キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2022年07月

外部団体に出向中の今なら人事課にバレないだろう……という目論見のもと、ここ1年ほど細々と転職活動をしています。
※今のところ地方公務員を辞めるつもりは一切ありません。単なる社会勉強です。

以前の記事では、転職サイトに登録した結果を紹介しました。
(基本情報技術者の資格を追加した結果を追記しています。)


転職サイトに登録してからそろそろ一年が経ちますが、ずーっと似たような企業からしか案内が来ず、物足りなくなってきました。
そこで、新たな刺激を求め、転職フェアに参加してみました。

ただの説明会ではなく「市場(いちば)」

僕が参加したのは大手人材会社が主催している転職フェアで、だだっ広い会場にたくさんの企業が個々にブース出展して、来場者は気になる企業のブースを訪れて社員から話を聞く……というスタイルです。
形態だけ見れば、新卒採用の合同説明会と同じようなものです。

しかし内容は別物です。
選考とは関係のない説明会ではなく、明らかに採用に直結しています。
我々求職者が企業を「選ぶ」だけでなく、企業側も求職者を「選ぶ」、まさに市場そのものでした。

企業のブースでは、担当者が会社の説明をしてくれるだけでなく、こちらのプロフィールをぐいぐい尋ねてきたり、ことあるごとに「あなたはどう思いますか?」みたいに質問を投げかけてきて、こちらに喋らせようと仕向けてきます。

フェアによっては面接用の専用ブース(試着室みたいなもの)が用意されており、僕の隣で一緒に説明を聞いていた人がそちらへ連れ込まれていく……なんてこともありました。
 

僕は不人気

僕が参加したフェアでは、いずれも「これまで経験した職種」や「希望する職種」のカードを首から下げるルールでした。
「営業」「経理」「人事」「エンジニア」など、いくつかのカードが用意されており、その中から選択します。

僕の場合、消去法で「事務一般」を選ぶしかありません。
カードを下げた途端、一気に自分が「商品化」されたように感じられてテンションが上がります。
ディストピア作品の導入シーンのようです。

企業側はこのカードを見て、自社のターゲットか否かを判断しているのでしょう。
採用したい職種の人には積極的に声をかけ、そうでない人はスルーするのが一般的セオリーのようでした。

会場を見て回った感じ、人気なのはやはり「営業」です。
反対に「事務一般」は人気がなく、「未経験歓迎」を掲げている企業を除き、僕は全然声をかけられませんでした。
そもそも事務職の転職者自体のニーズが少なく、採用するにしても若い人の方がいいのでしょうか……

本日は貴重なお話ありがとうございました

お話を伺った企業の中から、印象に残ったところを紹介していきます。

IT派遣系

最も話を聞きたかったのがIT派遣業界、俗にいうSESです。
今話題の「デジタル人材」市場の動向に興味があり、僕が取得した基本情報技術者の価値も知りたく思っていました。あとは株式投資対象としても興味があります。

どの企業も幸いにも「未経験OK」を堂々と掲げていたので、安心して乗り込めました。

事業内容はどの企業も似通っていて、何ヶ月か研修してからプロジェクトにアサインする……という流れなのですが、業界の捉え方や、IT人材の考え方は、企業ごとに様々でした。

例えば、アサインするプロジェクトなんかだと、
  • みっちり下流工程で経験を積んでからでないと上流工程にはアサインしません、下流工程のスキルのほうが汎用性があるのでその方が社員のためになります
  • 本人の希望に応じて新人でも上流工程にアサインします、上流工程のスキルを異業種へ横展開していくことが今後必要です
こんなふうに綺麗に分かれました。
どちらの考え方も一理あるように思われます。

基本情報技術者資格は、残念ながら全然評価されませんでした。
「基礎知識があるという担保にはなりますが、ある程度年齢を積まれている方の場合、基礎知識よりも専門性のほうが重視されるので、開発経験とかベンダー資格のほうが歓迎されますね」とのこと。

あとは興味本位で「官公庁へ派遣する事例もあるんですか?」と質問してみたところ、今のところ事例は無いもののそういう相談は結構寄せられているらしく、近いうちに実現するかも……とのことでした。

