キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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2026年03月

高知市役所が来年度から研修を大幅に縮小する方向で動いています(以下PDFの26ページ目)
https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/life/254392_1063460_misc.pdf

財源確保施策の最初に「研修や講演会に係る講師謝金を削減」が掲げられており、これだけで約1800万円も削減するとのこと。去年の9月に一度「研修講師を市職員に限定して講師料を削減」と報じられていた内容が、実際の予算案にも盛り込まれたようです。

高知市では、財源不足を理由に、このほかにも事業を大幅縮小しているとのこと。
職員研修は市民生活に直接影響あるわけではなく、役所側の一存でカットできる(住民や議会との調整がいらない)「切りやすい」分野ですし、切られてもやむなしなのでしょう。

社会保障関係費が青天井で膨らんでいく中、財源に頭を悩ませるのは全国どこも同じなので、これから高知市のように研修を縮小する自治体が続々と現れそうです。

とはいえ、OJTがうまく機能していない実態を踏まえると、研修は今後も必要だと思います。
お金をかけずに効果のある研修をやっていくことが必要でしょう。

この観点で僕がかねてから有効だと思っているのが、超長時間労働の研修——災害発生直後などに発生するほぼ徹夜での勤務を、擬似的に体験する研修です。

地方公務員の真価が問われる「いざ」に備える

地方公務員という仕事は、いざという時には超長時間労働を強いられます。

典型的なのは大災害の発生時です。所属する部署に関わらず、避難所運営など昼夜問わず働く必要がある仕事に動員されることになります。近年だと、新型コロナウイルス感染症への対応で、超長時間労働を経験することになった人も多いと思います。

市町村職員であれば選挙対応も大変と聞きます。(町役場職員の妻いわく)ひとたび選挙管理委員会に招集されてしまえば、平常業務に上乗せして選管業務もこなすことになり、選挙が終わるまで土日含めて泊まり込むのが普通だとか……。選管でなくても、投票日前後にはほぼ全職員が動員されて、早朝から明け方まで投票所運営や開票作業に従事することになります。

ほかにも、議会対応や予算折衝、年度末の会計業務のような毎年恒例の長時間拘束系業務もあります。
2徹くらいの労働強度であれば、10年くらい地方公務員をやっていれば、どなたも少なくとも一度くらいは経験したことがあるのではないかと思います。

徹夜のような超長時間労働をすると、誰であれ仕事のパフォーマンスが落ちます。
ただ、どんな形で顕在化するかは人それぞれです。
  • 文字情報が頭に入ってこなかったり(インプットに支障)
  • 手が動かなくなったりミスが多くなったり(アウトプットに支障)
  • イライラしやすくなったり(ストレス反応)
などなど、個性が表れます。

疲弊した際に表れてくる個性、つまるところ自分の弱点を自覚しないままでいると、致命的なミスを引き起こしかねません。
そのため、超長時間労働の際に自分はどのような変調をきたすのか、あらかじめ自覚しておくことは、働くうえで有効だと思います。
これが超長時間労働研修の目的です。

ちなみに僕の場合、スピードを優先しがちになり、チェックが甘くなります。
以前、災害対応と予算要求を並走せざるを得なくなった際、徹夜した後に作った予算要求書の要求額を1桁間違えていたことが後々判明して、上司と一緒に財政課へ謝罪行脚しに行きました。
この苦い経験を踏まえ、繁忙期に作った重要な書類は、ほかの人にダブルチェックしてもらうようにしています。

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僕がイメージする「超長時間労働研修」は、3日間でワンセットです。

まず初日。定時内は自分の職場で普通に仕事をします。
定時まで働いてから、研修所に移動。食事や入浴を済ませ、22時頃〜26時(AM3時)くらいまでグループワークをやってもらいます。早々と休むのはNGで、AM3時頃までは全員必ずワークしてもらいます。
グループワークの中身はなんでもいいのですが、5人くらいのグループを作って、調べ物をうえで何かしら発表する形式のものだとやりやすいかなと思います。

2日目も、日中は自分の職場で普通に仕事をしてもらいます。
疲労感と眠気でパフォーマンスが落ちると思いますが、この状況を作り出すのが狙いです。
「コンディションが万全でない状態で日常業務をやろうとすると、どういう支障が出るのか」を体験してもらうのが、まさにこの研修の目的の一つだからです。

そして定時まで働いたら研修所に移動します。食事や入浴を済ませ、22時頃からまたグループワーク開始。今回もAM3時頃までは必ずワークしてもらいます。
メンバーの疲労が蓄積して、グループによってはヒリつくと思いますが、これもまた目的です。過酷な状態では自分のメンタルはどう変化するのか、そんな状態でも円滑にコミュニケーションを進めるにはどうすればいいか、身をもって経験して考えてもらいます。

3日目は、午前中にグループワークの成果を各グループから発表してもらい、午後からは帰ってもらいます。午後からは必ず帰って休んでもらうのもまた研修の目的です。長時間労働の反動がどのように身体に現れてくるのか、体感してもらうためです。

