公務員試験は、「一般事務」「総合土木」「農業」のように、職種別に試験が分かれています。
どこの自治体もだいたい名前は共通です。「一般事務」が「行政職」だったりする程度でしょうか?

ただし、同じような職種名であっても、その内実は自治体ごとに異なります。
たとえ同じ試験区分名称で、試験資格が同一であっても、採用後の配属先や仕事内容は自治体ごとに微妙に異なるのです。

ここを試験前にしっかり確認しておかないと、採用後のミスマッチの原因になります。
どこの自治体でも注意すべき重要ポイントに絞って紹介していきます。
 

一般事務:警察事務と小中学校事務を含む場合あり

公務員の中でも圧倒的多数を占める、いろんな部署を渡り歩く事務職公務員が一般事務です。
僕もこれに該当します。

この一般事務に含まれる範囲が、実は自治体ごとにけっこう異なります。
特に警察事務と小中学校事務を含むか否かは、非常に重要なポイントです。

多くの自治体では、警察事務と小中学校事務を、一般事務とは別枠で採用しています。そもそも試験が別なのです。
しかし一部の自治体では、一般事務という試験区分の合格者の中から、警察事務と小中学校事務職員を選出しています。

前者は特に問題ありません。職種ごとの業務内容をしっかり調べて、希望する職種の試験を受ければいいでしょう。
問題は後者の試験パターンを採用している自治体です。
受験生としては、たとえ合格しても希望通りの職種に就けないリスクがあることを認識しなければいけません。

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通常、一般事務・警察事務・小中学校事務の間には、人事交流はありません。
一時的に出向することはあるかもしれませんが、本人の希望で別の区分に永続的に異動することは叶わないでしょう。

つまり、初っ端に警察事務に振り分けられたら、一般事務の仕事には就けなくなります。逆もまた然りです。

最悪のパターンが、観光や産業振興のような一般行政職の仕事を希望していたのに警察事務・小中学校事務に振り分けられてしまうケースです。どうしようもありません。

警察事務と小中学校事務は、まさに事務職という感じの書類仕事がメインです。メインプレイヤー(警察官や教員)を支える立場になります。むしろこっちを希望する方も多いでしょう。

自分が志望している自治体がどういう採用パターンなのか、事前に確認しておくべきでしょう。

一般事務とは別に警察事務や小中学校事務という試験区分が設けられている自治体であっても、一般事務のうち数名がそれらに回されるケースもあり得ます。
ここまで細かい情報になると、ホームページやパンフレットには記載されていないでしょう。各自治体の採用担当者に直接聞くしかありません。
 
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土木技術職:土木本流と農業土木との人事交流有無

土木技術職で採用されると、主に土木部局と農林部局に配属されます。
 
土木部局の主な仕事は、道路、橋梁、河川工事、砂防事業あたりです。
農林部局では主に、農業用の取水設備、ため池、治山事業などに携わります。

それぞれ必要となる専門知識が異なるためか、自治体によっては、採用時点で土木部局要員と農林部局要員で完全に振り分けてしまいます。

例えば、橋を作りたくて自治体職員になったのに農林部局要員に振り分けられてしまい、橋に関われない可能性もゼロではないのです。

採用後の人事交流有無も含め、事前に確認しておいた方がいいでしょう。

農業・化学:研究職とほぼ事務職の区別有無

農業職や化学職には、研究者としてのポストもあれば、ほぼ事務職のようなポストもあります。
農業職であれば新品種農作物の宣伝担当、化学職であれば環境関係の許認可事務が、後者の業務に当たります。
 
前者と後者では業務内容が全然違います。「どっちでもいい」という方は少ないのではないでしょうか?
ありがちなのは、公的な研究に携わりたくて自治体職員になったのに事務職みたいな仕事をさせられて辟易するというパターンです。

研究職と事務職をそれぞれ別枠で採用している自治体もあれば、同じ枠のところもあります。
事前に確認しておいたほうがいいでしょう。

自治体ごとに直接聞くしかない

こういう情報はインターネットではなかなかヒットしません。
採用ホームページにいちいち掲載しているとキリがありませんし、年度ごとに事情が変わることもあるでしょう。
僕自身、自分の勤めている自治体が今年どうなっているのか、把握していません。 

本来なら採用説明会で採用担当に直接確認するのが手っ取り早いのですが、あいにく今年は採用説明会中止の自治体が相次いでいます。
ちょっとでも不安に思ったら、電話やメールで質問してみてください。