IT派遣企業からは、フェア後のアフターフォローもありました。
「個別面談しませんか?」みたいなメールが送られてきたほか、電話もかかってきました。
30代未経験という市場価値ゼロの人間でも繋ぎ止めようとするあたり、「IT人材の不足」は本当に深刻なのだと思われます。

税務コンサル

税金をたくさん徴収したい役所側からすると、税務系のコンサルは難敵です。
敵の本懐を探るべく、お話を伺いました。

行政の搾取から企業を守る……みたいな「思想」が伺えるかと期待していたところ、「ルールに則って正しく節税提案することで、企業の資金繰りを守り、ひいては不正に走ることを防げます」などなど、非常に誠実に説明していただき、疑ってかかったことを内心深く反省しました。

「スタートアップ企業に積極的に営業を仕掛けて顧問化を狙っている」ことを売りにしていたので、「スタートアップ支援って最近は地銀とか公的機関が乗り込んできて、競争激化してませんか?」と興味本位で質問してみたところ、「スキルに雲泥の差があるので絶対勝てます」と即答されました。かっこいいです。

市役所・町役場

民間企業に紛れて、夏以降に採用試験を行う自治体もいくつか出展していました。
長くなりそうなので、次回記事で改めて紹介します。

4月の情報処理技術者試験を終えてからひたすら遊び回っていました。
このブログを書くのも久しぶりです。
「今年はハッピー路線です」と宣誓しておきながらも結局暗い記事しか書けず……一旦ブログから離れて気分転換してきました。

情報処理技術者試験はひと段落か

今春の情報処理技術者試験は、結局「基本情報技術者」と「ITストラテジスト」を受験して、なんとかどちらも合格できました。
基本情報のほうは受験記録を書きましたが、ITストラテジストのほうも現在作成中です。



当初の目標だった「応用情報技術者」は、どうしましょうか……

忙しいかと思いきや暇になった

僕の出向先では、3月いっぱいでプロパー社員が大勢離職してしまい、いきなり人手不足に見舞われました。
その余波が僕にまで及んできて、4月はかなり慌しかったです。
(僕は一応「県からの派遣」という立場で出向しているので、民間派遣会社だったら明らかに偽装請負案件……)
幸いにも5月からは派遣の事務社員さんたちが来てくれて、平和になりました。

派遣社員を受け入れるにあたり、思わぬ副産物もありました。
これまでプロパー社員が属人的に回していた業務を、派遣社員向けにマニュアル化したところ、かなりの効率化が図られたのです。
このおかげで僕の業務負担もだいぶ軽くなり、残業も減りました。

「残業代で荒稼ぎ」という当初の目論見は外れてしまいましたが、暇なら暇で遊び倒すまでです。
6月まではちょくちょく年休を取得して、いろいろ出掛けていました。
夏も旅行三昧のつもりだったのですが、コロナ感染者が増えてきたので再考しています。


Googleに認められた異常独身男性

開設以降ずっと、本ブログの人気記事は「学歴」「出世」関係だったのですが、ここ数ヶ月はこの記事が一番PVを稼いでいます。
 


この記事、なぜかGoogleで「異常独身男性」と検索すると上位表示されます。
(2022年7月17日時点では2番目、1番目はTogetter)
各種まとめブログを差し置いて上位表示させていただけているおかげで、検索流入が止まりません。

「異常独身男性」の定義はいまだあやふやなのですが、ひょっとしたらこの記事が定義確立に寄与してしまうかもしれません。ちょっと緊張してきました。

その他

プラネテス感想(ネタバレ注意)

16話と24話、それぞれハチマキとタナベの逡巡シーンがやばすぎました。
伏線やフラグを綺麗に回収するに止まらず、これまで歩んできた時間(=作中で描写されてきた会話・出来事)全てを束ねてこのシーンへと繋げるという展開。感動するしかありません。

そして最終話で示される「繋がっている」という主題。
作中でハチマキが語っていたのは「横の繋がり」つまり「同時代に生きる他者との繋がり」のほうが主なのでしょうが、視聴者的には「縦の繋がり」=「同一人物の時系列的な繋がり」のほうの重要性もしっかり感じられる、絶妙な構成だと思います。

