「20代以下」の若手地方公務員の数は、全国トータルで2万人近く増えています。
採用数が多かったためでしょう。
さらに、「20代以下」の若手地方公務員の退職者数も増えています。
こちらは1.5倍近くに増えています。
「ここ数年で若手地方公務員の離職が増えている」という印象は、離職率の増加というよりも、退職者の絶対数が増えているせいではないかと思います。
年代別離職者・・・20代以下が一番高いが、30代も上昇傾向
退職者が増えているのは若手に限った話ではなく、もしかしたら全世代に共通する特徴かもしれません。
というわけで、他の年代とも比較してみました。
年代が上がるほど離職率は下がっていきます。
20代以下と比較して、30代は7割前後、40代は3割ほどまで落ち込みます。
離職率の推移を見ると、30代は20代同程度に上昇傾向、40代はほぼ変わらずという状況です。
30代に関しては、40代との差が広がっているとも言えるでしょう。それでも微々たる差ですが……
集計対象の職員の範囲は、それぞれの調査の報告書に詳しく書いてありますが、ざっくりいうとそのため、「公務員試験を経て採用された事務職」が「自発的に退職する」事例を、かなり正確に捉えていると思われます。
- 「職員数」「退職者数」ともに正規職員だけです(臨時職員は含まない)
- 「職員数」「退職者数」ともに一般行政職だけです(技能労務職や専門職を含まない、土木農林技師は含む)
- 「退職者数」には、外郭団体に出向する場合の形式的退職や、国から出向してきた人が国に戻る場合の退職は含みません
都道府県庁の離職率が低めで安心
ざっくりまとめると、- 若手地方公務員の年間離職率は2%強くらい、3年後離職率なら1-(0.98の3乗) で6%くらい
- 若手地方公務員の人数がそもそも増えている
- 退職者の実数も離職率も上昇傾向にある
この程度のことは確実に言えると思います。
実をいうと、この数字を算出する過程はけっこうハラハラしました。
「もし都道府県の離職率が市町村よりも高かったら、都道府県がブラック職場という印象を与えてしまう……」という懸念があったためです。
しかし実際にやってみると、町村の離職率が飛び抜けて高いという結果になりました。
ひとまず安心……なのですが、こんなに差が出るとは思っておらず困惑しています。
町村部だと役所以上に高待遇の職場が少ないので、ずっと居着くものかとばかり(偏見)
実をいうと、この数字を算出する過程はけっこうハラハラしました。
「もし都道府県の離職率が市町村よりも高かったら、都道府県がブラック職場という印象を与えてしまう……」という懸念があったためです。
しかし実際にやってみると、町村の離職率が飛び抜けて高いという結果になりました。
ひとまず安心……なのですが、こんなに差が出るとは思っておらず困惑しています。
町村部だと役所以上に高待遇の職場が少ないので、ずっと居着くものかとばかり(偏見)
ひょっとしたら、町村役場特有の事情というよりは、田舎から都会への若手労働力という一般的トレンドの影響が強いのかもしれません。
町村部は役所に限らず、どんな職業であっても若手離職率が高いとか……