キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2025年04月

<これまでのあらすじ>
2月から本格的に二股仮交際をスタートしたキモオタク。
一人は同じ地方公務員で、共通点が多く安心感を与えてくれるウイさん。
もう一人は東京生まれ東京育ちのエリート専門職で、知的刺激に満ちているナギサさん。
どちらも魅力的で選びきれないまま仮交際を重ねるうちに、上限である5回に達してしまいました。
そんな中、結婚相談所から「お二人とも本交際を希望されています」との連絡が届き、ついに決断の時を迎えることに――。

結婚とは別次元の私欲

前回記事の文章量からも察していただけけると思いますが、二股仮交際が始まった時点では、だいぶナギサさんのほうに傾いていました。
お相手の魅力もさることながら、ナギサさんとの結婚が僕の人生を好転させる可能性を感じていたからです。

※ナギサさんのイメージ(ベージュ髪の子)。まさか3D動画配信されるとはタイムリーすぎる……



過去の記事でも何度か触れていますが、僕は就職活動に失敗して不本意ながらUターン就職しました。
幸いにも職場では人間関係に恵まれて、プライベートでも田舎なりの楽しみを見出して、公私ともにそれなりに充実した生活を送ってきましたが、それでも「やっぱり都会で暮らしたい」という憧れは捨てきれませんでした。
具体的に行動を起こす度胸は無いものの(入庁以来一貫して異動希望先に「東京事務所」を挙げ続ける程度)、埋火のように燻り続けていました。

そんな折、ナギサさんとの出会いにより、この憧れが急に現実味を帯びることとなったのです。

ナギサさんは一人娘で、かつ職業の都合上、いずれは東京に戻るのではないかと僕は思っています。
ナギサさんと結婚した場合、彼女が東京に本拠地を移すタイミングで僕も東京事務所に異動させてもらえるでしょうし(過去にも類似事例あり)、もしそのまま東京に定住するとなっても、役所の人手不足が深刻化している現状を見るに、公→公転職であれば十分可能でしょう。

つまり、ナギサさんと結婚すれば、「都会に戻る」という積年の悲願が叶うのではないか……このような自分勝手な空想を思い描いていました。

ナギサさんとのすれ違い

一方で、ナギサさんとの面会を重ねるうちに、ある懸念が浮上してきました。
どうやらナギサさん、僕のことを過大評価しているようなのです。

前回の記事でも書いたとおり、ナギサさんは僕への好意や賞賛をはっきりと言葉にして伝えてくれます。
「お話しがとても上手」とか「エスコートしてくれて頼りになる」とか。
これまで三十余年生きてきて、ナギサさん以外には一度も言われたことがない誉め言葉を、彼女は惜しみなく贈ってくれます。

ナギサさんとの面会では、本県に来てまだ日が浅い彼女のオーダーに応じて、県内の主要な観光スポットを巡ってきました。
かつて観光部局で働いていたときの知見を頼りに、一日の行程を組んで、各スポットを案内してきたのですが、これがナギサさんにとても好評で、僕への高評価につながったのだと思います。

ただし、こんなことができるのは、僕がかつて観光部局で仕事をしていたからで、僕自身は根暗コミュ障キモオタクにすぎません。
たまたま僕の強みとナギサさんの希望が合致したためにうまく事が運んでいるだけで、そもそも僕に他人をエスコートするとか、気の利いた会話をして場をつなぐなんて不可能です。

ナギサさんにも何度も「たまたま過去に観光の仕事をしてただけで……」と伝えているものの、彼女は耳を貸さず「謙遜しないでください」とさらに褒めてくれます。
しかも相槌のような言葉だけの賞賛ではなく、しっかりと気持ちが込められているように聞こえます。

一般的に、他者にイメージと実物のギャップは、付き合いが長くなるにつれて是正されていくものだと思います。
しかしナギサさんの場合は、会うたびにギャップが拡大している気がしてなりません。
そして、いずれ彼女がこのギャップを認識した途端に、僕に対する好意も消失してしまうのではないか……
このような懸念が日々強まりつつありました。

