公務員試験と一口で言っても、いろいろ種類があります。
そして、種類ごとに試験科目が異なります。
そのため、効果的な勉強のために、どの公務員試験が本命なのか志望順位を出願前から考えておいたほうが良いと思います。

志望順位を決める物差しは、ざっくり以下の2軸があります。
  • 公務員の種類(国家公務員or地方公務員orその他)
  • 勤務地 (東京or地方、転勤ありorなし)
今回は地方勤務のメジャーな公務員について、比較してみました。
県庁勤務の僕視点での感覚なので、隣の芝生は青い効果が出ているかもしれません。

国家一般職(地方採用)

メリット

  • キャリア官僚の近くで仕事でき、公務員として成長できる
  • 同一分野に携わり続けられ、専門性が身に付く
  • 調整業務が少なく、人のために働いている実感が持ちやすい
  • ワークライフバランスが比較的保たれている(本省異動を命じられない限り)
仕事を通して公務員として成長したいのであれば、国家一般職が最善手だと思います。

まず、身近にキャリア官僚という圧倒的に優秀な存在がいるのが大きい。
県庁や市役所であれば、上司含め周りは同レベルの存在ばかりで、お手本が少なすぎます。
一方、国であれば、よほど小さな出張所でない限り、身近にキャリア官僚がいます。

さらに、同一分野の仕事にずっと携わっていられ、知識や経験がリセットされません。
異動のたびにゼロからのやり直しを迫られる地方公務員とは、30代になる頃には大きな差が開きます。

デメリット

  • 地道な仕事・ルーチンワークが多い
  • ルールや指示に縛られ、裁量を発揮する場が少ない
  • 出世できない

国家一般職(地方採用)の職員は、国という巨大な機関の末端実行部隊です。
中央が決めたルールを的確にこなすことが至上命題で、個人の技能や裁量は滅多に求められません。

目の前の仕事を一つ一つ片付けていくことに達成感を覚えるタイプの人間であれば、国家一般職(地方採用)はうってつけの職場だと思います。
一方、スケールの大きな仕事に携わりたいとか、自分の判断で仕事を動かしていきたいという野望があるのなら、完全に不向きです。何もできません。

県庁

メリット

  • 幅広い分野・業務に携われる
  • 大きな仕事にも関われる
  • 学識を活かす機会がある
  • 職員層が幅広く多様性がある
県庁の業務はとにかくいろいろあります。
分野も幅広いですし、業種も多岐にわたります。

県庁職員は、異動のたびに、分野も業種も切り替わります。
僕の場合だと、これまでの7年間で3分野(防災、総務、観光)4業種(法務、窓口、イベント現業、経理)を経験しています。
これら多岐にわたる業務を満遍なく経験できる職場が、県庁のほかにあるでしょうか?

中にはスケールの大きな仕事もあります。
国の本省や大企業、大学など、地方公務員よりも格上の相手と一緒に仕事する機会があるのも刺激的です。

職員の層が幅広いのも、僕はメリットだと考えています。
色んな人が机を並べることで、組織としてもバランスの良い判断ができ、個人の成長にも繋がるでしょう。

デメリット

  • 漫然と働いているだけだと何も身に付かない
  • 一つの分野・業種を極めることができない
  • 組織が大きく利害関係者が多いせいで、意思決定が遅く尖ったことができない
  • 運要素・巡り合わせによって満足度が大きく異なる
いろいろな仕事を満遍なく経験させるという特徴が、そのままデメリットになります。
一つの分野・業種に関わっている時間が短くて、中途半端なレベルまでしか到達できないのです。
あまりに脈絡なく経験させられるため、相乗効果も働きにくいです。

専門性を身に付けたい、成長したいと思うなら、余暇と私財を投じて自発的に勉強しなければいけません。

仕事の幅が広いせいで、職員間の満足度格差も大きいと思います。
やりたい仕事に携われている職員は、ごくごくわずかでしょう。

待遇面での不平等感も大きいです。
超目玉プロジェクトの一員として毎日上司から激詰めを受けている職員も、閑職すぎて新聞各紙を毎日読み通している職員も、年齢が一緒なら基本給はほぼ一緒です。
得する職員と損する職員との差がはっきり表れます。

市町村

メリット

  • 尖ったことができる
  • 職員の個人技能が活かせる
  • 住民との協働作業ができる(県庁職員は敬遠されます)
  • 県庁ほどには担当業務がばらつかず専門性が身につきやすい
県庁よりも組織が小さく利害関係者が少ないおかげで、施策の自由度が高いです。
観光施策のような自由度の高い仕事だと、特にその恩恵が受けられます。
首長のカラーにも左右されますが、目新しいことにガンガン取り組んでいきたいなら、県庁よりも市町村です。

職員の個人プレーが許されやすいのも、市町村職員の特徴です。
もちろん保守的な自治体だとNGでしょうが、そうではないところも多いです。
公務員という立場でセルフブランディングを志すのであれば、市町村職員一択でしょう。
本を書いている地方公務員のほとんどが市町村職員であることからも明らかです。

デメリット

  • 窓口業務が多い分、クレーム対応が大変
  • イベント対応や選挙事務など、休日出勤が多い
  • 災害対応が大変
  • 首長次第で何もかも変わる
改めて説明する必要は無いでしょう。


総評

この記事、投稿までに3回ほど全面的に書き直しています。

国家総合職や都庁でも合格できる優秀な人間を田舎県庁に引きずり込むのが本ブログの隠れテーマなので、冷静に比較しているように見せながら県庁はいいぞと訴求したいところなのですが……考えれば考えるほど積極的に県庁を選ぶ理由が見当たりません。

「ルーチンワークだけだとつまらない」とか、「窓口対応はできるだけ避けたい」とか、消去法で考えていけば県庁の魅力が見えてくるのですが、どうしても決め手に欠けます。

県庁の受験倍率が一人負け状態な理由が、少しわかった気がします。