キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2023年12月

年末ということで家計簿を整理していたところ、今年は4年ぶりに交際費が1万円を超えていました。
旧知の友人知人たちから、「コロナも落ち着いてきたし久々に飲みに行こうぜ」というお誘いをたくさんいただいたからです。
(婚活的な意味でもそこそこ費やしましたが成果ゼロです)

中にはコロナぶりどころか10年ぶりに会う人なんかもいたのですが、田舎ゆえにドラマチックな人生を歩んでいる人はほとんどおらず、だいたい新卒で就いた仕事を続けていて、変化といえば家庭面(子どもが産まれた、家を建てた)という人が多いです。

そのため、近況報告はあっさり終わって(報告するような中身が無い)、昔話でばかり盛り上がりました。あと他に盛り上がったのは薄毛対策健康診断(特に肝臓)ですね。
文字通り「昔に戻ったかのように」歓談できて非常に楽しい時間を過ごせました。

とはいえ、やはり当時から相当な時間が経過していることは事実で、価値観の変容を感じることもありました。
その中の最たるものが、とある一人がポロッとこぼした言葉。
「俺の人生はもう終わったからなー」という一言です。

主役からの降板

発言者は、同い年の二児のパパ。県内地場の大手企業勤務です。

彼いわく、
  • 自分のやりたいことは、仕事も趣味もひととおりやりきった。
  • もう「自分のやりたいこと」を追求するつもりはない。すでに十分満足しているし、そもそも「やりたいこと」がもう無い。
  • 今大事なのは子ども。だからこれからの人生は「自分のため」ではなく「子どものため」に過ごしていきたい。
という意味で、「自分の人生はもう終わった」という一言が出てきたとのこと。
ネガティブなニュアンスは一切無く、一種の達成感と、次なる人生のステージへの意欲が込められていました。

独身の僕にはちょっと理解できない感覚だったのですが、ほかの子持ち既婚者たちも深く頷いていました。
きっと共感するところがあるのでしょう。

「自分のため」の人生から「子どものため」の人生へ。
このシフトが、いわゆる「大人になること」であり「親になること」、つまり社会的・世間的に見て望ましい30代の在り方なのかもしれません。

同時に、30代半ばにもなっていまだに「趣味の充実」だの「仕事のやりがい」だのといった「自分ごと」に囚われているのは、ひょっとしたら幼稚なのかもしれません。

まさに目から鱗が落ちた瞬間でした。

降板せざるを得ないから降板した?

ただ後々冷静になって考えてみると、30代におけるこのような人生観のシフトが世間一般的なのか?というと、そうでもない気がしてきます。
少なくともインターネット上では、30代既婚子持ちであっても「自分のやりたいこと」を追求すべきという意見が圧倒的多数ですし、このような趣旨の書籍もたくさんあって売れています。

よくよく考えてみた結果、田舎という環境的制約(ヒト・モノ・サービスの制約)が、30代以降の「自分の追求」を妨げているせいなのでは?と思い至りました。

高齢者ばかりで刺激のない人間関係、リアルな店舗が続々潰れてモノが手に入らなくなる(特に目新しいものは全然入ってこない)、人手不足を理由にあらゆる分野でサービスが縮小されていく(都会のように新技術が導入されるわけでは無く純減されるだけ)……という万事縮小傾向の田舎では、20代のうちに一通り興味のあることを試し切れてしまいます。

そのため、30代になる頃には、実現可能な範囲では本当に「やりきって」しまえるのです。

「自分のための人生はもう終わった」と発言した彼も、もし都会に就職していて、いろいろな可能性を試せる環境下にいたら、「やりきった」とは思わなかったかもしれません。


「子どものための人生を送りたい」という思いも、広い意味では「自分のやりたいこと」であり、素晴らしい自己実現の在り方だと思います。
ただひょっとしたら、田舎という制約ゆえに「自分のやりたいこと」を追求できない、あるいは選択肢や可能性が見えないがゆえに、消去法的に「子どものため」の人生を選んでいるとしたら、やるせないな……と思った次第です。

僕はまだまだ幼稚な人間なので、これからも「自分のため」の人生を送っていきます。
このブログもまさに自分がやりたくて書いているもの、来年も細々と続けていきます。

20代の若者にとって、地方公務員という仕事は旨味がありません。

民間と比べて給料は安いですし、ビジネスマンとしての汎用的なスキルが身につくわけでもなく、キャリアの幅が狭まります。
しかしそれでも一定数(最近は随分減ってきましたが)の若者が地方公務員を志しているのは、こういったデメリットがあるにもかかわらず、何らかのメリットを見出しているからなのでしょう。

