キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2025年03月

<前回までのあらすじ>
 
婚活のセオリーに従い、仮交際中の3人それぞれとクリスマス&初詣をこなしたキモオタク。
食事代やプレゼント費用で7万円が飛び、胃も懐も大ダメージを負うものの、大きな失敗は犯さずに乗り切ります。
そんな中、外見的には一番好みのヒフミさんとの交際が終了。
「共通点がなさすぎる」というハードルは高く、彼女の魅力に引き寄せられ自分を変えようと努力したが、関係を続けるには至らず。
傷心の暇もなく、残る2人との交際を本格化――と意気込むも、まさかの風邪でダウン。
幸いにも2月早々に復活し、合法的二股関係に挑むのでした。
 

ヒフミさん感想戦

今から思い返してみると、ヒフミさんがどうして結婚相談所を利用していたのか心底不思議です。
容姿も人当たりも良くて、結婚相談所を利用せずとも普通に恋人を作れそうなタイプですし、実際何度かお会いしても「男性との交際に慣れている」と感じました。

初対面の頃から緊張している様子は全く見せませんでしたし、会話の流れもスムーズでこちらの話を引き出すのが上手く、心地よい時間を過ごせました。
さらに、適度にボディタッチをくれるんですよね。親しげに肩を叩かれたり、笑いながら軽く腕に触れられたりすることもありました。
職場の同僚との距離感とは明らかに異なり、恋人同士のような自然な親密さを感じさせる振る舞いでした。

(根拠は全くありませんが、そこそこ長く交際してきた相手がいたものの何らかの理由で最近別れたのかな……と推測しています)
 
異性との交際経験が年齢に伴っていない僕にとって、ボディタッチをしてくる異性というのはヒフミさんが初でした。

ボディタッチされるのって本当に心地よいですね。
身体的な接触としてはごく軽いものであっても、自ら手を伸ばして触りに行くという行為は、それなりに好感を抱いている相手にしかできないわけで、向こうからボディタッチしてくるということは、相手が僕を受け入れてくれているという外ならぬ証拠になります。
つまるところ、ボディタッチは身体的接触であると同時に、プライベートかつディープな精神的接触であり、言葉を重ねるよりも軽くつつく程度の軽微な触れ合いのほうが心に響いてくるんですよね。

……などという一般人なら中学生くらいで学ぶ常識を今更ながら理解しました。
 

似た者2択

一方、残るお二人は、まさに「結婚相談所ユーザー」というタイプです。
僕も全く人のことを言えないのですが……異性と親密な関係に至った経験が乏しいゆえに、どう振る舞うのがいいのか迷っているのが伝わってきます。

たとえば待ち合わせ時、僕を見つけると手を振ってくれるのですが、表情は硬く動きもぎこちなく、緊張がありありと滲み出ています。
一緒に初詣に行った際も、隣を歩こうとせず半歩後ろに下がろうとしたり、逆に僕よりも先にずんずん進んでいってしまったり……

そんなやり取りの端々に、僕は不思議と居心地の良さを覚えていました。自分との共通点を見出していたのだと思います。
 
 

ありのままの自分でいられるウイさん(仮称)

特に似たもの同士なのがウイさん(仮称)。
※「ブルーアーカイブ」古関ウイより名前を拝借(猫背気味、意外と背が高い、たまにテンパる)




県内町役場の正規事務職員で、年齢は僕と同い年。
県内3番手の進学校を卒業後、関西の中堅国公立大学に進学の後、Uターンして町役場に就職したとのこと。
しかもウイさん、もともと地方公務員を志望していたわけではなく、新卒時に民間就活をしたもののどこにも受からず、就職留年して地方公務員になったという経歴です。
「不本意ながら地方公務員になったけど、転職するほどのエネルギーも無く淡々と続けている」という仕事へのスタンスでも、僕と似ています。
 
そうした共通点があるからか、ウイさんと一緒にいると妙に気楽でした。
婚活の場でありながら、彼女との面会は「結婚相手を探す」というよりも、気の合う同僚と仕事帰りに飲みに行くような感覚に近かったのです。

特に仕事の話題には事欠かず、役場の業務のこと、町の課題や職場の人間関係、制度の改正についてなど、共通する話題はいくらでもありました。
 
しかし、その盤石すぎる仕事の話題が、逆に問題でもありました。
何度会っても会話の大半が仕事に終始し、ウイさんのプライベートな一面がなかなか見えてきません。

休日の過ごし方や趣味、家族との関係など、もう少し個人的な話ができたらと思っても、なかなかそこへ踏み込むきっかけがありませんし、ウイさんからも仕事の話題しか振ってきません。
つまるところ、ものすごく奥手な人なのです。
 