足を引っ張る「地方公務員」という肩書き


仮交際期間としては最後の5回目の面会では、別の難題が浮き彫りになりました。

渋めの喫茶店で休憩しているときに、ナギサさんからおもむろに「両親と会ってみませんか?」と切り出されました。
今度こちらに遊びに来る機会があるそうで、僕の都合がつくようなら少しでもいいので顔を合わせてほしい、もし可能なら一緒にお食事は如何かと、お誘いをいただきました。
最初に聞いたときは、心の底から嬉しかったです。僕のことを両親に紹介したいくらいに本気で想っていてくれて、積極的に関係を進展させようとしてくれているのだと思いました。

しかし、現実はそう甘くありませんでした。

「地元県庁の方とお付き合いしていると、このあいだ両親に伝えたんです。そうしたら驚いていました。両親はこれまで地方公務員の方とあまり関わったことがないから、どんな人なのかイメージできていないみたいなんです。きっとキモオタクさんと直接会って話してみたら印象も変わると思うのですが……」

ナギサさんは細心の注意を払って言葉を選んでくれたようですが……
つまるところ、ご両親から「地方公務員なんかと付き合ってるの!?」とネガティブな反応を示されてしまったとのことでした。
地方公務員の社会的評価が低いことは重々承知していましたが(都市部では特に)、さすがにショックでした。

一方でナギサさんは、僕に直接会って話してみれば両親も考えを改めるはず……と能天気に構えています。
こういうところからも、僕を買いかぶりすぎている気がしてなりません。ナギサさんとの距離感というか認識の相違というか……漠然とした違和感を覚えた瞬間でした。

僕は即答できず、「人事異動の結果次第で4月以降の予定がだいぶ変わってくるから、また連絡するね」と逃げてしまいました。

もしこれが普通の恋愛関係であれば、ご両親の歓心を買うために誠心誠意頑張るところなのですが、僕たちが繰り広げているのは結婚相談所での「婚活」です。
仮交際状態での面会は「5回まで」がルールであり、次にナギサさんと会うためには、本交際に進まなければいけません。

時間とお金が許す限り何股でもかけられる仮交際とは違い、本交際に進めるのは1人だけ。
つまり、ナギサさんとの本交際には進むには、ウイさんとの交際を終了しなければいけません。
この判断をその場で下すほどの自信も度胸も、僕にはありませんでした。

ウイさんとの「快適な停滞」関係

一方で、ウイさんとの関係は、面会を重ねるにつれて順調に深まっていました。
相変わらず物静かでガードが固いものの、少しずつプライベートを晒してくれるようになっていました。

ウイさんとの関係は、本当に書けるネタが無いんですよ。
お互い交互にレストランを提案して、一緒に食事して、駅中のチェーン喫茶店で雑談して解散……という流れの繰り返しで、わざわざ記事にできるような面白いエピソードが全然ありません。

強いて言えば、藤田和日郎先生(漫画家)の大ファンだというくらいでしょうか。チョイスが渋い。
あとはやっぱり立派な果実をお持ちです。薄手のニットなどを着てると目のやり場に困ります。

ウイさんとの関係は「ノーイベント・グッドライフ」の一言に尽きます。
わくわくする出来事も新たな発見もありませんが、会話の流れも相手の反応もだいたい予想の範囲内で進むので、絶対的な安心感がありました。

ウイさんと一緒にいると本当に安心感しか感じなくて、ナギサさんとの関係のように嬉しかったり困ったりという感情の上下がありません。
ドラマ性が皆無なんですよね。「停滞している」と表現しても過言ではないと思います。

ゆえにブログ記事としては何も書けなくて物足りない仕上がりになってしまうのですが……パートナーとして末長く暮らすのであれば、このような落ち着いた関係性のほうがいいのだろうとも思います。
停滞しているとしても、それが快適な停滞なら、それでいいんじゃないでしょうか?

