キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

2025年04月

僕が住んでいる県は典型的な田舎で、いまだに「結婚したら戸建住宅を新築する」のが普通です。
特に地方公務員は、遠距離の転勤も少ないですし、一旦家庭を持ってしまうと転職することもほぼないので、ますます家を買うのが「当たり前」とされています。

僕が入庁したばかりの頃(10年ちょっと前)は、土地購入+家屋新築で2000万円台に収めるのがセオリーでした。3000万円のラインが「大台」と言われていて、ここを超えると豪邸扱いされていました。

一方、新型コロナが流行り始めた頃から、建設資材の高騰や人件費上昇の影響をモロに受けて、どんどんこのラインが引き上がっています。
今は土地購入+家屋新築で3500万円くらいが標準のようです。
というよりも4000万円を超えるとローンの返済がだいぶきついので、このくらいに収めざるを得ないとのこと。従前のように3000万円を切ろうと思うと、県庁所在地には到底住めず、鉄道が通っている地域にも住めず、自家用車で片道1時間通勤を検討しなければいけないレベルで離れた地域に住まざるをえなくなってきます。

そして最近は、新たな動きとして、4000万円以上のマンションを購入するケースがじわじわ増えてきています。
ローンを組むのも大変ですし、月々の返済負担もかなり厳しいと思われ、正直なところ身分不相応な気がするのですが……実際に購入した人から話を聞いてみると「案外ありなのかも」と思い直しました。


意外と売れてる(らしい)田舎ターミナル駅付近のマンション

ここでいう「マンション」とは、ターミナル駅近くの新築高層マンションです。
イメージはこんな感じ。






こういった物件の価格は、(東京の不動産価格と比べれば全然大したことありませんが)地元の他の物件と比べると、かなり割高に映ります。
そのため地元住民からすると「こんなの誰が買うんだよ……」と思いたくなりますが、案外すんなり売れていきます。
どうやら、都市部に本社がある大手企業の社宅用として、ニーズが一定数あるらしいです。

僕の勤務先県庁の若手職員が購入しているのは、こういうハイクラス物件のグレード低めな部屋です。
具体的には、低層階の不人気方角の部屋を、オプションはあまり付加せずに購入しています。

わずかでも資産価値をキープする目論み

こういった物件は、いくらグレード低めとはいえ、安くても4000万円を超えます。下手したら5000万円台にすら乗ります。
先述したとおり、新築する場合の目安が「3500万円」なので、2割以上も高くつくことになります。

それでもマンションを購入する理由……それは資産性と流動性です。

これから地方はどんどん人口が減っていき、土地も家屋も資産価値が激減していきます。
新築で家を建てても、ローンを払い終わるころに果たして資産価値がどれくらいなのか、全く期待できません。

実際、家を建てる職員は、土地も家も「資産」とは見ておらず、消費するものと捉えています。
一生かかって消費し尽くすようなイメージです。途中で売却したり賃貸に出したりはしないので、資産価値はそもそもどうでもいいという考えでもあります。

一方、マンションを購入する職員は、買ったマンションを将来的に手放す前提で考えています。
彼ら彼女らは、夫婦ともに実家の土地家屋を相続する見込みがあり、自分たちが更に土地や家を買ってしまうと、将来的に不動産を持て余す可能性を見ています。

田舎の不動産は、これから資産価値のみならず流動性も激減していくと思われます。
買い手がいないので売れない、売れないから価格が下がっていく……という流れになるでしょう。

つまり、今マイホームを持ってしまうと、合計3軒もの住宅を、いらないのに持たざるを得なくなり、いずれ維持管理の手間と費用で首が回らなくなる……という未来を想定しているわけです。
そこで、少なくとも自分達が購入するものについては、流動性と資産性を少しでもキープできるよう、どちらも低下しづらそうな駅近物件を選んでいるのです。

答え合わせは数十年後?