地方公務員に就職するメリットとして典型的なのは、「趣味の充実」でしょうか。
土日祝日に安定して休みが取れて、平日もまあまあ早く帰宅できてるので、趣味に割く時間もエネルギーもしっかり確保できるはず……このように期待している人は少なくないと思います。

この目論見は概ね正しいです。
よほど忙しい部署に配属されない限り、趣味を楽しむ時間はそこそこ確保できます。
とはいえ30代になると、なかなか趣味をエンジョイしにくくなってきます。
(男性のケースを中心に紹介していきます、女性職員の事情はよくわかりません)


30代になっても趣味を充実させられているのはかなり少数派

30歳過ぎで実際に趣味をしっかり楽しめている男性職員は、全体のおおよそ2割程度でしょう。
だいぶ少数派です。
 
趣味を充実できていない理由は、既婚者と独身者で大きく異なります。

時間もお金もエネルギーも足りない既婚者

既婚かつお子さんがいる男性職員は、とにかく育児に時間もエネルギーもお金も吸い取られています。
趣味に割く余力なんて一切残りません。
「家にいると疲れる、仕事のほうがラク」というぼやきを何回聞いたことか……

仕事が忙しかろうと暇であろうと関係ありません。
たとえ毎日定時で帰れて、年次有給休暇をフル取得できたとしても、エネルギーとお金が無くなって趣味を継続できないようです。

ただ、趣味から遠ざかってしまったからといって、彼らは不幸には見えません。
「辛い辛い」と言いつつも、充実しているように見えます。
 
多分、人生における優先順位が変わったのでしょう。
興味関心が趣味から育児へとシフトしているために、たとえ趣味に一切触れられなくても、人生としては充実しているのです。

一方、お子さんのいないDINKS家庭であれば、反対に生活に余裕ができて、趣味を継続しやすいようです。

エネルギー(モチベーション)が枯れていく独身者

一方の独身者では、お金や時間はあるものの、エネルギーはどんどん失われていきます。
エネルギーというより「モチベーション」というほうが正確でしょうか。

独身者の場合、他の人が婚活に励んでいる20代の時間を、まさに趣味につぎ込んできた人が多いです。
それだけ趣味に没頭してくると、それなりに飽きが生じてきます。

加えて、自分の限界も見えてきます。

スポーツであれば体力の限界。
コレクションであれば資金力の限界。
ゲームであれば技量の限界。

ある程度没頭してきたからこそ、自分の限界が見えてくるのです。

さらに、趣味仲間もどんどん減っていきます。
結婚等で時間が無くなる、怪我や病気で続けられなくなる、単に興味が無くなる……などなど、色々な理由で趣味仲間がいなくなっていき、趣味を介した人間関係が衰退していきます。

こういった事情が重なって、趣味へのモチベーションがどんどん削がれていくのです。


新しい趣味が見つかればいいが

僕自身、これまでそこそこ充実した趣味人生を送れてきましたが、今年に入ってから急激にモチベーションが低下してきています。

オタク趣味のほうは、仲間が激減したことが大きいです。
これまで主にTwitter経由で繋がっていた仲間が、Xに移行する際のドタバタでSNSから離れてしまい、気軽に感想を言い合える相手がほとんどいなくなってしまいました。

このブログも趣味のひとつですが、今まさに限界をひしひし感じています。
残業が多すぎて週0.5日くらいしか休めていない生活が続いており、記事を書く時間が全然ありません。
この記事が最後のストックです。次回はいつ更新できることか……

「趣味の充実」という目論見で地方公務員になるのは、間違いではないと思います。
ただし、年齢を重ねるにつれてライフステージが変わり「趣味」がどうでもよくなるかもしれませんし、趣味へのモチベーションを保てていたとしても、異動ひとつで趣味どころではなくなるかもしれません。

「給料安いし僻地勤務リスクがあるけど、趣味の時間を確保したいから地方公務員になる」 みたいな感覚、つまり諸々のデメリットは理解しているものの「趣味時間の確保」というメリットが上回るから地方公務員になりたい!という方は、よくよく考え直したほうがいいと思います。 

このページのトップヘ