とはいえ、少しずつ距離が縮まっている実感はありました。
お互いに明確に好意を伝え合うわけではないにしても、会うたびに相手に対する親しみが増していくのは確かでした。

初対面の頃は、お互い探り探りの会話だったのが、次第に冗談も交えたやり取りができるようになり、会話のテンポも心地よくなっていきました。
言葉を選びながら丁寧に話す姿勢には、人柄の良さがにじみ出ていて、決して押しつけがましくない距離感が心地よかったのです。
話すときにはじっくりと相手の言葉を受け止め、軽々しく相槌を打つのではなく、しっかりと考えた上で返答する姿勢に、真面目さと誠実さを感じました。
 
僕は、ウイさんとのやり取りを通じて、婚活における「安心感」というものの大切さに気づきました。
情熱的に惹かれるというよりも、一緒にいて自然体でいられること。
その安心感こそが、関係を築いていく上での大きな要素になるのではないかと思うようになったのです。

ウイさんと過ごす時間は、決して刺激的ではないかもしれませんが、確かな信頼感がありました。
 
そして……本当にゲスな観点で申し訳ないのですが……とても立派な果実をお持ちです。
コートの上からはずんぐりした体系に見えるのですが、コートを脱いでセーター姿になるとむしろ細身で、とある一部がつっかえるせいで全身膨張して見えていたのでした。
 

自分を高みに引き上げてくれるナギサさん(仮称)

もう一人のナギサさん(仮)も、根っこは僕と同じ陰キャです。
※「ブルーアーカイブ」桐藤ナギサより名前を拝借(ノブレスオブリュージュを感じさせる佇まい)




これまでマッチングしたお相手の中では初となる県外出身で、うちの県に来てからまだ日が浅いナギサさん。
 
東京都世田谷区に実家があり、高校入学までは親の転勤に付き添って全国を転々。
高校からは東京に根を下ろし、都内超有名進学校から都内最高峰私立大学に進学します。
大学在学中に某難関資格に合格して、いったん東京で就職しましたが、約1年前に母親の実家がある本県へIターン転職を決めて今に至ります。
 
これまでの転勤族生活で本県含め計7つの都道府県を転々としてきて、色々な土地での生活を経験した中で、本県が一番の気に入りで、移住を決めたとのことです。
ナギサさんいわく「これまで住んできた都市の中で、本県はちょうどいい規模感」らしく、都会すぎず田舎すぎず、自然と都市機能のバランスが絶妙だと感じるのだといいます。
 
家柄も学歴(入学偏差値的な意味)も格上、資格職ゆえに本県でも高収入をキープできており、僕よりも2歳年下ながら年収は200万円ほど上回っています。
カタログスペック的には、僕みたいな田舎地方公務員とは到底釣り合わず、もし僕が結婚するとなったらまさに「逆玉」です。
 
僕とは生い立ちもステータスも全然違う別世界の人のはず……なのですが、初対面の頃から不思議と通じるものがあります。
興味関心や着眼点、嗜好傾向が似ていて、どんな話題でも話が弾んで、会話が深まっていくんですよね。
 
ウイさんの場合、仕事ネタ・役所ネタであれば延々と深掘りができるのですが、仕事以外の話題は少ないです。
そのため、地方公務員としてのウイさんがどんな人なのかはよく理解しましたが、プライベートの部分がなかなか見えてきません。
これまで出会った方々も同様で、話題が限定的だったり、会話が広がらなかったりすることが多かったです。
 
一方でナギサさんの場合は、いろんな話題で深い会話ができるので、人となりがどんどん見えてきます。
同時に僕自身のことも自然に開示することができ、お互いの関係が深まっていくのを実感できました。
ナギサさんの会話運びが上手いのはもちろん、たぶん人としての根っこの部分が似ていて、だからこんなにスムーズにコミュニケーションが進むのだろうと思います。
 
何と言っても、ナギサさんと過ごす時間は知的な刺激に満ちていました。
ナギサさんは明らかに僕よりも頭の回転が早く、さらに教養の幅と深さが段違いで、会話の中で新鮮な気付きや発見を与えてくれます。
しかも僕と着眼点が似ているから、僕の興味のある方向へ先回りして会話を進めてくれます。
 
