ジョークのつもりで投稿したこの記事、安定してPVを集めています。



出世に真剣な人に申し訳なくなり、本当に役立ちそうな出世作戦をずっと考えて続けきた結果、ついに一つの答えにたどり着きました。

昇進試験が無い自治体の場合、職員の出世の命運は全て上司からの定性的評価にかかっています。
俗にいう出世コースに乗るためには、課長のような直接の人事評価者だけでなく、さらに上位の部局長のようなキーパーソンからも見初められなければいけません。

定性的な高評価、つまり「気に入られる」ためには、ごますりに徹したりゴルフのお供をしたりなんかが具体策としてよく挙げられます。
民間企業であればこれで良いのかもしれませんが、地方公務員の場合は平職員と部局長との距離が遠く、ごまを擦る機会がありません。
ゴルフも下火です。今となってはすっかりダーティな印象が根付いてしまい、公務員同士ですらあまり行かないようです。
これからの出世競争は、キーパーソンが重要視している要素をさりげなく見せつけることで評価を高めていく、正攻法の時代なのでしょう。

役所内のキーパーソン、つまり出世の頂点にたどり着いた職員が高確率で重視するであろう要素。
それは地方財政、特に歳入面の知識です。

部局長クラスがもれなく重視する

部局長クラスになると、たとえ財政課出身でないにしても、もれなく自治体財政の仕組みに精通しています。
財政の仕組みを理解していないと、役所組織全体のバランスを整えたり長期的視点から政策決定をするという、部局長の仕事がこなせないからです。
こういう知識と能力(感覚)が評価されたからこそ、部局長まで出世できたともいえます。
つまり、キーパーソンは、財政知識は出世に不可欠だと認識しているのです。

ここからは推測です。
他職員を評価する際も、「地方財政の知識」はものさしの一つとして機能する可能性が高いと思われます。

「地方財政の知識」以外にも、職員評価のものさしはたくさんあります。
ただしキーパーソンごとにバラバラです。これまで歩んできたキャリアによって全然違うでしょう。
ずっと総務部局にいたのであれば内部調整能力を重視するでしょうし、産業振興や観光に携わっていたのであれば役所外との交渉能力を求めるでしょう。
ほかにも、法令知識、議員との折衝能力、人脈などなど……いろいろ思いつきます。

一方「地方財政の知識」は、どこの役所であれ、大半のキーパーソンが共通して重視する要素だと推測されます。
つまり、あらゆるキーパーソンたちが共通して持っている、数少ない普遍的なものさしであり、これ一つ身につけておくだけで、大抵のキーパーソンにアピールできるのです。

差別化要因にもなる

地方財政の知識は、働いていれば自然と身につくわけではありません。
特に歳入面の知識は、大半の職員にとって縁遠いものです。

地方自治体の歳入は、主に地方税、地方交付税、地方債、国庫支出金があります。
このうち特に地方交付税と地方債は、財政課以外は滅多に触れません。

つまり、地方交付税と地方債もひっくるめて地方自治体の歳入の全体像を知っている職員は、財政課以外にはほとんどいません。
希少性があり、他の職員との差別化に直結するのです

さらにこの知識は、自主的に勉強しないと身につかないものでもあります。
これを備えていることは、勉強熱心であり仕事への意欲に燃えていることの証明にもなるのです。

重要なのは実務的知識

ざっくりまとめるとこんな感じです。
  • 地方財政の知識は、どんな役所でもキーパーソンから重要視されている能力であり、評価ポイントにもなる
  • 中でも歳入面の知識は、意図的に勉強しなければ身につかず、他の職員との差別化要因になる
  • 勉強しなければ身につかないゆえに、勤勉さと仕事への熱意のアピールにもなる

公務員試験の科目にも「財政学」がありますが、僕が今回重視しているのは、もっと実務的な知識です。
僕自身全然わかっていないのですが、同期の財政課職員によると
  • 主要な施策・制度の財源内訳(例:生活保護の国庫負担割合)
  • 国の補助金・交付金のうち、主なものの仕組み(災害復旧、社会資本整備、地方創生関係など)
  • 地方交付税(普通交付税、特別交付税)それぞれの算定項目と、どういう条件を満たせば交付額が増えるのかの勘所
  • 地方債の種別ごとに交付税算入率と交付税措置率、定番の地方債発行戦略
こういうところが基本中の基本とのこと。

学問としての財政学を押さえた上で、こういう実務面の知識も身についていれば、「こいつはできる」と思われるでしょう。


役所の人事評価は完全なブラックボックスです。
仕組みがわからない以上、対策のしようもありません。

今回提案した「地方財政の知識」作戦も、通用する確証はありません。
ただしこの作戦は、いつでもどこでも誰でも、個人レベルで取り組めるものです。
勉強するだけなので失敗もありません。ローコストかつノーリスクです。

今のうちから勉強していけば、秋以降の当初予算の部内ヒアリングという絶好のアピールチャンスに間に合うと思います。
誰か試してみてください。僕はもう手遅れなので……