メタな見方ができるようになった今だからこそ、本作の魅力を深掘りできた気がします。
改めて視聴する機会をくれたNHKに感謝です。

ワンピース無料公開

6月27日から『ワンピース』電子書籍版が無料公開されています。
恥ずかしながら「空島編」までしか読んでいなかったので、この機に追いつくべく延々と読み耽っているのですが……やはり面白いです。
本筋が面白いのものさることながら、「ここは伏線!考察しろ!(ドン!!)」とあからさまに伏線を張っておき、それを後々ちゃんと回収する……という漫画ならではの様式美をきちんとこなすところも、本作の魅力なのだと思います。考察勢が盛り上がるのも納得です。





久々に聖地巡礼

6月には4年ぶり上京して、ラブライブ!シリーズの聖地を巡礼してきました。
今回は主にお台場と原宿近辺、そして鎌倉です。
「虹ヶ咲」1期放映後からずーっと行きたかったのですが、コロナのせいで自粛せざるを得ず、今回ようやく実現しました。ヴィーナスフォート閉館に間に合わなかったのが本当に悔やまれます……

実際に作品の舞台を歩いてみると、「このシーンとあのシーン、意外と近くで展開されてたんだな」とか「人目につかない場所だから、誰にも見つからず一人になりたいときにピッタリだな」みたいに、制作サイドの描写意図に「気づく」ことができます。
聖地巡礼の魅力は人それぞれですが、僕はこの点が一番楽しいです。
特に「虹ヶ咲」は現地訪問して「解きほぐす」ことを前提に制作されている趣があり、ここが魅力でもあるのですが……ゆえに2期終盤は足早すぎて物足りなく感じてしまいました。

ただ、コロナが流行り始めてからずっと旅をしてこなかったせいか、体力が著しく落ちています。
もともと3泊4日の行程だったのですが、途中で力尽きて半日ほどダウンしてしまい、全部回りきれませんでした。
今度は「スーパースター」2期終了後くらいのタイミングでリベンジしたいです。


先日の記事で、本格的に地方公務員を目指すと決断する前に
  • 地方公務員という職業は、民間勤務とどう異なるのか(=地方公務員の特異性)
  • 地方公務員の特異性に対し、魅力を感じるか
を念入りに考えたほうがいい……という趣旨のことを書きました。




地方公務員の特異性のうち、僕が特に重要だと思うのが「他律性」です。
「他律性」を受容できるかどうかが地方公務員適正を測る指標になりますし、これに魅力を感じられるかどうかで、地方公務員人生の満足度は大きく左右されると思います。

他律性=従たる立場に立たされること

ここでいう他律性とは、役所が「何を」「どのようにするか」を決めるのは住民であり、役所(地方公務員)に自己決定権は無い……という性質です。
僕の造語ではなく、役所界隈では一般的に使われています。

民主主義という統治体制をとっている以上、役所が他律的になるのは必然です。
かつ、昨今は社会全体が「ユーザー優位」に傾きつつあり、役所の他律性もどんどん強まっているように思われます。

社会全体における役所の立場が他律的であるために、地方公務員個々人の業務も他律的にならざるを得ません。
決められたルールを淡々と運用する業務が多かったり、担当職員の裁量が著しく制約されるのは、まさに他律性の現れだと思います。

他律性は、顧客との関係性にも大きく影響します。
民間企業であれば、提供側と顧客は、原則的には対等のはずです。
(もちろん実際には優劣関係が生じますが、法的には対等です。)

一方役所の場合、原理原則からして対等ではありません。
提供側=役所のほうが圧倒的に劣位に立たされ、顧客=住民のほうが強いです。

住民の意見は、たとえどんな突飛な理想論であれ、合理性に欠ける「お気持ち」であれ、尊重しなければいけません。
そもそも役所(地方公務員)には、住民から寄せられた意見が「突飛だ」とか「合理性に欠ける」と評価する権限がありません。
判断基準すら住民に委ねられています。

他律性はデメリットだらけ

このような他律性に縛られた職業人生は、ストレスまみれです。
地方公務員に嫌気が差して離職した方の発言を読んでいると、離職理由の多くが他律性に由来しています。

ひとつひとつ列記していくとキリが無いのですが、
  • 荒唐無稽な意見に対して真剣に向き合わなければいけない徒労感
  • 意見調整ばかりでなかなか前進しないもどかしさ
  • 自分の裁量があっさり踏み躙られて尊厳破壊
こういうストレスは、地方公務員なら誰もが日常的に味わっているはずです。