田舎在住の若者はこれから不動産とどう付き合っていくのがよいのか、まだ定石は出来上がっていないと思っています。

僕個人的には、田舎の不動産に資産性を求めること自体がナンセンスで、「自分が求める使用価値を、なるべく安く獲得する」という一点だけ考えればいいと思っています。

いくらターミナル駅至近の好立地だとしても、「人口減少に伴い田舎の資産価値が落ちていく」というトレンドには抗えず、これから相当に下落していくのではないかと。
何より、田舎の不動産は今でも流動性が低く、任意のタイミングで手放すことが困難なので、「資産」として捉えること自体に難があるとも思っています。

ターミナル駅付近に住みたい、リッチな共用部分を使いたい……等々、高級マンションの「使用価値」に魅力を感じているのであれば、背伸びして購入するのも大いにアリだと思いますが、資産性目当てに買うのは、リターンの小さい投資のように感じます。

もちろん、これから何が起こるかわかりません。今の判断の成否は、数十年後までわからないのでしょう。問題意識だけは常に持っていたいと思います。

そもそも僕の場合、他人の心配をする前に自分の心配をした方がいいんですよね……
僕はいずれ実家の土地建物を相続できる見込みです。結構古いので現時点で既に資産価値はありませんし、辺鄙な場所なので手放したくても買い手がつきません。

このまま独身であれば、この実家をリフォームして住めばいいかなと思っています。
問題なのは結婚できてしまった場合です。「自分が求める使用価値を、なるべく安く獲得する」という一点だけ考えればいいなどと先ほど軽々しく書きましたが、相方がいると合意到達するのがすごく大変そうです。

4月から地方公務員として新たな一歩を踏み出した皆さん、おめでとうございます。
SNSを見ていると、この10日間で早くも絶望している方もいるようですが……人生は長いので、役所に順応するにしろ離脱を試みるにしろ、焦らなくてもいいと思います。
 
このブログを見ているということは、きっと何らかの困りごとや迷いごとがあって、ヒントを探しているのだろうと思います。

弊ブログ内の新人向け記事は、以下にまとめています。参考になれば幸いです。


「新人向け」タグで絞ってみても、役立つ記事が出てくるかもしれません。

 
 
例年この時期になると「新人地方公務員の役に立つ記事を書きたい!」という意欲が湧いてくるのですが、30代半ばになってくると、新人地方公務員のニーズがわからなくなってきます。
今の20代前半の価値観や考え方が全然わからなくて、一体何に困っているのか、どういうことが知りたいのか、想像できないのです。
 
そのため今回は、反対に、僕が新人地方公務員(大卒ストレートの20代前半を想定)に対して質問してみたい事柄を挙げてみようと思います。
この記事で例示する事柄は、きっと僕のみならず、僕世代の職員が共通して疑問に思っている(あるいは誤解している)と思います。
職場でのコミュニケーションの参考になれば幸いです。

超絶売り手市場の今、どうして地方公務員を選んだのか

まず真っ先に気になるのが、地方公務員になった理由です。
今や地方公務員よりも楽で高給で安定しててやりがいのある仕事がいくらでもあるのに、あえて地方公務員を選んだ理由が知りたいです。
 
僕が就職活動をしていた頃は、地方公務員はそこそこコスパ良くホワイトな職業と評されていました。
当時から「残業も休日出勤も当たり前」「残業代は出ない」「住民から罵声を浴びまくる」等々のネガティブな評価もありましたが、それでも民間企業よりはマシだと言われていました。
それくらい民間企業の待遇が酷かったのです。
 
そのため、僕世代の地方公務員には「待遇」目当てで入庁した人が多いです。
給料はそれほど高くないにしても、「リストラされない」「心身壊しても辞めなくていい」「失敗しても減給されない」あたりの条件を備えているだけでも十分魅力的に映りました。

なお、仕事内容には興味は無く、やりたい仕事なんて最初からありませんし、仕事にやりがいを求めていません。
(入庁当初は意欲ゼロだったものの、「働き始めてみたら意外と面白くてやりがいも感じている」という人もそこそこいます)
 
一方で今は、民間企業が全体的にホワイト化したために、地方公務員の待遇は相対的に落ちています。
そのため僕世代の価値観では、今の地方公務員という職業には、特に魅力を感じないんですよね……
少なくとも第一志望にはなりません。民間大企業がダメだった場合の「滑り止め」としてはアリですが、あえて第一志望にする理由が浮かびません。
 
そのため、今地方公務員になる若手の真意が純粋に疑問です。
仕事の中身に興味がある、「転勤が少ない」等の労働条件に魅力を感じた、民間企業が弱い地域なので役所が一番の高給取り……等々、「地方公務員になりたい」と思って就職したのか。
あるいは、民間就活に失敗した、学生時代に心身を壊してバリバリ働けない等、「地方公務員にしかなれなかった/ならざるを得なかった」のか。
 
