キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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2023年01月

弊ブログを以前から読んでいる方は薄々勘づいているかもしれませんが、僕の勤務先自治体には「昇進試験」なるものがありません。
そこそこの年齢になると、ほぼ全員が横並びで昇進していきます。

よく出世ネタを取り上げているわりに、昇進試験に関して一切言及していないのは、昇進試験がどんなものなのか全然わからないからです。
「昇進試験対策本」みたいな書籍も、実物は見たことがありません。
昇進試験制度を有している自治体が県内には(多分)存在しないので、需要が無いのでしょう。

実態を全然知らない身からすれば、昇進試験は良いものに映ります。
「試験の出来不出来と実務能力は関係無いから、やるだけ無駄」という意見があるのも承知していますが、昇進試験という制度が存在するだけで相当メリットがあるように思われるのです。

「昇進しない」という選択肢が生まれる

昇進試験最大のメリットは、昇進試験を受けないことで「昇進しない」という選択肢をとれる点だと思っています。

昇進したくないと思っている若手職員は少なくありません。
僕の周囲だと、20代のうちは単に「苦労したくない」「割に合わない」という甘ったれた理由が多かったのですが、30代も半ばに差し掛かってくると、自分の心身に変調をきたしたり、親御さんの介護などの家庭事情のために、労働強度を落としたくなる職員がちらほら出てきます。

昇進試験が無い場合、職員本人の意向とは関係なく、年齢や年次が一定程度に達すると自動で昇進します。
昇進しないためには、再起不能なほどに心身を壊して頻繁に休職するしかありません。
つまり、普通の健康な人生を送るのであれば、昇進は避けられないのです。

もちろん、昇進しても楽なポスト(係長級だけど業務内容はヒラ職員並み)は存在していて、運良くそこに配属されれば労働強度を落とせますが、そういうポストはごくわずかです。
さらに、これから定年延長が始まると、61歳以降の役職定年してきた職員がそういうポストにどんどん着任していくだろうと思われます。


やや皮肉ですが、昇進試験があれば「昇進しない人生」を選択できるようになります。
昇進試験が無い自治体では、そもそもこの選択肢が存在しません。
この違いはかなり大きいです。


成長の機会になる

試験には試験勉強がつきものです。
昇進試験の場合も、相当の時間とエネルギーを試験対策に注ぎ込むことになるでしょう。

過去の記事でも何度か触れていますが、地方公務員は試験勉強というインプットが比較的得意な人種です。(得意でなければ、公務員試験を突破できていないはずです)



現状、採用後の研修は配属先でのOJTが中心で、「見て学べ」「慣れて覚えろ」というスタイルです。
配属先固有の知識や技能のみならず、コミュニケーションやマネジメントのような一般的スキルも、全てOJTです。
本来ならテキストを使って「読み書き中心」でインプットする機会を設けたほうが効果的に研修できる気もするのですが、現状そのような運用をする余裕が無く、せっかくの人材的な強みを活かせていないと思われます。

昇進試験は、仕事に必要な実務的知識を、試験勉強という地方公務員の得意分野で習得させるという、効率的な職員育成手段なのではないかと思われます。

職員個人レベルで見ても、昇進試験対策でみっちり勉強することで、自身の成長を実感できるのではないかと思われます。
昇進試験を受けて主任になった職員と、僕みたいに何もせず自動的に主任になった職員では、相当の能力差がついていることでしょう。

「昇進させない」合理的理由になる

アラサーになる頃には、「こいつを昇進させたら危険なのでは……?」という職員がちらほら出てきます。
典型的なのがパワハラ上司予備軍です。20代のうちから後輩を潰しだす職員はざらにいます。

昇進試験が無い自治体だと、こういう危険分子も自動で昇進していきます。
もし昇進させないとしたら、相当の理由が必要です。
一人二人潰しただけでは、単に相性が悪かったとか、潰れた側に非があるという可能性も否定できず、昇進させない理由としては弱いでしょう。

一方、昇進試験があれば、こういう危険分子を「試験不合格」を理由にして昇進させないことが可能だと思われます。
一旦昇進を保留して、本当に昇進させても問題ないのかをもう1年かけてチェックするという時間稼ぎができるのです。
組織運営上、これは相当なメリットなのではないかと思っています。