人生の岐路

繰り返しになりますが、僕が利用している結婚相談所では、仮交際期間中の面会は5回までというルールがあります。

仮交際とは違い、本交際には1人としか進めません。
つまり僕の場合、どちらかと本交際に進むためには、もう一方と別れることになります。

読者の皆様はきっと「ウイさん一択だろ、何迷ってるんだこいつ?」と思われることでしょう。

しかし僕は決断できませんでした。
これまで拗らせてきた「東京への憧れ」が、決断を阻んでいたのです。

僕にとってナギサさんは「白馬の王子様」そのもの(性別は逆ですが)、「就活に失敗して地元に逃げ帰った」という人生最大の汚点を克服する、またとないチャンスでした。

一方で、地元密着人間のウイさんを選んだら、「東京に出る」可能性は完全に潰え、この汚点を一生抱え続けることが確定します。

つまり、ナギサさんとウイさんのどちらを選ぶかという選択は、結婚相手の選択であると同時に、自分の過去をどう清算するかという選択でもあったのです。

僕はひたすら自問自答しました。
「十数年もの間抱き続けてきた憧れが成就する可能性があるのなら、手を伸ばすしかないのでは」
「しかし、ウイさんという確実な選択肢もある中で、ナギサさんという不確かな選択肢を選ぶのは悪手ではないか」

この二つの問いで、堂々巡りを繰り返していました。

新しい夢の見つけ方

弊ブログを長らくご覧の方はご存知と思いますが、僕はラブライブ!シリーズの昔からのファンです。
特に去年からは、石川県金沢市を舞台に展開している「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」というシリーズにずっぽり嵌っています。(なお一推しのメンバーは百生吟子ちゃんです)


このシリーズ自体は一昨年からスタートしていて、僕も追いかけていたのですが、昨年元日に能登半島地震が発生して以降、応援派遣で石川県に滞在する機会が何度かあり、派遣帰りに聖地巡礼しているうちにますます嵌ってしまいました。
本当すごいんですよこのシリーズ。北陸特有のじとぉっ……とした空気感がよく出ています(褒めています)。

このシリーズはスマホアプリを中心に展開されており、月2回ペースで「活動記録」というメインシナリオが配信されています。
11月頃から婚活が忙しすぎてあまり読めていなかったのですが、3月半ばになってようやく時間ができたのでじっくり読みました。

秋から冬にかけて配信されたシナリオでは、卒業を控えた高校3年生のメンバーたち(3人)が、卒業後のことで思い悩む姿が描かれました。
  • 今の環境が心地良すぎて、新しい夢へと向かうのが怖い
  • 自分が夢を追求することで、誰かに皺寄せがいくことを自覚し、夢を追うことに臆病になる
  • 長年の夢を叶えた結果、次の夢が見つけられない
こんな感じで、彼女らは三者三様に「自分の夢」と真剣に向きあい、最後には新しい夢を見つけていきます。

『矩を超えて一歩踏み出すことで、新しい夢を見つける』
このシナリオ展開が、僕に深く深く刺さりました。


僕にだって、「東京に戻る」というこれまでの夢に代わる、「新しい夢」が見つかるかもしれない。
いったんこれを捨ててこそ、また新しい「夢」や「憧れ」が生まれてくるのではないか?

そう思った瞬間、1週間ほど堂々巡りを続けていたのが嘘のように、スッと全てが腑に落ちました。
そのまますぐにカウンセラーさんに連絡。
ナギサさんとの仮交際を終了し、ウイさんとの本交際を申告しました。

僕が住んでいる県は典型的な田舎で、いまだに「結婚したら戸建住宅を新築する」のが普通です。
特に地方公務員は、遠距離の転勤も少ないですし、一旦家庭を持ってしまうと転職することもほぼないので、ますます家を買うのが「当たり前」とされています。

僕が入庁したばかりの頃(10年ちょっと前)は、土地購入+家屋新築で2000万円台に収めるのがセオリーでした。3000万円のラインが「大台」と言われていて、ここを超えると豪邸扱いされていました。

一方、新型コロナが流行り始めた頃から、建設資材の高騰や人件費上昇の影響をモロに受けて、どんどんこのラインが引き上がっています。
今は土地購入+家屋新築で3500万円くらいが標準のようです。
というよりも4000万円を超えるとローンの返済がだいぶきついので、このくらいに収めざるを得ないとのこと。従前のように3000万円を切ろうと思うと、県庁所在地には到底住めず、鉄道が通っている地域にも住めず、自家用車で片道1時間通勤を検討しなければいけないレベルで離れた地域に住まざるをえなくなってきます。