事情は人それぞれでしょうが、どういう傾向があるのか、非常に気になります。
 

ボロカスに叩かれてる職業にどうして就こうと思えたのか

今の世の中、普通に暮らしていたら、地方公務員という職業に対して良い印象を持ちえないと常々思っています。
 
地方公務員という仕事は、とにかく叩かれて批判されます。
マスコミのような権威ある機関から堂々と批判されていますし、ちょっとSNSを覗けば住民からの生々しい批判がいくらでも見られます。
何より、現役or元地方公務員が、自らの職場や同僚をディスりまくっています。
 
それでも僕が就職したころは、「まともに仕事してないくせに高給を貰っている」という「妬み」が主訴でした。
見方を変えれば、嫉妬されるほどの「高い給料」がもらえるという意味で、魅力的に映る余地がありました。
 
しかし、民間企業の待遇が改善されていくにつれ、地方公務員を高給取り扱いする人は激減しました。
今の地方公務員叩きは、「地方公務員どもは無能で使えない」という能力批判・人格批判が中心です。
 
もちろん僕は、世間で言われるほど地方公務員は無能だとは思いません。
しかしこの認識は、僕自身がそこそこ長く役所で働いていて、地方公務員の実像を知っているからこそ持てるのであって、一般的に入手できる情報だけだと「地方公務員は馬鹿で無能」という認識を刷り込まれるのが自然ではないかと思うのです。
 
地方公務員に対するネガティブ情報が氾濫する中、どうしてそんなディスられる仕事に就こうと思ったのか。この点も非常に気になります。
 

公務員試験対策は大変なのか

僕が採用された年度の公務員試験は、最終倍率が10倍くらいありました。
うち筆記試験が8倍、面接が1.2倍くらいで、筆記試験を通過した時点でかなり安堵した記憶があります。
 
一方で、今は倍率がだいぶ下がっています。
最大手の東京都庁だと2倍を切っていますし、小規模自治体では定員割れするところも出てきています。
これだけ倍率が変わってくると、いくら試験科目が同じとはいえ、試験としては別物だと思います。
 
そこで僕は、今の地方公務員試験の常識が知りたいです。
特に、一般的な勉強期間と、捨て科目の有無が気になります。
 
僕の受験した自治体に限らず、当時の地方上級試験は「筆記試験でがっつり落とす」「面接はネガチェックでほぼ落ちない」というのが定説でした。
そのため、地方公務員になるにはとにかく筆記試験対策が重要で、地方上級試験の場合だと、大学3年生の4月から予備校に通い始めて、1年かけてじっくり試験勉強するのが王道でした。
 
また、捨て科目を作るという発想はありませんでした。
憲法や民法、ミクロ・マクロ経済学、数的処理あたりの問題数が多い科目は受験生全員ががっつり勉強して仕上げてくるので得点差が出ず、刑法や経営学あたりの2~3問しか出題されない科目で合否が分かれる……とよく言われたものです。
捨てるとしても教養試験の物理と化学くらいが限度でしたね。
 
一方で、今の低倍率なら、昔ほど勉強しなくても合格できるのでは?という気がしています。
 
こんなことが気になるのは、僕が資格試験全般が好きというのもありますが、退職していく若手職員の内心を探りたいという意図もあります。

僕世代の感覚だと、地方公務員を辞めることには相当なサンクコストが伴うと感じます。
地方公務員になるには、「大学3年生~4年生前半の貴重な自由時間」を、公務員試験合格のための勉強期間として費消しなければいけない……つまり地方公務員への就職には「1年間の自由」という対価を支払っているという感覚だからです。
 
そのため、退職していく若手職員は、大学生活1年分という膨大なサンクコストを回収できるくらいに良い転職先を見つけたのだと、直感的に思ってしまいます。
(あるいは、サンクコストなんてどうてもよくなるくらい地方公務員という仕事が嫌なのか)
いずれにしても、「地方公務員を辞める」という選択肢は、かなり大きな決断だと感じます。
 
しかし、もしさほど勉強せずに合格できるのであれば、今やサンクコストなんて存在しないわけであり、この感覚は時代遅れになります。
20代であれば、地方公務員並みの待遇を得られる仕事は他にもたくさんありますし、アルバイトを辞める程度の感覚で地方公務員を辞めていっているという可能性すら考えられます。

今の若手職員と、30代半ばの職員では、仕事に対するスタンスが全然違うと日々感じていますが、その根本原因のひとつが「試験難易度」のような気がしているのです。


もし暇な方がいたら、コメントで教えてもらえると嬉しいです。

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