人間関係がギスギスしそうな気も若干する

最初に触れたとおり、昇進試験制度が存在する場合、あえて昇進しないことが可能になります。
昇進試験を受けるかどうかで、仕事に対する自分のスタンスが可視化されるわけです。

しかも、昇進試験を受ける/受けないという単純明快な二分法です。
つまるところ、昇進試験を受ける職員と受けない職員の間で断絶が生じて、職場の人間関係がギスギスするのではないかと思われるのです。

国家公務員のように総合職と一般職で最初から住み分けされているわけではなく、最初は対等の立場だったのに昇進試験時期を境に分断されると、余計に人間関係で揉めそうです。

昇進試験のメリットを3つ、デメリットを1つ挙げてみましたが、いずれも完全に推測です。
「他にもメリットありますよ」「実際そんなにうまくいきませんよ」みたいな実体験コメント、お待ちしています。

新年一発目の記事は、今回も「今年の展望」でお送りします。

今年は「新型コロナ関係の集団訴訟」と「採用抑制」が大いに話題になると思います。
去年も同じことを書いていますが、今年こそガチです。


今年こそ新型コロナ集団訴訟が始まる?

去年は結局、訴訟関係の目立った動きはありませんでした。
感染症自体はまだまだ落ち着かないものの、重症患者は減りましたし、社会全体が良い意味で「慣れてきている」気がしています。

とはいえ、住民訴訟に関してはまだまだ安心できないと思います。
去年の記事でも書きましたが、発災から提訴まで年単位で間が空くのが住民訴訟の特徴です。
行政に対する住民の悪感情は、なかなか消えないものです。

昨年提訴されなかったのは、全国旅行支援や各種給付金のようなバラマキ施策のおかげだと思います。
住民訴訟を起こすのは、バリバリ働いている現役世代ではなく、時間に余裕のある方々です。
昨年展開されたバラマキ施策は、時間に余裕のある人ほど恩恵を受けられるものばかりで、(意図的では無いでしょうが)潜在的原告を宥める効果もあったと思っています。
個人事業主や中小企業に対する補助金も、同様に訴訟抑止効果があったでしょう。

今年もしバラマキ施策や補助金類が衰えたら、「金の切れ目が縁の切れ目」と言わんばかりに、今度こそ訴訟ラッシュが始まると思います。
これは完全に推測ですが、行政訴訟を生業としているプロの方々のほうでは、既に訴訟の材料や論点は準備できているはずです。
一旦始まってしまえば、かなり急展開で進んでいくと思います。


2023年の地方公務員採用数はほぼ確実に減る(減少幅は未知数)

今年からついに地方公務員の定年延長が始まります。
令和5年度はまず61歳まで定年が伸びることになり、年度末には定年退職者が発生しません。例年よりも退職者が減少するわけです。
従って、2023年度の採用者(2024年4月1日から勤務開始する人)も減らさないと、総職員数が激増してしまいます。

総務省の資料では、「定年退職者が2年に一度しか生じないことを踏まえ、2年ごとの平準化を基本としつつ、各職種の状況を踏まえ、平準化を行う年数については柔軟な検討が必要」という一文があり、定年退職者が発生する年度としない年度の採用者数の平均人数を算出して、2年ともこの平均人数を採用する…という方法を基本としているようです。(総務省資料を読解してみた過去記事はこちら。



つまるところ、2023年度は退職者数<採用者数となり総職員数が増えることを許容しています。
(逆に2024年度は退職者数>採用者数となり総職員数は減少)
そのため、2022年度と比べて採用者数が激減するようなことは無さそうです。

とはいえ、採用計画を決めるのは各自治体ですし、実際どうなるかはまだまだ分かりません。
とんでもない運用をする自治体が出てきたり、採用者数の減少以上に志望者が減って倍率が激減したり……何かと話題になりそうだと思っています。要注目です。


僕個人のレベルでは、次の異動先が最懸念事項です。
今の民間出向は今年3月いっぱいで終了するはずで、4月からは役所勤務に戻ります。
業務内容は最早何でもいいので、とにかく人間関係の良いところに潜り込みたいです…… 

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