『Happiness: The Science Behind Your Smile』という本の訳書で、ものすごく評判が良い本なのですが、早々に絶版になってしまい中古価格が暴騰しています。
この記事を書いた時点(2020年3月)では20,980円でした。
収蔵している図書館も少ないです。
知名度の割に実際読んだ人は少ないという不思議な本でした。
そんな本が今年2月、タイトルを改めて出版されました。
ざっくりいうと、本書は「幸福」に関する心理学の知見をまとめたものです。
幸福追求という本能
大抵の人間は「幸せになりたい」と思うわけですが、これは生存競争を勝ち抜くための進化の過程で脳に刻み込まれた、いわば本能です。
幸福を追求することが、人間の生存戦略なのです。
重要なのは、本能が求めるのは「幸福であること」ではなく「幸福を追求すること」である点です。
人間はある程度の幸福を達成したとしても、さらに一段階進んだ幸福の段階へと突き進むよう、本能に急き立てられます。
つまり、いつまでも幸福追求の努力を止めさせてもらえないのです。
欲望と快感と幸福
さらに人間は、幸福そのものを追求しているわけではありません。
幸福に類似した概念である「欲望」と「快感」を追求しています。
欲望は「欲しい」という気持ちです。脳内物質ドーパミンによって支配されています。
快感は「嬉しい」という気持ちです。脳内物質オピオイドによって支配されています。
大抵の場合、欲望と快感と幸福とはリンクしています。
欲望を満たすように行動すれば快感を得られ、幸福に近づけます。
さらには生存競争を勝ち抜くにも、こうなる選択をするのが最善手です。
しかし、このリンクが途切れているケースも実際には多々あります。
現代社会では特に顕著です。
そもそも、この仕組み自体ができたのは太古の昔。野生動物と食うか食われるかの戦いを繰り広げていた時代です。現代社会とは全く状況が違います。
つまり人間は、本能の赴くままに欲望を満たしたとしても、幸福になれるどころか、一時的な快感を得られるかどうかすら怪しいのです。
地方公務員の幸せとは?
以上、本書で提示される論点を2つだけ紹介しました。
他にもたくさんの観点から幸福について切り込んでいきます。
中には結構シビアな結論も出てきます。
幸福かどうかは遺伝で決まるとか。
ただし本書は不安を煽るだけではありません。
具体的な対策、幸せになるための具体的な処方箋も示してくれます。
また絶版になってしまう前に、是非手にとっていただきたい一冊です。
ちなみに本書の記述によると、
- 地方公務員は自己決定権に乏しいため、幸せになりづらい
- その対策として、定時ダッシュしてブログを書くのが有効
という結論になります。
これだけ見ると意味わからないかもしれませんが、読めばわかります。
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