加えて、「他律的に働く」という経験しか積めないために、将来の職業選択の幅が狭まると思っています。

他律性に縛られたまま仕事をしているばかりでは、「職業的な自立性」が身につきません。
民間企業であれば当然の「自分で考えて行動する」経験、現状分析→目標設定→手段検討→実行→反省、という一連の流れを自分で考えて実践する経験がなかなか積めないせいです。

結果的に、民間企業で必要とされる基礎的能力を育めないまま、年齢を重ねてしまいます。
転職市場における「地方公務員は使えない」という評価は、専門的知識やトーク力のような個別具体的なスキルの欠如ではなく、もっと基本的な「自分で考えて仕事する」ことができないせいなのでは、とも思っています。

デメリットの中に光明を見られるか?

他律性な働き方は、たいていの人にとって苦痛だと思います。
ただ、地方公務員として働くことに意義を感じている方々は、苦痛を感じつつも、魅力を見出しているはずです。

他律的に与えられた仕事、つまり住民が「やらねば」と決めた仕事は、間違いなく誰かが必要としている仕事です。
決められたとおりに粛々とこなすだけで、確実に社会貢献できます。
(自分が決めたわけでないので、責任感をあまり背負わずに済むという利点もあるでしょう)

最近はひたすら自己決定が重んじられていて、他律的に思考・行動する人は容赦無く無能扱いされます。
しかし、他律的に働く人がいなければ、世の中は回りません。誰かがやらなければいけない。
「具体的にやりたい仕事は無いけど、なんとなく地方公務員に関心がある」という方は、こういう役割に魅力を感じているのかもしれません。

僕自身、他律的に働くことに一定の意義を感じているので、今も地方公務員を続けられています。
もちろんストレスも溜まりますが、僕がストレスに耐えた分だけ誰かの幸福に繋がるんだと整理して処理することにしています。
あとは趣味で思い切り自律性を発揮してストレスを発散できているのも大きいです。


他律的という特質は、地方公務員の宿命です。
どんな部署に配属されようとも付き纏います。
これに魅力を感じるのであればどこでも楽しいでしょうし、逆に厭わしく感じられるのであれば、たとえ「やりたい仕事」を担当できたとしても苦痛でしょう。


「『やりたい仕事』を明確化・具体化すべき」というアドバイスは、就職活動(特に新卒)の鉄板です。

地方公務員の場合も同様で、
  • ただ「地方公務員になりたい」だけでは不十分
  • 採用後にどんな分野でどのような仕事をしたいのか、具体的に考えるべき
  • 具体的に考えるための情報収集が欠かせない

というアドバイスが、一般的になされています。

「具体的にどんな仕事がしたいか」という質問は面接でも定番で、誰もが考えなければいけないポイントです。
ただ僕は、このポイントはあくまでも面接対策として必要なだけで、「地方公務員を目指すか、それとも民間就職するか」を決断する段階では、無意味だと思います。

民間就職ではなく地方公務員になる理由は、「具体的に〜〜したい」ではなく、「地方公務員になりたい」であるほうが、健全だと思うのです。

むしろ、採用前に「やりたい仕事」を具体化・明確化してしまうほど、採用後のミスマッチがひどくなり早期離職を引き起こすのでは……とすら思っています。

まず考えるべきは地方公務員という職業そのものの特異性であり、これに魅力を感じるか否かを徹底的に吟味したほうがいいと思います。

「やりたいこと」が実現できるわけない

日本は民主主義国家であり、行政は民主主義的決定事項を執行(実行)する立場にあります。
「何をするか」「どのようにするか」を決めるのは主権者たる国民であり、行政ではありません。

この原理原則はもちろん地方自治体にも適用されます。
役所(=地方公務員)の仕事のラインナップは住民が決めるわけで、地方公務員が決めるわけではありません。
役所の仕事の多くは法令に基づいていますが、法令はまさに民主主義的決定の結果であり、法令に基づく仕事は「住民が決めた仕事」の代表例です。

法令に基づかない仕事(例えば観光振興とか広報あたり)は、一見すると役所の裁量で動かしているように思われるかもしれません。
しかし実際は、議会や業界団体や地域住民の意見に従って進められており、役所の意向で動かせるわけではありませんし、担当職員の考えを挟む余地はほぼありません。