地方公務員人生として働き続けるのであれば、この程度(ほぼ2徹)くらいの長時間労働はいずれ経験することになります。いきなり本番を迎えるよりも、あらかじめ「研修」という安全な形で練習して、自分がどれくらいやれるのかを把握しておいたほうがいいと思います。

しんどい研修になると思いますが、2徹分の時間外勤務手当がもらえるのであれば僕なら喜んでやります。

昨今、「キャリアは組織に委ねるものではなく、自ら切り拓くもの」という考え方が社会全体に浸透し、自己研鑽に励むビジネスパーソンが珍しくありません。
地方公務員も同様です。むしろ、「民間企業みたいなしっかりした研修体系が無いから、自主的にスキルアップしなければ」という危機感をも抱いているかもしれません。

しかし、いざ「成長したい」と志したとき、地方公務員の前には特有の壁が立ちはだかります。
それは、伸ばすべきスキルの選択が極めて難しいという問題です。

地方公務員には、部署をまたぐ「人事異動」がつきものです。ある部署で心血を注いで習得した専門的な法解釈や実務知識も、異動一つでその価値を失ってしまうことが少なくありません。
一方で、地方公務員として汎用的な知識技能(財務会計、公用文作成など)を磨き上げても、一歩組織の外へ出れば何の意味も持ちません。
地方公務員の中でも向上心の強い方々は、民間企業への転職も視野に入れているでしょうし、「できれば役所の外でも使えるスキルを伸ばしたい」と考えていると思います。

せっかくの努力を徒労に終わらせないためには、どのような部署に身を置いても、あるいはどのような職種に転じたとしても通用する「超汎用性なスキル」を身に付ける必要があります。

このようなスキルとして、「ファシリテーション」や「場づくり」のようなコミュニケーションスキルがこれまで提唱されてきましたが、僕は「家事スキル」が何より優先だと思っています。

プライベートを最適化・効率化すれば実務にも波及する

最初に断っておきますが、「家事ができるようになると仕事のパフォーマンスが底上げされる」と主張したいわけではありません。
このような副次的な効果もありますが(後述)、実務的な知識・技能を身につけるよりも、家事スキルを向上させてプライベート時間の最適化を図るほうが、よっぽど有意義なのではないか?というのが本旨です。

家事スキル向上の主な効果は、5つあると思っています。

第一に、圧倒的な「汎用性」です。
どんな生き方をしようとも、衣食住は欠かせません。異動しようが転職しようがセミリタイアしようが、家事スキルはずっと役立ちます。
文字通り「一生失われることのない財産」であり、どこへ行っても通用する「ポータブル・スキル」の筆頭と言えるでしょう。

第二に、このスキルは「決して廃れない」という点です。
どれほどテクノロジーが進歩し、便利な家電が登場したとしても、家事の原理原則は変わりません。
掃除と洗濯は今後も自動化が進むかもしれませんが、少なくとも料理は、人手が一切不要になることは無いと思います。

第三に、家事スキルは「人生の選択肢」を劇的に広げます。
地元で就職した地方公務員の中には、「家事できない/したくない」という理由で親元を離れない選択をした人が少なくないと思います。しかし、身の回りのことが自分で完結できるようになれば、住む場所も、働き方も、自らの意思で自由に選べるようになります。
「いざとなったらどこでも行ける」という安心感は、つらいときの支えにもなります。

第四に、家事スキルは他スキルを延ばす下地になります。
家事スキルが向上すると、生活の質が上がります。時間に余裕ができ、健康的な生活を送ることができるようになります。
そのため、次に何かのスキルを延ばそうとする際に、より多くのリソースを注げるようになるのです。

そして最後に、家事技能の向上を通して「マルチタスク能力」「タイムマネジメント能力」も養われます。
家事はマルチタスクの連続です。ひとつの家事を複数の工程に分解して、パズルのように組み合わせ、同時並行で進められるようになると、劇的に効率的できます。
このようなタスク整理のプロセスは、仕事にも活かせます。

とりあえず一人暮らし

家事スキルは、数をこなせば着実に向上していきます。
そして、手っ取り早く経験数を積み重ねるには、一人暮らしをするのがベストだと思います。
誰にも頼れない状況で、いかに仕事を終えてから寝るまでの数時間を効率的に運用するか。この「切実さ」こそが、思考を鋭利にして、試行錯誤の質を高めます。

さらに、複数の工程を逆算し、同時並行でタスクをこなす感覚は、ひとりで生活の全責任を負うことで初めて切実な課題として立ち上がってきます。

世の中には料理教室や家事セミナーも存在しますが、断片的な技術を学ぶことと、生活のすべてを回すことは全く別物です。掃除、洗濯、炊事、家事一式をひとりで一手に引き受ける責任ある立場に身を置くことで、実のある経験が積めると思います。おまけに家計管理もできるようになり、今後の資産形成にも役立つでしょう。

「一人暮らしはお金の無駄だ」と思う人もいるでしょうが、一生モノのスキルを養うための投資だと思えば、リターンは悪くないと思います。
僕が採用された頃は、初任給が17万円(手取りだと13万円くらい)で、一人暮らししたら赤字になるのが普通でしたが、最近は若手の給与水準も上がってきてますし、以前よりは随分やりやすくなっているはずです。

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