例えば一緒に喫茶店に入ったら、メニュー表を見ながら珈琲豆の種類や焙煎方法についてさらっと語ってくれて、僕の好みに合うメニューを紹介してくれたり。
街を歩いていて見かけた古い建築物に対して、「この建物、なんとなくヨーロッパ風ですよね」と僕が言うと、「これ○○様式で、当時の日本では珍しくて、これを含めて全国で5か所くらいしかないんですよ」とナギサさんが補足してくれたり。

もちろんナギサさんが一方的に語り続けるわけではなく、僕が話しやすいように質問を振ってくれます。それがまた絶妙で「○○ってどう思います?」と僕の考えを引き出し、「なるほど、それって△△とも似てますね」と話を広げてくれる。話し上手かつ聞き上手なだけではなく、話の流れを作るのが上手いのです。
 
ナギサさんにとっても、僕と過ごす時間は充実しているようです。
ナギサさんとの面会は、「この地域のことをもっと知りたい」という先方からの希望を受け、県内の有名観光スポットを巡るプチ旅行を僕のほうでセットする形にしています。
しかも僕はかつて観光部局に在籍していたこともあり、県内の観光地は一通り案内できます。

ナギサさんからの求めに応じて、観光地の豆知識などを披露していたら、文字通り目を輝かせて喜んでくれて、「地元愛と知識の深さに驚きです」「こんなに地域のことを詳しく教えてくれる人に出会えて幸運です」とストレートに褒めて感謝してくれます。
 
こんな感じで、ナギサさんと一緒にいると、世界に彩りが添えられるというか、何気ない日常の新たな一面を垣間見れるというか……とにかく一緒にいると知的刺激を受けて楽しいんですよね。
しかも決して高圧的になることなく、相手の意見や感じ方を尊重してくれる謙虚さを持っています。

僕には無い視点と知識を持っていて、一緒にいると自分の世界がどんどん広がっていきます。このようなコミュニケーションを取れる人とは、大学時代以来久しくお目にかかれていませんでした。
県庁組織には皆無ですし、そもそも田舎社会には普通存在しないタイプだと思います。
 
ナギサさんからも、はっきりと言葉にして、僕のことを大切に思ってくれていることを伝えてくれています。
 

究極の2択

僕が利用している結婚相談所では、仮交際期間中の面会は5回までというルールがあります。
5回目を終えるまでに、本交際に進むかどうか決断しなければいけません。
 
仮交際とは違い、本交際には1人としか進めません。
つまり僕の場合、どちらかと本交際に進むためには、もう一方と別れることになります。
 
5回の仮交際の間に、どちらを取るか決断しなければいけないのですが……本当に甲乙つけがたいんですよね……
いっそのこと、どちらかから振られてしまえば、残ったほうに決められるのですが、両者ともそんな素振りは全く無く、順調に仲が深まっていきます。
 
そしてそのまま、どちらを選ぶか決めかねるまま、5回の仮交際面会を終えてしまいました。
さらに決断を保留したまま3日ほど経過すると、結婚相談所のコンシェルジュさんから「ウイさんからもナギサさんからも本交際に進みたいと連絡ありました。どっちにするか決めてください」と連絡が入りました。
どちらかに振られるという消極的選択もありえなくなってしまいます。
 
 
だいぶ長くなってしまったのでここで切ります。
実はこの記事を書いている時点(3/29)で、どちらにするか決断して返答済です。
決断に至るまでの懊悩を次回お送りしたいと思います

<これまでのあらすじ>

結婚相談所での婚活を9月末にスタートしたキモオタク。
まずは10月に5人とお見合いして、うち2人と仮交際成立。しかし11月半ばまでに全員と別れてしまいます。
そこから再度5人とお見合いして、12月中ば時点で3人と仮交際が成立。
3人との関係をキープしたまま、イベント目白押しの年末年始期間に突入するのでした。




ラブコメ主人公みたいな年末年始

たとえ仮交際というまだ不安定な段階であっても、時節のイベントはきっちりこなすのが結婚相談所婚活のセオリーです。
そのため、クリスマスにはちゃんとしたコース料理を食べに行き、プレゼントを渡さなければいけません。これを怠ると「優先順位が低い」と思われて破談一直線です。ルール的に複数交際が認められているからこそ、相手が自分にどれだけの手間とコストをかけてくれるかが、相手の好意を測るバロメータになります。

