公務員でありながら地域活動にも取り組んでいる人を、本当に尊敬します。
こういう活動って、楽しくて自発的に取り組んでいる人もいれば、役所がやらないから渋々やっている人もかなりの数いると思っています。
ある意味、アンチ公務員の集まりです。
そういうところに飛び込んでいく度胸。とても真似できません。
ただ、地域活動に熱心な公務員、中でも若い職員は、とあるミスをやらかしがちです。
意図せぬ情報漏洩
そのミスとは、他部局の機密情報をうっかり喋ってしまうこと。
全く関係のない部局の情報であっても、同じ役所内にいると結構見聞きする機会があります。
熱意ある公務員なら尚更、アンテナを張り巡らして、役所施策全般の情報を把握しようと務めているでしょう。
しかし、情報自体は入手しても、その情報の管理レベル(既に公表されているのか/これから公表予定なのか/役所内限りの機密情報なのか)には無頓着なケースが多いです。
そもそも、情報の管理レベルは、情報そのものよりも知りにくい要素です。
自分の所属する部局の業務であればまだしも、他部局の情報の管理レベルは、それぞれの担当者に聞かない限りわかりません。
職員向けの共有システム上のような、職員なら誰でも閲覧できる情報の中ですら、公表情報と非公表情報とが混在しています。
そのため、未公表の情報をうっかり喋ってしまうという事件が後を絶たないのです。
一旦世間に流出してしまった情報は、その後どうなるのか全くわかりません。ありそうな例(フィクションです)
公務員A氏がボランティアとして参加している農業法人が、野菜の即売会を開くことになりました。開催候補日としていくつかの案が挙げられると、その中の一つが、ちょうど近所のホテルで、とある学会の発表会が開かれる日と重なっていました。コンベンション誘致担当の同期職員が苦心の末に獲得した案件で、先日の飲み会で自慢気に語っていたので、A氏の記憶にも残っていたのです。その日に開催すれば、県内だけでなく全国からのお客さんに野菜を見てもらえます。成果を考えると、この日一択です。A氏は農業法人に学会の旨を伝え、この日に即売会を開催するよう提案しました。数日後、学会から役所にお叱りの電話が届きます。「発表会の開催日は、事実上決まっているようなものとはいえ、まだ学会内の総会で決議されていない。あくまでも事務局案だ。なのにどうして公表したのだ?」担当者は訳が分からず、学会から事情を聞き取ります。その結果、地元の農業法人から学会に対し、「発表会の同日に近所で新鮮野菜即売会をやる、レセプションでうちの野菜を使ってほしいので、ぜひ挨拶に行きたい」との連絡があったとのこと。農業法人からの聞き取りにより、A氏が漏洩元だと判明。良かれと思った発言が原因で、始末書を書く羽目に陥りました。
他部局情報を喋りたくなってしまう本能
公務員はいつでも誰でも「縦割り行政」というバッシングを浴びせられています。
人間誰しも、批判されるのは嫌です。
そのため、本能的に、批判を払拭しようとします。
他部局の情報を喋りたくなってしまうのも、この本能の発露です。
自分の所属とは関係のない部局の情報を披露することで、「自分は」縦割りの旧弊とは無関係であることを証明しようとしてしまうのです。
住民のためという姿勢も大事ですが、それ以前に組織の機密情報を明かしてしまうのは、社会人としてNGです。
公務員のような敵の多い立場の場合はさらに危険です。
世の中、公務員の失言をネタにお金を稼いでいる人もいます。
他部局の情報を役所外部の人間に提供したくなったら、事前にインターネットで検索して、ヒットする情報しか喋らないようにしたほうが無難でしょう。
それか、面倒でも担当者に確認して、公表してもいいか確認します。
窮屈だと思うなら、残念ながら公務員には向いていません。
地域おこしに携わる方法は、公務員以外にもたくさんあります。
他の選択肢を探すべきでしょう。
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