つまるところ、役所は職員個々人の「やりたい仕事」を実現できる環境ではありません。

「やりたい仕事」が実在しても担当できるとは限らない

もちろん、役所の仕事ラインナップの中に、自分の「やりたい仕事」が含まれている場合もあり得ます。
しかし今度は、「ジェネラリスト志向」とかいう人事異動の仕組みが立ち塞がります。
異動希望はほぼ通りませんし、通ったとしても数年でまた異動させられます。
「やりたい仕事」を担当できるかどうか未知数であるうえ、担当できるとしてもせいぜい数年なのです。
僕は今年でちょうど入庁10年目になりますが、同期入庁職員の中でこれまで「やりたい仕事」に配属されたことがあるのは、だいたい3割くらいです。

人事異動の無理ゲーっぷりを定量的に知りたければ、こちらの記事をどうぞ。

 

地方公務員の仕事は刻一刻と変わっていく

そもそも、役所が手がける仕事のラインナップ自体、どんどん変わっていくものです。
わずか数年後ですら、現時点では想像もしないような仕事を一般事務職員が担っているかもしれません。

新型コロナウイルス感染症の流行前後の激変っぷりが、まさに好例です。
コロナ前の自治体はインバウンドブームでした。
「訪日外国人観光客をいかに呼び込むか」が重要課題であり、ハード・ソフトともに新規事業がバンバン展開されていました。
「これからの地方公務員は英語で日常会話できるのが当然」なんて主張もなされていました。

もし当時にタイムスリップして、「2020年に新型感染症が世界中で流行して、一般事務職員が夜な夜な居酒屋を回って会食マナーを指導したり、ホテルに駐在して患者に弁当を配るよ」なんて言おうものなら、確実に頭がおかしいと思われるでしょう。

しかしこれが現実……

「地方公務員の特異性」に魅力を感じますか?

地方公務員の面接における「やりたい仕事は何ですか?」という質問、僕は本当にナンセンスだと思います。


採用された途端に、まるで「千と千尋の神隠し」冒頭のごとく
「贅沢な名だね、今からお前の名前は『主事』だ。いいかい主事だよ。わかったら返事をするんだ『主事』!」
と言わんばかりに没個性化を強いるのに、面接段階では個性を主張させようとする。何なんですかね。


多分、この質問が「ちゃんと下調べしているか」を測るのに好都合だからなのでしょうが、受験生的には「具体的に考えるのが大事なんだ!」「熱意が重要なんだ!」と勘違いしてしまいかねません。
そもそも採用側が虚飾だらけの情報しか公表していないのに、「やりたい仕事」を明確化・具体化しろと受験生に強いるほうがおかしい気すらしてきます。

「やりたい仕事」を具体的に考えるのは、面接対策の直前期だけで十分です。 
「やりたい仕事」は、面接を通過するための方便・手段に過ぎず、真剣に考えたところで何の役にも立ちません。
特に「地方公務員になるか、国家公務員になるか、民間就職するか」という根本的進路選択には、まず役立ちません。むしろ害悪です。
 
代わりにじっくり考え抜くべきなのは、
  • 地方公務員という職業は、国家公務員・民間勤務とどう異なるのか(=地方公務員の特異性)
  • 地方公務員の特異性に対し、魅力を感じるか

この2点だと思います。
地方公務員の特異性は、すでに多くの人が論じており、書籍でもインターネット上でもいろいろな説が提唱されています。
先にも触れたとおり、役所が「何を」「どのようにするか」を決めるのは住民であり役所に自己決定権は無いという性質……俗にいう「他律性」も、地方公務員の特異性の一つです。
「原則クビにならない」「病気休暇を取得しやすい」等の勤務条件も特異性の一つでしょう。

このような地方公務員の特異性を見つけるためには、地方公務員のみならず国家公務員や民間企業のことも詳しく調べて、比較することが欠かせません。


他職種と地方公務員を冷静に比較していくと、地方公務員のメリットが実はあんまりないことにきっと気がつくと思います。
それでも「地方公務員になりたい」と思えるのであれば、それこそ真のモチベーションです。
薄っぺらな「やりたい仕事」とは段違いに深みのある、本音の「志望動機」です。 

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