研修機会の不足を嘆く地方公務員は非常に多いです。

実際のところ、役所は研修がほとんどありません。
僕の場合だと、これまで7年間の役所生活の累計でも、10日間に届いていません。

新規採用職員募集パンフレットを改めて見てみたら、いろんな研修が列記されていましたが、どれも受けた記憶がありません。不思議ですね。

職員教育は住民(=有権者)の利益にならない

研修が少ない理由は明らかです。
民意が求めていないからです。

住民としては、自分にメリットのある施策に予算を投じて欲しいと思うのが自然です。
しかし職員教育は、住民に直接のメリットがありません。

職員の質が高まることで行政サービスの質も向上する……という間接的な利益はあるかもしれませんが、それが実現するのがいつになるかわかりませんし、本当にそうなるかもわかりません。
 
そのため住民は、職員教育よりも、すぐ結果の出る施策を求めます。
職員の職場環境改善(パソコンのスペックを上げるとか)が図られないのも、同じ理由だと思います。

ちなみに僕は「公務員に研修は不要!なんでお前らの塾代金まで税金で負担しなきゃいけないのか?おかしいだろ!」と詰め寄られたことがあります。
観光の仕事をしている時期のエピソードです。

次回の打合せ日程を決めようとしたところ、相手の希望日がたまたま関係メンバーの研修日と被っていたので、変えてもらおうとしたら、こう言われました。
 
普段は友好的で紳士的な方だったので、豹変ぶりに心底驚きました。
同時に「内心誰もがこう思っているのかな」と落ち込みました。

目玉施策として「職員教育」を掲げたりしたら、ものすごいクレームが押し寄せて、次の選挙であっさり首長が交代しまうでしょう。
そんなリスクを冒してまで職員教育に可能性を見出してくれる首長がいたら是非とも転職したいくらいですが、現実にはいません。

民主主義である以上、有権者から望まれない施策である「職員教育」に注力することは不可能なのです。

研修に頼らずに勉強意欲を発散させる

「研修が少ない」という不満の根底には、「勉強したいけど何をすればいいかわからない、だから課題と教材を与えてほしい」という、いわば受動的な勉強意欲が横たわっているのだと思っています。

以前の記事でも触れたとおり、地方公務員は相対的に勉強が得意な人種です。
この折角の強みを活かさないと、職員自身、役所、住民のいずれにとっても損失です。

とはいえ民主主義というシステムが存続している限り、研修機会が増えることはあり得ないでしょう。
自ら勉強課題と教材を見つけて、勝手に学ぶしかありません。

与えられた勉強は確実に得意な地方公務員ですが、自ら課題と教材を見つけるタイプの勉強は苦手なのかもしれません。
こういう勉強が得意だと、自分の興味関心がはっきりしていきます。
仕事においてもやりたいことが明確なので、地方公務員のような何でも屋は志望しないでしょう。

課題さえ見つかれば、教材はいくらでもインターネットで探せます。
自分のやりたいことや、なりたい自分を見つめてみて、それらに必要なことを具体的にリストアップしてみれば、すぐにでも着手できそうな課題がきっと見つかるでしょう。

もし何も見つからないなら、とりあえず「お金の勉強」を勧めます。
困ったときのFP2級です。