僕は3人同時に仮交際状態であり、3人それぞれに食事の場をセットし、プレゼントを準備しなければいけません。
田舎ゆえに、ちゃんとしたコース料理を提供しているお店が本当に少なく、目ぼしいお店は11月のうちから予約で埋まっており残席はごくわずか。
最初は、お相手ごとに日程を確定させてから空いているお店を探すつもりだったのですが、この方法だとそもそもお店を押さえることができなさそう(お店の空きが無くなってしまう懸念あり)だったので、12月下旬の土日でまだ予約を受け付けているお店をとりあえず先に押さえることにしました。

ネットで予約可のお店を探し、さらに電話で「キャンセルはいつまで大丈夫ですか?」と問合せるという流れを延々と繰り返します。
やはりクリスマスシーズンは書き入れ時ということで、キャンセルは勘弁してほしいというお店もあり、最終的に4店舗の予約を取るために12件電話する羽目になりました。

それからお相手たちとの日程調整に入り、予定を埋めていきます。
日時が被らないよう、お相手ごとにちょっとずつ候補をずらして提案し、回答を待ちます。
こういうとき、すぐに返事をくれる方って本当にありがたいですね。日程調整の連絡にはすぐ回答すべきであると痛感しました。

日程調整と同時に、プレゼントも探します。
異性との交際歴ゼロの僕に気の利いたプレゼントなんて選べるわけがないので、大人しく結婚相談所提供のアクセサリーカタログ(提供している会社のものと思われる)から、それっぽいネックレスを発注します。
こういう恋愛弱者向けのサービスが整っているのは、結婚相談所の強みの一つだと思います。

結果、約5千円のランチコースを2回、約1万円のディナーコースを1回いただくことに。
値段相応に美味しかった……のですが、短期間に3回もコース料理を食べると、お腹への負担が大きかったです。

お財布へのダメージも重かったです。
御食事代は僕が二人分を支払いますし、さらにプレゼントで1万円弱×3。合計7万円が飛んでいきました。
(結婚相談所のルール上、仮交際期間中のデート費用は男性負担が原則です)


新年を迎えてからは、3人それぞれと初詣に行きました。
田舎ゆえにデート感覚で行けるオープンな神社がひとつしかなく、同じ神社に3回お参りして、同じおみくじを3回引く羽目になりました。
(なお【末吉】【末吉】【吉】という面白みに欠ける結果……)

周辺には他に回れるスポットも無く、帰り道にチェーン喫茶店に寄ってお喋りして解散という流れまで全く同じ。
せめてもの抵抗として、喫茶店の座席は違うところを選びました。

3人同時と交際を進めるという、まるでラブコメ主人公のような年末年始を過ごしたわけですが、本当に慌ただしかったです。
面会がある日は言うまでもなく、無い日は次の予定のロジを組むためにひたすらネットで調べ物をしなければならず、年末年始休みのほとんどを婚活に費やしました。
休みらしいことといえば、スクールデイズの無料一挙放送を見たくらいでしょうか……


眼福だった(感想)

体力的にもお財布的にも過酷な三股生活は、幸か不幸か長くは続きませんでした。
1月の半ば、お相手側から断られる形で、ヒフミさん(仮称)との仮交際が終了しました。
(「ブルーアーカイブ」の阿慈谷ヒフミより名前を拝借)





外見的には一番好みのヒフミさん。
世間一般的に見ても「可愛い」と言われるレベルです。
最初に「お見合い」で会ったときは落ち着いていて物静かな感じだったのですが、仮交際に入ってからはグイグイと迫ってくるようになりました。
僕のことを見定めるようにいろいろ質問してくる一方で、「自分のことも知ってほしい」という意図なのか、自分のこともどんどん話してくれます。

ヒフミさんのスペックを簡単にまとめると、
  • 僕より3歳年下
  • 県内3番手の進学校から地元国公立大学に進学
  • 高校では陸上部、大学ではイベントサークルに所属
  • 大学時代は某おしゃれコーヒーチェーンでアルバイト
  • 趣味はキャンプとライブ参戦
  • 民間企業(大手企業の地方支社)で経理職
  • 僕よりも高収入(手取りで約35万円/月)
まさに地元エリート層であり、陽の人です。

口下手な僕相手でも上手く会話を回してくれて、気配りもできる。そして外見も良い。
仕事も結構好きらしく、専業主婦になるつもりは毛頭無いとのこと。
結婚相手として文句のつけようがありません。