そして最近は、新たな動きとして、4000万円以上のマンションを購入するケースがじわじわ増えてきています。
ローンを組むのも大変ですし、月々の返済負担もかなり厳しいと思われ、正直なところ身分不相応な気がするのですが……実際に購入した人から話を聞いてみると「案外ありなのかも」と思い直しました。


意外と売れてる(らしい)田舎ターミナル駅付近のマンション

ここでいう「マンション」とは、ターミナル駅近くの新築高層マンションです。
イメージはこんな感じ。






こういった物件の価格は、(東京の不動産価格と比べれば全然大したことありませんが)地元の他の物件と比べると、かなり割高に映ります。
そのため地元住民からすると「こんなの誰が買うんだよ……」と思いたくなりますが、案外すんなり売れていきます。
どうやら、都市部に本社がある大手企業の社宅用として、ニーズが一定数あるらしいです。

僕の勤務先県庁の若手職員が購入しているのは、こういうハイクラス物件のグレード低めな部屋です。
具体的には、低層階の不人気方角の部屋を、オプションはあまり付加せずに購入しています。

わずかでも資産価値をキープする目論み

こういった物件は、いくらグレード低めとはいえ、安くても4000万円を超えます。下手したら5000万円台にすら乗ります。
先述したとおり、新築する場合の目安が「3500万円」なので、2割以上も高くつくことになります。

それでもマンションを購入する理由……それは資産性と流動性です。

これから地方はどんどん人口が減っていき、土地も家屋も資産価値が激減していきます。
新築で家を建てても、ローンを払い終わるころに果たして資産価値がどれくらいなのか、全く期待できません。

実際、家を建てる職員は、土地も家も「資産」とは見ておらず、消費するものと捉えています。
一生かかって消費し尽くすようなイメージです。途中で売却したり賃貸に出したりはしないので、資産価値はそもそもどうでもいいという考えでもあります。

一方、マンションを購入する職員は、買ったマンションを将来的に手放す前提で考えています。
彼ら彼女らは、夫婦ともに実家の土地家屋を相続する見込みがあり、自分たちが更に土地や家を買ってしまうと、将来的に不動産を持て余す可能性を見ています。

田舎の不動産は、これから資産価値のみならず流動性も激減していくと思われます。
買い手がいないので売れない、売れないから価格が下がっていく……という流れになるでしょう。

つまり、今マイホームを持ってしまうと、合計3軒もの住宅を、いらないのに持たざるを得なくなり、いずれ維持管理の手間と費用で首が回らなくなる……という未来を想定しているわけです。
そこで、少なくとも自分達が購入するものについては、流動性と資産性を少しでもキープできるよう、どちらも低下しづらそうな駅近物件を選んでいるのです。

答え合わせは数十年後?

田舎在住の若者はこれから不動産とどう付き合っていくのがよいのか、まだ定石は出来上がっていないと思っています。

僕個人的には、田舎の不動産に資産性を求めること自体がナンセンスで、「自分が求める使用価値を、なるべく安く獲得する」という一点だけ考えればいいと思っています。

いくらターミナル駅至近の好立地だとしても、「人口減少に伴い田舎の資産価値が落ちていく」というトレンドには抗えず、これから相当に下落していくのではないかと。
何より、田舎の不動産は今でも流動性が低く、任意のタイミングで手放すことが困難なので、「資産」として捉えること自体に難があるとも思っています。

ターミナル駅付近に住みたい、リッチな共用部分を使いたい……等々、高級マンションの「使用価値」に魅力を感じているのであれば、背伸びして購入するのも大いにアリだと思いますが、資産性目当てに買うのは、リターンの小さい投資のように感じます。

もちろん、これから何が起こるかわかりません。今の判断の成否は、数十年後までわからないのでしょう。問題意識だけは常に持っていたいと思います。

そもそも僕の場合、他人の心配をする前に自分の心配をした方がいいんですよね……
僕はいずれ実家の土地建物を相続できる見込みです。結構古いので現時点で既に資産価値はありませんし、辺鄙な場所なので手放したくても買い手がつきません。

