地域おこし協力隊のバリエーションとして、「地域プロジェクトマネージャー」や「地域おこし協力隊インターン」という制度が新たに始まるようです。
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総務省ホームページによると、地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地盤産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。



開始前は期待されていたのに実際スタートしたらトラブルが続発して利用実績が伸びない……という悲しい施策がたびたびある中、「地域おこし協力隊」はきちんと利用実績が伸びているだけでなく、色々な亜種まで登場しています。

ということは、隊員を受入れる側の自治体もメリットを感じているのだろうと思われます。
上記の総務省ホームページにアップされている「受入自治体に対するアンケート」でも、約8割の自治体が「今後も地域おこし協力隊を活用していきたい」と回答しています。
トラブルもいろいろあると聞きますが……


ただ、地域おこし協力隊のような外部人材が重宝されるということは、裏を返すと、地元人材だけでは足りていないということにほかなりません。

「田舎人材が持っていないスキル」ほど田舎社会は欲している

「地元人材だけでは力不足である」と状況を詳しく見ていけば、地域ごとに事情が異なるでしょう。
地元人材だと地縁や因習にとらわれて身動きがとれないのかもしれませんし、地元人材よりも都会人材のほうが能力的に優れているのかもしれません。

個人的には後者だと思っています。
より正確にいうと、地方人材には無いスキルを都会人材は持っているのです。

具体的にはIT関係全般定量的分析あたりでしょうか。
比較的目新しく、学識も必要になるスキルです。

営業や経理、法務のような伝統的なスキルであれば、田舎にもそれなりに人材がストックされているはずです。
しかし、目新しいスキルや学識の必要なスキルは、これまで田舎では習得する環境がそもそも無く、都会と比べればニーズもわずかなために実務経験を積む機会も乏しかったのでしょう。

今となっては流石に誰もがこうしたスキルの重要性を理解していますが、人材は急には育ちません。
しかも育つまで待っている余裕もありません。

そこで「スキルのある人材」を外部から調達する手段として「地域おこし協力隊」が機能しているのではないかと思います。

地域おこし協力隊とは関係ありませんが、大企業を定年退職してからUIターンしてコンサル業を始める方も最近けっこういらっしゃいます。
こういった方々を見ていると、成否がはっきり分かれています。

戦略論を唱えるだけの方はうまくいっていないようです。
仕事が無くて時間にゆとりがあるのか役所にもよくいらっしゃって、「この地域は〇〇が駄目で、××すべきなんだ、役所が旗振り役になって意識改革せよ(そして私を起用してくれ)」と主張されます。

一方、自分で定量的分析のような作業を手掛けている方は重宝されています。

やはり田舎はスキルに飢えているのだと思えてなりません。

「地元を盛り上げたい」という熱意に燃えている方は、田舎にもたくさんいらっしゃいます。
しかし、彼ら彼女らが頑張っても、事態はなかなか好転していません。

このような状況において、さらに上乗せすべき要素は「熱意のある人材」よりも「スキルのある人材」でしょう。

成果を出すなら遠回りのほうがいい?

地方公務員への就職を考えている方の中には、「地元を盛り上げたい!」と燃えている方もいるでしょう。
 
ただ、本当に成果を出したいのであれば、まずは都会で就職して、最先端のスキルを身に着けてから地元に舞い戻ってくるほうがいいのかもしれません。
めんどくさい公務員試験にチャレンジするだけの意欲があれば、学べる環境に身を置けば、きっと成長できます。

反対に、地元に長年住んでいなければ得られないスキルもあります。
地域の雰囲気というか風土というか……「らしさ」のようなものは、一朝一夕では身に付きません。
これが無いと地域住民から信頼を得られず、何をするにしても独りよがりになってしまいかねません。

ただし、こちらのスキルは保有者が既にたくさんいます。
希少性という意味でも、まずは都会で修行する利点があるでしょう。

特に都会から地元へUターン就職を検討している方は、一度冷静に考えてみてほしく思います。

都会に嫌気がさしていたり、僕みたいに就職活動に失敗して都会に居場所が無くなってしまったのであれば、Uターンするしかありませんが、「地元で活躍したい」のであれば都会で修行する選択肢もぜひ一考してほしいです。

そのほうが地域のためにもなるし、何より自分自身のためにもなるかもしれません。