若手(20代)地方公務員の給与考察の続きです。
前回の記事では全国平均の数字を使いて、若手地方公務員の給与水準は同年代の民間勤務高卒者並みという結果を見ましたが、今回は地域別の数字を使って
- 給与の構成要素(基本給・残業手当・賞与)ごとの影響も気になる
- 高いor安いの感覚は、同一地域内での相対的順位にも大いに影響されそう
賃金構造基本統計調査より
今回は賃金構造基本統計調査の数字を用います。
統計表はこちら。(総務省統計局)
このデータであれば、都道府県ごとのデータが使えます。
エクセルのランダム関数で対象都道府県を選んだところ、岡山県がヒット。
今回は岡山県のデータを使って検討していきます。
ちなみに岡山県は、同統計内の「所定内給与額」(≒諸手当除きの月給)が47都道府県中24位であり、ちょうど中間に位置します。
そのため、単県のデータではありますが、ある程度は全国普遍的な結論を導けるかもしれません。
今回は「若手」にフォーカスすべく、25~29歳のデータを取り出します。
さらに男女差が想定されるので、性別ごとにデータを集計。
この統計調査は民間事業者だけが対象のため、公務員のデータは含まれていません。
そこで、僕が実際にもらった金額をベースに、地方公務員のデータを追加します。
地域手当は、岡山県岡山市(3%)を反映させました。
ただし残業代は水物なので、僕の実績をそのまま使うわけにはいきません。
そこで、総務省の「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果」中の都道府県職員の平均残業時間である12.5時間≒13時間、毎月残業すると想定し、13時間分の残業手当を「きまって支給する現金給与額」に盛り込んでいます。
残業手当単価は、所定内給与時給換算額×1.25で算出しました。
賞与は4.45か月分を計上しました。
男性:真ん中よりやや悪い
こうして出来上がった一覧表がこちら。右側2列の「所定内給与時給換算」と「年収」のみ、統計データから僕が算出したもので、その他は統計データからのコピペです。
この表を見ただけで、地方公務員の賞与額がかなり大きいことが見て取れます。
一覧表を並べ替えて分析を進めていきます。
まずは基本給を比べていきます。
諸手当除きの月給、いわゆる基本給は、「所定内給与」に相当します。
ただし、これの実額で比較すると、対象となる労働時間(所定内実労働時間数)が産業ごとにまちまちで公平な比較になりません。
そこで今回は時給換算して公平性を確保しました。
この基準だと、公務員は51区分中の28位。真ん中よりも少し悪いあたりです。
続いては年収です。
公務員は51区分中の27位。基本給と同じく真ん中よりも少し悪いです。
女性:余裕で上位
続いて女性のデータも見ていきます。元データにある民間企業では、どの産業区分でも男性より給与水準が低くなっています。
一方、地方公務員の場合、男女間の差は基本的にありません。
そのため、男性と比べ、相対的に地方公務員の順位が上昇しています。
時給も年収も、余裕で上位に食い込めています。
まとめ:ちょっと劣る
以上の結果をまとめると、岡山県の場合、- 平均的な若手地方公務員(男性)は、民間企業勤務の同世代男性よりも高給とは決して言えない。とはいえ薄給とも言えないし、特に賞与は確実に恵まれている。
- 女性の場合は、同世代女性の中でも相当な好待遇。
統計上の数字には現れていませんが、民間企業の場合は個人差がものすごく大きいことを忘れてはいけません。特に賞与。
つまり、同一区分の中でも相当なばらつき(分散)があると思われます。
一方、地方公務員は、残業代の多寡くらいでしか差がつきません。
20代のうちなら基本給の差も小さいですし、賞与は余程のことがない限り満額支給されます。
給与の安定感を重視する方にとっては、地方公務員の待遇は数字以上に魅力的に映るでしょう。
今回は岡山県のデータを使ってみましたが、都道府県ごとに特色が出ると思います。
お住いの地域のデータで自分の給与と比較してみたら、きっと発見があると思います。
出身大学比較(その2)
「30歳時点の想定年収」という出身大学別のデータも見つけました。【2021/2/17 新しいデータがリリースされたので差し替えました】
「年収」の定義がよくわからないうえ、転職サイト登録者のデータをもとにしているようなので、どちらかといえば上振れしている気がします。
僕の場合、30歳時点(2020年)の年収は約440万円でした。
※内訳:基本給300万円+賞与110万円+残業手当+地域手当
ちなみに地域手当を東京23区水準(20%)まで引き上げると、約500万円になります。
このデータだけだと、
- 東北大学→宮城県庁・仙台市役所
- 九州大学→福岡県庁・福岡市役所
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