このまま独身であれば、この実家をリフォームして住めばいいかなと思っています。
問題なのは結婚できてしまった場合です。「自分が求める使用価値を、なるべく安く獲得する」という一点だけ考えればいいなどと先ほど軽々しく書きましたが、相方がいると合意到達するのがすごく大変そうです。

4月から地方公務員として新たな一歩を踏み出した皆さん、おめでとうございます。
SNSを見ていると、この10日間で早くも絶望している方もいるようですが……人生は長いので、役所に順応するにしろ離脱を試みるにしろ、焦らなくてもいいと思います。
 
このブログを見ているということは、きっと何らかの困りごとや迷いごとがあって、ヒントを探しているのだろうと思います。

弊ブログ内の新人向け記事は、以下にまとめています。参考になれば幸いです。


「新人向け」タグで絞ってみても、役立つ記事が出てくるかもしれません。

 
 
例年この時期になると「新人地方公務員の役に立つ記事を書きたい!」という意欲が湧いてくるのですが、30代半ばになってくると、新人地方公務員のニーズがわからなくなってきます。
今の20代前半の価値観や考え方が全然わからなくて、一体何に困っているのか、どういうことが知りたいのか、想像できないのです。
 
そのため今回は、反対に、僕が新人地方公務員(大卒ストレートの20代前半を想定)に対して質問してみたい事柄を挙げてみようと思います。
この記事で例示する事柄は、きっと僕のみならず、僕世代の職員が共通して疑問に思っている(あるいは誤解している)と思います。
職場でのコミュニケーションの参考になれば幸いです。

超絶売り手市場の今、どうして地方公務員を選んだのか

まず真っ先に気になるのが、地方公務員になった理由です。
今や地方公務員よりも楽で高給で安定しててやりがいのある仕事がいくらでもあるのに、あえて地方公務員を選んだ理由が知りたいです。
 
僕が就職活動をしていた頃は、地方公務員はそこそこコスパ良くホワイトな職業と評されていました。
当時から「残業も休日出勤も当たり前」「残業代は出ない」「住民から罵声を浴びまくる」等々のネガティブな評価もありましたが、それでも民間企業よりはマシだと言われていました。
それくらい民間企業の待遇が酷かったのです。
 
そのため、僕世代の地方公務員には「待遇」目当てで入庁した人が多いです。
給料はそれほど高くないにしても、「リストラされない」「心身壊しても辞めなくていい」「失敗しても減給されない」あたりの条件を備えているだけでも十分魅力的に映りました。

なお、仕事内容には興味は無く、やりたい仕事なんて最初からありませんし、仕事にやりがいを求めていません。
(入庁当初は意欲ゼロだったものの、「働き始めてみたら意外と面白くてやりがいも感じている」という人もそこそこいます)
 
一方で今は、民間企業が全体的にホワイト化したために、地方公務員の待遇は相対的に落ちています。
そのため僕世代の価値観では、今の地方公務員という職業には、特に魅力を感じないんですよね……
少なくとも第一志望にはなりません。民間大企業がダメだった場合の「滑り止め」としてはアリですが、あえて第一志望にする理由が浮かびません。
 
そのため、今地方公務員になる若手の真意が純粋に疑問です。
仕事の中身に興味がある、「転勤が少ない」等の労働条件に魅力を感じた、民間企業が弱い地域なので役所が一番の高給取り……等々、「地方公務員になりたい」と思って就職したのか。
あるいは、民間就活に失敗した、学生時代に心身を壊してバリバリ働けない等、「地方公務員にしかなれなかった/ならざるを得なかった」のか。
 
事情は人それぞれでしょうが、どういう傾向があるのか、非常に気になります。
 

ボロカスに叩かれてる職業にどうして就こうと思えたのか

今の世の中、普通に暮らしていたら、地方公務員という職業に対して良い印象を持ちえないと常々思っています。
 
地方公務員という仕事は、とにかく叩かれて批判されます。
マスコミのような権威ある機関から堂々と批判されていますし、ちょっとSNSを覗けば住民からの生々しい批判がいくらでも見られます。
何より、現役or元地方公務員が、自らの職場や同僚をディスりまくっています。
 