しかし面会を重ねるにつれて、ひとつ問題点が浮かび上がってきました。
共通点がなさすぎるんですよね……

お相手がコミュニケーション巧者なおかげで、雑談は盛り上がるんです。
お互いの最近の出来事とか、一緒に食べたものや出かけた場所の感想とか、こういう話題を転々としているだけでそれなりに時間が過ぎていきますし、気まずくもなりません。
でも共通の関心事項が無いので、会話が深まらず、お相手がどういう人なのか今一つ見えてきません。
カタログスペックはお互い開示しあって一通りわかっても、嗜好や価値観がよくわからないままなのです。

例えば、お互いに「本が好き」という共通点があれば、どういうジャンルや作家が好きなのか、どういう読み方をするのか(座右の1冊を繰り返し読む、濫読する等)、本にまつわるエピソード……等々、本を起点にお互いの内面を伝え合うことができます。
しかし僕とヒフミさんの場合、こういうコミュニケーションがなかなか取れません。例えばヒフミさんから「〇〇というバンドのライブに行った」と言われても、僕にバンド音楽の基礎知識が無いために、その情報をどう解釈すればいいのかわからないのです。

僕自身もそのことに薄々気づいてはいましたが、ヒフミさんが好みのタイプであることに間違いはなく、「僕がもっと積極的に歩み寄ればなんとかなるのでは?」と考えていました。
面会のたびに少しでもヒフミさんの趣味に興味を持とうと、キャンプギアのことを調べたり(「ゆるキャン△」のアニメを見返しました)、ライブに使うハコの勉強をしました。自分を変えれば相手にもっと近づけるはずだと意気込んでいました。

しかし残念ながら、3回目の面会が終わった後に交際終了の通告が届きました。
カウンセラーさん経由で理由を聞いたところ、お相手も「悪い人ではないと思うが、共通点が少なくて一生ずっといるイメージが持てなかった」とのこと。
正直、「一生ずっと一緒にいるイメージ」は僕も持てていませんでした。
それでも一緒にいると楽しいので、一生一緒にいられるよう努力して自分を変えよう、僕からお相手側に寄り添おう……と意気込んでいましたが、お相手側はそこまで熱意が湧かなかったようです。

ヒフミさんとの邂逅を通じて思ったのは、「可愛い」は正義ということ。

「共通点が無いなあ」と思いながらも関係を続け、さらには自分を変えてまでお近づきになりたいと強く思ったのは、ヒフミさんの容姿に惹かれていたからです。
僕は常々「人間は外見より中身が大事」だと思っており、婚活でも「決して外見に絆されるわけない」と自負していましたが、実際に可愛い人と対面するとあっさり夢中になってしまいました。
もし僕にお金があったら、飲み屋のお姉さんとかオキニの嬢とかに大金をつぎ込んで、身を滅ぼしていたかもしれません。薄給地方公務員で良かったのかも……

小休止、そして二股へ……

ヒフミさんに振られたところで、傷心に浸っている時間はありません。
仮交際中のお相手は、まだ2人残っています。
お二人とも外見的にはヒフミさんに及ばないものの(超失礼)、どちらかといえば僕と同じく「陰の人」で、素のままでも接しやすいタイプです。

さあ気持ちを切り替えていこう!と意気込みを新たにしたのですが……風邪をひいてダウン。
2週間ほど婚活を休止し、静養していました。

ここまでが1月のエピソード。2月から本格的に二股婚活を始めていきます。
だいぶ長くなったので一旦ここで切ります。

このブログの読者各位は、きっと仕事熱心で向上心のある方々なのだろうと思います。
そうでなければ、わざわざ余暇の時間を割いてまで地方公務員ネタに触れようとは思わないはずです。

そのような皆様は、地方公務員(元職含む)が書いた仕事術のような書籍(以下「地方公務員本」)も読まれているかもしれません。
あくまでも僕個人の感覚ですが、地方公務員本は、読み物としては面白いものの、実務ノウハウとして役立つかは怪しいと思っています。
過去にも、地方公務員本は眉に唾をつけて読んだほうがいいという趣旨の記事を書いています。



今回取り上げるのは、地方公務員本によく登場してくる「上司の視点に立って物事を考えよ」という助言です。

ヒラ職員ならば係長、係長ならば課長補佐、課長補佐ならば課長の視点を意識して仕事することが、自身の成長につながるし、組織内でもありがたがられる……という趣旨の助言であり、指定職や部局長のような高位役職経験者が書いた本によく登場します。

この助言のうち「ヒラ職員が係長の視点を意識する」という部分は、僕は危険だと思います。
職員個人としての成長には資するかもしれませんが、行政サービスの質は低下するでしょうし、組織としても誤った意思決定の原因になりかねないと思います。

「ヒラならでは」の大切な役割

ヒラ職員の仕事は、部署や職種によって様々です。
係長以上になると「組織を回す」「部下のマネジメント」といった共通点が出てきますが、ヒラ職員の仕事は本当に多岐にわたっています。ゆえに、ヒラ職員に共通する助言をすること自体、なかなか難しいことだと思います。

あえて共通する部分を挙げるなら、行政サービスを正しく提供することと、「世間」を正確に把握することだと思います。

前者は言わずもがな、担当する業務を誤りなく滞りなく処理して、行政サービスを提供することです。
一方、後者のほうはあまり意識されていないかもしれませんが、世間すなわち一般大衆(住民の大多数)の情報を、日々の業務を通して収集・把握することも、ヒラ職員の重要な役割だと思っています。ヒラ職員が集めたこのような情報をベースとして、役所は意思決定をしているからです。

ヒラ職員は、役所組織の中で最も「世間」と近いところにいます。
まず、物理的に近いです。窓口や電話越しに住民と直接接触する機会が多く、現場(=役所の外)で何が起こっているのかを一番把握できる立場にいます。
加えて精神的にも近いです。地方公務員歴が比較的短く、役所組織特有のバイアスや思考様式にまだ染まりきっていないので、現実をあるがままに見ることができます。

係長は係長、課長は課長で、それぞれ独自に「役所の外」とのパイプがあり、情報収集ができるのですが、「世間」すなわち一般大衆の情報を最も正確かつ大量に収集できるのはヒラ職員ならではの強みだと思います。

ヒラ職員が係長みたいに「情報の取捨選択」に手を出すと……?


先にも少し触れましたが、係長には「組織を回す」という役割があります。
組織を回すためには、(僕自身は係長の仕事をしたことがないのであくまでも推測ですが)、ヒラ職員から吸い上げた「世間」の情報を、組織として評価……例えば「組織として必要か否か」といった軸で情報を評価・選別しなければいけません。

ヒラ職員が収集した情報をそのまま上司や他部署に報告してしまうと、受け手側の負担が重くなります。受け手が判断を下しやすいように、係長が情報を評価したうえで取捨選択・再構築することで、組織は円滑に回るようになるのです。

「組織にとって必要な情報を見極める」というのは、係長にとって必須のスキルだと思います。
このスキルを習得することが、地方公務員の「成長」のひとつとも言えるでしょう。

しかし、ヒラ職員が係長の視点、つまり「組織にとって必要か」という視点で情報を選別し始めると、今後は「世間」をあるがままに理解しようとする人がいなくなってしまいます。
言い方を変えると、「役所組織のバイアス」がかかった情報しか入ってこなくなるわけであり、世間を正確に把握できなくなります。
正しい世間の情報を得られなくなれば、意思決定にも悪影響が出てくるでしょう。

「ヒラ職員は係長の視点に立って仕事せよ」という助言は、このような事態を助長しかねない、リスクの高い助言だと思われるのです。

(昔と違って)今のヒラ職員は忙しい

この助言も、平成中期くらいまでは有益だったのだろうと思います。
当時は今よりも職員数が多くて1人あたりの担当業務も少なく、かつヒラ職員の仕事は単純作業が中心でした。この時代なら、ヒラ職員には「世間」をちゃんと把握したうえで背伸びして、係長のように組織目線で情報を取捨選択してみるだけの余裕があったと思います。

しかし当時と比べ、今のヒラ職員はとても忙しいです。
役所の業務量は増える一方で、職員数は減っており、1人あたりの担当業務が増えています。
加えて、単純作業は非正規の方(会計年度任用職員)や外注で回すようになり、ヒラ職員でも管理者的な仕事をすることが多くなり、業務の質的にも負担が増しています。

しかも今は、デジタル化の急進展をはじめ、社会の変化が加速しています。
役所としても、激動する世間を正確に捉えることのほうが重要ではないでしょうか?
うかうかしているとすぐに「時代遅れ」になってしまう現代において、情報収集の重要性は一層増していると思います。

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