それでも僕が就職したころは、「まともに仕事してないくせに高給を貰っている」という「妬み」が主訴でした。
見方を変えれば、嫉妬されるほどの「高い給料」がもらえるという意味で、魅力的に映る余地がありました。
 
しかし、民間企業の待遇が改善されていくにつれ、地方公務員を高給取り扱いする人は激減しました。
今の地方公務員叩きは、「地方公務員どもは無能で使えない」という能力批判・人格批判が中心です。
 
もちろん僕は、世間で言われるほど地方公務員は無能だとは思いません。
しかしこの認識は、僕自身がそこそこ長く役所で働いていて、地方公務員の実像を知っているからこそ持てるのであって、一般的に入手できる情報だけだと「地方公務員は馬鹿で無能」という認識を刷り込まれるのが自然ではないかと思うのです。
 
地方公務員に対するネガティブ情報が氾濫する中、どうしてそんなディスられる仕事に就こうと思ったのか。この点も非常に気になります。
 

公務員試験対策は大変なのか

僕が採用された年度の公務員試験は、最終倍率が10倍くらいありました。
うち筆記試験が8倍、面接が1.2倍くらいで、筆記試験を通過した時点でかなり安堵した記憶があります。
 
一方で、今は倍率がだいぶ下がっています。
最大手の東京都庁だと2倍を切っていますし、小規模自治体では定員割れするところも出てきています。
これだけ倍率が変わってくると、いくら試験科目が同じとはいえ、試験としては別物だと思います。
 
そこで僕は、今の地方公務員試験の常識が知りたいです。
特に、一般的な勉強期間と、捨て科目の有無が気になります。
 
僕の受験した自治体に限らず、当時の地方上級試験は「筆記試験でがっつり落とす」「面接はネガチェックでほぼ落ちない」というのが定説でした。
そのため、地方公務員になるにはとにかく筆記試験対策が重要で、地方上級試験の場合だと、大学3年生の4月から予備校に通い始めて、1年かけてじっくり試験勉強するのが王道でした。
 
また、捨て科目を作るという発想はありませんでした。
憲法や民法、ミクロ・マクロ経済学、数的処理あたりの問題数が多い科目は受験生全員ががっつり勉強して仕上げてくるので得点差が出ず、刑法や経営学あたりの2~3問しか出題されない科目で合否が分かれる……とよく言われたものです。
捨てるとしても教養試験の物理と化学くらいが限度でしたね。
 
一方で、今の低倍率なら、昔ほど勉強しなくても合格できるのでは?という気がしています。
 
こんなことが気になるのは、僕が資格試験全般が好きというのもありますが、退職していく若手職員の内心を探りたいという意図もあります。

僕世代の感覚だと、地方公務員を辞めることには相当なサンクコストが伴うと感じます。
地方公務員になるには、「大学3年生~4年生前半の貴重な自由時間」を、公務員試験合格のための勉強期間として費消しなければいけない……つまり地方公務員への就職には「1年間の自由」という対価を支払っているという感覚だからです。
 
そのため、退職していく若手職員は、大学生活1年分という膨大なサンクコストを回収できるくらいに良い転職先を見つけたのだと、直感的に思ってしまいます。
(あるいは、サンクコストなんてどうてもよくなるくらい地方公務員という仕事が嫌なのか)
いずれにしても、「地方公務員を辞める」という選択肢は、かなり大きな決断だと感じます。
 
しかし、もしさほど勉強せずに合格できるのであれば、今やサンクコストなんて存在しないわけであり、この感覚は時代遅れになります。
20代であれば、地方公務員並みの待遇を得られる仕事は他にもたくさんありますし、アルバイトを辞める程度の感覚で地方公務員を辞めていっているという可能性すら考えられます。

今の若手職員と、30代半ばの職員では、仕事に対するスタンスが全然違うと日々感じていますが、その根本原因のひとつが「試験難易度」のような気がしているのです。


もし暇な方がいたら、コメントで教えてもらえると嬉しいです。

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